Doc. No.: HD210208-1

京都府立医科大学(以下、府立医大という)と株式会社SCREENホールディングス(以下、SCREENという)はAI画像解析技術を活用した多重免疫染色法を確立し、プレシジョン・メディシンを加速するため、より幅広い疾患領域への展開を目指した取り組みを開始しましたのでお知らせいたします。

高度な医学研究および病理組織標本作製技術を持つ府立医大と、多様な画像解析技術を持つSCREENは、プレシジョン・メディシンとして近年注目されている免疫応答に関する研究分野において、耳鼻咽喉科・頭頸部外科学領域や呼吸器外科学領域のがん診療を中心に、多重免疫染色法を駆使した病態解析手法の確立と、その手法を用いた治療方法につなげる研究を進めてきました。今回新たに免疫病理学やがん予防医学を専門とする研究者を共同研究チームに加えることで、肝臓移植やがん予防・分子標的薬開発などに関する知見の獲得につなげ、がん診療をはじめ、移植や予防医学の領域への拡大を目指します。

共に京都で誕生し、長い歴史を持つ大学と企業の連携により、それぞれが基礎医学、臨床医学、産業技術の得意分野を生かし相乗効果を図ることで、単独では成しえなかった治療方法の開発が可能となります。「プレシジョン・メディシン×免疫応答」をキーワードに、多重免疫染色法の適応領域のさらなる拡大を推進し、社会に貢献していきます。

※プレシジョン・メディシン(Precision Medicine):メカニズムに応じて疾患を複数のタイプに分け、そのタイプごとに最適な治療を行うこと。より効果的な治療を選択することで治療効果を高めるとともに医療費の削減につながる。


【多重免疫染色法について】
本多重免疫染色法は、新たな設備を導入することなく従来の免疫組織化学の手法を用いて、1枚のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片を多数の分子マーカーで染色後、画像化し解析することで、さまざまな免疫担当細胞に関して位置情報を保ったまま定量的に評価することが可能です。各臨床科における課題に対し、多重免疫染色法に関する基礎技術、病理組織全般に関する経験と知識、SCREENのコア技術であるAI画像処理技術を有機的に活用することで、課題解決につなげています。

Cell3iMager duos2


京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態病理学 教授 伊東 恭子のコメント
分子病態病理学は、人や実験動物の組織、細胞を用いた形態学的検索、遺伝子・蛋白などの分子発現解析を駆使し、病気の起こるメカニズムの解明と治療方法の探索など、臨床医学に還元する研究を行ってきました。SCREENホールディングスとの共同研究により、AIなどの先進技術、バイオインフォマティックスを統合し、新規の医学研究領域を切り拓いています。

株式会社SCREENホールディングス 常務取締役 最高技術責任者(CTO) 灘原 壮一のコメント
当社は、これまでに電子機器製造などにおいて培ってきた技術を応用し、新規事業領域であるライフサイエンス分野への事業展開を進めています。本手法を用いたプレシジョン・メディシンに関する研究開発および事業展開を通じて、がん治療をはじめとした医療分野の発展、地域医療への貢献を進めていきたいと考えています。

<連携の内容>

  • 研究総括:京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態病理学 教授 伊東恭子
  • 多重免疫染色法基礎技術:京都府立医科大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 学内講師 辻川敬裕
  • 画像解析技術:株式会社SCREENホールディングス
  • 研究連携:京都府立医科大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 教授 平野滋
  • 研究連携:京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器外科学 教授 井上匡美
  • 新規連携:京都府立医科大学大学院医学研究科 人体病理学 病院教授 小西英一(専門 診断病理)
  • 新規連携:京都府立医科大学大学院医学研究科 分子標的予防医学 教授 武藤倫弘(専門 がん予防)

【京都府立医科大学】
京都府立医科大学は、明治5年(1872年)に粟田口の青蓮院境内に設立された療病院をルーツとし、令和4年(2022年)に創立150周年を迎えます。医学および看護学に関する知識、技能の教育とともに、研究および診療という基本を踏まえつつ、「世界トップレベルの医学を地域へ」という理念のもと、高度な教育、研究成果および医療を社会に還元しています。
https://www.kpu-m.ac.jp/

【株式会社SCREENホールディングス】
SCREENは、明治元年(1868年)に京都で創業した石版印刷業の石田旭山印刷所をルーツとし、エレクトロニクス業界、印刷業界などで数々の世界トップシェア製品を有しています。また、長年にわたり培ってきた コア技術を基軸に、新規事業の創出にも取り組んでいます。ライフサイエンス事業では、高速3D細胞スキャナーや細胞形態解析イメージングシステムを開発し、検査試薬なしで細胞の増殖や形態の変化を高速に計測・分析できる機器などを提供しています。
https://www.screen.co.jp/

本件についてのお問い合わせ先

京都府立医科大学 広報センター(事務局:企画・研究支援課)土屋
Tel: 075-251-5804   kouhou@koto.kpu-m.ac.jp

株式会社SCREENホールディングス 秘書室 グループ広報チーム 岩本
Tel: 075-414-7131  nr-info@screen.co.jp

掲載されている情報は発表時のものです。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。