『毎日新聞』の前身である大新聞〈おおしんぶん〉の『東京日々新聞』も2年ほど木活字組版で作られていました。『東京日々新聞』は整版で創刊され,第2号からしばらく鋳造活字を採用,ついで木活字になり,また鋳造活字に戻っています。ここにお見せする図版は極く最近入手した木活字時代の『東京日々新聞』[★図26]です。
 鳥山啓〈ひらく〉が明治初年に「かなぶみしや」というグループを作って刊行した『だいゝちのよみほん』『だいにのよみほん』『きうりいちろく しよへん』『つうぞくかみよのまき』『ちりうひまなび』『さあぜんとものがたり』『でんしんきようぶん』などにも木活字が用いられています。図はかなぶみしや版の『じつゞりをしへぼん』[★図27]と『ちりうひまなび』[★図28]です。
★図26
『東京日々新聞』第253号(部分)……日報会社,明治6(1873)年1月6日。
     
     
★図27
『じつゞりをしへぼん』……(大坂)なぶみしや,明治6(1873)年10月。国立国会図書館所蔵。なぶみしや版の判型はすべて中本,また『でんしんきようぶん』以外のいずれのなぶみしや版も,整版の序を除き,題簽や見返まで含めて文字はほぼ二号大と四号大の2種の平仮名活字のみを使用している。
 
     
★図28
『ちりうひまなび』……とりやまひらく訳。(大坂)かなぶみしや蔵版,明治7(1874)年官許。図版が多くかなぶみしやの木活字版諸書の中で最もヴィジュアルな造作の書物。
 
     
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