次は明治七(1874)年の『度会〈わたらい〉県官員録』[★図23]。横本のこの判型を美濃三つ切りといいます。度会県は今の三重県の南半分くらいですが,明治2(1869)年にできまして明治9(1876)年には廃止された県です。有界ですね。見ますと界線の内側の長方形のブロックを一体に作っています。その人が別の部署に移ったらブロックごと移すわけで,長方形のブロックと界線と匡廓と丁付からできているという木活字版です。
次は明治四(1871)年10月の『名古屋県官員録』[★図24]。これも美濃三つ切りで,明らかに木活なんですが,これも連続活字,連柱活字を用いています。匡廓の切れ目もはっきり見えます。版心も丁付以外がワンブロックであろうと思われます。
     
★図23
『度会県官員録』……表紙に「七月改」「三十一日改」と捺印。
 
     
★図24
『名古屋県官員録』……末丁裏に「新聞会社」の捺印がある。
 
     
     次は明治7(1874)年2月の『新川〈にいかわ〉県職員録』[★図25]です。新川県というのは越中で,富山の近くにありました。あまりにも酷いムラですが,これも連続活字を使っています。御覧の丁では匡廓の切れ目が殆ど見えていませんが,別の丁を見てみるとやはり切れ目があって匡廓が組み合わせであることが分かります。
     
★図25
『新川県官員録』……一オに「明治七年二月改」とある。
 
     
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