Adobeのサポートデータベースに「文章番号cpsid_84293 InDesign CS5 が認識する PPD ファイルの保存場所について」が掲載されていました。
ここでは、Mac OS X環境について「/private/etc/cups/ppd」という不可視フォルダに保存する方法が案内されていますが、Trueflow出力の手引き 第14版ではP117~P118で説明されている「仮想プリンタの設定」の手順で、この場所にPPDが保存されるので、この不可視フォルダへの直接のアクセスは不要です。
Mac OS Xではプリントシステムとして「CUPS (Common Unix Printing System)」という標準仕様が採用されています。
通常はCUPSの存在を見ることはありませんが、Mac OS X上のWebブラウザから「http://localhost:631/」にアクセスする事で、そのマシン内部のCUPSの管理メニューを見ることができます。しかし、Mac OS Xでは、システム環境設定からプリント関連の設定を行う事ができるので、日常の使用ではここからCUPSの設定変更を行うべきではありません。
QuarkXPressでは「補助」→「PPDマネージャー」を開き、リストに必要なPPDファイルが見えない場合には「別のフォルダを使用」にチェックを入れることで、PPDが保存されているフォルダを指定する事ができます。
どちらにしてもPDFをダイレクトに出力する場合には、この煩雑なPPDの設定は不要です。
以前の3つの記事
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要」
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細」
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動」
では、詳細な説明をしましたので、最後に覚えておくべき要点だけまとめます。
Adobe PDF Print Engineでは、PDFの規格通りにオーバープリント処理が行われる為に、レアケースですが従来のRIPとは異なる出力結果になる場合があります。
PDFの規格通りとはAcrobatでの表示と同じになるのですが、PostScriptを直接RIP処理させる場合はAcrobatでの確認の過程が入らないので、よりいっそうの注意が必要です。
この情報はTrueflow SE Ver7.10以降において、Adobe PDF Print Engine(最新PDF処理)を使用して安心してPostScriptを処理する為に必要です。「最新PDF処理」なのにPostScriptが処理できる、ということは気にしないで…
■ポイント
<症状の概要>
・グレースケール、画像、グラデーション、パターンに指定されるオーバープリント
・画像、グラデーション、パターンについてはDeviceCMYKの場合にのみ該当
・従来のRIPでの処理結果とPDFの規格通りの処理では出力が異なるケースがある
・Trueflowにおいても従来PS/PDF処理と最新PDF処理では結果が異なる
<要点>
・Illustrator10以前、およびInDesign 2.0.2以前でのみ違いが発生する
・それ以降のアプリケーションでは、RIPによる違いが出ないように工夫されている
・QuarkXPress 6以降で、Trueflowの推奨設定を使用していれば、違いは発生しない
・画像、グラデーション、パターンにオーバープリント指定されるケースは少ない
・グレースケールに対しても、Trueflowの自動墨ノセ処理は有効
<以下の表のみかた>
・赤の背景の部分は問題があり、RIPによって違いが出る可能性があります
・濃いグレーの部分は、オーバープリント指定ができないので違いも出ません
・白い部分はRIPによる違いがなく、オーバープリント処理されます
■Illustratorの場合
・Illustrator 10以前において、グレースケールやグラデーションのオブジェクトにオーバープリントが指定されていれば違いが出ます
・Illustrator CS2以前では、画像にオーバープリント指定できないので違いが出ることはありません
・それ以外のオーバープリントについては問題ありません
■InDesignの場合
・InDesign 2.0.2以前において、グラデーションにオーバープリントが指定されている場合にのみ違いが出ます
・InDesignにはグレースケールでの色指定がなく、画像にはオーバープリント指定できませんので違いが出ることはありません
■QuarkXPressの場合
・QuarkXPressにはグレースケールでの色指定がなく、画像にはオーバープリント指定できませんので違いが出ることはありません
・Trueflowの推奨設定を使用していればグラデーションへのオーバープリントの違いが出ることはありません
QuarkXPress 4.1以前ではDeviceNをサポートしておらずPDF運用に適していません
■概要
以前の2つの記事
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要」
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細」
では、「DeviceNでは…」「DeviceGrayでは…」と説明されていますが、実際のDTPアプリケーションでは、オブジェクトのカラースペースを意識することは通常ありません。Acrobat 9のオブジェクトインスペクタを使えば分かります。
この記事では、実際のDTPアプリケーションで、どの様なオペレーションによって、DeviceNやDeviceGrayが指定され、今まで説明してきた4つのオブジェクトの例外の振る舞いになるのか、について解説します。
この4つの例外を含めた全てのオーバープリントの振る舞いは、Acrobatのオーバープリントプレビューで確認できます。
また(今月からリリースされた)Trueflow SE Ver7.10では、最新演算処理(Adobe PDF Print Engineを使用する処理系)にPostScriptも入力できる様になり、PostScriptの場合は処理前にAcrobatなどで確認する事ができないので、やはり以下の発生条件を知っておくことが必要です。
DistillerでPDFに変換してからAcrobat確認する方が遙かに簡単です…これもPDFワークフローのメリットですね。
■結論
・AdobeCS以降、QuarkXPress 6以降
これら4つの例外を意識する必要は、ほとんどありません
Acrobatのオーバープリントプレビュー通りの出力が得られます
意図通りの制作するための役立つ情報となります
・それよりも古いアプリケーション
4つの例外の事例から出力を予測することが必要になります
■テスト方法
右図の様なデータを用意し、オーバープリントの再現がどうなるか、確認します。
パターンにオーバープリントを適用することは、今回対象のアプリケーションではできないので除外しています。
オーバープリントの再現については、Acrobat 9のオーバープリントプレビューで確認した上で、オブジェクトインスペクタで、各々のオブジェクトのカラースペースを調べます。
Trueflowの最新演算処理での結果も、Acrobat 9のオーバープリントプレビューに準じます。
■Illustrator(10~CS4で確認)
<データの準備>
Illustratorでは、「カラー」パレットのメニューから「グレースケール」を選択してサンプルのグレーの部分を作成します。
画像へのオーバープリントはIllustratorCS3以降で埋め込み画像にのみ指定できる(リンク画像では不可)ので、埋め込み画像にオーバープリント指定します。
Illustrator 10~CS2では、画像に対するオーバープリントは設定できません。
<テスト結果>
テスト結果は以下の表の通りになります。


・グレースケール
→ノセにならないDeviceGrayではなくDeviceCMYKで記述
・画像やグラデーション
→DeviceCMYKではノセにならないのでDeviceNに変換
この結果からIllustratorでは本来オーバープリントにできないオブジェクトを書き換えてノセになる様に工夫されていることが分かります。
特にIllustrator CS3とCS4では、画像もDeviceNで変換することで、可能な限りオーバープリントを再現しようとしています。
<補足事項>
・Illustrator CS3とCS4でのグラデーションと画像のカラースペースの変換は、オーバープリントが指定された場合にのみ行われます。
・IllustratorCS以降で行われるグレースケールをDeviceCMYKで記述する処理はオーバープリントの有無に関わらず行われます。
・Illustrator CS4でも、ドキュメントのカラーモードがRGBの場合は、グレースケールで指定されたオブジェクトは、DeviceGrayで出力されます。
・Illustrator 10でのオーバープリントプレビューは、グレースケールとグラデーションがノセになって見えますが、実際の出力ではノセになりません。書き出したPDFのAcrobatによるオーバープリントプレビューの表示は出力と一致します。
・表の「指定不可」はオーバープリント指定ができず、ノセにもならないので結果は正しいと解釈できます。
TrueflowではIllustrator CS以前のバージョンからダイレクトに出力されたPDFはサポートしていませんが、上記の結果はテストとしてPDF書き出しを行っています。
■InDesign(2.0.2~CS4で確認)
<データの準備>
InDesignにはグレースケールの色指定がありません。
InDesignでは、画像にオーバープリント指定することができません。
<テスト結果>
テスト結果は以下の表の通りになります。

・グラデーション
→DeviceCMYKではノセにならないのでDeviceNで記述
画像にオーバープリント指定することができない事や、グレースケールでの色指定ができない事は、機能が劣っているのではなく、安全な仕様であると言えます。乗算の透明など代替機能があります。
<補足事項>
・InDesign CS以降のグラデーションのカラースペースは、オーバープリントの指定の有無に関わらずDeviceNで記述されます。
・InDesign 2.0.2でのオーバープリントプレビューは、グラデーションがノセになって見えますが、実際の出力ではノセになりません。書き出したPDFのAcrobatによるオーバープリントプレビューの表示は出力と一致します。
・表の「指定不可」はオーバープリント指定ができず、ノセにもならないので結果は正しいと解釈できます。
TrueflowではInDesign 2.0.2からダイレクトに出力されたPDFはサポートしていませんが、上記の結果はテストとしてPDF書き出しを行っています。
■QuarkXPress(6.5と8.1で確認)
<データの準備>
QuarkXPressは、IllustratorやInDesignとはカラースペースの扱いが異なり、PDF出力時とPostScript出力時に画像以外の全てのカラースペースを統一して出力します。
QuarkXPressでは、「カラーのセットアップ」→「出力」の部分で右図の設定をしておき、PDF書き出し時にこの設定を指定する事で、出力カラーを明示的に指定できます。
この設定でDeviceNが指定されれば、画像を除き、全てDeviceNで出力されます。
Trueflow向けの設定(Trueflow印刷ユーティリティにも含まれています)でも、ここがDeviceNで指定されています。
<テスト結果>
テスト結果は以下の表の通りになります。

・グラデーション
→出力設定によりDeviceNで出力されノセになっています
画像にオーバープリント指定することができない事や、グレースケールでの色指定ができない事は、機能が劣っているのではなく、安全な仕様であると言えます。
<補足事項>
・QuarkXPress6.5のグラデーションはDeviceNの図形が大量に重なって表現されているので、負荷が大きく、品質も良くありません。
・QuarkXPressにはオーバープリントプレビューがサポートされていませんので、出力前にオーバープリント設定を確認しておくことが重要です。QuarkXPress 3.3/4.1はDeviceNをサポートしていません。
TrueflowではQuarkXPress 6.5からダイレクトに出力されたPDFはサポートしていませんが、上記の結果はテストとしてPDF書き出しを行っています。
■まとめ
PDFの規格により、DeviceCMYKのグラデーション、パターン、画像へのオーバープリント指定は無効になっていますが、DTPアプリケーション側で版の有無を明示的に指定できるDeviceNに書き換えることによって、可能な限りオーバープリントを再現できるように工夫されています。
DeviceNで記述することにより、RIP側のオーバープリント処理の仕様に依存せずOPMの設定にも関わらず、同じオーバープリントが再現できます。
以前の記事「なぜDeviceN形式を使用するのか?」でも説明した通り、現在の主流であるIn-RIPセパレーション運用では、RIP側での分版をDTPアプリケーション側から明確に指定する必要があり、その為にこの様な書き換えなどの工夫がされています。
これがIn-RIPセパレーション前提のPDFワークフローで、DeviceNの理解が重要である理由のひとつです。
Illustrator 10やInDesign 2.0.2の頃は、上記の(表示上の矛盾があるなどの)例にもあるようにオーバープリントの解釈が明確になっていく過渡期にあり、この頃に利用されていたTrueflowの従来演算処理も含むRIPには、その状況を考慮したオーバープリント処理が実装されおり、現在のRIPとは異なる結果になる場合もあります。
実際の制作業務ではこれらのオブジェクトへのオーバープリントは透明に置き換える、DeviceGrayは使用しないなどの工夫を行う事で、より出力環境への依存の少ないPDFが作成できます。
このあと、
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事」
に続きます。
TrueflowのOutlinePS/EPSをお使いのお客様には、DeviceGrayの扱いについて上記以上の留意事項があります。詳しくはTrueflow SE Ver7.1に付属の「使用上の留意点」を参照して下さい。
OutlinePDFはこれに該当せず、従来演算処理、最新演算処理の両方で同じオーバープリントが再現できます。
DeviceGrayが単純にDeviceCMYKのKと等価とできないのは、これだけが理由ではありません…
[第13版] [DeviceN] [オーバープリント] [Acrobat] [Illustrator] [InDesign] [QuarkXPress] | 固定リンク|この記事を共有|<ご注意>OPMの概念は、PDFの技術情報の中でもかなり難解な部類であり、オーバープリントの挙動を完全に理解したい方向けの情報となります。
■従来演算系でもPDFの規格通りに処理を行う
以前の記事「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要」では、従来演算系とAdobe PDF Print Engineを使用した最新演算系では結果が異なると説明していましたが、設定を変更することで、その処理をPDFの規格通りに合わせることが可能です。
Trueflowには「オーバープリントモード」という設定(詳細はTrueflow出力の手引き 第13版P30~P31参照)があります。この設定で「PDFのオーバープリントに準拠する」を選択すると、従来演算系であっても以前の記事で説明したPDFの規格通りの出力結果を得ることができます。
この設定は、従来の演算結果との互換性の観点から、デフォルトでは従来通りの(4つの例外のない)オーバープリント処理を行う設定「システム設定を使用する」になっています。
■DeviceGrayについて
Trueflowの最新演算処理では、DeviceGrayのオブジェクトにオーバープリントが設定されていても、ノセにはなりません。これもAcrobatでの表示と同じです。
また、Trueflowの従来演算系では、DeviceGrayの対するオーバープリントを処理します。これも、他の3種類のオブジェクトと同じです。この挙動も、Trueflowの「オーバープリントモード」の設定を「PDFのオーバープリントに準拠する」に設定しておくと、Acrobatでの表示と同じ出力結果を得ることができます。
ただし、DeviceGray 0%、つまり印刷的には墨100%のデータを、最新演算処理でオーバープリントにしたい場合は、上記仕様の通り、単純にオーバープリント指定をしてもノセにはなりませんので注意が必要です。とりあえず、Trueflowの「自動オーバープリント設定」を利用すれば最新演算処理でもDeviceGrayによる墨ベタをノセにすることができますが、これはPDFの書き換えて実現しているので、汎用性のつまり、元のPDFを他のRIPで処理した場合には同じ結果にならないという観点からあまりオススメできません。
DeviceGrayは最近のDTPアプリケーションでは、ほとんど使用されません。
確実な墨ノセ指定のためにはDeviceGrayへの「自動オーバープリント設定」を期待するのではなく、DeviceCMYKやDeviceN、Separationなどのインキを前提とした色空間でオーバープリント設定する事を推奨します。この指定により、演算系に関わらず確実な墨ノセ処理が行われます。
QuarkXPress 8のPDF書き出しでは、出力のカラースペースを明示的に指定できるので、DeviceGrayのみで記述されたPDFを作成することもできますが、推奨設定ではありません。
■OPMとの関連
上記のDeviceGrayを除く、この3種類のオブジェクトに設定されたオーバープリントの処理は、これらのオブジェクトがDeviceCMYKで定義されている場合が前提になっています。
OPMについて説明した「オーバープリントを正しく理解する(3) - OPM」の記事にも「DeviceCMYKのオーバープリントの挙動を変えるOPM」とあるように、DeviceCMYKのオーバープリントだけは「版が0%であるかどうか」に基づいて処理が行われます。この動作が一般的な/OPM 1の場合の処理になります。
つまり、/OPM 0の場合は、この4種類のオブジェクトに限らず、全てのDeviceCMYKのオブジェクトに設定されたオーバープリントは対象がプロセスカラーの場合、有効ではありません。
■特色オブジェクトが対象の場合
この3種類のオブジェクトがDeviceCMYKでオーバープリントが設定されていても、その下部にあるオーバープリントの対象となるオブジェクトが、特色のオブジェクトの場合はノセになります。
特色オブジェクトとは、特色がSeparation色空間やDeviceNで定義されている場合つまり予約語は使用されていない場合を差します。
この特色は、明らかにDeviceCMYKとは「版」が異なるので、オーバープリントが設定された場合に、単純にノセになります。これは、上記の条件から、この3種類のオブジェクトの例外や、OPMにも関係なく、ノセになります。
つまり、この3種のオブジェクトの例外は、あくまでもプロセスカラーどうしのオーバープリントにのみ影響を与えます。
■オブジェクトがDeviceCMYKでない場合
プロセスカラーどうしであっても、オーバープリント指定されたこの3種類のオブジェクトがDeviceNで必要な版のみが指定されている場合は、以前の記事「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要」で図示したような例であっても、グラデーションや画像オブジェクトをDeviceNで定義する事で、OPMの設定やTrueflowの演算系の新旧に関わらず、ノセになります。
右図はグラデーションの例ですが、画像であるダッキーの例では、あえてCyan成分が全くない画像にオーバープリント指定すると、従来演算系で背景のCyanが透けて見えますが、画像がDeviceCMYKではなくDeviceNで記述されれば、最新演算系でも透けて見えます。

■歴史的背景
グラデーション(シェーディング)、パターン、画像、DeviceGrayなどに設定されたオーバープリントの処理については、PostScriptでは厳密に決められていませんでした。
「正しい出力とは何か」を考える上では、画面上の表示が、実際の印刷結果と一致するのが好ましいのですが、当時のDTPアプリケーションでは、オーバープリントプレビューができなかったり(今もQuarkXPressはサポートしていません)、印刷結果の方もアプリケーション側で分版するプリセパレーション運用が主流であったために、それらの出力を予測する事は困難で、「正しい出力」の定義も曖昧でした。
「オーバープリント」とは、分版の方法を定義する記述なので、DTPアプリケーション側で分版するプリセパレーション運用では、オーバープリントの挙動もDTPアプリケーションの実装で決まってしまいます。
その状況において、当時からIn-RIPセパレーション運用を推奨していたTrueflowでは、オーバープリント設定されたものは、設定通り極力ノセる仕様になっていました。
一方では間違ったオーバープリント設定されたデータも多かったので、オーバープリント設定を無視したり、自動的に墨ノセにする運用が良く行われていました。
今では、DTPアプリケーション側ではオーバープリントプレビューが実装され、PDFの規格で厳密な挙動も定義されたので、画面で見た通り、Acrobatでの表示通りに出力する事が可能になってきました。
例えば、従来のPostScript運用ではDeviceCMYKの0%の解釈が曖昧で、アプリケーションやRIPで結果が異なる問題を解決するために、PDFではOPMというフラグで厳密に定義されました。
今は、オーバープリントを正しく取り込んで、「自動オーバープリント設定」を使わない運用をおすすめしています。
このあと、
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動」
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事」
に続きます。
グラデーション、パターン、画像などに、デザインとしてオーバープリントを設定される事は稀かも知れませんが、これらのオブジェクトにオーバープリントが設定された場合、従来のPostScript運用とPDF運用では、処理の違いがあります。
ほとんどの運用ではその違いが問題になる事は少ないと思われますが、PDFにおけるオーバープリントの仕様について、正確に理解しておく事は重要です。
このあと、詳細な解説が続きますが、「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事」で結論をまとめています。
■関連記事(あらかじめ読んでおいてください)
Trueflow出力の手引き 第13版 P27~P31 「オーバープリントモード」
「DeviceNを理解する」
「オーバープリントを正しく理解する」
「オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響」
「オーバープリントを正しく理解する(3) - OPM」
■オーバープリント処理の例外について
以下のオブジェクトにオーバープリント指定された場合で、かつ下部のオブジェクトもプロセスカラーの場合、オーバープリント属性が設定されていても、PDFの規格上ノセにならない事になっています。
・グラデーション(DeviceCMYKで指定された)
・パターン(DeviceCMYKで指定された)
・画像(DeviceCMYKで指定された)
・DeviceGrayのオブジェクト
Acrobatでの表示も規格通り、これらのオブジェクトはノセになりません。
PostScriptの規格では、これらのオブジェクトについては厳密に規定されておらず、RIPによって処理結果が異なっていました。例えば、TrueflowのAdobe PDF Print Engineではない従来演算系では、仕様上これら全てのオブジェクトのオーバープリントは処理されます。
これは従来演算系にPostScriptを入力した場合も、PDFを入力した場合も同じロジックで演算されるので、入力データがPDFでも同じ結果つまりオーバープリント処理になります。
言い換えると、これらのオブジェクトにオーバープリントが設定されていると、その(PostScriptの場合はそれをDistiller で変換した)PDFのAcrobatでの表示とは、結果が異なる事になります。
■Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(Trueflowの場合)
Trueflowの従来演算系では、これらのオブジェクトのオーバープリント処理結果は、Acrobatとは異なっていましたが、Adobe PDF Print Engine(Trueflowでの最新演算処理系)での処理はあくまでもAcrobatと同じ結果になるように、つまり規格通り演算されます。
間もなくリリースされるTrueflow SE Ver7.10では、いよいよ最新演算処理ルートでもPostScriptを入力することができるようになりますが、これら4種類のオーバープリント処理に関しても、従来とは異なり、PDFの規格通り演算されます。
この処理により、それらのPostScriptをDistillerで変換したPDFのAcrobatでの表示と一致するようになります。
つまり、同じデータでも、これらのオブジェクトのオーバープリント処理結果は、Trueflowの従来演算系と、最新演算系では異なる事になりますので、注意が必要です。
■まとめ
重要なことは、実際のデザインにおいて、グラデーション、パターン、画像、DeviceGray等のオブジェクトにオーバープリント指定される可能性は低いと思われることです。
また、データ制作時においても、この様な本来の目的からは外れたようなオーバープリント指定したくなる場合は、その代わりに透明効果を用いて同様のデザインが得られるようにデザインすることで、間違いのない出力が得られます。
このあと、
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細」
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動」
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事」
と続きます。
■特色名には予約語を使用しない
以前の記事「DeviceNを理解する」では、特色名に予約語があることを説明しました。これはDeviceNを構成する各々の色名(以後「構成要素」と書きます)としての予約語の説明でした。例えばDeviceNの一つの色名が「(特色)Black」と書かれた場合はプロセスカラーのBlackと解釈されます。
つまり、DeviceNは特色とプロセスカラーや、複数の特色を混ぜる場合に良く使用され、その構成要素してプロセスカラーの予約語は使用できます。できないとプロセスカラーと混ぜる事ができません…

しかし、例えばスウォッチ上の特色名、一つの色として定義された特色名としては、予約語は使うべきではありません。
予約語としては「Cyan」「Magenta」「Yellow」「Black」の他に、レジストレーションで使用される「All」と、何も描画しないという意味の「None」(ナン)が挙げられます。
Trueflowでは、それ以外にも例えば「イエロー」(半角カタカナの場合も含めて)「Hexachrome Yellow」「Gelb」(ドイツ語)なども予約語として扱っています。特色名の取り扱いについては、各々のシステムによって、拡張されていたり、使ってはいけない文字(記号など)が異なる場合などがあり、注意が必要です。
■DeviceNの構成要素で「All」や「None」は使用しない
上記では、DeviceNの構成要素してプロセスカラーの予約語は使用できる、と書きましたが、同じ予約語でも「All」と「None」は使ってはいけません。
これに関して、QuarkXPress 6.x, 8.xのPDF出力において、以下の問題が発見されました。TrueflowではQuarkXPress 6.xのPDF出力はサポートしていません。
QuarkXPressでは、特色名として予約語である「All」や「None」といった色名を使うことができてしまいます。
しかし、DeviceN出力のサポートされたQuarkXPress 6以降では、この様な特色が定義され、PDF出力すると、DeviceNの構成要素として「All」や「None」を定義してしまいます。
これらの予約語の色は、他の色と合成されても意味がないので、1色のDeviceNとして定義されます。
本来のPDF/PostScriptの仕様では、この2つの予約語の色は(1色のカラーを定義する)Separation(分離)カラースペースでのみ記述が認められています。
QuarkXPress 6.x, 8.xの場合は、本来Separation(分離)カラースペースで記述されるべき「All」や「None」が、DeviceNの構成要素として記述されるため、Acorbat8,9では右下図の様なエラーが表示され、Adobe PDF Print Engineの処理でもエラーになります。
色名が「None」の場合のメッセージは「ページ処理中にエラーが発生しました。オペランドの種類が正しくありません。」になります。厳密には、「None」は禁止されているわけではありませんが、DeviceNの構成要素として「None」つまり「描画しない」は適切ではありません、というメッセージです。エラーになり使ってはいけないことに変わりありません。
また、古いAcrobatの表示やTrueflowの従来演算では正常に処理できてしまいます。
やはり、特色名に予約語を使用すべきではなく、予約語以外の色名に変更することで、この問題は回避できます。
もちろんプロセスカラーへの変換が前提の特色指定も絶対にやめましょう。
■AdobeCS系の場合
ちなみにAdobeCS系のアプリケーションでは、右図の様なダイアログが出て、予約語の特色設定をする事はできなくなっています。
QuarkXPress 8.1における当社で確認した改良点および留意点には以下の様なものがあります。
■ページ原点のPostScript記述の追加
以前の記事「QuarkXPress 8のPostScript対応リリース延期」で説明していたように、TrueflowではQuarkXPressが出力するPostScriptからページ原点(仕上がりサイズ:TrimBox、裁ち落としサイズ:BleedBox)を求める際に、そのトンボ記述を認識する方法をとっていました。この方法の欠点として、QuarkXPressのトンボ記述のパターンが変わるとTrueflow側でもそれに応じた対応が必要でした。
このQuarkXPress 8.1では、それを改善するためにTrimBoxやBleedBoxの値をPostScriptのpdfmark(pdfmarkの説明はコチラ)という命令で記述されるようになっています。この修正により、トンボの記述パターンに変更があっても、処理系の修正の必要なしに対応できることが可能になります。
この修正に併せて、従来のパターン認識が反応しないように、僅かにトンボの記述パターンも変更されています。
■Illustrator ネイティブ貼り込みにおける「不透明マスク」の問題
Trueflow出力の手引き 第13版 P103に記載されている、Illustrator の「不透明マスク」機能を用いたデータが正常に出力できない問題について、「不透明マスク」が正常に出力できない原因は他にもありますが当社が確認していた以下の条件における問題は解決されています。
QuarkXPress 8.1までのバージョンでAIネイティブ形式を配置した場合において、Illustrator CS以前で作成した不透明マスクのオブジェクトが正しく出力できない場合がありました。この様なデータは、Illustrator CS2以上でOpen & Saveしただけでは修正できず、Illustrator CS2以上で不透明マスクを再設定する必要がありました。過去の記事「QuarkXPress 8における留意事項」にも同様の記載があります。
QuarkXPress 8.1ではIllustrator CS以前で作成された不透明マスクも正しく表示/出力されます。「不透明マスク」が要注意であることに変わりありませんが…
■Illustratorネイティブ更新時の問題
同じく「QuarkXPress 8における留意事項」に記載されている「Illustratorネイティブ更新時の問題」は残念ながら修正されていません。Mac OS XのFileVaultがOnの場合は、Illustratorネイティブ更新時にはファイル名を変えるなどして対策してください。以前の記事にも記載がありますが、回避方法は以下のいずれかの方法となります。
・FileVaultをOffにする。
・Illustratorネイティブ更新時にファイル名を変更する。
・更新時に別のディレクトリに移動する。
・更新時にQuarkXPressのプロジェクトを一旦閉じてから開き直してから画像の更新を行う。
■オンラインによるアクティブ化
QuarkXPress 8におけるオンラインアクティブ化は、インターネットにダイレクトに接続されている場合は問題ありませんが、Proxyサーバー経由の場合はhttp、httpsに対してport番号80で設定されている必要があり、それ以外の場合は正常にアクティブ化できません。Webサイト経由や電話などでのアクティブ化の手続きが必要です。
■出力スタイルファイルのアイコン
出力スタイルをファイルに書き出した時に、アイコンが付かなかった問題は修正されていますが、カラーセットアップを書き出した時のアイコンはまだ付きません。
■ウエルカムスクリーン
ウエルカムスクリーンに「期間限定のキャンペーン(~8/1)」などの8.0発売前の情報が表示されてしまう問題も、ネットワークさえつながっていれば修正されます。
先ほどの記事「QuarkXPress 8.1リリース(1) - 概要」では、QuarkXPressの透明効果オブジェクトがPDF書き出し時に分割統合せずに出力できることを掲載しました。
透明効果オブジェクトを分割統合せずにPDFに書き出す事ができる、ということは言い換えるとPDF/X-4の特徴の一つであるLive Transparencyで出力する事ができると言うことになります。
ただし、QuarkXPressにおけるこの透明サポート機能、3つの注意点があります。
これらの重大な注意点により、TrueflowではこのQuarkXPress 8から出力される透明を含んだPDFをサポートしません。従来通り、Trueflow出力の手引きに記載されているPDF/X-1a運用をサポートします。
また、PDF/X-1aであっても複雑な透明を含んだAIネイティブやPDFをQuarkXPressに配置する場合は、解像度設定に注意が必要です。
■透明が含まれたPDFはPDF/X-4ではない
QuarkXPress 8ではPDF/X-1a出力はサポートされているのですが、透明を含むPDFは出力できても、PDF/X-4の認証はできません。
■IllustratorネイティブやPDFに含まれる透明に対する解像度が一律
Quarkの発表した文章では「QuarkXPressの透明効果が…」とあります。これは、貼り込まれるIllustratorネイティブファイルやPDFに含まれる透明効果はLive Transparencyにならない、つまり分割統合されるという事を意味しています。しかも先ほどの記事のスクリーンショットにあるようにPDFおよびAIファイルに含まれる平滑化解像度は一律に一つの設定しかできません。デフォルトでは透明の関係する文字が300dpiになってしまいます…
■QuarkXPressはIllustratorネイティブやPDFの透明を解釈しない
この留意事項は、PDF/X-1a運用でも同じ症状となり、注意が必要です。
この問題は、QuarkXPress 8から存在した問題ですが、AIネイティブやPDFに透明が含まれている場合、そのデータをInDesignに貼った場合とQuarkXPressに貼った場合とでは出力が異なる場合があります。
例えば、貼り込まれるAIネイティブデータに透明効果オブジェクトが含まれる場合、InDesignはその透明を解釈し、貼り込まれたデータの下部にあるオブジェクトも透けて見えますが、QuarkXPressの場合は先に部品単位で分割統合してから下部のオブジェクトに重ねるので、貼り込まれるデータの透明オブジェクトは背景として「白」色と合成されることになり、下部のオブジェクトは透けて見えません。
InDesignの場合は、出力されるPDFの形式に関わらず部品内部の透明属性も解釈して合成されます。
1) InDesignの場合
下図のように、貼り込まれたAIネイティブやPDFの透明も、ベースページの色(M=50%)と合成されています。

2) QuarkXPress 8の場合
貼り込まれたAIネイティブやPDFの透明はベースページの色とは合成されませんが、QuarkXPressで記述された透明オブジェクトは当然ですが透明として合成されるので、AIネイティブやPDFと同じデザインでも出力結果は異なります。

QuarkXPress 8.1アップデータがリリースされました。
8/4(火)に更新されていました
このアップデータによる改良点について、QuarkはWebサイトで説明していますが、通常のアップデータでは更新されないような新しい機能も含む、大規模なものとなっています。
この中で「QuarkXPressの透明効果が適用されたオブジェクトを、PDFの最終出力時に平滑化(分割・統合)せずに出力できます。」という内容については特に留意が必要です。TrueflowではQuarkXPress 8.1の、この機能が使われたPDFをサポートしません。従来通り、Trueflow出力の手引きに記載されているPDF/X-1a運用をサポートします。
この留意事項も含め、アップデータの内容の詳細については、別の記事として後日お知らせいたします。
これだけトラブルが発生している白ノセですが、この様な問題がある事は結構知られています。また、白のオブジェクトに意図的にオーバープリント指定をする人もいないと思います。
それでも、この手のトラブルは無くならないのは、オペレーション手順の落とし穴に気付いていない事も関係していると思います。
では、どの様なオペレーションをすると、白ノセが設定されてしまうのでしょうか?
■原因1(IllustratorCS~CS4で確認)
墨ノセなど、白以外のオブジェクトにオーバープリント指定された色を、後で白に変更すると、大きな警告*1もなく(小さな警告表示*2はありますが)設定できてしまいます。


大きな警告は、Illustratorで普通に白のオブジェクトにオーバープリント指定しようとすると表示され、「続行」をクリックすると白ノセになってしまいます。「便利です。」と書かれていますが、どの様に便利なのか不明です。
■原因2(IllustratorCS~CS4, InDesignCS, CS2で確認)
図形オブジェクトの線を黒に、塗りを白に設定し、線の黒にオーバープリントを指定します。その後、「カラー」や「スウォッチ」「ツール」のパレットで「塗りと線を入れ替える」を行うと、線の黒が白になりオーバープリント属性はそのまま残ります。
1)黒の線にオーバープリントを設定する
→白の「塗りオーバープリント」はグレーアウトしており、白ノセの設定はできない

2)「塗りと線を入れ替える」をクリックすると白の線が白ノセに(下図はオーバープリントプレビューOnの状態)
→InDesignでは「線オーバープリント」がグレーアウトされ、色を戻さないとをOffにもできない。

■白ノセにならない場合の動作
白ノセにならない場合の動作と、原因と各々のバージョンでの挙動について、以下の表にまとめました。

AdobeCS以前のバージョンについては(基本的には)ここでは解説しません
■まとめ
この表からも分かる様に、Illustratorで墨ノセオブジェクトを白に変更した場合、というケースで最も多く、気付かぬうちに白ノセ指示してしまう様です。
また、InDesignでの問題はCS3以降では修正されている様です。
ここで挙げた白ノセが指定されるオペレーションは、これだけで全てかどうか分かりません。他にも気付かぬうちに白ノセ指定をしてしまうオペレーションがあるかも知れません。
前の記事にあった無意識のうちに白ノセが出力されるケースも含めて、PDFで出力してAcrobatのオーバープリントプレビューなどを活用する事で、実際に印刷する前に十分チェックしておく事が大切です。
チェックには手間がかかりますが、事故になってから復旧するよりはいいはずです。
最も重要な事は、白ノセのトラブルを防ぐには、データ制作の時点で十分に注意する以外に有効な対策はない、という事です。
<番外編>Illustrator5.5では通常は白のオブジェクトにオーバープリントの指定はできませんが、「すべてを選択」してからオーバープリント指定をすると、白のオブジェクトにもオーバープリントが指定できてしまいます。
[第13版] [オーバープリント] [Illustrator] [InDesign] [QuarkXPress] [解説追加] | 固定リンク|この記事を共有|