Doc. No.: HD241219
  1. 概要
    株式会社サイフューズ(以下、サイフューズ)と株式会社SCREENホールディングス(以下、SCREEN)は、再生・細胞医療分野(以下「本分野」)において製品・サービスの実用化を目指し、両社それぞれのテクノロジーを融合することで、方法論が限られていた細胞製品の品質管理を刷新する新技術のイノベーションを実現しました。
    本技術は、SCREENの高度な光学技術(OCT技術)※1を搭載した細胞断層撮像システム「Cell3iMager Estier」を用いることで、サイフューズが現在展開している「ヒト3Dミニ肝臓」※2のような立体的に培養した細胞や組織(3D細胞製品)を安定した品質で提供することを可能とする革新的な技術です。
     
  2. 新技術の内容・効果
    細胞製品の材料である「生きている細胞」は均一に加工することが難しく、3D細胞製品の製造工程においては、細胞組織を細胞1個の状態までばらばらにしての検査・評価や、抜き出し検査による評価など、煩雑な処置を必要としていました。
    これに対して、SCREENが独自で開発した計測・画像解析・AIの技術を、バイオ3Dプリンターや再生医療製品等の開発で実績のある、サイフューズの基盤技術で作製した複雑な立体構造を呈する3D細胞製品に用いることで、細胞組織の内部構造を、培養した状態のまま解析することが可能となりました。産業応用が眼科診断などの限定的な用途にとどまっていたOCT技術を用い、様々な細胞を材料とした製品において「特別な処置をすることなく、短時間で」の観察・計測・評価の可能性を拡大します。
     
  3. 今後の展開
    将来的には、現在サイフューズが開発を進めている次世代の3D細胞製品の製造工程に本技術を導入することにより、一般の工業製品と同様に安定した品質の製品製造を実現できることが期待されます。また、細胞の基礎研究や再生医療などの細胞治療分野で活用することで、様々な技術における社会実装の早期化に貢献します。
    両社では、このたびの連携の成果を踏まえて、サイフューズが本分野で進めているヒト臓器の機能を体外で再現する『機能性細胞デバイス(Functional Cellular Device:FCD)』の製品ラインアップの拡大と、SCREENが細胞イメージング分野において進めている、ディープラーニングを活用したラベルフリー自動解析・計測技術のさらなる発展を目指します。今後もサイフューズとSCREENは、新たな価値の創造へ向け企業間連携を強化し、本分野とともに新薬開発及び次世代ヘルスケアなどの成長市場へと製品・サービスを展開してまいります。

※1:光の干渉性を利用するOCT(optical coherence tomography)技術は、生体などの断層画像を得ることができます。近赤外線を照射して非接触・非侵襲で撮像できるため、被爆の心配もなく、特に眼科領域での断層撮影に活用されています。

※2:「ヒト3Dミニ肝臓」製品概要
本製品は、創薬における候補化合物の毒性をより早期に検出することで、製薬業界全体が直面する開発費の高騰という課題を解決し、将来的には動物実験代替法として利用できる可能性を有する点で、サステナビリティに関しても大きな社会的意義を有するなど、様々な業界から注目を集めております。
直近では「東京都ベンチャー技術大賞」において、奨励賞を受賞いたしました。詳細については、2024年11月22日付のCyfuse PR「当社製品「ヒト3Dミニ肝臓」の受賞に関するお知らせ」をご参照ください。


図 開発した新技術のイメージ

従来は細胞組織の内部状態の評価には、煩雑な試料処理が必要でしたが、OCT技術とAI/深層学習を用いた新しい評価技術によって、特別な処置なく、短時間での全数評価が実現しました。(上:従来法、下:新技術)

本件についてのお問い合わせ先

株式会社SCREENホールディングス ライフサイエンス事業室
screen_lifescience@screen.co.jp
Tel: 075-931-7824 

株式会社サイフューズ 経営管理部
ir@cyfusebm.com
Tel: 03-6435-1885 

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