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2010年01月13日 | Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要

グラデーション、パターン、画像などに、デザインとしてオーバープリントを設定される事は稀かも知れませんが、これらのオブジェクトにオーバープリントが設定された場合、従来のPostScript運用とPDF運用では、処理の違いがあります。
ほとんどの運用ではその違いが問題になる事は少ないと思われますが、PDFにおけるオーバープリントの仕様について、正確に理解しておく事は重要です。

このあと、詳細な解説が続きますが、「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事」で結論をまとめています。

■関連記事(あらかじめ読んでおいてください)
Trueflow出力の手引き 第13版 P27~P31 「オーバープリントモード」
DeviceNを理解する
オーバープリントを正しく理解する
オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響
オーバープリントを正しく理解する(3) - OPM

APPE_op.png■オーバープリント処理の例外について
以下のオブジェクトにオーバープリント指定された場合で、かつ下部のオブジェクトもプロセスカラーの場合、オーバープリント属性が設定されていても、PDFの規格上ノセにならない事になっています。
・グラデーション(DeviceCMYKで指定された)
・パターン(DeviceCMYKで指定された)
・画像(DeviceCMYKで指定された)
・DeviceGrayのオブジェクト
Acrobatでの表示も規格通り、これらのオブジェクトはノセになりません。
PostScriptの規格では、これらのオブジェクトについては厳密に規定されておらず、RIPによって処理結果が異なっていました。例えば、TrueflowのAdobe PDF Print Engineではない従来演算系では、仕様上これら全てのオブジェクトのオーバープリントは処理されます。
これは従来演算系にPostScriptを入力した場合も、PDFを入力した場合も同じロジックで演算されるので、入力データがPDFでも同じ結果つまりオーバープリント処理になります。
言い換えると、これらのオブジェクトにオーバープリントが設定されていると、その(PostScriptの場合はそれをDistiller で変換した)PDFのAcrobatでの表示とは、結果が異なる事になります。

■Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(Trueflowの場合)
Trueflowの従来演算系では、これらのオブジェクトのオーバープリント処理結果は、Acrobatとは異なっていましたが、Adobe PDF Print Engine(Trueflowでの最新演算処理系)での処理はあくまでもAcrobatと同じ結果になるように、つまり規格通り演算されます。
間もなくリリースされるTrueflow SE Ver7.10では、いよいよ最新演算処理ルートでもPostScriptを入力することができるようになりますが、これら4種類のオーバープリント処理に関しても、従来とは異なり、PDFの規格通り演算されます。
この処理により、それらのPostScriptをDistillerで変換したPDFのAcrobatでの表示と一致するようになります。
つまり、同じデータでも、これらのオブジェクトのオーバープリント処理結果は、Trueflowの従来演算系と、最新演算系では異なる事になりますので、注意が必要です。

■まとめ
重要なことは、実際のデザインにおいて、グラデーション、パターン、画像、DeviceGray等のオブジェクトにオーバープリント指定される可能性は低いと思われることです。
また、データ制作時においても、この様な本来の目的からは外れたようなオーバープリント指定したくなる場合は、その代わりに透明効果を用いて同様のデザインが得られるようにデザインすることで、間違いのない出力が得られます。

このあと、
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事
と続きます。

[第13版] [オーバープリント] [Acrobat] [Illustrator] [InDesign] [QuarkXPress] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2009年12月22日 | 特色名の予約語とQuarkXPressの問題

■特色名には予約語を使用しない
以前の記事「DeviceNを理解する」では、特色名に予約語があることを説明しました。これはDeviceNを構成する各々の色名(以後「構成要素」と書きます)としての予約語の説明でした。例えばDeviceNの一つの色名が「(特色)Black」と書かれた場合はプロセスカラーのBlackと解釈されます。
つまり、DeviceNは特色とプロセスカラーや、複数の特色を混ぜる場合に良く使用され、その構成要素してプロセスカラーの予約語は使用できます。できないとプロセスカラーと混ぜる事ができません…

DeviceN.gif

swatch.pngしかし、例えばスウォッチ上の特色名、一つの色として定義された特色名としては、予約語は使うべきではありません。
予約語としては「Cyan」「Magenta」「Yellow」「Black」の他に、レジストレーションで使用される「All」と、何も描画しないという意味の「None」(ナン)が挙げられます。

Trueflowでは、それ以外にも例えば「イエロー」(半角カタカナの場合も含めて)「Hexachrome Yellow」「Gelb」(ドイツ語)なども予約語として扱っています。特色名の取り扱いについては、各々のシステムによって、拡張されていたり、使ってはいけない文字(記号など)が異なる場合などがあり、注意が必要です。

Quark-all.png■DeviceNの構成要素で「All」や「None」は使用しない
上記では、DeviceNの構成要素してプロセスカラーの予約語は使用できる、と書きましたが、同じ予約語でも「All」と「None」は使ってはいけません。
これに関して、QuarkXPress 6.x, 8.xのPDF出力において、以下の問題が発見されました。TrueflowではQuarkXPress 6.xのPDF出力はサポートしていません。

QuarkXPressでは、特色名として予約語である「All」や「None」といった色名を使うことができてしまいます。
しかし、DeviceN出力のサポートされたQuarkXPress 6以降では、この様な特色が定義され、PDF出力すると、DeviceNの構成要素として「All」や「None」を定義してしまいます。
これらの予約語の色は、他の色と合成されても意味がないので、1色のDeviceNとして定義されます。
本来のPDF/PostScriptの仕様では、この2つの予約語の色は(1色のカラーを定義する)Separation(分離)カラースペースでのみ記述が認められています。
DeviceN-none.pngQuarkXPress 6.x, 8.xの場合は、本来Separation(分離)カラースペースで記述されるべき「All」や「None」が、DeviceNの構成要素として記述されるため、Acorbat8,9では右下図の様なエラーが表示され、Adobe PDF Print Engineの処理でもエラーになります。
error-dialog.png
色名が「None」の場合のメッセージは「ページ処理中にエラーが発生しました。オペランドの種類が正しくありません。」になります。厳密には、「None」は禁止されているわけではありませんが、DeviceNの構成要素として「None」つまり「描画しない」は適切ではありません、というメッセージです。エラーになり使ってはいけないことに変わりありません。
また、古いAcrobatの表示やTrueflowの従来演算では正常に処理できてしまいます。

やはり、特色名に予約語を使用すべきではなく、予約語以外の色名に変更することで、この問題は回避できます。
もちろんプロセスカラーへの変換が前提の特色指定も絶対にやめましょう。

ai-dialog.png■AdobeCS系の場合
ちなみにAdobeCS系のアプリケーションでは、右図の様なダイアログが出て、予約語の特色設定をする事はできなくなっています。

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2009年08月13日 | QuarkXPress 8.1リリース(3) - その他の改良点と留意事項

QuarkXPress 8.1における当社で確認した改良点および留意点には以下の様なものがあります。

■ページ原点のPostScript記述の追加
以前の記事「QuarkXPress 8のPostScript対応リリース延期」で説明していたように、TrueflowではQuarkXPressが出力するPostScriptからページ原点(仕上がりサイズ:TrimBox、裁ち落としサイズ:BleedBox)を求める際に、そのトンボ記述を認識する方法をとっていました。この方法の欠点として、QuarkXPressのトンボ記述のパターンが変わるとTrueflow側でもそれに応じた対応が必要でした。
このQuarkXPress 8.1では、それを改善するためにTrimBoxやBleedBoxの値をPostScriptのpdfmark(pdfmarkの説明はコチラ)という命令で記述されるようになっています。この修正により、トンボの記述パターンに変更があっても、処理系の修正の必要なしに対応できることが可能になります。
この修正に併せて、従来のパターン認識が反応しないように、僅かにトンボの記述パターンも変更されています。

■Illustrator ネイティブ貼り込みにおける「不透明マスク」の問題
Trueflow出力の手引き 第13版 P103に記載されている、Illustrator の「不透明マスク」機能を用いたデータが正常に出力できない問題について、「不透明マスク」が正常に出力できない原因は他にもありますが当社が確認していた以下の条件における問題は解決されています。
QuarkXPress 8.1までのバージョンでAIネイティブ形式を配置した場合において、Illustrator CS以前で作成した不透明マスクのオブジェクトが正しく出力できない場合がありました。この様なデータは、Illustrator CS2以上でOpen & Saveしただけでは修正できず、Illustrator CS2以上で不透明マスクを再設定する必要がありました。過去の記事「QuarkXPress 8における留意事項」にも同様の記載があります。
QuarkXPress 8.1ではIllustrator CS以前で作成された不透明マスクも正しく表示/出力されます。「不透明マスク」が要注意であることに変わりありませんが…

■Illustratorネイティブ更新時の問題
同じく「QuarkXPress 8における留意事項」に記載されている「Illustratorネイティブ更新時の問題」は残念ながら修正されていません。Mac OS XのFileVaultがOnの場合は、Illustratorネイティブ更新時にはファイル名を変えるなどして対策してください。以前の記事にも記載がありますが、回避方法は以下のいずれかの方法となります。
・FileVaultをOffにする。
・Illustratorネイティブ更新時にファイル名を変更する。
・更新時に別のディレクトリに移動する。
・更新時にQuarkXPressのプロジェクトを一旦閉じてから開き直してから画像の更新を行う。

■オンラインによるアクティブ化
QuarkXPress 8におけるオンラインアクティブ化は、インターネットにダイレクトに接続されている場合は問題ありませんが、Proxyサーバー経由の場合はhttp、httpsに対してport番号80で設定されている必要があり、それ以外の場合は正常にアクティブ化できません。Webサイト経由や電話などでのアクティブ化の手続きが必要です。


■出力スタイルファイルのアイコン
出力スタイルをファイルに書き出した時に、アイコンが付かなかった問題は修正されていますが、カラーセットアップを書き出した時のアイコンはまだ付きません。

■ウエルカムスクリーン
ウエルカムスクリーンに「期間限定のキャンペーン(~8/1)」などの8.0発売前の情報が表示されてしまう問題も、ネットワークさえつながっていれば修正されます。

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2009年08月12日 | QuarkXPress 8.1リリース(2) - 透明サポート

先ほどの記事「QuarkXPress 8.1リリース(1) - 概要」では、QuarkXPressの透明効果オブジェクトがPDF書き出し時に分割統合せずに出力できることを掲載しました。
透明効果オブジェクトを分割統合せずにPDFに書き出す事ができる、ということは言い換えるとPDF/X-4の特徴の一つであるLive Transparencyで出力する事ができると言うことになります。
ただし、QuarkXPressにおけるこの透明サポート機能、3つの注意点があります。
これらの重大な注意点により、TrueflowではこのQuarkXPress 8から出力される透明を含んだPDFをサポートしません。従来通り、Trueflow出力の手引きに記載されているPDF/X-1a運用をサポートします。
また、PDF/X-1aであっても複雑な透明を含んだAIネイティブやPDFをQuarkXPressに配置する場合は、解像度設定に注意が必要です。

■透明が含まれたPDFはPDF/X-4ではない
QuarkXPress 8ではPDF/X-1a出力はサポートされているのですが、透明を含むPDFは出力できても、PDF/X-4の認証はできません。PDFoption2.png

■IllustratorネイティブやPDFに含まれる透明に対する解像度が一律
Quarkの発表した文章では「QuarkXPressの透明効果が…」とあります。これは、貼り込まれるIllustratorネイティブファイルやPDFに含まれる透明効果はLive Transparencyにならない、つまり分割統合されるという事を意味しています。しかも先ほどの記事のスクリーンショットにあるようにPDFおよびAIファイルに含まれる平滑化解像度は一律に一つの設定しかできません。デフォルトでは透明の関係する文字が300dpiになってしまいます…

■QuarkXPressはIllustratorネイティブやPDFの透明を解釈しない
この留意事項は、PDF/X-1a運用でも同じ症状となり、注意が必要です。
この問題は、QuarkXPress 8から存在した問題ですが、AIネイティブやPDFに透明が含まれている場合、そのデータをInDesignに貼った場合とQuarkXPressに貼った場合とでは出力が異なる場合があります。
例えば、貼り込まれるAIネイティブデータに透明効果オブジェクトが含まれる場合、InDesignはその透明を解釈し、貼り込まれたデータの下部にあるオブジェクトも透けて見えますが、QuarkXPressの場合は先に部品単位で分割統合してから下部のオブジェクトに重ねるので、貼り込まれるデータの透明オブジェクトは背景として「白」色と合成されることになり、下部のオブジェクトは透けて見えません。
InDesignの場合は、出力されるPDFの形式に関わらず部品内部の透明属性も解釈して合成されます。

1) InDesignの場合
下図のように、貼り込まれたAIネイティブやPDFの透明も、ベースページの色(M=50%)と合成されています。
InD.png

2) QuarkXPress 8の場合
貼り込まれたAIネイティブやPDFの透明はベースページの色とは合成されませんが、QuarkXPressで記述された透明オブジェクトは当然ですが透明として合成されるので、AIネイティブやPDFと同じデザインでも出力結果は異なります。
QXP.png

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2009年08月10日 | QuarkXPress 8.1リリース(1) - 概要

QuarkXPress 8.1アップデータがリリースされました。
PDFoption.png8/4(火)に更新されていました

このアップデータによる改良点について、QuarkはWebサイトで説明していますが、通常のアップデータでは更新されないような新しい機能も含む、大規模なものとなっています。
この中で「QuarkXPressの透明効果が適用されたオブジェクトを、PDFの最終出力時に平滑化(分割・統合)せずに出力できます。」という内容については特に留意が必要です。TrueflowではQuarkXPress 8.1の、この機能が使われたPDFをサポートしません。従来通り、Trueflow出力の手引きに記載されているPDF/X-1a運用をサポートします。

この留意事項も含め、アップデータの内容の詳細については、別の記事として後日お知らせいたします。

[第13版] [透明効果] [QuarkXPress] [お知らせ] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2009年03月05日 | 「白ノセ」トラブルを解決する(3)

これだけトラブルが発生している白ノセですが、この様な問題がある事は結構知られています。また、白のオブジェクトに意図的にオーバープリント指定をする人もいないと思います。
それでも、この手のトラブルは無くならないのは、オペレーション手順の落とし穴に気付いていない事も関係していると思います。
では、どの様なオペレーションをすると、白ノセが設定されてしまうのでしょうか?

■原因1(IllustratorCS~CS4で確認)
墨ノセなど、白以外のオブジェクトにオーバープリント指定された色を、後で白に変更すると、大きな警告*1もなく(小さな警告表示*2はありますが)設定できてしまいます。

ai_warning2.pngai_warning1.png

warning.png

大きな警告は、Illustratorで普通に白のオブジェクトにオーバープリント指定しようとすると表示され、「続行」をクリックすると白ノセになってしまいます。「便利です。」と書かれていますが、どの様に便利なのか不明です。

■原因2(IllustratorCS~CS4, InDesignCS, CS2で確認)
図形オブジェクトの線を黒に、塗りを白に設定し、線の黒にオーバープリントを指定します。その後、「カラー」や「スウォッチ」「ツール」のパレットで「塗りと線を入れ替える」を行うと、線の黒が白になりオーバープリント属性はそのまま残ります。

1)黒の線にオーバープリントを設定する
 →白の「塗りオーバープリント」はグレーアウトしており、白ノセの設定はできない
InD_CS2_op1.png

2)「塗りと線を入れ替える」をクリックすると白の線が白ノセに(下図はオーバープリントプレビューOnの状態)
 →InDesignでは「線オーバープリント」がグレーアウトされ、色を戻さないとをOffにもできない。
InD_CS2_op2.png

■白ノセにならない場合の動作
白ノセにならない場合の動作と、原因と各々のバージョンでの挙動について、以下の表にまとめました。
OP_table.png
AdobeCS以前のバージョンについては(基本的には)ここでは解説しません

■まとめ
この表からも分かる様に、Illustratorで墨ノセオブジェクトを白に変更した場合、というケースで最も多く、気付かぬうちに白ノセ指示してしまう様です。
また、InDesignでの問題はCS3以降では修正されている様です。
ここで挙げた白ノセが指定されるオペレーションは、これだけで全てかどうか分かりません。他にも気付かぬうちに白ノセ指定をしてしまうオペレーションがあるかも知れません。
前の記事にあった無意識のうちに白ノセが出力されるケースも含めて、PDFで出力してAcrobatのオーバープリントプレビューなどを活用する事で、実際に印刷する前に十分チェックしておく事が大切です。
チェックには手間がかかりますが、事故になってから復旧するよりはいいはずです。

最も重要な事は、白ノセのトラブルを防ぐには、データ制作の時点で十分に注意する以外に有効な対策はない、という事です。

<番外編>Illustrator5.5では通常は白のオブジェクトにオーバープリントの指定はできませんが、「すべてを選択」してからオーバープリント指定をすると、白のオブジェクトにもオーバープリントが指定できてしまいます。

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2009年03月02日 | 「白ノセ」トラブルを解決する(2)

■結論
正しい白ノセが設定されていないデータを、データ通り処理すれば問題ありません。
TFWhiteOP.png
■Trueflowで白ノセを無視できます。が…
Trueflowでは白色のオーバープリントの取り込みをOn/Offする設定があります。Offにする事で間違って設定された白ノセを無視して、白のオブジェクトを見える様に出力しようという設定です。
しかし、この設定は「入稿データを変更する」ことを意味しており、必ずしも期待通りの出力が得られるわけではありません。
確かに、この設定によって「出力データ」の内部で白色に設定されているオーバープリントは無視されますが、DTPアプリケーション上での白ノセが、そのまま「出力データ」に反映されない場合があり、そうなると出力もTrueflowの設定どおりにはなりません。

■期待通りにならない2つのケース
以下の二通りの出力データ作成時の「内部的な処理」が行われた場合に問題が発生します。

1)白ノセが、白ノセではない出力されない別の記述に書き換えられる
 →これはデータ上では白ノセではなくなるので、RIP側で回避できません。
2)DTPアプリケーション上で設定していない白ノセが出力される
 →RIP側で白ノセを無視すると、見えないはずの白ノセが、白く出力され他のオブジェクトを隠します。

具体的には、データ出力時に以下の様な動作が行われます。

ObjectInspector.png1)DTPアプリケーションでは最適化と称して「白ノセは出力されない」前提で、オブジェクトごと消去したり、白色を特色Separation(分離)カラースペースの「None」という色の0%に書き換えたりする場合があります。色の名前「None」は「描画しない」という予約語です
2)白ノセを設定しなくても、特定のグラデーションやトラップデータにおいて、出力されない前提で白ノセオブジェクトが無意識のうちに出力データに含まれる場合があります。

■具体例
1)の特色「None」になるケースとしては、例えばIllustratorCS4でEPS出力するだけで、白ノセが特色「None」0%になって出力されます。
2)のケースとしては、例えばIllustrator10で特色-プロセスのグラデーションを記述すると、白ノセの記述が入り、白ノセを無視すると白オブジェクトが見える事で、グラデーションの一部が消えてしまいます。

これらの問題になる内部処理はこれだけではありません。また、それぞれ、DTPアプリケーションのバージョンが異なると、挙動も異なります。
Acrobat 9のオブジェクトインスペクタを用いて、どの様になっているか調べてみましょう。

■まとめ
結局白ノセのトラブルはTrueflowの設定では防ぐ事ができないだけでなく、白ノセを取り込まない事が別の問題を引き起こす原因となるのです。Illustrator5.5/8+QuarkXPress3.3/4.1の時代は、もう少し役立つ機能だったのです…

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2009年02月26日 | 「白ノセ」トラブルを解決する(1)

WhiteOP1.png
まず、「白ノセ」オブジェクトが消えてしまうというトラブル事例は、現在でもよく聞きますが、なぜ「白ノセ」は消えてしまうのでしょうか?
以前の記事「オーバープリントを正しく理解する」と「オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響」では、上部のオブジェクトに0%の「版」がある場合は、その「版」に関しては下部のオブジェクトが透けて見える、のがオーバープリントであると説明しました。
「白ノセ」オブジェクトが消えてしまう事も同じ原理で説明できます。
「白」は全ての版が0%になります。ここではDeviceCMYKの場合を例にしています
この「白」にオーバープリント指定された場合、全ての版が透ける事になり、結果上部の白のオーバープリントオブジェクトは消えてしまいます。
白ノセのトラブルは、文字が消えるなど深刻な印刷事故の原因となりますが、オーバープリントの挙動としては正しく、これも「データ通りの出力」と言えます。
オーバープリントプレビューを活用して事前に確認しておく事が重要です。
WhiteOP2.png

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2009年02月02日 | QuarkXPress 8.02リリース

QuarkXPress 8.02アップデータがリリースされました。
情報公開にも積極的で、既知の問題だけでなく、詳細な解決された問題の情報も公開されています。
8.01の時の様な、トンボの記述形式の変更はありません。

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2008年10月09日 | QuarkXPress 8のPostScript対応リリース

QuarkXPress 8から出力されたPostScriptに対応するためのTrueflowのパッチが正式リリースされました。
以前の記事QuarkXPress 8のPostScript対応も更新しています。
以下のTrueflowの3バージョンに対するパッチがTrueflowテクニカル・ウェブ・サポート(*1)からダウンロード可能になっています。
・Trueflow SE Ver6.00 TF012
・Trueflow SE Ver5.01 TF143
・Trueflow 3 Ver4.01 TF169
このパッチにより、QuarkXPress 8で出力したPostScriptから、トンボ記述からTrimBoxを認識し、これを原点とした入力処理および面付け処理が可能になります。
(*1)Trueflowテクニカル・ウェブ・サポートとは、登録されたお客様がサポート情報の閲覧、パッチのダウンロードなどを行えるTrueflowユーザー様向けのサービスです。ご登録を希望される方は弊社営業にお問い合わせ下さい。

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