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2011年05月20日 | InDesign CS5.5サポート情報

<2011年10月22日追記>
InDesign CS5.5 7.5.2 (Mac版)(Win版)において、この問題は根本修正されました。
2011年10月21日 | InDesign CS5.5サポート情報(5) - 不具合修正されました!」を参照してください。
サポートに関する詳細は
2011年06月23日|InDesign CS5.5サポート情報(4) - 出力サポート開始」を参照してください。

<2011年6月23日追記>
この問題の回避策が公開されたので、InDesign CS5.5からの出力のサポートをはじめました。
詳細は記事「
2011年06月23日|InDesign CS5.5サポート情報(4) - 出力サポート開始」を参照してください。

InDesign_CS55_boxshot_3in.pngInDesign CS5.5に重要な不具合が発見されたため、問題の解決/回避が明確になるまで、InDesign CS5.5からTrueflowへの出力サポートの開始を延期致します。
続報ありましたら追ってこのサイトでご案内致します。

本日、2011年5月20日(金)、Adobe Creative Suite 5.5が発売されました。Adobe CS5.5に含まれるIllustrator CS5には出力に関係する変更はありませんが、InDesign CS5.5には、出力に関係する変更がありますので、そのサポートについてお伝えします。

■お知らせ
以下の「■重要な留意事項」の問題ついて、印刷事故の原因になる可能性が高いと考えられることから、この問題の根本的な修正か、あるいは技術的裏付けに基づく有効な回避策が明確になるまで、Trueflowでのサポート開始を延期致します。
当社はAdobeと協力して問題解決向けた対策を進めており、再現条件や回避策の一層の精度向上を図ると共に、根本修正についても要請しており協調して検証を進めていきます。
この件に関して、Adobeからも
TechNoteが公開されています。
しかし、今のところ技術的に完全にはクリアになっておらず、以下の情報は確認中の暫定的なもので、今後変更される可能性があります。


[Adobe] TechNote: 裁ち落とし線に接するテキストフレームが書き出したPDFでページ内に移動する(InDesign CS5.5)

以前の記事で説明した、PDF/X-4書き出し設定の変更については、以下のAdobe TechNoteもご参照下さい。

[Adobe] TechNote: PDF/X-4:2010について(InDesign CS5.5)

■重要な留意事項 InDesign CS5.5 7.5.2 (Mac版)(Win版)において、この問題は根本修正されています)
InDesign CS5.5において、InDesign上のマスターページ上では仕上がりサイズ、塗り足しサイズの外に書かれた文字が、PDF書き出しすると仕上がりサイズの中に現れるという問題が見つかりました。
これは、PDFをAcrobatで表示した時点で確認されるので、Trueflowの問題ではありませんが、この様な場所に(読まれたくない?)メモを書かれることがあり、それが仕上がりの中に現れるので印刷事故の原因になります。
想定される再現条件>
・当社でのテストではInDesign CS5でこの問題は発生していません。
・PDF/X-4だけでなく、PDF/X-1aへのなどでも再現します。
・塗り足しがある場合に再現し、トンボの有無には無関係の様です。
・条件を満たした場合の再現性は100%ではありませんが、稀といえるほど少なくない模様です。
 内部的に再現していても、移動が遠すぎて見えないだけかも…
problem_id_ac.png<今回再現できているデータについて>
トラブルの再現には不要な設定も含まれていると思われますが、再現テストの手順として参考にして下さい。

・4ページの見開きドキュメント(左綴じ)を作成します。
・マスターページの左右両方にテキストボックスを配置します。
・テキストボックスを作成し、テキストフレーム設定のフレーム内マージンの「下」に3mmを設定します。他は0mmです。
・テキストボックスにテキストを記入します。インデント15mmで、左側は左揃えの左インデントで、右側は右揃えの右インデントです。
・さらに [テキストの編集]の[配置]を左ページは「下/左」に設定
・このテキストボックスを赤線で表示されている塗り足しエリアの上部の端に吸着して配置。
・PDF書き出しプリセットは標準でインストールされている[PDF/X-4:2008(日本)]あるいは、当社のプリセットでも構いません。
・ [トンボと裁ち落とし]タブの[裁ち落としと印刷可能領域]の[裁ち落とし]の全てを3mmに設定して下さい。当社のプリセットではデフォルトで3mmに設定されています。
・出力されたPDFの全ページを検査してください。


以前の記事で「多くの運用実績のあるPDF/X-4:2008がCS5.5で使えなくなるのは残念です。」と書きました。多くの運用実績を重視し、PDF/X-4:2008の書き出しをそのままの状態で残しておけば、これは大きな問題ではなかったはずです。
電子書籍も重要かも知れませんが、この様な基本的な変更を印刷向けに加えるのであれば、その部分のQAはもっと慎重にすべきです。

■PDF/X-4の書き出しオプションの変更について
InDesign CS5.5ではPDF/X-4の書き出しの「標準」のPDF/X-4の設定を、PDF/X-4:2008(PDF1.4ベース)からPDF/X-4:2010(PDF1.6ベース)に変更しています。この変更により、従来のPDF書き出しプリセットファイル「Trueflow PDFX4 1.3J.joboptions」はAdobeによれば、勝手に解釈を変えるので、使おうと思えば使えるらしいけど、どう変わるかユーザーは気づかないので、厳密には対応できなくなります。
今回より、新たにCS5.5に対応した「Trueflow PDFX4 1.4J.joboptions」を作成しています。こちらはCS5以前では対応できません。このjoboptionsが含まれた、新しいTrueflow印刷ユーティリティ2.6は、上記の問題がクリアになりサポート開始するときに公開致します。
table.png
つまり「Adobe Creative Suite 5.5」パッケージに含まれるInDesign CS5.5とIllustrator CS5では、PDF/X-4を作成するための設定ファイルを使い分ける必要があります。
ISO 15930-7であるPDF/X-4は、規格の最初からPDF1.6以下がベースバージョンで、透明だけでなく、レイヤーを活かせる事ができるの事も当初からの特徴とされていました。

■AcrobatによるPDF/X-4のプリフライトについて
InDesign CS5.5で出力したPDF/X-4は、Acrobat 9のプリフライト「PDF/X-4への準拠を確認」でエラーになります。
Acrobat X(10)とAcrobat 8では同じプリフライトでもOKとなります。
また、TrueflowのPolishedInputでのプリフライトでもNGで、レイヤーの記述に何らかの違いがある様ですが、処理を行う上での問題は見つかっていません。

[第14版] [InDesign] [お知らせ] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2011年05月18日 | QuarkXPress 9サポート情報

QXP9_BoxShot.png以前の記事でお知らせしていたQuarkXPress 9のTrueflowでのサポートを開始致しました。
QuarkXPress 9に関しては、出力に関係する変更はなく、Trueflow出力の手引き 第14版に記載されているQuarkXPress 8と同じ手順、同じ出力スタイルファイルで運用できます。

出力に関する留意事項についてはQuarkXPress 8よりも若干改善されています。

<QuarkXPress 9で改善した留意事項>
・以下の記事に記載したQuarkXPress 8.1での修正項目についてはQuarkXPress 9でも問題ありません。
 「QuarkXPress 8.1リリース(2) - 透明サポート
 「QuarkXPress 8.1リリース(3) - その他の改良点と留意事項
・DuoToneが特色で出力されない問題は修正されています。
・Illustratorネイティブ貼り込みで、透明の描画モード「彩度」「輝度」などの互換性が向上しています。

<QuarkXPress 9でも留意が必要な事項>
・文字組みがQuarkXPress 8(以前のバージョン)と異なる場合があります。
・透明分割の影響により継ぎ目に段差や白スジが発生する場合があります。
貼り込まれたIllustratorネイティブの透明は分割統合されてから出力されます。
・オーバープリントプレビューはサポートされていません。
 PDFに書き出してからAcrobatでチェックして下さい。
・PDF/X-4はサポートされていません。
 PDF/X-1a出力を推奨します。

[第14版] [QuarkXPress] [お知らせ] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2011年04月21日 | InDesign CS5.5とQuarkXPress 9の事前情報

<2011年10月22日追記>
InDesign CS5.5 7.5.2 (Mac版)(Win版)において、この問題は根本修正されました。
2011年10月21日 | InDesign CS5.5サポート情報(5) - 不具合修正されました!」を参照してください。
サポートに関する詳細は
2011年06月23日|InDesign CS5.5サポート情報(4) - 出力サポート開始」を参照してください。

<2011年6月23日追記>
この問題の回避策が公開されたので、InDesign CS5.5からの出力のサポートをはじめました。
詳細は記事「
2011年06月23日|InDesign CS5.5サポート情報(4) - 出力サポート開始」を参照してください。

QuarkXPress 9についても詳細は記事「2011年05月18日|QuarkXPress 9サポート情報」を参照してください。

これらのDTPアプリケーションは現在検証中でありサポートしていません。
サポート開始時期に関しては、追ってこのサイトでご案内致します。

InDesignとQuarkXPressの最新バージョンが以下の予定で発売されます。
Adobe Creative Suite 5.5:2011年5月20日(金) プレスリリース(PDF/160KByte)
QuarkXPress 9:2011年4月26日(火) プレスリリース(HTML)
それぞれの新機能や特徴などは、開発元の情報をご参照下さい。
ここでは、出力に関係する情報と、当社の対応の予定をお伝えします。
Adobe CS5.5に含まれるIllustrator CS5には出力に関係する変更はありませんが、InDesign CS5.5には、以下の様な出力に関係する変更があります。

InDesign_CS55_boxshot_3in.pngAdobe InDesign CS5.5
InDesign CS5.5ではPDF/X-4の書き出しの「標準」のPDF/X-4の設定を、PDF/X-4:2008(PDF1.4ベース)からPDF/X-4:2010(PDF1.6ベース)に変更しています。この変更により、従来のPDF書き出しプリセットファイル「Trueflow PDFX4 1.3J.joboptions」は対応できなく(*1)なります。現在、CS5.5に対応した「Trueflow PDFX4 1.4J.joboptions」を作成、検証中ですが、こちらはCS5以前では対応できません。(*1)
ISO 15930-7であるPDF/X-4は、規格の最初からPDF1.6以下がベースバージョンで、透明だけでなく、レイヤーを活かせる事ができるの事も当初からの特徴とされていました。しかし、多くの運用実績のあるPDF/X-4:2008がCS5.5で使えなくなるのは残念です。
table.png
つまり「Adobe Creative Suite 5.5」パッケージに含まれるInDesign CS5.5とIllustrator CS5では、PDF/X-4を作成するための設定ファイルを使い分ける必要があります。


warning.png(*1)読み込みや書き出しは出来るのですが、プリセットのダイアログに左図の様な警告が表示されます。左図はInDesign CS5にCS5.5用のプリセットを読み込んだ場合の警告。
「透明度に関して PDF/X (2003) 標準に準拠するために Acrobat 4 (PDF 1.3) にリセットされました。」…実際にはAcrobat 5 (PDF 1.4) にリセットされてるし、PDF/X(2003)って意味分からない上に、実際にはPDF/X-4:2008に設定されてるし…



QXP9_BoxShot.pngQuarkXPress 9
QuarkXPress 9に関しては、出力に関係する変更はない見込みです。
出力スタイルファイルなども現在配布しているQuarkXPress 8向けのものがそのまま使用できる様で、現在検証中です。
また、出力に関する留意事項もQuarkXPress 8と同じで、特に以下の事項に留意してください。

貼り込まれたIllustratorネイティブの透明は分割統合されてから出力されます。
・オーバープリントプレビューはサポートされていません。
 PDFに書き出してからAcrobatでチェックして下さい。
・PDF/X-4はサポートされていません。
 PDF/X-1a出力を推奨します。

実際にこんな箱で売るんだろうか?見てみたい。

[第14版] [InDesign] [QuarkXPress] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2011年04月19日 | Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(6) - 番外編:DeviceGray

前の記事
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(5) - 理論通りにならない事例
の補足です。
この記事は全て従来処理系の内部の処理について言及していますが、出力結果は最新処理系と同じになります。
以下の事例2)について、さらに理解を深めるために2つの事例を紹介します。

前の記事2)を引用します。
Gray_conv.png2) 従来処理系なのにDeviceGrayのオーバープリントがヌキに
Trueflowの従来処理系では、透明をそのまま演算できないので、入力処理の内部で透明の分割統合処理が行われます。この透明の分割統合処理を行う部分は(Trueflowのオーバープリントモードの設定に関わらず)PDFの規格に基づいてオーバープリントを再解釈します。
ここで、DeviceGrayのオーバープリントオブジェクトは、(PDFの規格に準じるとノセなくていいので)オーバープリントがOffのDeviceCMYK部品に変換され、結果ヌキになります。

Gray_spot_conv.png2-1) DeviceGrayのオーバープリントがノセにならないといけないケース(Trueflowの従来処理系)
上記では(PDFの規格に準じるとノセなくていいので)と説明しましたが、PDFの規格に準じるとDeviceGrayのオーバープリントがノセにならないといけないケースでは、どの様になるのでしょうか?

今までの全ての事例は下部のオブジェクトもプロセスカラーであることが条件です。もし、この例でも下部が特色でDeviceNやSeparationの場合、最新・従来に関わらずノセになる必要があります。
実際の出力結果も、右図の用に確かに元々DeviceGrayだった部分が(透明と同居しているにも関わらず)期待通りノセになります。
これはRIP内部の処理において、オーバープリントに対して、あたかも透明のような分割統合処理が行われています。基本的にDeviceGrayは(PDFの規格に準じるとノセなくていいので)オーバープリントがOffのDeviceCMYKに変換しますが、下部が特色の部分だけはノセる必要があるので、その部分を分割しDeviceCMYKのオーバープリントがOnに変換します。この単純な例では、DeviceGrayを分割せずにDeviceCMYKのノセに設定すれば良さそうですが、他のオブジェクトが絡んでくる事を考えると分割されるのが正解です


Gray_auto_op.png2-2) DeviceGrayの墨ベタで自動オーバープリントが効かないケース(Trueflowの従来処理系)
右図は、分かりやすくするために墨ベタを少し薄くしています

前の記事の最後に「DeviceGrayの墨ベタにも自動オーバープリントは効く」と書きました。確かに2)の例(下部が単純なDeviceCMYKの図形)で、もしDeviceGrayが墨ベタの場合は、分割は行われず、単にオーバープリントがOffに変換されるだけなので、その後の自動オーバープリントは効きます。
しかし、自動墨ノセは万全ではありません


Gray_sh_image.pngDeviceGrayで記述された墨ベタが、透明と同じページにあった場合、入力処理の分割統合処理において、DeviceCMYKの部品に対しては(PDFの規格に準じるとノセなくていいので)オーバープリントがOffのDeviceCMYK部品に変換されるまでは、上記2)と同じです。
しかし、下部のオブジェクトがグラデーションや画像の場合、分割統合の影響で重なっている部分が画像化されてしまいます。
この分割統合処理で生成された画像は、ノセなくていい前提で分割統合されているので、せっかく分割されたのに、グラデーションとは合成されておらず、単なる墨ベタの画像(トホホ…)になっています。
こうなってしまうと、テキストでも図形でも無いので、自動オーバープリントは効きません。
その上、下部のオブジェクトも欠けているのでどうしようもありません。
<まとめ>
・全ての例は、同じページ上に分割されていない透明オブジェクトがある場合に限ります。(つまりPDFのみ)
・Adobe CS3以降など推奨アプリケーションを使えば、この様なことを考える必要はありません。

[第14版] [オーバープリント] [Acrobat] [Illustrator] [InDesign] [QuarkXPress] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2011年04月15日 | Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(5) - 理論通りにならない事例

以前の4つの記事
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事
では、基本的な事例を紹介しました。もう1年以上前ですね…
ここでは、その基本で説明した原理から外れる処理結果について、なぜ結果が異なる場合があるのか、技術的に説明します。

■結論「推奨アプリケーションではこの差違は発生しません」
・AdobeCS以降、QuarkXPress 6以降
 オーバープリント処理の違いを意識する必要はほとんどありません
 Acrobatのオーバープリントプレビュー通りの出力が得られます
・それよりも古いアプリケーション
 オーバープリント処理の違いから出力を予測することが必要です

<まとめ>
recommend.png不具合の要因(リンクで貼るとスジが出るなど)も考慮すると、特にAdobe CS 3以降、QuarkXPress 8以降を推奨します。詳細は、Trueflow出力の手引き 第14版P4「サポート DTP アプリケーション」を参照して下さい。
<注意>この記事は、特にIllustrator 10以前InDesign 2.0.2以前推奨設定を使用しないQuarkXPress使用される場合にのみ必要な情報です。

sample.png■従来処理系と最新処理系の差違の基本
以下のオブジェクトにオーバープリント指定された場合で、かつ下部のオブジェクトもプロセスカラーの場合、オーバープリント属性が設定されていても、PDFの規格上ノセにならない事になっています。
・グラデーション(DeviceCMYKで指定された)
・パターン(DeviceCMYKで指定された)
・画像(DeviceCMYKで指定された)
・DeviceGrayのオブジェクト
Acrobatでの表示も規格通り、これらのオブジェクトはノセになりません。Trueflowでの出力結果は、基本的には以下の様になります。
・従来演算系:これらのオブジェクトのオーバープリントを処理
・最新演算系:PDFの規格通り、これらのオブジェクトはヌキに
これらの処理の違いから、同じデータをTrueflowの従来演算系と最新演算系の両方で処理した場合、出力結果の差違が表れます。上記、推奨アプリケーションでは、この差違は発生しませんし、デザインとしてもレアケースであること、DeviceGrayによる墨ベタにも自動オーバープリントは効くことを忘れないで下さい。

■基本通りにならない事例
以下の3つの事例は、本来の動作とは逆の結果になっていますが、それぞれ条件と技術的なロジック(理由)があります。

<事例>
1) 最新処理系なのに透明があるとDeviceGrayのオーバープリントがノセに
2) 従来処理系なのに透明があるとDeviceGrayのオーバープリントがヌキに
3) 従来処理系なのに透明があるとDeviceCMYKのグラデーションのオーバープリントがヌキに

<発生条件>
・同じスプレッド内(ページ内)に透明オブジェクトが含まれている。
・透明オブジェクトと該当オーバープリントとの位置関係は問わない。
・同じスプレッド内(ページ内)に透明オブジェクトが無ければ基本通りの処理になる。
→つまり、同じ処理範囲内に透明オブジェクトがあると、位置的には全く関係のない場所のオーバープリントも含めて動作が基本通りになりません。同じ処理範囲内に透明があると、処理が変わる、ということになります。

<発生ロジック>
1) 最新処理系なのにDeviceGrayのオーバープリントがノセに
Gray_adv.png同じページに一つでも透明オブジェクトがあった場合、透明の処理による色の整合性を保つ(透明が関わるDeviceGrayと、透明が関わらないDeviceGrayの色の結果を合わせる)ため、全てのDeviceGrayオブジェクトはSeparation Blackに置き換える処理を行います。
この処理は、同じページ上であれば、透明との配置関係の有無に関わらず、印刷用の色空間であることを明確に示すSeparation Blackへの置き換えを、Trueflowの入力処理の内部で行います。
DeviceGrayは、DeviceRGBと同じく光の強さを示しており、DTPアプリケーション上グレースケール100%は「黒」ですが、PDFの記述上は0が「黒」、255が「白」になります。
その結果、ノセになります。
従って、同じページに透明オブジェクトが全く存在しない場合は、ヌキになります。


Gray_conv.png2) 従来処理系なのにDeviceGrayのオーバープリントがヌキに
3) 従来処理系なのにDeviceCMYKのグラデーションのオーバープリントがヌキに
この2)3)は同じ原理で説明できます。
Trueflowの従来処理系では、透明をそのまま演算できないので、入力処理の内部で透明の分割統合処理が行われます。この透明の分割統合処理を行う部分は(Trueflowのオーバープリントモードの設定に関わらず)PDFの規格に基づいてオーバープリントを再解釈します。
ここで、DeviceGrayのオーバープリントオブジェクトは、(PDFの規格に準じるとノセなくていいので)オーバープリントがOffのDeviceCMYK部品に変換され、結果ヌキになります。


Sh_conv.pngDeviceCMYKのグラデーションも同じく(PDFの規格に準じるとノセなくていいので)オーバープリント設定はOffに変換されます。

逆に、同じページに透明オブジェクトが全く存在しない、などPDF1.3準拠のデータの場合、透明の分割統合処理も行われず、DeviceGrayやDeviceCMYKのグラデーションのオーバープリントオブジェクトは基本通りノセになります。

<最後に>くどい様ですが…
「結果は一致しない」事にのみ注目するのではなく、以下の項目を念頭に、「ほとんどの場合結果OK」と冷静に判断し、技術情報として正しく理解しておくことが重要です。

全てAdobe CS3以降など推奨アプリケーションではこの差違は発生しない
1)は、規格通りではないがオーバープリントがノセになる方向の違い
 DeviceGrayになっている事に気付いていない事の方が多いので、ノセになるのが期待通りでは?
2)は、DeviceGrayの墨ベタにも自動オーバープリントは効く
3)は、ほとんどオペレーションミス(意図的にしたい場合は乗算の透明を使いましょう)


「最適な出力」とは、重箱のすみのギリギリの部分で、やむなく規格通りではない処理を行う事も含めて実現されます。今後も「最適な出力」を目指していきます。

[第14版] [オーバープリント] [Acrobat] [Illustrator] [InDesign] [QuarkXPress] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2011年01月31日 | 太らせた文字がかすれた様に出力される問題

■出力結果の例(拡大図)
riped_image.png

ai_stroke.png■概要
文字の線幅を指定することで、文字を太らせるデザインを行った場合、RIPの演算結果、文字がかすれた様に出力される場合があります。この問題は低い解像度で、解像度に適さない線幅を指定した場合に発生する問題です。

■発生条件
・出力解像度が低い(この例では360dpi)
・文字の線幅を指定して、文字を太らせる
・この線幅が細い場合(この例では0.2pt)
 →解像度が低く、線幅が細い結果、デバイス解像度で1ピクセルの線になる場合。

■回避策
・文字の線幅を指定する事で文字を太らせるのではなく、太い書体を用いる。
・文字に設定された線を太くする。(文字が潰れる弊害があります)
デザイン品質上の問題としても、文字の線幅を太らせる手法は、書体のバランスが失われ、文字が潰れるので、お勧めできません。


moji.png■発生原理
・文字はHINT情報により、図形の塗りつぶし (fill) の幅を一致させるために、調整されます。
・文字のアウトラインは、線幅補正機能(SA : stroke adjustment)により、線幅 (stroke) を一致させるために、調整されます。
・fillとstrokeが別々に調整(微細な移動)されることで、解像度が低い場合にstrokeとfillの間に隙間が現れます。



sa.png
■HINT処理、線幅補正について(右図は概念で、実際の演算はもっと複雑です)
HINT処理や線幅補正処理は、文字や罫線の配置位置による統一性を保つために、理論的な配置位置を最大で0.5デバイスピクセル分移動します。
この移動により、実際の物理的な配置位置は1デバイスピクセル分の差違が出る場合があります。(実際には0.5ピクセルだけ塗ることはできないので、RIP演算時に丸められるから)

今回の線幅として指定された0.2ptは、360dpiではちょうど1ドットつまり1デバイスピクセル分しかありません。2400dpiだと0.2ptも7ドットで描画されます。
HINT処理や線幅保障処理によって、1デバイスピクセル移動した場合、2400dpiなら大きな影響はありませんが、1ドットしか描画されない360dpiでは大きな影響が出ることになります。

本来、HINT処理や線幅保障処理は、特に低い解像度で出力する場合に効果がありますが、360dpiでの出力において0.2ptの線幅を文字の周りにつける処理は、補正の限界を超えていると言えます。

[第14版] [Illustrator] [InDesign] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2010年12月20日 | PAGE 2011展デジタルワークフロー・ソリューションZONEに出演します

logo.pngPage 2011展のセミナーに参加します。
他のデジタルワークフロー・ソリューションZONEのセミナーは、有意義なものばかりです。
スケジュールを参照の上、受講されてはいかがでしょうか。できるなら全部受講したいです。
下記は現時点での予定ですので、最新情報はリンク先のWebサイトをご参照下さい。

Page 2011デジタルワークフロー・ソリューションZONEセミナー
主催:JAGAT
協力:アドビ システムズ 株式会社
日時:2011年2月2日(水)~4日(金) スケジュール
場所:サンシャインシティコンベンションセンターTOKYO 現地までの地図
   展示ホールD(文化会館2F) フロア案内
   デジタルワークフロー・ソリューションZONE 展示ホールD地図 (PDF/152KB)
タイトル:制作者の為の出力できるPDF(2月4日15:20~16:15)

Page 2011はWebで事前登録することで入場料1000円が無料になります。
内容は基本的にDTP Booster 009の「決定版!PDF出力の手引き - データ制作からのアプローチ -」の短縮版です。
復讐 復習目的の受講も歓迎します

セミナー受講していただいた方に、印刷製本した「Trueflow出力の手引き 第14版 抜粋版」をお配り致します。
万一、立ち見の方が出るような場合、部数の関係で全員にお配りできないかも知れません。
お席に空きのある内に早めにお越し下さい。(それくらい集まって頂けるといいのですが…)

[お知らせ] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2010年12月16日 | Acrobat Xの印刷関連はどこに行った?

UIが大きく変わったAcrobat Xですが、印刷に関係する機能も従来と同じ所にはありません。
しかし、印刷関係の機能がなくなった訳ではありません。(Acrobat 9で発生していたこの問題は、Acrobat Xで修正されています)
UIの変更に伴って、ほとんどの機能がMacのメニューバーから、ウインドウの上部にあるツールバーに移動しています。
標準のツールバーの右下の「ツール」をクリックするとこんな表示になります。ツールバーの中の「ツール」…
acrobatx_tool.png
tool_select.png
デフォルトでは、ここにも「印刷工程」は表示されていません。
右図のプルダウンメニューから「印刷工程」にチェックを入れるとようやく「印刷工程」が表示されます。


しかし、これでは肝心のドキュメントの表示エリアが狭すぎます。
この例では、しおりを入れると、表示エリアはウインドウの半分以下です。
そこで、以下の手順では、右側の「ツール」領域を使わずに、上部のツールバーをカスタマイズすることで「印刷工程」を選択できるようにします。
■選択した領域にズームzoom.png
・まず、選択領域でズームするツールがありませんので、これを追加します。
・プルダウンメニューの「表示」→「表示切り替え」→「ツールバー項目」→「選択とズーム」→「マーキーズーム」を選択
・この要領で他の必要なツールを追加しますが、この方法では印刷関連の機能は追加できません。

■印刷関連機能の追加
・プルダウンメニューの「表示」→「表示切り替え」→「ツールバー項目」→「クイックツール」を選択します。
・「クイックツールをカスタマイズ」というウインドウが表示されますので、必要な機能を右側に移動します。
・ここで、「ツール」→「印刷工程」を開きます。やっと出てきた、印刷工程
・例として「出力プレビュー」「プリフライト」「インキ」「分割・統合プレビュー」を追加した状態です。
・適宜区切り線も挿入します。
quicktool.png
・「OK」をクリックすると、ツールバーに選択された項目のアイコンが現れます。
慣れないアイコンさえ覚えれば、その先は見覚えのある代わり映えのないツールが現れます。

ちなみにTouchUp関係では「クイックツールをカスタマイズ」の中の「ツール」→「コンテンツ」の中で
「TouchUpオブジェクトツール」→「オブジェクトを編集」
「TouchUpテキストツール」→「文章テキストを編集」
に改名されています。編集しちゃダメだけど

■ページナビゲーションの追加
Trueflow出力の手引きのPDF版などを表示する場合はページナビゲーションを用いると便利です。
例えば目次からあるページに移動した後に、また目次に戻る様な場合「前の画面」という指定が使えます。
「表示」→「表示切り替え」→「ツールバー項目」→「ページナビゲーション」→「前の画面」と「次の画面」を選択

以上のツールを選択するとツールバーは以下の様になります。

acrobatx_after.png


印刷工程を隠したがってる、と思われても仕方ないよね…

[第14版] [Acrobat] [FAQ] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2010年08月25日 | Illustratorの「以前の形式」は推奨できません

IllustratorSaveAs.pngIllustratorネイティブ形式や、Illustrator EPS形式で保存する場合に「以前の形式」で保存することができますが、この形式での運用は推奨できません。

「以前の形式」での保存というのは、以前のバージョンのIllustratorで開くことができるかも知れない形式であるに過ぎず、文字組みや新しいバージョンの機能に関わる効果が変化します。

また、それだけでなく、この「以前の形式」での保存に関わる修正が施される場合があり、過去のバージョンのIllustratorと完全に同じ出力が得られるとは限りません。

その修正の結果、より良い結果になる場合もそうじゃない場合もあるかも知れませんが、知らないうちに出力結果が変わる可能性のある運用は、印刷のワークフローとして好ましくありません。
これに起因する事故も現実に発生しています。

Trueflow出力の手引き 第14版 P6の「Illustratorデータ対応表」に基づいて、「以前の形式」は使用せず、常にそのバージョンが最新形式になる様な運用を行ってください。

[第14版] [Illustrator] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2010年07月27日 | 7つの問題の対策、完了しました

出力の手引きWebでは、以前より重要な不具合情報に関して、その原因がRIP側にあっても、DTPアプリケーション側にあっても、いち早くお知らせすると共に「発生条件」と「回避策」の情報公開を行ってきました。もちろん、今後も続けます、が…
しかし、「発生条件」と「回避策」による対策はあくまでも根本解決までの一時的な対策に過ぎません。
この記事では、今までに公開してきたPDF運用における7つの問題の全てについてTrueflow側での根本解決ができましたので、今までの経緯と情報ページへのリンクと共にお知らせ致します。
重要なことは「発生条件」と「回避策」だけでなく、問題解決までの経過についてトラッキング(経過を追跡すること)を正確に行い、どのパッチでどの問題が修正されるのかを正しく把握しておくよう心がけてきました。この、当たり前とも思えることが、案外タイヘンなんです。

・目次ページを更新しています。
・修正バージョンの記載よりも新しいバージョンは対応済みです。

1) 透明の変換用カラースペース
2008年10月31日|AdobeCS系のカラー設定と透明効果このエントリーを含むはてなブックマーク
2009年01月29日|AdobeCS系のカラー設定と透明効果(つづき)このエントリーを含むはてなブックマーク
ColorError.png【概要】
この問題は上記記事にある様に、本来データ作成上の問題ですが、Trueflow側でも問題を検知し、自動的に修正する対応を行いました。
【対応状況】
1.png

2) InDesignCS2〜CS4での合成フォントの問題
2009年04月23日|InDesignCS2〜CS4での合成フォントの問題このエントリーを含むはてなブックマーク
2009年05月22日|InDesignCS2〜CS4での合成フォントの問題(Adobe情報)このエントリーを含むはてなブックマーク
acrobat9-2.png【概要】
この問題はPDFの規格通りに処理しても、DTPアプリケーションでの表示と異なるケースで、InDesignCS4 6.0.4以降でも修正されていますが、以前の記事にも説明した通り、Trueflowではそれ以前のInDesignで書き出したデータも期待通り出力できる様になります。
【対応状況】
2.png

3) InDesign「効果」の問題
2008年12月12日|InDesignCS3/4の「効果」で出力が不正になるこのエントリーを含むはてなブックマーク
2009年02月02日|InDesignCS3/4の「効果」の問題(Adobe情報)このエントリーを含むはてなブックマーク
InD_effect_2.png【概要】
PDF処理系統に問題があり、AcrobatのTouchUpオブジェクトツールで対象となるオブジェクトを僅かに移動する等の、何らかの「PDFに関わる操作」が行われると問題が表面化します。Trueflowでも、自動製版やカラー変換など、設定によってはPDFを操作する場合があり、同様の問題が発生していました。
【対応状況】
3.png

4) RIPのメモリ管理の問題
2009年04月28日|RIPのメモリ消費量を少なくする編集このエントリーを含むはてなブックマーク
2009年05月13日|RIPのメモリ消費量を少なくする編集(2) - パッチ公開このエントリーを含むはてなブックマーク
Preview2.png【概要】
RIPにとって、メモリ管理を効率的に行う事は、複雑なデータに対応したり、パフォーマンス向上のために重要です。過去、2回の改善を行ってきました。Ver7.00以降は既に対策済みです。
【対応状況】
4.png


5) 縦書き文字で文字化が欠ける問題
2009年07月09日|縦書き文字に透明効果で文字が欠ける問題このエントリーを含むはてなブックマーク
2009年07月15日|縦書き文字に透明効果で文字が欠ける問題(2) - Adobe情報このエントリーを含むはてなブックマーク
2009年07月31日|縦書き文字に透明効果で文字が欠ける問題 (3) - 注意事項このエントリーを含むはてなブックマーク
2010年05月28日|縦書き文字に透明効果で文字が欠ける問題 (4) - CS5で修正このエントリーを含むはてなブックマーク
outline.png【概要】
この問題は、縦書き文字に透明とオーバープリントが同時に設定され、PDF/X-1a形式などアプリケーション側で分割統合が行われた際に、PDFの処理系によっては文字が欠けた様に出力される問題ですが、TrueflowではAdobe PDF Print Engine 2で発生していたこのAdobe PDF Print Engine (1)では正常だった、いわゆる「デグレード」問題をリリース前に修正しているので、全てのバージョンにおいてこの問題は発生しません。
【対応状況】
5.png

6) InDesignに効果付きデータを配置
2009年11月04日|InDesignに効果付きデータを配置(1) - 発生条件、回避策このエントリーを含むはてなブックマーク
2009年11月05日|InDesignに効果付きデータを配置(2) - 発生原理、解説このエントリーを含むはてなブックマーク
SMask2.png【概要】
IllustratorまたはPhotoshopで作成したデータに特定の効果が付いている場合、ネイティブか、アプリケーションから書き出したPDFをInDesignに配置すると、出力が不正になる問題がありました。当時より「背景を透明に」で貼り込む回避策はありましたが、RIP側での修正により回避策も不要になりました。
【対応状況】
6.png

7) 文字に透明度グラデーションを使う
2010年03月31日|文字に透明度グラデーションを使うこのエントリーを含むはてなブックマーク
acrobat8.png【概要】
Illustrator CS4以降を用いて、文字に透明度グラデーションを用いて、Trueflow内部で従来演算かPDF1.3化を行うと、文字列の2文字目以降が正しく出力されない問題がありました。2010年9月リリース予定のパッチで、この問題も修正されます。
【対応状況】
7.png

トレンドセミナー2010 (夏)にご参加頂きました皆様、この部分「メモを取る必要はありません」と言っていましたが、遅くなってしまい申し訳ありません。

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