「CSR 憲章・行動規範」に掲げる「人権の尊重と働きやすい職場環境」を基本方針とし、安全で健康的な職場環境の整備や、労働災害の防止に関する各国法令や関連するルールの順守に取り組んでいます。製品の大型化に伴う作業安全リスクの増大、就業形態の多様化による従業員の健康管理の複雑化などの環境変化も踏まえつつ、安心して働くことができる安全で健康的な職場環境の実現に向け「Sustainable Value 2023」において具体化した目標の達成を目指します。
健康への取り組み

労働災害の低減に向けて

推進体制

HD サステナブル経営担当役員を管理統括者、HD 総務・人事戦略担当取締役を副管理統括者とし、HD・国内SCREENグループ各社のEHS管理責任者および事務局長で構成する「グループEHS委員会」で、目標・実施計画の決定や進捗、課題の確認と改善指示、マネジメントレビューなどを行い、継続的な改善に取り組んでいます。2023年3月期は、グループEHS委員会を3回開催し、その結果はCEOが責任者を務める「CSR委員会」において報告・協議された後、経営会議および取締役会にも報告しています。
また、グループEHS委員会や傘下の分科会での取り組みは、労働組合代表者との間で毎年開催する「安全衛生に関する労使合同会議」でも共有・議論され、安全で健康的な職場環境の整備に向けて、労使が一体となって取り組みを進めています。

指標と目標

「Sustainable Value 2023」において、国内のグループ会社と協力会社を対象に、「休業4日以上の労災件数ゼロ」と休業日数および災害の程度に応じて独自に設けた「労災ポイントの低減」を目標に定め、活動を展開しています。2023年3月期は、装置の出荷台数増加に伴い、主に腰痛や反復動作に関わる労災が増加し、目標は未達となりました。特に、経験の浅い作業者や協力会社の社員において多くの労災が発生しており、危険源の排除や教育活動を通して、労災低減に向けた取り組みを強化していきます。なお、引き続き死亡や重大災害は発生しておらず、労災の発生頻度も業種平均と比べると低水準を維持しています。
*安全衛生に関する詳細なデータは、「サステナビリティ・データ」および「Sustainability Data Book 2023」をご覧ください。

休業4日以上の労災件数
   2024年3月期目標:0件
   2023年3月期実績:12件(うち国内グループ3件、協力会社9件)

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   集計範囲:国内グループおよび協力会社(国内)

労災ポイント
   当社グループが独自に用いている発生した労災の重大性(休業日数と障害等級)に応じた指標
   2024年3月期目標:250ポイント以内
   2023年3月期実績:930ポイント(うち国内グループ290ポイント、協力会社640ポイント)​​

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   集計範囲:国内グループおよび協力会社(国内)
   ※「障害なし・不休災害」10Pから、「障害等級1~7・休業1カ月以上」600Pまで、
     障害重度と休業日数に応じてポイント付け。死亡は1,000P

労働災害度数率
   100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数

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          集計範囲:HD、SPE、GA、FT、PE、AS、IP

労働災害・事故の管理

「ISO 45001」に適合した労働安全衛生マネジメントシステムに基づいて事業活動を行っています。開発や製造、設備の導入などさまざまなケースで、リスクアセスメントや事前安全審査などを実施し、労災、事故の未然防止を図っています。また、重量物取り扱いなど、独自の教育や資格認定制度により、従業員の安全確保に努めています。
グループ社員および作業を委託する協力会社社員において労災・事故が発生した場合は、当社が独自に開発した労災・事故報告システム「Incident Report System」を用いて、初期報告から原因分析、その後の是正処置の完了まで一貫管理する運営としています。2023年3月期からは、海外現地法人にも当システムの運用を拡大し、労災・事故のグローバルな管理を行っています。
労災・事故の報告や是正処置は、不適合・是正処置規定等で定められた責任・権限に基づき、各社・ラインに設定されているEHS管理責任者を中心に実施され、EHS管理統括者に報告されます。再発防止活動などの是正処置は、発生部署にとどまらず、必要に応じてグループ内へ水平展開や注意喚起されます。

労働災害の低減に向けた取り組み

出荷量の拡大に伴い、作業量や従事する社員・協力会社が増加していることも影響し、労災件数および労災ポイントの高止まりが続いています。このような状況を踏まえ、労災件数の低減、目標の達成に向けて多面的に対策を講じ、対応を強化しています。

EHS管理統括者による安全巡視
2023年度3月期から、EHS管理統括者であるサステナブル経営担当役員と、事業会社のEHS管理責任者による巡視を実施しています。問題点の共有、危険源を事前排除することを目的とし、労災の発生が懸念される会社・事業所から順次展開していきます。

EHS関係役員による月次モニタリング
EHS管理統括者であるサステナブル経営担当役員、EHS副管理統括者である総務・人事戦略担当取締役を含む関係役員等により、経営層のコミットのもと、発生した労災・事故や事後対応、リスク低減に向けた施策等について報告・協議を行う会議を月次で開催しています。

労働安全衛生教育の強化
新入社員・中途入社者向けの安全衛生教育や、国内グループの全社員を対象に毎年実施しているEHS一般基礎教育のe-ラーニングの実施を通じて、社員の啓蒙・底上げに向けた取り組みを展開しています。
また、管理者や職長など、役割・階層に応じた各種教育の実施に加え、重量物の取り扱いなどの業務に関わる社員に対しては独自の教育・資格認定制度を導入し、従業員の安全確保に努めています。現場において実効性のある安全取り組みを一層推進・拡大するため、リスクアセッサーやEHSエキスパートの養成にも注力しています。

ヒヤリハットを通じた重大労災・事故の予防
重大な労災・事故を予防する観点から、ヒヤリハット事例についても積極的な報告を奨励し、対策を講じています。