サステナブル経営の中核を成すサステナビリティ戦略では、経営大綱からバックキャストした中期経営計画「Value Up Further 2026」において、同戦略を「事業成長戦略」と「経営基盤強化戦略」を下支えする「共通戦略」と位置付け、バリューチェーン全体での取り組みをグローバルに展開しています。
具体的には、「Value Up Further 2026」における社会的価値向上に向けたサステナビリティ中期計画を「Sustainable Value 2026」として掲げ、「環境(E)」「社会(S)」「ガバナンス(G)」の枠組みのもとで、さまざまな取り組みを行っています。
環境面では、人と地球に優しい環境形成を基本方針とする「環境方針」を制定し、大切な地球環境を守り、次世代に豊かな自然を引き継いでいくことを目標に、脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会の構築と持続的な発展に貢献していきます。
社会面では、「国連グローバル・コンパクト」や世界人権宣言を含む国際的な人権基準を支持する形で「人権方針」「労働安全衛生方針」を制定し、人権尊重、健康経営、人的資本経営、サプライチェーンの社会的責任、社会貢献といった幅広い領域について、全社一丸となって取り組んでいきます。
ガバナンス面では、当社グループが持続可能な成長と社会的責任を果たすためには、強固なコーポレート・ガバナンスの推進、環境変化を捉えた適切なリスクマネジメントの実効化と強化、従業員のコンプライアンス意識の醸成と浸透が不可欠であるため、ガバナンス体制の整備と充実に努めています。

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Sustainable Value 2026

SV2026

E・S・Gの取り組み領域は広範に及びますが、当社グループではそれらのテーマに網羅的に取り組むことを基本としながらも、特に19項目の重点課題を設定し、
実効的な取り組みを推進することとしています。
重点課題の設定にあたっては、経営大綱におけるアウトカム指標や、前中期計画「Sustainable Value 2023」で目標未達となった課題、および「Sustainable Value2026」で大切にしたい(あるいは社会情勢から大切にするべき)テーマを中心に選定しており、サステナビリティを巡る社会情勢などの変化に応じて、柔軟に見直しながら継続的に推進していきます。

「Sustainable Value 2026」取り組み状況

「Sustainable Value 2026」の初年度となる2025年3月期は、19項目の重点課題のうち17項目の年度目標を達成し、2項目が未達となりました。サステナビリティ委員会などでPDCAサイクルを回しながら、グループ一体となって継続的な改善に取り組んでいきます。

 

重点課題

最終年度(2027年3月期)の目標

主な取り組みなど 2025年3月期の実績・
今後の見通し
環境発明の強化 環境負荷低減に貢献する環境発明の創出
  • IP Portfolio Management
  • Global IP Strategy
  • AI関連/環境発明強化
  • 事業活動を通した環境発明の創出・権利化の促進
  •  特許保有件数(AI関連・環境発明、グローバル保有を含む)は、目標値を上回る
  • 知的財産の客観的評価指標に基づく特許の質向上が進展
省エネルギー性能の高い製品の提供

スーパーグリーンプロダクツ売上比率:3%


主力製品のスーパーグリーンプロダクツへの適合化促進
  • スーパーグリーンプロダクツ売上比率:0.6%
  • スーパーグリーンプロダクツの開発、販売拡大の推進
事業活動によるGHG排出量削減(Scope1、2) 2019年3月期比 70%削減(総量) 15,170 t-CO2e
  • 事業所の電力の再エネ化推進
  • 太陽光発電・蓄電などの検討
  • 2019年3月期比 56.6%削減(総量) 21,961 t-CO2e
  • 再エネ電力導入拠点の拡大の推進
販売した製品の使⽤によるGHG排出量削減(Scope3 Cat. 11) 2019年3月期比 48%削減(売上総利益原単位)
13.5 t-CO2e/百万円
環境付加価値の高いビジネスの展開
  • 2019年3月期比 55.7%削減(売上総利益原単位)
  • 11.5 t-CO2e/百万円
  • 環境適合および高付加価値製品の販売促進
廃棄物量の削減

 

2019年3月期比 8%削減(売上原単位) 4.36 kg/百万円

 

  • 有価物化の全社展開
  • 廃棄物量の継続的削減
  • 2019年3月期比 47.6%削減(売上原単位) 2.48 kg/百万円
  • 廃プラスチックなどの有価物化推進による廃棄物量の削減
事業活動によるエネルギー使用量の削減 2019年3月期比 8%削減(売上原単位) 367 kWh/百万円 省エネ設備導入の継続的推進
  • 2019年3月期比 33.5%削減(売上原単位) 265 kWh/百万円
  • 運用改善によるエネルギー使用の効率化
自然共生社会の実現 生物多様性に関連した取り組みの強化
  • 従業員への教育と外部への情報発信
  • 地域との連携
  • 彦根事業所で水質試験(生物応答試験)を実施し、水生生物への毒性影響に関して良好であることを確認
  • 「 SCREENの森」保全活動など、地域連携の推進を継続中

水資源の有効活用
取水量:2019年3月期比 8%削減(売上原単位) 5.31 m3/百万円 製品開発および製造における、水資源管理の強化
  • 2019年3月期比 33.9%削減(売上原単位) 3.81 m3/百万円
  • 事業所の水使用可視化による改善領域の特定
製品法規制の対応 PFASバージン材使用量:2024年3月期比 15%削減
  • リサイクル品の有効活用
  • サプライチェーンにおける連携強化
  • 設計の最適化によるリサイクル品の採用
  • 製品のPFAS含有量の調査・把握を継続
労働災害の未然防止 労働災害件数:2024年3月期比 33%削減(26件以下*1)*1 発生原因に会社過失が認められる労働災害へと対象を変更 データドリブンな方策と従業員への安全教育、意識改革の
推進
  • 労働災害件数:2024年3月期比 17.5%削減(33件)
  • 事業所間でクロスチェックによる安全パトロールの実施
  • 従業員に対する定期的な安全教育や訓練の実施
従業員の健康増進 プレゼンティーズム:81%
  • ストレスのない職場づくり
  • 働き方改革など、人事施策との連携
  • プレゼンティーズム:80.4%
  • 健康増進施策、メンタルヘルスケア施策を実施
  • 取り組みの効果検証を実施し、各施策への反映を図る
障がい者雇用の促進 障がい者雇用率:2.7%以上 障がい者雇用組織「パルテ」の拡大
  • 障がい者雇用率:2.9%(2025年6日1日時点)
  • 「 パルテ」の拡大、障がい者と共に働く職場づくりとコミュニケーションについて学ぶセミナーの開催
女性社員、女性管理職比率の向上
  • 新卒女性採用率:20%以上
  • 女性管理職比率:5%以上
  • 女性の理系学生座談会やインターンシップの拡充
  • 女性管理職の働きやすい環境整備と登用支援
  • 新卒女性採用率:19.9%(2025年4月入社)
    女性社員による座談会開催やロールモデル社員のキャリア紹介
    動画・パンフレット作成など、多面的なアプローチの展開
  • 女性管理職比率:4.5%
    女性のキャリア支援とジェンダーギャップ解消を目指し、企業の枠を超えた「クロスメンタリング」を開始
ITセキュリティの維持・強化 NIST SP 800-171 レベル2(Advanced)準拠
  • 情報セキュリティポリシーの整備
  • セキュリティ専門組織の拡張
  • 規定と技術的対策の展開
  • グループ、サプライヤー評価
  • 情報セキュリティ関連規定の定期的な見直し
  • セキュリティ専門組織によるセキュリティ監視と対応
  • サイバーセキュリティソリューションの展開
IT事故の防止 壊滅的な情報事件・事故:ゼロ
  • グループリスクの危機レベルと整合した関連規定とガイドラインの整備と展開
  • 各種訓練拡大によるCIRT(Computer Incident Response Team)のレベル向上
  • 資格認定取得者の増員
  • 壊滅的な情報事件・事故:ゼロ
  • サイバーインシデント訓練の実施
  • 情報セキュリティ教育の実施
グローバルでのBCP強化 事業子会社へのBCP浸透 グループ会社への訪問/実地調査/ワークショップ実施
  • 海外子会社訪問による実地調査や災害演習を計画どおり完了
  • グループ全体の事業継続対応力の拡充と強化の継続
サプライチェーンにおけるBCP対応の強化 リスク分析を基にしたサプライヤーとの対話 事業会社との協業による各種対応
  • サプライヤーとの意見交換によるBCP実態把握、課題抽出、対応方針策定など、年度計画を達成
  • 事業会社と連携し、強化施策を促進
サプライチェーンにおける社会的責任の推進 紛争鉱物調査対象の拡大:120社 サプライチェーンコミュニケーションによる気運の醸成
  • 紛争鉱物調査:81社に実施
  • サプライヤーの理解促進のため、セミナーやウェブでの情報提供を強化
情報開示の充実 ESG関連の各種開示要求への対応・充実

重要課題の特定、および、各要求事項への対応

  • 脱炭素移行計画の策定・更新、TCFD文書への開示
  • SSBJなど国内外の情報開示要請に向けた対応への早期準備を継続して推進

 

SDGs達成への貢献

「経営大綱」に掲げる10年後のありたい姿の実現に向け、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」の中から、SCREENグループの事業を通じて解決に取り組むべきゴールとして、15項目を設定しています。また、社会的価値の向上を目指す中期計画「Sustainable Value 2026」においては、「環境(E)」「社会(S)」「ガバナンス(G)」それぞれの具体的なテーマを明示し、推進しています。さらに、国連グローバル・コンパクトをはじめ、TCFDやSBTiなどの気候変動に関する国際的なイニシアチブにも、継続して取り組んでいます。SDGs_15_J.png