Doc. No.: NR211206

京都大学、株式会社SCREENホールディングス(以下、SCREEN)、株式会社AFIテクノロジー(以下、AFI)、京ダイアグノスティクス株式会社(以下、京ダイ社)はこのほど、京都大学の産官学連携制度「産学共同講座」を活用し、患者さまの細胞を用いて体外で高精度に治療効果を予測する、革新的ながん個別化医療の開発を目的とした共同研究を本格始動しました。

がんの治療においては、科学的なエビデンスに基づいた各種ガイドラインに沿って手術療法、放射線療法、薬物療法などが施されています。新薬の登場によって薬物療法の選択肢は年々増えていますが、がんの性質には患者さまそれぞれで違いがあり、薬の効果を治療開始前に予測することは難しいのが現状です。そのため、投薬後に顕著な効果が認められなければ別の薬剤に変えるといった対応を取らざるを得ず、患者さまの身体的・経済的負担が大きくなっています。こうした状況から、個々の病気の特徴に合ったより効果的な治療を的確に実施できる「個別化医療」の実現が求められています。

このような動向を受け、京都大学およびSCREEN、AFI、京ダイ社は、京都大学メディカルイノベーションセンター内に研究ラボを設け、患者さまの細胞を用いて体外で高精度に治療効果を予測する新たながん個別化医療開発を目的とした共同研究を開始しました。高度な医学研究の知見を持つ京都大学と、多様なイメージング技術を持つSCREEN、マイクロ流路と電極を用いた細胞ソーティング技術を持つAFI、患者さまから採取した細胞を体内に近い状態で培養(スフェロイド培養)する技術を持つ京ダイ社の技術やノウハウを融合して実証実験を行い、2年後をめどにがんの治療効果予測システムの完成を目指します。

京都大学、SCREEN、AFI、京ダイ社は、今回の共同研究を通じて、革新的ながん個別化医療の早期実用化を目指すとともに、さまざまながん治療への展開を推進し、社会課題の解決に貢献していきます。

※研究科の講座や組織、教育研究施設において行われる、産官学連携によるプロジェクト型共同研究のこと。運営に必要な経費については、民間機関からの共同研究費等の資金を充てる。


【がんの治療効果予測システム(イメージ)】

■ 京都大学大学院医学研究科消化管外科学 教授 小濵 和貴のコメント
当科では「すべては患者さんの笑顔のために」というモットーを掲げ、常に念頭に置いて患者本位であることを意識しながら診療・研究を行ってきました。当科と大腸がん新個別化治療プロジェクトで共同研究を行ってきた「大腸癌患者由来細胞を用いた3次元培養法」をSCREEN・AFI・京ダイ社の3社との産学共同研究でさらに発展させ、1人ひとりの患者さんにがんの治療効果予測を行うことで「患者さんの笑顔」につながる成果を目指します。

■ 株式会社SCREENホールディングス 上席執行役員 技術開発担当 吉岡 正喜のコメント
当社は、これまでに電子機器製造などにおいて培ってきた技術を応用し、新規事業領域であるライフサイエンス分野への事業展開を進めています。当社が得意とするイメージング技術は環境配慮の面からも効果が期待されるものであり、今回のような産学共同研究および事業展開を通じて、がん治療をはじめとした医療分野の発展への貢献を進めていきたいと考えています。

■ 株式会社AFIテクノロジー 代表取締役社長 円城寺 隆治のコメント
当社では革新的フィルタ技術AMATAR®を製品化したラベルフリー細胞分離分析システムELESTA® CROSSORTER®(エレスタ クロスソーター)を使って、がん細胞を無傷に取り出す研究を続けてまいりました。その成果により本共同研究の目的である「がん個別化医療」に貢献していきたいと考えています。
* AMATAR、ELESTA、CROSSORTERは株式会社AFIテクノロジーの登録商標です

■ 京ダイアグノスティクス株式会社 代表取締役 小西 一豪のコメント
今回の産学共同講座は、”がん個別化医療”という未だ社会実装未到達の次世代医療システムの実現化へ向けてチャレンジする今までにない革新的な取り組みです。弊社では、がんスフェロイド細胞を選択的かつ効率的に培養する技術がありますが、ベンチャー企業単独では、がん個別化医療の実現は困難であると感じています。がん個別化医療の早期実現に向けて、本講座を通じて様々な大学および研究機関、企業とさらなるコラボレーションも加速していきたいと思います。

本件についてのお問い合わせ先

株式会社SCREENホールディングス 広報・IR室 広報部
Tel: 075-414-7131  E-mail: nr-info@screen.co.jp

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