依田 SU-3200、SU-3300は、顧客のCoOの低減をするだけでなく環境負荷低減にも大きくつながる取り組みとして評価され、GVAを受賞したそうですね。開発にはどのような背景があったのですか。
田中 半導体は集積度を上げるための微細化が進んでいます。半導体デバイスメーカーの大きな課題となっているのは、微細化に伴う線幅変更により製造コストも上がることです。微細化に対応し、生産性を高めることは当然ですが、製造工程で使用する薬液などの消耗品、電力などのエネルギーコストも下げなければ、求められるCoOの改善にはつながりません。
一方で、CoOを改善することは省エネ性能を向上することとも言え、環境負荷の低減につながります。
依田 この装置では薬液廃液量の大幅削減に成功されたことが画期的ですね。
田中 微細化に伴い、洗浄プロセスではウエハー上の汚染(マスク材料、ドライプロセス後の残渣、ゴミ)を除去するために、従来に比べ大量の薬液が欠かせなくなりました。薬液の中でも硫酸は使用量が多く、廃液の中和にも大きなコストがかかります。SU-3200、SU-3300では薬液の温度や洗浄方法などを最適化することで、薬液の使用量を削減し、生産性や省エネ性能の向上と併せてお客さまが求められていたCoOの改善目標を達成しました。また、水使用量の削減にも注力しています。
依田 私の会社でも鉛電池の生産で硫酸を使用しているのでよく分かりますが、硫酸は廃液の後処理のために大量の水や薬剤が必要で、エネルギーもたくさん使います。硫酸の使用量削減がCoOの改善と環境負荷の低減につながり、ビジネスとしても成功したということですね。
田中 お客さまから高く評価され、多くの受注に結びつきました。次世代の半導体生産において、当社の環境パフォーマンスに優れた装置がPoR(Process of Record※3)を獲得できたことが大きな成果です。
※3 PoR(Process of Record):量産ベースとなるプロセス。