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QuarkXPress 8.1における当社で確認した改良点および留意点には以下の様なものがあります。
■ページ原点のPostScript記述の追加
以前の記事「QuarkXPress 8のPostScript対応リリース延期」で説明していたように、TrueflowではQuarkXPressが出力するPostScriptからページ原点(仕上がりサイズ:TrimBox、裁ち落としサイズ:BleedBox)を求める際に、そのトンボ記述を認識する方法をとっていました。この方法の欠点として、QuarkXPressのトンボ記述のパターンが変わるとTrueflow側でもそれに応じた対応が必要でした。
このQuarkXPress 8.1では、それを改善するためにTrimBoxやBleedBoxの値をPostScriptのpdfmark(pdfmarkの説明はコチラ)という命令で記述されるようになっています。この修正により、トンボの記述パターンに変更があっても、処理系の修正の必要なしに対応できることが可能になります。
この修正に併せて、従来のパターン認識が反応しないように、僅かにトンボの記述パターンも変更されています。
■Illustrator ネイティブ貼り込みにおける「不透明マスク」の問題
Trueflow出力の手引き 第13版 P103に記載されている、Illustrator の「不透明マスク」機能を用いたデータが正常に出力できない問題について、「不透明マスク」が正常に出力できない原因は他にもありますが当社が確認していた以下の条件における問題は解決されています。
QuarkXPress 8.1までのバージョンでAIネイティブ形式を配置した場合において、Illustrator CS以前で作成した不透明マスクのオブジェクトが正しく出力できない場合がありました。この様なデータは、Illustrator CS2以上でOpen & Saveしただけでは修正できず、Illustrator CS2以上で不透明マスクを再設定する必要がありました。過去の記事「QuarkXPress 8における留意事項」にも同様の記載があります。
QuarkXPress 8.1ではIllustrator CS以前で作成された不透明マスクも正しく表示/出力されます。「不透明マスク」が要注意であることに変わりありませんが…
■Illustratorネイティブ更新時の問題
同じく「QuarkXPress 8における留意事項」に記載されている「Illustratorネイティブ更新時の問題」は残念ながら修正されていません。Mac OS XのFileVaultがOnの場合は、Illustratorネイティブ更新時にはファイル名を変えるなどして対策してください。以前の記事にも記載がありますが、回避方法は以下のいずれかの方法となります。
・FileVaultをOffにする。
・Illustratorネイティブ更新時にファイル名を変更する。
・更新時に別のディレクトリに移動する。
・更新時にQuarkXPressのプロジェクトを一旦閉じてから開き直してから画像の更新を行う。
■オンラインによるアクティブ化
QuarkXPress 8におけるオンラインアクティブ化は、インターネットにダイレクトに接続されている場合は問題ありませんが、Proxyサーバー経由の場合はhttp、httpsに対してport番号80で設定されている必要があり、それ以外の場合は正常にアクティブ化できません。Webサイト経由や電話などでのアクティブ化の手続きが必要です。
■出力スタイルファイルのアイコン
出力スタイルをファイルに書き出した時に、アイコンが付かなかった問題は修正されていますが、カラーセットアップを書き出した時のアイコンはまだ付きません。
■ウエルカムスクリーン
ウエルカムスクリーンに「期間限定のキャンペーン(~8/1)」などの8.0発売前の情報が表示されてしまう問題も、ネットワークさえつながっていれば修正されます。
先ほどの記事「QuarkXPress 8.1リリース(1) - 概要」では、QuarkXPressの透明効果オブジェクトがPDF書き出し時に分割統合せずに出力できることを掲載しました。
透明効果オブジェクトを分割統合せずにPDFに書き出す事ができる、ということは言い換えるとPDF/X-4の特徴の一つであるLive Transparencyで出力する事ができると言うことになります。
ただし、QuarkXPressにおけるこの透明サポート機能、3つの注意点があります。
これらの重大な注意点により、TrueflowではこのQuarkXPress 8から出力される透明を含んだPDFをサポートしません。従来通り、Trueflow出力の手引きに記載されているPDF/X-1a運用をサポートします。
また、PDF/X-1aであっても複雑な透明を含んだAIネイティブやPDFをQuarkXPressに配置する場合は、解像度設定に注意が必要です。
■透明が含まれたPDFはPDF/X-4ではない
QuarkXPress 8ではPDF/X-1a出力はサポートされているのですが、透明を含むPDFは出力できても、PDF/X-4の認証はできません。
■IllustratorネイティブやPDFに含まれる透明に対する解像度が一律
Quarkの発表した文章では「QuarkXPressの透明効果が…」とあります。これは、貼り込まれるIllustratorネイティブファイルやPDFに含まれる透明効果はLive Transparencyにならない、つまり分割統合されるという事を意味しています。しかも先ほどの記事のスクリーンショットにあるようにPDFおよびAIファイルに含まれる平滑化解像度は一律に一つの設定しかできません。デフォルトでは透明の関係する文字が300dpiになってしまいます…
■QuarkXPressはIllustratorネイティブやPDFの透明を解釈しない
この留意事項は、PDF/X-1a運用でも同じ症状となり、注意が必要です。
この問題は、QuarkXPress 8から存在した問題ですが、AIネイティブやPDFに透明が含まれている場合、そのデータをInDesignに貼った場合とQuarkXPressに貼った場合とでは出力が異なる場合があります。
例えば、貼り込まれるAIネイティブデータに透明効果オブジェクトが含まれる場合、InDesignはその透明を解釈し、貼り込まれたデータの下部にあるオブジェクトも透けて見えますが、QuarkXPressの場合は先に部品単位で分割統合してから下部のオブジェクトに重ねるので、貼り込まれるデータの透明オブジェクトは背景として「白」色と合成されることになり、下部のオブジェクトは透けて見えません。
InDesignの場合は、出力されるPDFの形式に関わらず部品内部の透明属性も解釈して合成されます。
1) InDesignの場合
下図のように、貼り込まれたAIネイティブやPDFの透明も、ベースページの色(M=50%)と合成されています。
2) QuarkXPress 8の場合
貼り込まれたAIネイティブやPDFの透明はベースページの色とは合成されませんが、QuarkXPressで記述された透明オブジェクトは当然ですが透明として合成されるので、AIネイティブやPDFと同じデザインでも出力結果は異なります。
QuarkXPress 8.1アップデータがリリースされました。
8/4(火)に更新されていました
このアップデータによる改良点について、QuarkはWebサイトで説明していますが、通常のアップデータでは更新されないような新しい機能も含む、大規模なものとなっています。
この中で「QuarkXPressの透明効果が適用されたオブジェクトを、PDFの最終出力時に平滑化(分割・統合)せずに出力できます。」という内容については特に留意が必要です。TrueflowではQuarkXPress 8.1の、この機能が使われたPDFをサポートしません。従来通り、Trueflow出力の手引きに記載されているPDF/X-1a運用をサポートします。
この留意事項も含め、アップデータの内容の詳細については、別の記事として後日お知らせいたします。
「縦書き文字に透明効果で文字が欠ける問題」「縦書き文字に透明効果で文字が欠ける問題(2) - Adobe情報」
のトラブルに関して、さらに注意事項があります。
Adobeのサポートデータベースでは、問題が発生しているPDFをInDesign CS4またはIllustrator CS4に配置した場合でも、同じ問題を確認できるつまり同じ問題が発生する、と書かれています。では、具体的にどの様な問題が発生するのでしょう?
■具体的な症状
この問題の本質は、PDFの記述には問題はなく、それをAcrobat 9が解釈して表示する部分に問題があると「縦書き文字に透明効果で文字が欠ける問題」で説明しました。
これが、InDesign CS4やIllustrator CS4にも同じ問題があると言うことになります。
言い換えるとこれらのアプリケーションがPDFを読み込んで解釈する時に、縦書きの透明とオーバープリントの設定によりPDF/X-1a出力の分割統合によって生成されたテキストクリップの位置を間違って解釈してしまいます。
その結果、InDesign CS4やIllustrator CS4の画面上の表示も文字が欠けた状態で表示されます。この時点で気付きましょう
その上、PDFの書き出し側には問題がないので、InDesign CS4やIllustrator CS4によって間違って解釈されたこのオブジェクトは、そのままあたかも元から文字が欠けたデザインであるかの様に取り扱われ保存されます。
この様な処理を行われた結果、そのInDesign CS4やIllustrator CS4ドキュメントから生成されたPDFはもちろんPostScriptでも、もはや処理系、つまりAcrobatのバージョンやRIPのバージョンに関わらず、文字が欠けた状態で出力されます。
読み込まれるアプリケーションがCS3系以前の場合では、解釈の問題はなく、仮に元のPDFがCS4系で作成されたものであっても、正常に表示/出力されます。
■出力における注意事項
この問題は、AcrobatだけでなくRIPのバージョンによっても出力結果が異なる事が考えられます。その様な場合、Acrobat 8以前では問題なく表示できていたPDFが、RIP演算の結果文字が欠けて出力されるという事故が発生する可能性があります。
Trueflow SEでは、最新演算系や従来演算系など処理系に関わらず問題なく出力できます。
■まとめ
上図のPDF(A),(B),(C)のそれぞれにおけるPDF処理系による演算結果を表にしました。
重要なことは、たとえ問題の発生しない処理系を用いても、CS4系アプリケーションでPDFを配置した場合、元のデータが書き換わってしまい、同様の問題が発生してしまうということです。
もし、縦書き文字に透明とオーバープリントの両方が設定されるようなデータの場合、データの作成方法や処理系の挙動を理解し対策する事で、正しい出力を得ることができます。
繰り返しになりますが、この問題はあくまでも「オーバープリント」+「透明」の両方が同時に指定された「縦書き」文字の場合にのみ発生する特異な問題であり、通常の使用におけるAcrobatの再現性について全面的に否定するものではありません。また、この問題の発生条件も回避方法も明確になっています。
以前の記事「縦書き文字に透明効果で文字が欠ける問題」でお知らせした問題について、Adobeのサポートデータベースに「文章番号235814 縦書き文字に透明効果とオーバープリントが適用されているとAcrobat 9で文字が欠ける(Illustrator CS2-CS4/InDesign CS2-CS4)」が掲載されました。
この記事では、問題が発生しているPDFをInDesign CS4またはIllustrator CS4に配置した場合でも、同じ問題を確認できるつまり同じ問題が発生する、と説明しています。
<Acrobatによる出力の事前確認の推奨>
この問題はあくまでも「オーバープリント」+「透明」の両方が同時に指定された「縦書き」文字の場合にのみ発生する特異な問題であり、通常の使用におけるAcrobatの再現性について全面的に否定するものではありません。また、この問題の発生条件も回避方法も明確になっています。
OutlinePDFおよびOutlinePDF Advanceを含む全てのPDFを出力前に確認するためにAcrobatを用いる事は、事前の問題発見のために有効です。
Acrobatの表示は非常に高い精度で出力を再現しますが、いくつかのバージョンでは、まれに再現の違いがでることがあります。AcrobatでPDFを確認する際は、再現の違いがでる条件を把握した上で確認することが重要であり、この問題もその一つであると言えます。
これ以外に、PDFをAcrobatで確認する際に必要な留意事項として、以下の3点が確認されています。
「InDesignCS2〜CS4での合成フォントの問題」
→Acrobatでは正常に表示できていても、条件が合致すると問題が発生します。
「InDesignCS3/4の「効果」で出力が不正になる」
→Acrobatでの表示上では見えている効果が、条件が合致した場合、出力すると消えます。
「AdobeCS系のカラー設定と透明効果」
→「透明の変換用カラースペース」はAcrobatではシミュレーションされません。この問題を自動的に補正するTrueflowのパッチが適応されていないと、出力で問題が発生します。
■問題の概要
InDesign CS2~CS4とIllustrator CS2~CS4において、縦書きの文字に透明効果を適用して、PDF/X-1形式で出力すると、Acrobat9で表示すると文字が欠けて見えるという問題が見つかりました。Acrobat8以前では問題は発生しません。
■発生原理
Acrobat 9において、下記の再現条件の全てが揃った場合に、テキストクリップの文字配置の座標計算に誤りがある様で、文字の位置がずれます。
しかし、透明の分割統合によって生成される背景画像や文字全体のクリップの位置は変わらないので、文字が欠けたように見えています。
なお、InDesign CS以前やIllustrator CS以前では、同様のデータを作成してもテキストクリップは使用せず、文字をアウトライン化してその図形でクリップしているので問題は発生しません。
この問題は、分割統合処理におけるテキストクリップの扱いという意味では、以前の記事「InDesignCS2~CS4での合成フォントの問題」に類似していますが、以下の点で異なっています。
・合成フォントの問題は、解釈が曖昧なPDF記述にも問題があったが、今回の問題はInDesignの出力するPDFは正常。
・合成フォントの問題は、Acrobat 9で期待通りでPDFの規格とは異なる結果となるが、今回の問題はAcrobat 9で問題発生。
■再現条件(全て揃った場合のみ再現)
現時点で確認できているこの問題の再現条件は以下の通りです。
・InDesign CS2~CS4またはIllustrator CS2~CS4
・縦書き文字
・文字に透明+オーバープリント設定(InDesignでは環境設定がデフォルトの場合、[黒]スウォッチ100%は自動的にオーバープリントになります)
・PDF/X-1a形式
■回避策(どれか一つで回避)
以下のいずれかの方法でこの問題は回避できることを確認しています。
1) PDF/X-4形式で出力
2) 縦書きの文字を用いる場合には、透明効果は影響を及ぼさない範囲で使用する。
3) 縦書きで透明が必要な場合はオーバープリントとの併用を避ける(環境設定も配慮する)
4) 文字をアウトライン化 してから出力を行う。
<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。
以前の記事「InDesignCS2~CS4での合成フォントの問題」でお知らせした問題について、Adobeのサポートデータベースに「文章番号235553 書き出した PDF ファイルを Acrobat 6.0/7.0 で開くとテキスト上に帯が表示されるまたは印刷される(InDesign CS3/CS4)」が掲載されました。当社ではCS2でも同じ問題がある事を確認しています。
以前の記事ではスペース文字としか書いていませんでしたが、全角スペースでは発生せず、半角スペースのみで発生する事も明記されています。
また、確認方法としては古いAcrobatではなく、Illustrator CS4でPDFを開くことでも確認することができる、とあります。
この文章によると、以下の回避方法が提案されています。
・透明の分割・統合プリセットを新規で作成し、「全てのテキストをアウトラインに変換」にチェックをする。
・テキストフレームの階層を透明オブジェクトの上に変更する
・PDF1.4以降の透明をサポートする形式で書き出す
・合成フォントを使用しない
・PostScriptファイルへ書き出しを行う
・半角スペースの文字カラーを [なし] で置換する
このAdobeのドキュメントに回避方法の詳細が記載されていますので参照して下さい。
関連ドキュメントとして、「文書番号 235048 オブジェクトに効果を適用して書き出した PDF ファイルでは正しく出力されない(InDesign CS3/CS4)」が記載されています…
[第13版] [透明効果] [InDesign] [お知らせ] | 固定リンク|<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。
以前の記事「RIPのメモリ消費量を少なくする編集」でお知らせしていたTrueflowのパッチが公開されました。
以下のTrueflowの2バージョンに対するパッチがTrueflowテクニカル・ウェブ・サポート(*1)からダウンロード可能になっています。
・Trueflow SE Ver5.01 TF159
・Trueflow SE Ver6.01 TF106
このパッチにより、Error during transparency atomic region processingと表示されるエラーの問題を改善します。
処理速度と演算の安定性向上のために、透明効果の適正使用と使用状況の確認が重要である事に変わりありません。
改善を有効化するためには設定変更も必要です。詳しくはリリースノートを参照して下さい。
Adobe PDF Print Engineを用いる処理ルートでの修正なので、Ver5.0未満のバージョンには関係ありません。
(*1)Trueflowテクニカル・ウェブ・サポートとは、登録されたお客様がサポート情報の閲覧、パッチのダウンロードなどを行えるTrueflowユーザー様向けのサービスです。ご登録を希望される方は弊社営業にお問い合わせ下さい。
<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。
Adobe PDF Print Engineは透明をそのまま演算できるRIP技術ですが、やはり透明の影響範囲が大きいデータでは、システムのメモリ状況に応じて、演算速度が遅くなったり、メモリ不足でエラーになるケースが発生することが確認されています。これは、以前より存在していたはずの問題ですが、近年PDF/X-4の運用が増えてきたことにより、表面化してきました。
■無意識に指定される透明
一般的なデータでは、そこまでメモリを逼迫することは少ないのですが、時として透明を使用していないつもりでも、出力されたPDF上で気付かぬうちに透明オブジェクトがみつかる場合があります。
ドロップシャドウやぼかしなど、明示的に「透明」を使っていなくても効果を得るために透明が使われる事は、Trueflow出力の手引き 第13版 P7でも説明している通りです。
これらの透明は「必要性のある透明」と言えます。
■不要なのに透明を使ってしまう場合
最近よく使われる様になってきたPhotoshopネイティブファイル(.psd形式)を配置する場合にも、画像全体が透明オブジェクトになってしまう場合があります。
具体的にはPhotoshopでレイヤーを使用しており、レイヤー名「背景」が含まれていない場合、画像全体が透明オブジェクトになってしまいます。レイヤーパレットにおいて、レイヤー名「背景」が表示状態である場合は、そのpsd画像は透明ではありませんが、たとえレイヤーが1つしかない場合でも、それが「背景」でない場合は、本当は必要ない場合も含めて透明オブジェクトになってしまいます。
もちろん、レイヤー効果を得るためだったり、切り抜きエッジを滑らかになじませるためなどの理由で、あえてPhotoshop上で市松模様で表示される透明部分を指定する様な場合は仕方がないのですが、その必要のない画像例えば色調の調整やサイズ変更のためだけにPhotoshopを使用している場合などに関しては、その透明は「必要性のない透明」です。レイヤーパレットのメニューにある「画像を統合」処理を行う事で、透明にならない「背景」のみのpsdファイルが作成できます。
ただし、このオペレーションはネイティブファイル上でのレイヤー情報も破棄されてしまいますので、レイヤーが必要な場合には出力用とは別に編集用のネイティブを残しておく必要があります。
状況を正確に把握するためにTrueflow出力の手引き 第13版 P13の「透明の確認方法」にある手順で、どの領域が透明に指定されているか、あらかじめチェックしておくことが重要です。
■それでもメモリ不足になる場合
残念ながら、上記の様な確認を行い、不要な透明を含まない様に編集した場合でも、デザインの内容や、RIP上のメモリ状況などによって、メモリ不足となってしまうケースが確認されています。
その場合、Trueflowのエラー詳細情報には以下の様なメッセージが含まれています。
Error during transparency atomic region processing
これは、微細領域(atomic region)の透明処理においてエラーが発生していることを示していますが、実際には処理のためのメモリ不足に起因していることが分かってきました。
■Truflow側での改善
もちろん、この問題はLive TransparencyなPDF/X-4の運用で発生するので、事前に透明処理が済んでいるPDF/X-1a形式であれば発生しません。しかし、それではせっかくのPDF/X-4+Adobe PDF Print Engineの継ぎ目のない透明処理、高品位なRGB運用や文字品質などのメリットを活かしきることができません。ちなみにAdobe PDF Print EngineはPDF/X-1aの処理も高速です
Trueflowではこの問題に対して、Adobe PDF Print Engine自体の修正ではなく、その使い方を工夫することで、処理の改善を行います。この改善により、現在までに報告された同様の問題の現時点では、1つのファイルで確認された例外と、極端に複雑な一部のデータを除きほとんどが正常に処理できる様になることを確認しています。
上記の様なエラーメッセージでエラー終了する事がある場合、以下に記載した近日公開予定のTrueflowパッチの適応をお勧め致します。
■対応Truflowバージョン
以下のTrueflowの2バージョンに対するパッチが近日(5月中旬頃の予定です)Trueflowテクニカル・ウェブ・サポート(*1)からダウンロード可能になる予定です。ダウンロード可能になりましたら改めてこのサイトでも即日お知らせ致します。
・Trueflow SE Ver5.01 TF159
・Trueflow SE Ver6.01 TF106
改善を有効化するためには設定変更も必要です。詳しくはリリースノートを参照して下さい。
Adobe PDF Print Engineを用いる処理ルートでの修正なので、これ以前のバージョンには関係ありません。
(*1)Trueflowテクニカル・ウェブ・サポートとは、登録されたお客様がサポート情報の閲覧、パッチのダウンロードなどを行えるTrueflowユーザー様向けのサービスです。ご登録を希望される方は弊社営業にお問い合わせ下さい。
お知らせ
今回の記事をきっかけに、カテゴリー「透明効果」を追加し、過去のいくつかの記事の属性に追加しました。
<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。
■問題の概要
合成フォントが使用されたInDesignCS2~CS4のドキュメントからダイレクトにPDF/X-1aを出力し、Acrobat 7とAcrobat 9(やAcrobat 8)で表示させると、表示上の差違が発生する場合があります。Trueflowでも従来の演算系で同様の問題が発生することがあります。症状から見るとAcrobat 8以降で問題が修正された様に見えますが、この問題の本来の原因はInDesignが出力するPDFの記述にあり、PDFの規格としてはAcrobat 7やTrueflowでの出力結果の方が正しい(がInDesignでの表示とは異なる)事が分かっています…
…とは言っても、印刷としてはAcrobat 9での表示、つまりInDesignで見た通りの出力が得られないと、問題になる事は言うまでもありません。まずは、この問題の発生条件と、その仕組みについて理解しておくことが重要です。
■再現手順
この問題は、図の様に合成フォントで定義された書体を用いる場合に発生することが確認されています。発生のためには、以下の全ての条件に合致する必要があります。
・合成フォント
・書体に影響を与える透明効果がある
・PDF/X-1aまたはPDF1.3互換で出力をする
・文字列にスペース文字が含まれる
こうして作成したPDF/X-1aは処理系によって出力が異なる不確定要素を持ったPDFになり、Acrobatのバージョンや、CPSI、Trueflowの従来処理やTrueflowのAdobe PDF Print Engineなどによって、得られる出力がこの2通りのいずれかに分かれます。
期待される出力は、もちろんInDesignで見た通りの出力です。
■なぜ期待通りの出力にならないか?
この様なデータが透明が許可されないPDF/X-1aに出力された場合、データ記述上はどうなっているのでしょうか?
・文字の透明効果は、背景となる矩形の画像を合成し、文字の形状で、その画像をクリップすることで表現されています。
・PDFでは、このクリップ処理をテキストクリップ(/TextClip)で記述します。
・問題になるのは、PDF書き出し時に、文字の形状が存在しないスペース文字に対しても、背景画像に対するクリップを定義してしまう事です。
・PDFの規格では、テキストクリップについて「グリフが1つも表示されない場合、または表示されたグリフがアウトラインを持たない(言い換えれば、スペース文字である)場合、クリッピングは発生しません。)」 と記載されています。
・つまり、背景となるはずの矩形の画像は生成されるが、その画像に対するクリップは発生しない事になり、生成された画像がそのまま描画され、矩形の画像が現れます。これが他の文字を隠してしまいます。
■当面の対策
以下のいずれかの対策でこの問題は回避できます。
1) 合成フォントを前提で編集を行う場合には、透明効果は影響を及ぼさない範囲で使用する。
2) TrueflowのAdobe PDF Print Engineを用いるルートで処理をする。(PDF/X-1aでもPDF/X-4でも)
3) Trueflow従来演算処理を使用する場合は、PDF/X-4形式で入力する。
<注意>この問題はInDesignCS2~CS4で「合成フォント」の機能を使わない場合は発生しませんので、原因の異なる問題には上記対策は有効ではありません。
■まとめ
・PDFを規格通り正しく処理すると、Acrobat7以前やTrueflowの従来演算の出力のようになります。つまり、PDF処理としては正しいが、印刷物として期待通りではない、という結果になってしまいます。
・本来はInDesignのPDF出力を修正し、合成フォントでも、通常のフォント指定と同じ様に出力されれば、RIPやAcrobatの違いによる、出力の差違を避けることができるはずです。
・この問題の各々の処理系の挙動は以下の通りです。
InDesignの表示通り PDFの規格とは異なる:Acrobat8/9、Trueflow最新演算(Adobe PDF Print Engine)
PDFの規格通り InDesignの表示とは異なる:Acrobat4~7、CPSI、Trueflow従来演算
・合成フォントの場合でも通常のフォントと同じ様に、適切なPDFで出力されれば、全ての処理系で「PDFの規格通りで、InDesignの表示通り」になります。
[第13版] [透明効果] [InDesign] [解説追加] | 固定リンク|前へ| 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 |次へ
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