Doc. No.: NR221101

国立大学法人長崎大学(以下、長崎大学)と株式会社SCREENホールディングス(以下、SCREEN)はこのほど、SCREENが開発した移植用臓器の生体外常温灌流保存システムの臨床導入を目指し、2022年10月より長崎大学に共同研究講座を開設しました。長崎大学との前臨床試験を通じて、より安全な臓器灌流システムを開発し、臨床治療への導入を目指します。

近年、深刻な移植用の臓器不足を解消するため、これまでの基準では移植活用できないドナー臓器に対して、生体を模した装置で灌流保存し、臓器機能の改善を図り、その評価を実施した上で移植するという方法で、提供臓器数を拡大する試みが欧米諸国を中心に広がり、国内でも装置開発への期待が高まっています。

このような動向を受けてSCREENでは、2015年から臓器の長期保存および機能蘇生を可能にする臓器灌流システムに関する研究を開始し、東京慈恵会医科大学 小林英司教授のご指導の下、国内での導入へ向けてシステム開発を進めてきました。

そしてこのたび、本システムの実用化に向けて、移植手術を数多く手がけ、国内でもトップクラスのアカデミアである長崎大学大学院医歯薬学総合研究科移植・消化器外科と共同研究講座「先端技術展開外科学講座」を開設しました。全国各地のドナーからの提供臓器が本土最西端の移植施設である長崎大学に搬送され、臓器の保存時間が長時間になり標準的ドナー条件を超えた場合においても、本システムが活用されることで、当該臓器の移植成績が良好に保たれることに期待しています。

本講座の開設をきっかけとして、さまざまな適応条件を想定することで、より安全な臓器灌流システムを構築し、肝移植用の医療機器として長崎大学での国内初導入を目指します。

長崎大学とSCREENは、今回の共同研究講座を通じて肝臓灌流システムの早期実用化を目指し、臓器移植を必要としているすべての患者さんが、安心して移植を受けられる未来の創生に努めます。今後もアカデミアと企業との産学連携を強化し、移植医療の発展に貢献していきます。

※ 臓器灌流:体内または臓器・組織・細胞に薬液などが入った液体を流し込むこと

 

■ 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 教授 江口 晋

機械灌流による提供臓器の状態改善や機能評価を行うことで、より多くの臓器移植の施行に繋がることが期待され、欧米よりドナー数の少ない日本における臓器移植の発展に貢献することが期待されます。同時に本システムの独自性・有効性が証明されることで、移植医療における臓器灌流システム技術全体のさらなる発展に資するものと考えています。

■ 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 共同研究講座先端技術展開外科学講座
  准教授 曽山 明彦

本システムの確立により、提供された臓器が安全に移植されることで、ドナーとなられた方、そしてそのご家族の意思が尊重され、結果として臓器移植を必要とする患者さんがより多く救われるようになることを期待しています。

■ 株式会社SCREENホールディングス 上席執行役員 吉岡 正喜

肝臓移植においてトップクラスのアカデミアである長崎大学との共同研究講座を通じて、肝臓灌流システムの有効性を確認し、移植医療発展への一助となれることを期待しています。

■ 東京慈恵会医科大学 産学連携講座 腎臓再生医学講座 特任教授 小林 英司

本産学連携により国内初の肝臓灌流システムの臨床応用への展開とともに、本技術が世界初の移植不可能な臓器の体外培養へと発展することを期待します。

本件についてのお問い合わせ先

長崎大学生命医科学域・研究所事務部 総務課
Tel: 095-819-7195  E-mail: gakujutu_kikaku@ml.nagasaki-u.ac.jp

株式会社SCREENホールディングス 広報・IR室 広報部
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