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2009年02月26日 | 「白ノセ」トラブルを解決する(1)

WhiteOP1.png
まず、「白ノセ」オブジェクトが消えてしまうというトラブル事例は、現在でもよく聞きますが、なぜ「白ノセ」は消えてしまうのでしょうか?
以前の記事「オーバープリントを正しく理解する」と「オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響」では、上部のオブジェクトに0%の「版」がある場合は、その「版」に関しては下部のオブジェクトが透けて見える、のがオーバープリントであると説明しました。
「白ノセ」オブジェクトが消えてしまう事も同じ原理で説明できます。
「白」は全ての版が0%になります。ここではDeviceCMYKの場合を例にしています
この「白」にオーバープリント指定された場合、全ての版が透ける事になり、結果上部の白のオーバープリントオブジェクトは消えてしまいます。
白ノセのトラブルは、文字が消えるなど深刻な印刷事故の原因となりますが、オーバープリントの挙動としては正しく、これも「データ通りの出力」と言えます。
オーバープリントプレビューを活用して事前に確認しておく事が重要です。
WhiteOP2.png

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2009年02月12日 | 文字か消える問題を回避する

FontDownload.png
発生頻度としては極めて希ですが、AdobeCS系のアプリケーションからPostScript出力をする場合に、文字単位で消えて出力されないという問題が発生する事があります。
この問題は、そのPostScriptをDistiller 8以前で処理しても再現させる事ができます。同じPostScriptでもDistiller 9では発生しません。
この様な場合、同じドキュメントでもアプリケーションからダイレクトにPDF出力することで、問題を回避する事ができます。
もちろんTrueflowでは「最新PDF処理」で処理する事がオススメですが、「従来PS/PDF処理」でも回避できます。
どうしてもPostScriptで出力をしなければいけない場合(どんな場合だろう?)には、プリントダイアログの「グラフィック」→「フォント」→「ダウンロード」の設定として標準的な「サブセット」から「完全」に変更する事で、問題が回避できる場合があります。
ただし、この「完全」の設定は、一般的にはあまり使用されておらず、実績が十分とは言えませんし、当社でもこの設定での十分な評価は行っていません。
いざと言う場合の最後の手段として試してみる価値はあるかも知れませんが、この設定は推奨できません。
PDFにダイレクトに出力する事が、この問題を回避するための推奨運用になります。

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2009年02月02日 | InDesignCS3/4の「効果」の問題(Adobe情報)

<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。

以前の記事「InDesignCS3/4の「効果」で出力が不正になる」でお知らせした「べベルとエンボス」、「シャドウ(内側)」、「光彩(内側)」、「サテン」が使われていると出力が不正になる問題について、Adobeのサポートデータベースの文章番号235048が掲載されました。

InD_effect.png

「ドロップシャドウ」、「光彩(外側)」、「基本のぼかし」、「方向性のぼかし」、「グラデーションぼかし」などの効果は問題ありません。

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2009年01月29日 | AdobeCS系のカラー設定と透明効果(つづき)

<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。

ColorError.png以前の記事「AdobeCS系のカラー設定と透明効果」でお知らせした透明の領域の色がおかしくなる問題について、以下のTrueflowのバージョンの「最新PDF処理」つまりAdobe PDF Print Engineを使う処理において、回避措置を組み込みました。

■対応Truflowバージョン
・Trueflow SE Ver5.01 TF155以降
・Trueflow SE Ver6.00 TF035以降
最新PDF処理における対応であり、Trueflow Ver4.01以前のバージョンは含まれません。

■内容の詳細
この対応は、Adobe PDF Print Engineでの処理を行う前に、つまりTrueflowの「入力処理」において透明に対するICCプロファイル(ICCBasedCMYK)を「DeviceCMYK」に書き換えることで、この問題を強制的に回避します。
この回避措置は、多くの同じ原因の問題に効果がありますが、完全ではありません。
完全な回避方法は、正しくデータを作ることであり、PDFの記述通り、つまり透明効果に付加されたICCプロファイルを書き換えず、そのままの処理が必要になる事も(必要性は低いですが)あり得ます。Trueflowの推奨設定であれば、この様なケースはあり得ませんが、そもそもこの問題は発生しません。
元々、Trueflowでは透明の関係しない個別の画像オブジェクトに関しては、ICCBasedCMYKからDeviceCMYKへの書き換えを行っていましたが、透明分割時のICCプロファイルに関しては、イラスト系オブジェクトにも影響のある別の記述であったために、この処理は行っていませんでした。
今回の対応では、透明に対するICCプロファイルも書き換えた方が、遙かに高い確率でトラブルを回避できることから、この様な対応をおこなっていますが、システム設定の変更によって、このICCプロファイルを書き換える対応を行わない従来通りの処理に戻すことも可能です。

この問題に関しては、Adobeのサポートデータベースの文章番号233382に詳しい情報が掲載されています。

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2008年12月12日 | InDesignCS3/4の「効果」で出力が不正になる

<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。

■症状
InDesignCS3以降でサポートされた「効果」の内、以下のものを使用し、対象となるオブジェクトが回転されていると出力が不正になる場合があります。InDesignCS4でも発生します。
・べベルとエンボス
・シャドウ(内側)
・光彩(内側)
・サテン

■技術的原因
これらの効果で作成したPDFは、Acrobat上では問題ない様に見えますが、PDF処理系統に問題があり、何らかの「PDFに関わる操作」が行われると問題が表面化します。
容易に再現を確認する方法として、AcrobatのTouchUpオブジェクトツールで対象となるオブジェクトを僅かに移動します。この操作によって内部で「PDFに関わる操作」が行われ、効果の部分が大きく変化します。
Trueflowでも、自動製版やカラー変換など、設定によってはPDFを操作する場合があり、同様の問題が発生します。

■回避方法
回避方法としては、以下のいずれかの方法が考えられます。

1) 同様のデザインをIllustratorで行い、InDesignで配置して出力
 →この方法であればInDesignを経由しても問題は発生しません。

2) PDF/X-1a出力をすることで、効果を画像化しておく
 →Adobe PDF Print Engineの品質上のメリットは活きませんが、データには手を加えずに、すぐに出力することが可能です。

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2008年10月31日 | AdobeCS系のカラー設定と透明効果

<2010年7月27日追記>
この問題はTrueflow側での対策が完了しています。
詳細は記事「2010年07月27日|7つの問題の対策、完了しました」を参照してください。

ColorError.pngAdobe CS系のアプリケーションで、印刷結果で右図の様に透明の領域の色がおかしくなった事はありませんか?
この問題はTrueflow出力の手引きを参照し、Trueflow印刷ユーティリティを用いて出力していれば発生しない問題です。
では、この様な問題が発生するPDFは、通常のPDFとどこが違うのでしょうか?

OutputPreview.png■データ上の違い
PDFには「透明の変換用カラースペース」(Transparency Blending Color Space)という項目が定義されています。これは、Acrobat 9であれば「出力プレビュー」や「分割・統合プレビュー」で確認する事ができます。
問題の発生しない、Trueflow出力の手引き通りに作成したPDFでは、ここが「デバイスCMYK」となっています。
しかし、問題の発生するPDFでは、ここが「デバイスCMYK」以外の設定日本国内の設定ではほとんどの場合「Japan Color 2001 Coated」になっています。

■Acrobatでの留意事項と対策
この様な出力結果は、RIPからすると「データ通りの出力」なのですが、Acrobatの表示ではこの「透明の変換用カラースペース」の設定に応じたシミュレーションはせず、問題のない様に見えてしまうので注意が必要です。
この色が変わってしまう問題は、RIPでの透明効果の合成処理において、この間違った「透明の変換用カラースペース」の設定に依存して発生する問題であり、推奨設定では発生しません。しかし、PDF書き出しの時の問題なので、PDF入稿、特に透明の活きた(Live Transparency)PDF/X-4形式の入稿の場合は、Acrobat 9を用いてこの設定が「デバイスCMYK」である事を確認しておく事をお勧めします。
<2008/11/19訂正>確認はAcrobat 8の出力プレビューでも行えます。

■影響のある設定項目
Trueflowの推奨設定のどの部分を変更すると、この様な問題の発生するPDFが作成されるのでしょうか?
Trueflowの推奨設定では下図の様に「色分解」の設定で「カラー変換なし」になっています。このまま出力すれば問題ないのですが、これを「出力先の設定に変換(カラー値を保持)」に変更して出力すると、この問題に該当するデータになってしまいます。
この設定にした場合、PDF/Xの規格によって、プロファイルはCMYKオブジェクトにも埋め込まれてしまいます。
図はInDesignでのPDF書き出し設定ですが、Illustratorでも同様の設定があり、設定を誤れば同じ問題が発生します。

それ以外のAdobeCS系のカラーに関する留意事項としては、Trueflow出力の手引き 第12版 P4の「透明ブレンド領域」やP104~106で説明している「カラー設定の同期」なども正確に設定しておく事が重要です。これは、RGBワークフローの場合にのみ重要なのではなく、この例の様に通常のCMYKでの出力にも影響します。

joboptions.png
この「透明の変換用カラースペース」の設定は、Acrobat 9の「出力プレビュー」では見るだけですが、「分割・統合プレビュー」では変更する事も可能です。しかし、Acrobatでの修正はそれ以外の問題の発生の可能性もあり、お勧めできません。

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2008年09月04日 | PDFのトンボ情報

Trueflow出力の手引き 第12版のP38~P40にある塗り足しに関する補足情報です。
Trueflowでは、以下の情報、留意事項に基づき、原則TrimBoxによる原点指定を推奨します。
対応アプリケーション以外では、従来の方法で出力してください。

IdiomRecognition.gif■デジタルトンボ
デジタルトンボ(造語です)とは、PDFに記述されるTrimBox(仕上がりサイズ)、BleedBox(裁ち落としサイズ)等のトンボと同じ様な役割をもった情報の事です。
Trueflowでは、これらの情報を基に面付け処理などを行う非常に重要な情報です。
通常はこれらの情報を見る事はできませんが、Trueflow出力の手引き 第12版のP39「Acrobat 7 / 8 / 9での確認方法」の設定変更により見える様になります。
Trueflow出力の手引きでは、一部の例外を除きAcrobat 6以前について言及していません

■TrimBox、BleedBoxの対応状況Trueflow出力の手引き 第12版 P38
Trueflowでは、InDesignCS、IllustratorCS、QuarkXPress 6.5(6.5はPSのみ)以降の全てのバージョンにおいてTrimBoxをページ原点とする入力をサポートしています。

※この図は概念のイメージです。

■PostScript入力の場合
本来、TrimBox、BleedBoxはPDF固有の情報のはずですが、Trueflow出力の手引き 第12版 P39の表ではPS入力の場合のサポート状況も書いてあります。これは、どういう事でしょう?
Adobe CS系のアプリケーションが出力するPostScriptには、「PDFになった時にこの情報を付加する」という命令(pdfmark)でTrimBoxやBleedBox情報が含まれており、Trueflowはそれを利用します。
また、QuarkXPressの場合は、トンボを付けて出力したPostScriptから、TrimBoxやBleedBoxを求めています。従って、トンボを付けずにPostScriptを出力すると正しく原点を取り込む事ができません。
これは、Acrobat Distillerでも同様の仕組みを持っており、欧米版のQuarkXPress 6.5までで作成した欧米式トンボの付いたPostScriptをDistillerで処理をすると、作成されたPDFにはTrimBoxやBleedBoxが含まれています。
Trueflowでは、欧米版のQuarkXPress 7以降、日本語版のQuarkXPress 6.5以降が作成したPostScriptにも対応しています。

■デジタルトンボと精度
従来の面付け処理における基準点の設定方法としては、ページの中央合わせなどの方法が用いられてきました。
これに代わって、デジタルトンボを基準として面付け処理を行うと、どの様なメリットがあるのでしょうか?
PosrScriptは全てポイント系で表現されています。つまりRIP内部でもインチ系で演算されているのです。
従来の中央合わせの場合、Bleed(塗り足し)込みのPDFを作成し、用紙サイズから中心を求め、Bleedと仕上がりサイズを考慮したオフセット計算を行いページ原点が得られます。
つまり、与えられた用意サイズ、オフセットなどがメートル系の場合、それらの計算において、どうしてもmm-inch変換の影響で演算誤差が発生します。これは累積誤差となるので、「中央を求める」「オフセットをかける」などの演算を重ねるごとに誤差が大きくなり、最悪の場合この影響で面付けのページ付け合わせの部分にスジが入ったりする場合があります。
もちろん、デジタルトンボにもmm-inch変換の誤差はありますが、その演算はよりシンプルなので、理論的に誤差は少なくなるというメリットがあります。
製版処理において、用紙サイズなどの単位もポイントで指定される事が多いアメリカでは、問題になる事が少なかったと思われます。

■留意事項(1) - InDesign 2.0.2から作成したPSを使用する場合Trueflow出力の手引き 第12版 P95
InDesign 2.0.2ではPS上に書かれた記述に誤差があり、BleedBoxがMediaBoxよりも大きく(つまり用紙サイズよりも塗り足しサイズの方が大きい)なり、PDF/Xのチェックに適合しない場合があります。
トンボを付けるなどの方法で、用紙サイズを大きくする事で回避できます。
この問題はInDesignCS以降では発生しません。
しかし、手引きに書いてあるもう一つの回避方法である、「別のバージョンに変換」を行う事により、確かにこの問題は発生しませんが、文字のリフローなど別の問題が懸念されるので、上記の用意サイズの調整による回避方法をお勧めします。

■留意事項(2) - Illustrator CSのArtBoxに関する注意事項Trueflow出力の手引き 第12版 P40
Illustratorでも(QuarkXPressやInDesignに貼らなくても)用紙サイズに基づいた仕上がりPDFを作成する事ができます。
この場合、Illustrator CSでは、クリップで見えないオブジェクトも含むArtBoxが定義され、それを内包するMediaBoxつまり用紙サイズが定義されてしまうので、TrimBoxを原点として処理する必要があります。

■留意事項(3) - QuarkXPress 3.xや4.xの場合
以前の記事「QuarkXPress3.xや4.xのトンボ」にもある通り、QuarkXPress3.xや4.xのトンボは、ポイント単位で切り捨てられ、最大1ポイントのずれがあるので、それを基準に求められたTrimBoxやBleedBoxも同じだけずれます。全ての版で同じだけずれるので、版ズレの原因にはなりませんが、面付け処理では大きな問題となります。
Trueflowでは、専用に開発したQuarkXPressのXtensionを用いて正確な原点を求めていました。

■留意事項(4) - QuarkXPress 6.5以前のトンボは期待通りではない
日本式のトンボを出力した場合、QuarkXPress 6.5以前(3.xや4.xも含む)のトンボは期待される出力ではありません。
QuarkXPress 6.5以前ではトンボの形状がBleedを示していません。(下左図:Bleed=10mmの場合)
QuarkXPress 8の出力結果が期待すべき出力です。(下中図:Bleed=10mmの場合)
QuarkXPress 6.5で、Bleedが3mmならOKかというと、これも僅かにずれています。(下右図:Bleed=3mmの場合を拡大)
結局、QuarkXPress 6.5以前のトンボはBleed=9ptの時のみ正しい形状になる様です。

QXPmark.png

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2008年04月02日 | CS3ではオーバープリントの処理が違う

CS2vsCS3-2.png以前の記事「特色への透明効果」では、ダッキーの例で示した様に、オーバープリントの処理がIllustratorCS2とCS3で違う事を紹介しました。この問題はオーバープリントを正しく処理しないとPDF運用でも発生します。


OP_CS2vsCS3.png■これもCS2とCS3で違う
PostScript運用で「色分解(In-RIP)」で発生する事例として「オーバープリントは取り込みで処理」で紹介した、オブジェクトが分割されて、RIPでオーバープリントを正しく処理しないと、オレンジがピンクになるという問題、これもCS3では、たとえRIPでオーバープリントを無視しても完全に正しい出力ではないものの、少なくともオレンジ色で出力することができるようです。推奨運用ではないので断定的には書きません。
これは、InDesignもIllustratorも、CS2では分割されオーバープリントでPostScript記述されますが、CS3では一つのオブジェクトのままオーバープリントでPostScript記述されるために、「目立つ間違い」から「目立ちにくい間違い」に改善されています。

■バージョンの統一が重要
注意が必要なのは、いくらInDesignCS3を使用しても、そのドキュメントで使用されるIllustratorEPSがCS2以前の物があれば、その部分だけは同じ問題が発生する、ということです。統一されていなければ、結局、全てチェックしないといけない、という事に変わりありません。

■「改善」ではあるが「完全」ではない
ここで忘れてはいけないのは、オーバープリントを正しく処理すれば、CS2もCS3も同じ結果が出るということと、CS3は確かに改善ではありますが、完全ではない、という事です。
制作時に正しくオーバープリントを指定すること、出力時にオーバープリントを正しく処理することだけが唯一の解決方法である事に変わりありません。

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2008年03月25日 | オーバープリントプレビューを活用

前の記事で紹介したオレンジ色がピンク色に変わる事例の手順で、「Trueflowの設定を用いて」と説明していました。
実際には、このTrueflowの設定の一部を変更すれば、少なくともオレンジ色で出力する事はできます。他の出力が全て正しい訳ではありません。

■これは回避方法となるか?
それは以前の記事「InDesignにおける「DeviceN」は「色分解(In-RIP)」」で紹介した「色分解(In-RIP)」の設定を「コンポジットCMYK」に変更する事です。
この設定により、2つに分割されていたオブジェクトは1つのままM=50, Y=100の塗りとなるので、仮にRIP側でオーバープリントを無視して出力しても、オレンジ色で出力する事は可能の様です。断定的に書けないのはAdobeの推奨ではないからです。

■「色分解(In-RIP)」で出力する理由
InDesignのHelpでは以下の様な記述があり、Trueflowの様なRIPの場合、「コンポジットCMYK」の運用はAdobeの推奨ではない事を示しています。

「In-RIP での色分解をサポートしている RIPの PPD ファイル使用している場合は「色分解(In-RIP)」を選択します。」

つまり、以前の記事「InDesignにおける「DeviceN」は「色分解(In-RIP)」」で紹介した、いくつかの制限事項は、現時点で明確になっている項目に過ぎません。推奨ではない運用を行った場合の注意事項は明確になっていません。
正式な検証を経て、注意事項も明確になっている「色分解(In-RIP)」で出力すべきです。

■RIP側でのオーバープリント処理
その上で、Trueflowでのオーバープリントの取り込みの設定を決める必要がありますが、それは以下のどちらかを選択する事を意味しています。

a) オーバープリントを無視する事で、かなり低い確率で間違ったデータが救えるかも知れないが、かなり高い確率で正しいデータが間違って出力されてしまう事。
b) オーバープリントを正確に処理する事で、正しいデータは正しく、間違っているデータは間違ったまま出力する事。

また、a)の場合はトラブルをメーカーに報告しても、「データが間違っています」という回答になってしまいます。それ以上のサポートは技術的に困難です。
b)の場合は、間違ったデータを事前にチェックする事が可能です。

■オーバープリントプレビューの活用overprint2.png
右図の様にオーバープリントプレビューがOffの状態では、本来の出力結果を確認する事はできません。制作の段階からオーバープリントプレビューを活用したチェックを行う事が重要です。
左図の例では、オーバープリントプレビューがOnの場合は、左側のRIP処理結果と同じ表示になります。
オーバープリントを無視する場合の処理結果は、オーバープリントプレビューで正確に確認する事はできません。

実際のデータ入稿においては、チェックしきれないほどのEPSが貼り込まれていたり、時間的な制約で、チェックが困難なケースもあると思いますが、これらの注意事項を熟知し、ポイントとなる部分を予測した上で、オーバープリントプレビューを活用してチェックする事で、一度間違ってからやり直すよりも、結果的に短時間で正確な出力が得られます。

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2008年03月24日 | オーバープリントは取り込みで処理

最近のDTPアプリケーション、特にAdobe Creative Suite系のアプリケーションでは、RIP側でオーバープリントを正しく処理する事が重要です。以下はTrueflowでオーバープリントを正しく処理する設定をしているウインドウです


TF_ov.png

OverPrint1.pngDTPアプリケーション側で明示的に指示していない箇所にも、自動的(無意識)にオーバープリントが設定される事例がTrueflow出力の手引き 第11版P21に記載されています。
ここで紹介されている「プロセスカラーの掛け合わせが、複数の図形のオーバープリントとしてPSに記述される」という症状の具体例について紹介します。

右図の例では、RIP側でオーバープリントを取り込まない為に、オレンジ色がピンク色に変わってしまう事例を表しています。

■再現手順
1) DTPアプリケーション側でM=50, Y=100の塗りを設定します。この図形には(間違って不要な)オーバープリントが設定されています。
2) Trueflowの設定を用いてPostScriptで出力します。この時点で2つの図形がオーバープリントで重なって出力されます。
3) RIP側でオーバープリントを無視して出力すると、2つの図形の下側が出力されず、上の図形のみが出力され、ピンク色(M=50%)として出力されます。

■解決方法
Trueflow側でオーバープリントを正しく処理すれば、指定通りオレンジ色で出力されます。

これは一例ですが、これ以外でもDTPアプリケーション側では、「RIP側でオーバープリントが正しく処理される前提」でデータ出力する事があります。
データ制作側から見ると、RIP側でオーバープリントが正しく処理される、ということはDTPアプリケーション側でもオーバープリントを正しく設定する必要があると言えます。

DTPアプリケーションでのオーバープリントプレビューを活用して事前にチェックする事が重要です。
また、PDFワークフローの場合は、出力側としても、Acrobatを用いてオーバープリントプレビューで確認する事ができます。
この問題はPostScript運用の場合のみ発生し、ダイレクトPDF出力の場合は発生しませんが、ダイレクトPDF出力の場合でも、オーバープリントを正しく処理しないとトラブルになるケースがあります。

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