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米国時間2017年10月18日、AdobeよりCreative Cloudの新バージョンAdobe Creative Cloud 2018がリリースされ、Illustrator CC、InDesign CC、Photoshop CCなどが一斉にアップデートされました。
当社では、鋭意検証中ですが、1つ前のCC 2017ではUTF8特色の問題の発見が遅れた反省から、CC2018においては特に慎重に検証を行っており、サポートの可否については、検証終了後にこのサイトでお知らせ致します。
Illustrator CC2018では特色名の挙動はCC2015以前やCC2017.1.0と同等で、その問題はない様子です。
実業務への導入は、他の部分も含めて全ての検証が終わるまでお待ち下さい。
11月28日(火)にパシフィコ横浜で開催されるAdobe MAX Japan 2017のブレイクアウトセッションにてセミナーを行います。
最新情報はリンク先のWebサイトをご参照下さい。
■Adobe MAX Japan 2017
主催:アドビ システムズ 株式会社
日時:2017年11月28日(火)11:00~21:00
場所:パシフィコ横浜 (アクセス)
担当セッション:SESSION [mg2] 15:10 - 16:00
タイトル:「webと一緒に紙媒体も頼まれた!」 さぁどうする? - やさしく始めるwebデザイナーのための印刷講座
概要:「webと一緒に紙媒体も…」と頼まれたことはないですか? データ製作で印刷のスキルも意識できれば仕事の幅も表現の可能性も広がります。やけに印刷に詳しいDTPとwebのハイブリッドデザイナー田島ちはるさん(HUMORE)と 、印刷トラブルのデータばっかり見てる、むしろ、ちゃんと印刷できるデータを見ることの方が少ないDTP出力ソフトウェアの担当者が、やさしく楽しくご紹介します。
印刷サンプル:
このセッションでは、webデザイナーの皆さまにも「モノ作りとしての印刷」を実感いただく教材として、4名のデザイナーによる4枚の「しおり」を配布致します。
UVインクジェット方式によるデジタルオンデマンドのニス盛り箔押し機「Scodix」を活用した印刷サンプルとなります。
デザインにご協力頂いたのは以下の方々です。(敬称略)
・カワココ(イラレラボ)
・五十嵐華子(Design&DTPイッカラボ)
・よしだまあゆ(トゥーウェイズ)
・田島ちはる(HUMORE)
素晴らしいデザイン、ありがとうございました。
事前の参加登録を行う事で無料となります。昨年は、数週間で受け付け終了していました。参加予定の方は早めの登録をお勧めします。
twitterのハッシュタグは #maxjapan です。
<2018年3月14日追記>
この問題はEQUIOS / Trueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2018年02月07日|Adobe Creative Cloud 2018 (2) - サポート開始」を参照してください。
■概要(右図参照)
InDesignの画像配置のオプションで「背景を透明に」のチェック(右下図参照)がOffの場合に、配置されたデータの内部の画像オブジェクトが抜けるというAdobe PDF Print Engineの問題があることが分かりました。
台紙貼りなどの運用で「背景を透明に」をOffにする事がルール化されている場合は、以下情報を参照の上、運用変更をご検討ください。
透明の構造がさらに複雑で、発生頻度としては画像よりもさらに稀ですが、図形が抜けるケースもあります。根本の原因は同じで、「背景を透明に」のOnで回避できるのも同じです。
■「背景を透明に」がデザインに与える影響(下図参照)
・「背景を透明に」の設定がOnの場合
貼り込まれるデータのオブジェクトの無い部分は背景が見えて、貼り込まれるデータのオブジェクトが透明の部分は背景に透けます。
・「背景を透明に」の設定がOffの場合
貼り込まれるデータは、それ単独のデータとして分離(Isolate Groupと)して配置されます。貼り込まれるデータのオブジェクトは、背景には影響を与えず、オブジェクトない部分は白になります。
■発生条件(右図参照)
○発生バージョン
この問題は以下のバージョンで発生します。
・EQUIOS Ver5.00 EQ001以降
・EQUIOS Ver4.51 EQ120以降
・Trueflow SE Ver7.30 TF370以降
○発生手順
以下の全ての条件が揃った場合に問題が発生します。
a) 画像オブジェクトに2回以上の透明処理が行われるデータ
b) このデータをInDesignの配置オプション「背景を透明に」をOffで配置
データ的には対象となるオブジェクトに透明が設定されており、そのオブジェクトも含めてIsolateされていない透明グループを2階層以上敷いて、最下層でIsolateされた場合。
c) ここで使用する透明は描画モード「通常」以外の不透明度100%であること(不透明度100%以外では再現しない)
a) 画像オブジェクトに2回以上の透明処理が行われるデータは以下の様な場合に生成されます。
a-1) Illustratorで画像に透明を設定、.aiに保存。新たなIllustratorデータにその.aiを配置。その.aiに透明を設定。
.aiの代わりに透明の活きたPDFでも同様
a-2) Illustratorで画像に透明を設定し、別のオブジェクトとグループ化。そのグループに対してさらに透明を設定。
Adobe PDF Print Engineの問題とはいえ、当社での検証時にこの発生条件の問題が発見できなかった事は課題であり、今後さらに改善します。
■回避策
以下のいずれかの方法でこの問題は回避できます。
1) 「背景を透明に」のチェックはOnで作成
右図の様に「背景を透明に」のOnとOffではデザインが異なる。
「背景を透明に」の設定がOffの様なデザインを行う場合は、背景に白色の塗り図形を配置する。
2) 画像オブジェクトへの透明効果を1回以下にする
画像への透明効果の影響を1つ以下に変更する。
3) 入力処理においてPDF1.3化を行う
透明が分割統合され、透明がなくなるので、発生条件にならない
■留意事項
・この問題はAdobe PDF Print Engineの不具合であり、Acrobat表示では再現せず事前確認には使えない。
・EQUIOS/Trueflowで、TIFF出力やProofPDF出力によるカンプ確認で同様に再現する。カンプによる事前確認は可能。
■根本修正
現在この問題の修正に取り組んでいます。
状況に更新がありましたら、このサイトにてお知らせ致します。
■結論
Adobe CC 2017の当社RIPでの検証が完了し、下記の条件下でサポートOKとなりました。
1つ前の記事に書いた通り、Illustrator CC 2017.1では、特色名の記述はShift_JISつまりIllustrator CC 2015と同じに戻っており、そのバージョンでの検証を行いました。
合わせて、EQUIOSの最新バージョン Ver.5のアップデート(EQUIOS Ver5.00 EQ011)において、UTF-8の自動認識、Shift_JISへの変換を新たにサポートし、Illustrator CC 2017.0のデータとの混在にも対応しました。
(EQUIOS Ver5.00 EQ011には、EQ013も併せて適応してください)
■発生条件
・.aiネイティブをInDesignに貼る運用の場合は、問題は発生しない。
・発生条件はPDF書き出しプリセットの「Illustratorの編集機能を保持」がOffであり、編集情報を含めることができないPDF/Xであれば、ジョブオプションが当社製でも、Adobe純正でも、PDF/X-1aでも、PDF/X-4でも、Illustrator CC 2017.0であれば、特色名はUTF-8になる。PDF/X-3は知らないけど、きっと同じ
■留意事項
・【重要】このUTF-8の特色名が使用されたデータがInDesign(CC 2017でなくても)で配置された場合、PDF書き出し時に特色がプロセスカラーに変換されたPDFを生成することがある。(発生条件が特定できていません)
・この場合、InDesignから書き出した時点で既にデータ不正になっているので、EQUIOS側で補正する事ができない。
・内部に記述された特色名がShift_JISかUTF-8かは、一般的な方法では見分けがつかない。
・上記、EQUIOSでの対応は、あくまでもIllustrator CC 2017.0からダイレクトに書き出されたPDF/Xに対してのみ有効。
それ以外のAdobeアプリケーションではUTF-8にならない
■EQUIOSの最新バージョンでの追加的な対応について
Illustrator CC 2017.1では、元の仕様に戻りましたが以下の課題が残っています。
・Illustrator CC 2017.0は、リリースから半年以上経過しており、既に該当データが相応数拡散している
・PDFを見ただけでは特色名の文字コードの判別ができない。
・今後、いつ(InDesign CCともキチンと仲良く連携して)UTF-8に変更されるか分からない
これらの課題を改善するため、EQUIOSの最新バージョン Ver.5のアップデートにおいて、UTF-8の自動認識、Shift_JISへの変換を新たにサポートし、Illustrator CC 2017.0データの混在にも対応しました。
◎:特色の扱いはAdobe CC 2015と同等(Shift_JISしか存在しない)
○:UTF-8→Shift_JIS変換に伴う僅かな仕様上の制限あり
・Shift_JISにないUTF-8の文字があるとエラーにします
・Shift_JISとUTF-8のコード重複部分があると誤って自動判別する可能性
→特色名文字化け。(出力版は抜けない)
△:下記の条件下でのみ運用可能(非推奨・未検証)
・特色を使わない(プロセスカラー出力なのに特色スウォッチを使わない)
・特色名には英数字のみ使う(全角スペースも含め全角は使わない)
・Illustrator CC 2017からはPDFではなく.aiネイティブをInDesignに貼る
■Shift_JISに変換する対策のメリット・デメリット
今回のEQUIOS(Ver5.00 EQ011)では、入力処理において、UTF-8形式の特色名をShift_JISに書き直す、という対応を行いました。
内部の処理の全てをUTF-8に変更すると、レガシーな製品との連携や当社製ではない製品とのインターフェースへの影響が懸念されるために、この様な対応となっています。
UTF-8からShift_JISへの変換にはごく稀ではあるものの仕様上避ける事のできない制限がありますが、その制限が問題になる可能性は知らずにUTF-8形式のデータが入力され、不慮の事故になるよりも少ないと判断しました。
■Shift_JISに存在しないUTF-8文字を使用した場合
Illustrator、InDesignの各バージョンでPDF/Xを作成した場合の文字コードとAcrobatの分版プレビューとそのPDFをInDesignに配置した場合のスウォッチ上の表示を以下にまとめました。
PDFの作成バージョン、受け取り側のバージョンに応じて症状が変化し、トラブル発生の可能性が高くなります。
特色の名前にこの様な文字を使うことは控えましょう。
*1) Acrobatの分版プレビューは、UTF-8でもShift_JISでも化けずに表示できる
*2) 特色の扱いについてはInDesign 2015.4/2017.0/2017.1ともに同じ
*3) InDesignはPDF内部の特色名はShift_JISながら、UTF-8固有文字もサポート
Illustrator CC 2017.0はPDF内部の特色名はUTF-8ながら、UTF-8固有文字未サポート。
*4) Shift_JISに存在しないUTF-8文字だけの特色が2色ある場合の2色めは「グローバルカラー 1」になります
■まとめ
この問題は、発生頻度という意味では大きな問題ではないかも知れません。
実際に部材として.aiでもEPSでも一般的なPDFでもなく、わざわざPDF/Xを使うケースはそれほど多くなく、実害が出る可能性は高くないとも言えます。
しかし、PDF/Xも正しいPDFとして間違いはなく、見分けがつかないファイルを拡散させてしまった、という意味(当社にも一定数の実害の報告があります)において、今回の受け取り側の各種RIP製品(だけでなく、自社アプリであるInDesignや、「受け側としての」Illustrator自身でさえも含めて)の準備が整う前に、この記述だけを抜き打ちで変更した対応は不適切で、フォーマットを戻しただけでは取り返せない影響を残しました。
UTF-8への移行は、方向性としては間違っておらず、各社足並みを揃えて計画的に行う事と、受け取り側としては互換性に配慮し、Shift_JISもUTF-8も両方の混在を前提とした対応が必要です。
当社製品の国内販売会社である(株)メディアテクノロジージャパン(以下"MTJN")主催によるTrendSeminar2017 Summerが開催されます。
各日程についてはリンク先のWebサイトをご参照下さい。
■TrendSeminar2017 Summer
主催:株式会社メディアテクノロジージャパン
※無料ですが、事前申し込みが必要です。
全体の開催日程についてはMTJNの告知ページ「TrendSeminar2017 Summer」よりご確認下さい。
最初のセッションを株式会社SCREENグラフィックソリューションズが担当するのは以下の4会場です。それ以外の会場でもMTJNのスタッフが同じ内容を説明します。
当社製品の直接のお客様でなくてもご参加いただけます。申し込みの上、ぜひご来場ください。
日程 | 時間 | 開催拠点 | 場所 | 申し込み |
---|---|---|---|---|
6/15(木) | 13:30-16:30 (受付13:00) | 東京会場 | MTJN本社 (地図 PDF:279KB) ホワイトカンバスMON-NAKA | 定員に達したので締め切りました |
6/16(金) | ||||
6/20(火) | 13:30-16:30 (受付13:15) | 名古屋会場 | 栄ガスビル 5F キングルーム | MTJN名古屋支店にお問い合わせ下さい |
6/27(火) | 14:00-17:00 (受付13:30) | 大阪会場 | クリスタルタワー A会議室 | 定員に達したので締め切りました |
7/13(木) | 13:30-16:30 (受付13:00) | 東京会場 | MTJN本社 (地図 PDF:279KB) ホワイトカンバスMON-NAKA | 定員に達したので締め切りました |
7/19(水) | 13:30-16:30 (受付13:00) | 福岡会場 | 八百治博多ホテル 会議室AB | MTJN福岡支店にお問い合わせ下さい |
7/20(木) | 13:30-16:30 (受付13:00) | 京都会場 | SCREENホールディングス 本社 第1・第2ホール | MTJN京都支店にお問い合わせ下さい |
【お詫び】公開当初、このエントリーに記載していた「Acrobatの文章のプロパティの記述から、そのファイルがIllustrator CC 2017.0か、Illustrator CC 2017.1のどちらで作成されたものであるか見分る方法」は、現行バージョンでは動作しない事が分かりました、謹んでお詫び申し上げます。記事を訂正致しました。
■概要
2017年4月6日(木)にAdobe Creative Cloudのアップデートがあり、以下のバージョンがリリースされました。
・InDesign CC 2017.1リリース(Version 12.1.0)
・Illustrator CC 2017.1リリース (Version 21.1.0)
Illustrator 2017.1リリースでは、UTF-8のサポートを取りやめ、特色の振る舞いについてCC2015の仕様、つまり特色名をShift_JISで記述するように戻されています。
この対応により、当社ではAdobe CC 2017.0(Illustrator CC 2017.0.0/2017.0.1/2017.0.2とも)はサポート対象とはせず、Adobe CC 2017.1以降での対応に向けた検証を行う事にしました。検証が完了すれば、再度お知らせ致します。
<重要>
Illustrator CC 2017.0のデータであっても、PDFではなく.aiネイティブをInDesignに貼って出力する場合は、この問題は発生しません。今回、Illustrator CC 2017.0は検証しませんが、動作としてはそうです。
■今までの経緯
Illustrator CC 2017.0より、特色名がUTF-8形式で記述される様に変更になりました。
この現象は、PDFの書き出し設定の「Illustratorの編集機能を保持」のチェックが入っていない状態でPDFを書きだした場合でのみ、PDF内部に記述される特色名がUTF-8形式で記述されます。
つまり、PDFの書き出し設定の「Illustratorの編集機能を保持」のチェックがOnの状態(例えば、PDF互換で作成された.aiネイティブも含む)では、従来通りShift_JISで記述されます。
詳細は以下の過去の記事をご参照下さい。
2016年12月02日|Adobe Creative Cloud 2017 (2) - 特色名の表記がUTF-8に変更
2016年12月07日|Adobe Creative Cloud 2017 (3) - [続編] Illustrator CC 2017のUTF-8問題
■留意事項
今回のアップデートにより、Illustrator CC 2017.1では、特色の振る舞いについてIllustrator CC 2015同等の動作に戻りましたが、既に特色名がUTF-8(PDFの書き出し設定の「Illustratorの編集機能を保持」のチェックが入っていない状態)で作成されたPDFが存在しており、Illustrator CC 2017.0か、Illustrator CC 2017.1のどちらで作成されたとうか、一見しても見分けがつかないと思われます。
Illustrator CC 2017.0で作成された特色名がUTF-8で記述されたPDFは、たとえInDesign CC 2017.1に貼っても文字コードは修復されず、InDesign側で(プロセスカラーに変換されるなど)誤動作することが確認されています。
ほんと2017.0は無かったことしたいけど、そうはならないので留意が必要。
■当面の回避策
今後もアップデート前にAdobe CC 2017.0で作成されたデータの入稿があり、そのまま出力しないといけない状況もあると思われます。
当社では、Adobe CC 2017.1での検証を行っていますが、公式サポートのお知らせまでは以下の様な回避策をお試し下さい。
・CC 2017.0はサポート対象外となるので、まずCC 2017.1にアップデートする
・特色を使わないデータは大丈夫(でも、プロセスカラー出力なのに特色スウォッチを使ったデータはやっぱりダメ)
・特色名には英数字のみ使う(でも、全角スペースとか入ってたりするトラップがあるから…)
・Illustrator CC 2017からはPDFではなく(Shift_JISになるPDF互換で作成した).aiネイティブをInDesignに貼って出力
2017年2月10日のpage2017展クリエイティブゾーンセミナーにおいて、当社のセッション「もう逃げられない!安全なPDF/X-4 & APPE運用のススメ」を行いました、
このセミナーの後半に、ゲストスピーカーとして以下のお二方に現状の取り組みについてご紹介いただきました。その内容を中心にレポートします。
共同印刷株式会社
情報コミュニケーション製造事業部 製造技術部システム設計課
松永 英丈 様 (写真:左)
株式会社DNPメディア・アート
生産革新推進本部 生産革新推進センター
プリプレスソリューショングループ
車田 幸代 様 (写真:右)
セミナーの前半ではSCREENより、ゲストスピーチでお話し頂く、イマドキのデータ制作とPDF/X-4、APPEの技術的な背景についてご説明しました。この内容については、昨年のAdobe MAX Japanの内容とほぼ同じなので、以下のビデオアーカイブを参照してください。
・【Adobe MAX Japan 2016】
[YouTube]フォーマットの変更から広がる印刷の表現―今までの感謝を込めて、PostScriptどうもありがとう!」
この前半部分のポイントとしては以下の2点になります。
■PDF入稿もネイティブ入稿も許容し、着実に実績を増やす
・PDF/X-4、APPEに最適なデータ制作を推進し、データ入稿に対応
・PDF入稿だけでなく、ネイティブ入稿でもPDF/X-4に変換してAPPEに最適な安全なデータであることが重要
(制作側と印刷側で相談して決める)
・いきなり全面的な移行を行わず、個別案件ごとに相談しながら始めて着実に進めていく。
■最適なデータとは
・オーバープリントの設定が正しいこと
(オーバープリントの設定を活かし、自動墨ノセを行わない)
・透明の分割統合が行われていないこと
(EPS/PS/PDF-X-1aを使わない、ネイティブデータを貼る)
それ以外にも「ページ原点を正しく指定する」(アートボードツールを使うなど)、「特色は本当に必要な所だけ使う」などは時間の関係で省略しましたが、同じくらい重要です。
■共同印刷株式会社 松永 英丈 様
・松永さまから簡単に会社紹介がありました。「あまり知らないかも知れませんが…」(この業界で知らない人なんていませんが…)「少年ジャンプも刷っています。」と紹介いただきました。
〇松永さまの担当業務
・同社とそのグループ会社の製版から刷版までトータルに含めたワークフロー構築の責任者として従事されています。
・取引先や営業、製造現場まで含めて、安全な運用を守るための技術的な指導されています。
・松永さまはこのPDF/X-4への移行について「そろそろEPS運用を卒業し、Photoshop、Illustratorもネイティブ形式での運用が進んでいけばいいと考えています」と言われています。
以下、松永さまのスピーチの要約です
〇PDF/X-4の対応状況
・対外的なPDF/X-4入稿については、既に定期案件を中心にPDF入稿全体の1~2割程度対応を行っています。
・社内運用では古いアプリケーションのデータを除き既に2年ほど前からPDF/X-4運用への切り替えを進めています。
・共に「ノセ活き」「透明活き」の運用を実践しています。
・実際の運用の切り替えでは、協力印刷会社さまとOutlinePDF-Adv.の受け渡しを行っても、高い再現性が求められます。受け取り側RIPのバージョンが古いと出力結果が保証されないので、同じRIPシステムを使うだけでなく、バージョンやパッチの適応状況まで慎重に確認しています。
〇運用変更したきっかけと注意点
・PostScript系の運用は過去は安定していましたが、アプリケーションの高機能化やデータの複雑化より正しい結果が得られない事例が増え、それらのデータはAPPE処置だと正しい結果が得られることが多くなってきました。
・特にPDF/X-4運用では印刷側の運用と制作側のデータの両面の対応が必要で、SCREENやAdobeの協力も得ながら進めていきます。
・PDF/X-4の場合、含められたRGBデータが、意図通りなのか、変換忘れなのか判断できず、確認のため処理が遅れることがあります。
・PDF/X-4入稿の際は、データに問題ないか確認しますので事前に相談してください。
■株式会社DNPメディア・アート 車田 幸代 様
〇会社紹介
・幅広い業務内容の中から、撮影スタジオ、フォトレタッチ、複製原画(プリモアート)など同社の画像処理・フォトレタッチ技術を活かした事業展開が紹介されました、
〇車田さまの担当業務
・大日本印刷に入社後、プリプレスの技術担当として従事、その後、組織変更により、プリプレス業務はそのままにDNPメディア・アートの所属になり、現在もプリプレスワークフローのスペシャリストとして活躍されております。
以下、車田さまのスピーチの要約です
〇PDF/X-4への移行を行う上での壁となった原因
・制作時の出力設定や環境が不明で、見本としての(例えばCPSIによる)出力と、実際の(例えばAPPEによる)RIP処理結果に差異が発生するリスクや懸念がありました。
・透明が使われたデータなのにEPS保存されている。本来はネイティブを使わないと透明が活かせない。ストリークなどの原因になるデータがありました
・透明を活かすためには、制作だけでなく、製版から刷版まで一貫した運用管理を行う必要があります。RIPシステムやRIPバージョンが異なると、同じ出力結果が得られるとは限りません。一貫した運用管理が大切です。
〇なぜPDF/X-4の“壁”を打破することを検討したのか?
・透明効果が「あたりまえ」に使われる様になりました。
・品質を向上する(ストリークの発生を防くなど)
・データ処理を効率的にするには透明保持が必要になります
・透明を活かした運用には、各工程の留意点についても正しい理解が新たに必要となりますが、それ以上のメリットが得られると判断しました。
〇DNPメディア・アートの技術対応状況
・全ての処理がAPPEであることが前提となる「APPE完結処理ルート」運用を進めていきます。
・既に社内運用を始めています。
・今後、標準運用として水平展開を図ります。
・現時点においては、個別対応となるので、事前に問い合わせてください。
〇まとめ
・DNPメディア・アートでは入稿データ作成ガイドを準備しています。その作成ルールを事前に確認してください。
・データ作成環境をご確認ください。
・直近のPDF/X-4入稿、および特殊なケースは事前にご相談ください。
■アドビシステムズ株式会社 岩本 崇 様
・セッションの最後にアドビシステムズの岩本さまにもご登壇いただき、大手印刷会社さまが、新しい運用を推進していくことに大きな意義があり、AdobeとしてもSCREENと共にサポートを継続していきたい、とお話になりました。
セミナー直後に、Adobeから以下のレポートが公開されました。
・[Adobe Creative Station] プリプレスワークフローの変化、共同印刷とDNPメディアアートはPDF/X-4運用へ
■セミナー全体としてのまとめ
このセミナーにおいて、松永さま、車田さまにお話しいただいた意義はとても重要です。
透明を活かした運用への変更は、Mac OS 9、QuarkXPress、Illustrator 8からの「環境の移行」に続く、最大の「ワークフローの移行」が本格的に行われる事を意味します。
当日、現場で受講いただいた約210名(たくさんの立ち見のお客様がおられました。お疲れのところ申し訳ありませんでした)の方々だけが知っていても、その意義を十分に活かすことはできません。より広くさまざまな立場の方々に前向きに理解頂く事で、その効果が最大限に活かせると考えており、その努力を続けていきます。
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