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2009年04月23日 | InDesignCS2~CS4での合成フォントの問題

<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。

■問題の概要
合成フォントが使用されたInDesignCS2~CS4のドキュメントからダイレクトにPDF/X-1aを出力し、Acrobat 7とAcrobat 9(やAcrobat 8)で表示させると、表示上の差違が発生する場合があります。Trueflowでも従来の演算系で同様の問題が発生することがあります。症状から見るとAcrobat 8以降で問題が修正された様に見えますが、この問題の本来の原因はInDesignが出力するPDFの記述にあり、PDFの規格としてはAcrobat 7やTrueflowでの出力結果の方が正しい(がInDesignでの表示とは異なる)事が分かっています…

acrobat9.png  acrobat7.png

…とは言っても、印刷としてはAcrobat 9での表示、つまりInDesignで見た通りの出力が得られないと、問題になる事は言うまでもありません。まずは、この問題の発生条件と、その仕組みについて理解しておくことが重要です。

ComposeFont.png■再現手順
この問題は、図の様に合成フォントで定義された書体を用いる場合に発生することが確認されています。発生のためには、以下の全ての条件に合致する必要があります。

・合成フォント
・書体に影響を与える透明効果がある
・PDF/X-1aまたはPDF1.3互換で出力をする
・文字列にスペース文字が含まれる

こうして作成したPDF/X-1aは処理系によって出力が異なる不確定要素を持ったPDFになり、Acrobatのバージョンや、CPSI、Trueflowの従来処理やTrueflowのAdobe PDF Print Engineなどによって、得られる出力がこの2通りのいずれかに分かれます。
期待される出力は、もちろんInDesignで見た通りの出力です。

algorithm.png■なぜ期待通りの出力にならないか?
この様なデータが透明が許可されないPDF/X-1aに出力された場合、データ記述上はどうなっているのでしょうか?

・文字の透明効果は、背景となる矩形の画像を合成し、文字の形状で、その画像をクリップすることで表現されています。
・PDFでは、このクリップ処理をテキストクリップ(/TextClip)で記述します。
・問題になるのは、PDF書き出し時に、文字の形状が存在しないスペース文字に対しても、背景画像に対するクリップを定義してしまう事です。
・PDFの規格では、テキストクリップについて「グリフが1つも表示されない場合、または表示されたグリフがアウトラインを持たない(言い換えれば、スペース文字である)場合、クリッピングは発生しません。)」 と記載されています。
・つまり、背景となるはずの矩形の画像は生成されるが、その画像に対するクリップは発生しない事になり、生成された画像がそのまま描画され、矩形の画像が現れます。これが他の文字を隠してしまいます。

■当面の対策
以下のいずれかの対策でこの問題は回避できます。
 1) 合成フォントを前提で編集を行う場合には、透明効果は影響を及ぼさない範囲で使用する。
 2) TrueflowのAdobe PDF Print Engineを用いるルートで処理をする。(PDF/X-1aでもPDF/X-4でも)
 3) Trueflow従来演算処理を使用する場合は、PDF/X-4形式で入力する。
<注意>この問題はInDesignCS2~CS4で「合成フォント」の機能を使わない場合は発生しませんので、原因の異なる問題には上記対策は有効ではありません。

■まとめ
・PDFを規格通り正しく処理すると、Acrobat7以前やTrueflowの従来演算の出力のようになります。つまり、PDF処理としては正しいが、印刷物として期待通りではない、という結果になってしまいます。
・本来はInDesignのPDF出力を修正し、合成フォントでも、通常のフォント指定と同じ様に出力されれば、RIPやAcrobatの違いによる、出力の差違を避けることができるはずです。
・この問題の各々の処理系の挙動は以下の通りです。

 InDesignの表示通り PDFの規格とは異なる:Acrobat8/9、Trueflow最新演算(Adobe PDF Print Engine)
 PDFの規格通り InDesignの表示とは異なる:Acrobat4~7、CPSI、Trueflow従来演算

合成フォントの場合でも通常のフォントと同じ様に、適切なPDFで出力されれば、全ての処理系で「PDFの規格通りで、InDesignの表示通り」になります。

[第13版] [透明効果] [InDesign] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク
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