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2016年03月17日 | 2016年版出力セミナー(大阪DTPの勉強部屋主催)に参加します

第22回勉強会(2016年4月16日(土)、クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック扇町で開催)4月16日(土)に大阪で開催されるDTPの勉強会に講師として参加します。(事前の申し込みが必要です)
page2016展のセミナー説明がヘタで非常識に長いエントリーに補足し、実例のデモを増やした内容となります。
最新情報はリンク先のWebサイトをご参照下さい。

第22回勉強会
主催大阪DTPの勉強部屋
日時:2016年4月16日(土)14:00~18:30 (13:00 open)
場所クリエイティブネットワークセンター大阪
   メビック扇町 交流スペース(会議室)
タイトル:「印刷できるDTP」~透明とオーバープリントとRGBとCMYK~
当社のお客様だけでなく、多くのデザイナー・制作者・印刷会社の方々の参加もお待ちしております。

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2016年02月23日 | page2016展 - オーバープリントと透明を活かした「出力できるPDF」運用のその先へ

Page2016_001.pngpage2016展のクリエイティブゾーンセミナー「オーバープリントと透明を活かした「出力できるPDF」運用のその先へ」の内容について、主なポイントをご紹介致します。関連する出力の手引きWebの記事へのリンクも掲載していますので、併せてご参照下さい。

Adobe PDF Print Engineが発表されて今年で10年になります。
当社ではいち早くAdobe PDF Print Engineを製品に搭載し、多くの経験を積み重ね、独自の改良を加えてきました。
ここでは、Adobe PDF Print Engineの利用が当たり前になり、その先にすすめる際に必要となるポイントについて、ご説明します。

Page2016_002.pngプログラムは以下の通りです。
昨年、2015年セッションのおさらい
続・文字にツノが出た!
HINT処理に関わる問題を検査
間違えるとトリッキーな特色処理
色を変えずにインキを減らせ!
特色とノセの複合的なトラブル

一見するとAPPEやPDF/X-4とは関係ないようなトピックも含まれていますが、全てのポイントでAPPEがどの様に関わっているか説明していきます。

昨年、2015年セッションのおさらい続・文字にツノが出た!HINT処理に関わる問題を検査
間違えるとトリッキーな特色処理色を変えずにインキを減らせ!特色とノセの複合的なトラブル

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Page2016_003.png■昨年、2015年セッションのおさらい
昨年のテーマ「今年こそ本気で取り組むPDF/X-4 + Adobe PDF Print Engine」では、新しい運用に移行する上での阻害要因について、1つずつ解いていく内容でした。APPE+PDF/X-4運用によるメリットはいくつかありますが、結局のところ「今までなら出力できないくらい複雑なデータにも対応できる」ことが、最大の動機ではないでしょうか。

Page2016_004.pngこのメリットとしては、複雑すぎるデータだけでなく、分割統合による出力品質への影響を回避するためにもAPPE+PDF/X-4運用が有効です。

Page2016_006.pngPage2016_005.png


Page2016_007.pngすでにPDF入稿で運用されている場合は、もちろんPDF/X-4入稿で構わないのですが、一部ではデータの責任問題などで、PDF入稿に抵抗感を感じられる方もおられます。
しかし、PDF入稿できない事を理由に、新しい運用への移行ができない訳ではありません。
実際のデータの処理としては、PDF入稿もネイティブ入稿も、PDF書き出しセットアップが同じであれば、同じ処理を行っていることになります。
つまり、仮にネイティブ入稿する場合も、「PDF/X-4書き出しの準備の整ったネイティブデータ」であれば、それにより得られる技術的なメリットはPDF入稿と同等であると言えます。

Page2016_008.pngこの「PDF/X-4書き出しの準備の整ったネイティブデータ」の事を、ここでは「X4-Ready」と名付け、これを入稿指示書のチェックとして追加することを提案します。(あくまでもネイティブ入稿の場合のオプションです)
X4_Readyとは、そのままPDF/X-4に書き出す事を前提として作成されたこと、つまり「ノセ活き」「透明活き」(ネイティブ貼り込み)の両方の特性を持っていることを意味します。
ここで大事なのは、従来の運用で出力実績のある過去のデータを、無理に「X4-Ready」に指定する必要はないということです。革命のためにリスクを冒す必要はありません。
ただ、今から新たに作るデータは、古い基準で作るのはなく「X4-Ready」指定できるように変えないといつまでたっても運用は変わりません。

Page2016_010.pngPage2016_009.pngイマドキのIllustratorやInDesignそしてRIPも、内部的には全てPDFベースで動作しています。それにも関わらず、EPSやPSを経由すると言うことは、異なる言語で伝言ゲームをするようなもので、確率論的に考えてもトラブルの発生率が高くなります。

Page2016_012.pngPage2016_011.pngPDF/X-1a運用の場合で、部品にRGBのオブジェクトがあると、分割統合処理時にDTPアプリケーションによってCMYKに変換されます。PDF/X-4運用の場合はRGBオブジェクトはRIPの入力処理によってCMYKに変換されます。

Page2016_013.png「X4-Ready」の運用は、仮に印刷側がPDF/X-4に対応していなくても有益です。ノセ活きでネイティブ貼り込みされているデータは、そもそもオーバープリントなども意識された素性の良いデータであり、やりたくないけど、ナニかあったときの直しにも強いデータです。
設備などの関係でPDF/X-1aが必要であれば、PDF書き出しセットアップをPDF/X-1a用のものを使用するだけです。
その後、設備のバージョンアップなどでPDF/X-4にも対応できるようになれば、入稿形態を一切変更せずに、PDF書き出しセットアップをPDF/X-4用のものに変更するだけで、最適なデータが得られます。
「X4-Ready」の入稿形態は、PDF/X-4、PDF/X-1aの両方に対応でき、非常にフレキシブルな運用を可能にします。

Page2016_016.pngこれらの運用で重要となる、PDF書き出しセットアップは当社のWebサイトで公開されています。
EQUIOSやTrueflowでは、この設定をひとつの基準として評価しています。もちろん、評価ではそれ以外のあまりよろしくないデータも多数テストしていますが…
出力の手引きWebの上部から取得する事ができます。
書き出しセットアップの詳細については以下の出力の手引きWebの記事を参考にして下さい。

2015年03月27日|「Trueflow印刷ユーティリティ」は「EQUIOS印刷ユーティリティ」に変わりますこのエントリーを含むはてなブックマーク

Page2016_018.pngこの運用でよく言われる「脱EPS」ですが、よく言われる「EPSが1つでもあったらPDF/X-4運用できない」という訳ではありません。単純なアウトライン図形で構成され、透明の使われていないロゴや、Photoshopデータで「背景」のみのデータであれば、透明は含まれておらず、使用しても問題がありません。
逆に仮に透明がなくても、既に分割統合済みかどうか分からない場合は、透明活きでデータを作り直した方が安全です。

Page2016_019.png昨年のpage展のセミナーでは、以下の様な「できない理由」を1つずつ解いて、安心して移行できるための基礎的な考え方を紹介しました。
・メリットがよく分からない
・PDF入稿への抵抗感
・ネイティブ入稿は必要
・EPSが1つでもあるとできない?

APPE+PDF/X-4運用をすすめることで、ネイティブ入稿でもフレキシブルな運用が可能なX4-Ready入稿が可能となります。


昨年、2015年セッションのおさらい続・文字にツノが出た!HINT処理に関わる問題を検査
間違えるとトリッキーな特色処理色を変えずにインキを減らせ!特色とノセの複合的なトラブル

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Page2016_020.png■続・文字にツノが出た!(2015年4月版)
マイター処理に関係して、文字にツノが出る問題については、以前よりPDF版EQUIOS / Trueflow出力の手引き 第16版(PDF/26MB)P37〜P38や、セミナーでも説明してきましたが、2015年4月のリリースでEQUIOSとTrueflowで処理の改善を行いました。
この症状は、マイターの「比率」の設定が、マイターとベベルが切り替わる境界近傍の値の場合に、まれに発生する問題です。この改善は、カンプと刷りで同じ結果を得るため、そのまれに発生するマイター処理の精度を向上させる対応であり、「ツノが出る問題」を出なくする対応ではありません(尖らせたい場合もあるから)。刷りで期待通りのマイター形状にならない場合は、事前にカンプでも確認できることを目的としています。
Page2016_022.pngPage2016_021.pngつまり、従来はカンプで確認済みのマイター形状は、印刷側の設定や面付け次第で(確立は低いものの)どうなるか分からなかったものが、一致する方向の精度が向上している、と考えると分かりやすいです。

Page2016_023.pngマイター処理の原理については、以下の出力の手引きWebの記事を参照してください。

2014年05月22日|文字にツノが出る問題(マイター処理)このエントリーを含むはてなブックマーク

この改善はEQUIOS / Trueflowで行われたものであり、それ以外のRIPでの挙動がどうなるかは分かりません。環境に依存せず、尖る尖らないの結果を期待通りにするには「比率」の設定を意識して、十分に余裕のある比率を設定しておくことが重要です。例えば、尖らせたい場合は「10以上」尖らせたくない場合は「3」〜「5」程度を目安にして下さい。

Page2016_025.pngPage2016_024.png


Page2016_026.pngマイター形状がカンプと刷りで異なるケースについて調査をすすめると、出力処理で色変換を行う場合と行わない場合で差違が発生するケースが多い事が分かってきました。
APPEの処理は透明オブジェクトの有無で処理の内容が異なり、わずかな誤差の「出かた」が異なるためマイターの「比率」設定が適切でない場合に、まれに出力結果が透明の有無のそれぞれで異なる事があります。そして、データ上に透明オブジェクトがなくても、出力側でのカラー変換や特色の代替色への変換などを行うと、内部の動作としては透明がある場合と同じ動作になります。

Page2016_027.pngまた、面付け処理においては、面付け結果により同一の処理面に、1つでも透明オブジェクトがあると、その面は全て透明ありの演算モードで動作するために、面付けパターンが変わると症状が異なるという困ったケースがくどいようですが、ごくまれにありました。
これを改善する為に、ここに書かれているEQUIOSやTrueflowのバージョンで改善パッチをリリースしました。もちろん、リリースされたばかりのEQUIOS Ver4.5でも同じ改善が入っています。
この改善によって、透明オブジェクトの有無や出力側カラー変換の有無に関わらず、マイター形状の再現が一致する様になりました。このマイターの挙動はAcrobatでの表示と互換性があります。極端なケースでは一致しない事もありますが、実用上は問題ありません。

Page2016_029.pngPage2016_028.png


Page2016_031.pngIllustratorでの画面表示は、必ずしも一定でなく、設定や画面拡大率で変化することがあるので、マイターの再現性についても、PDFに書き出してAcrobatで確認する必要があります。現時点(2016年2月)のカレントバージョンであるAdobe PDF Print Engine 3のWebサイトに「Acrobat XI およびReader XIとの一貫性」と記載あるとおり、現状Adobe PDF Print Engineに出力する場合の最終確認はAcrobat XIを使う事が推奨です。
100%間違いのないことを保証するものではありませんが、どのバージョンを選択するのが最も間違いが少ないか、という意味での推奨で、今後更新されていくものです。
マイターの挙動を透明活きの場合に一致させることで、Acrobatやカンプで事前に確認することがAPPEとPDF/X-4で可能になります。
AcrobatXIは、こちらのAdobeのサイトからダウンロード可能です(もちろん何らかのライセンスは必要です)

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間違えるとトリッキーな特色処理色を変えずにインキを減らせ!特色とノセの複合的なトラブル

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Page2016_032.png■HINT処理に関わる問題を検査
HINT処理とは、解像度に制限がある状況でも、可能な限り文字を美しく出力する為のフォント固有の情報です。透明活きでない分割統合処理前提の運用の場合、文字がアウトライン化されたりラスタライズされるために、このHINT情報を活かすことができませんでした。
ここで紹介する問題 (BodoniMT Italic、BodoniMT Condensed Italicの場合)はフォントのサイズに依存して発生しています。
HINT情報では、文字の大きさに応じて調整量が変わるように設定されています。解像度の影響を受けやすい小さな文字は、HINTによる調整量も大きくなり、解像度の影響が少ない大きな文字にはHINTによる調整は少なくなります。

Page2016_034.pngPage2016_033.png

Page2016_035.png具体的な例を示して考えてみます。(ppem: pixel per em=1文字あたりのPixel数)
○200ppem≧size : 小さい文字向けHINT(調整量:大)
○200ppem>size≧800ppem : 中くらいの文字向けHINT(調整量:中)
○800ppem<size : 大きな文字向けHINT(調整量:小)

たとえば文字を横方向に2倍に伸ばした場合で見ると大きさが異なるだけで結果が変わります。
 x : 240ppem / y : 120ppem→縦横で異なるHINT処理→NG
 x : 180ppem / y : 90ppem →縦横で同じHINT処理→OK
今のところ、この2書体以外では同種の問題は発見されていません

Page2016_036.pngしかし、たとえHINT処理が縦と横で異なっていても、文字が破綻してしまうのは適切なHINT情報とは言えません。
フォントの問題は、たとえそのフォントが修正されても、全ユーザーがフォントをアップデートしないと根絶することはできず、難しい問題です。
この問題はMacのプレビューや、Mac版のWordなどでは見た目上問題なく表示されますが、条件に合致していればRIP出力では問題が再現してしまいます。Mac版のAdobeアプリは自前のライブラリでHINTを解釈するので、画面上でも再現でき、事前に問題を知ることができます。
Macで確認する場合には、事前にPDFにしてからAcrobatで表示確認しておくことが重要です。

Page2016_038.png透明活きの運用を行う事で、今までは活かせていなかったHINT情報を活用した高品質な文字出力が、APPEとPDF/X-4で実現します。
そのためにも要注意なフォントの情報は必要です。

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間違えるとトリッキーな特色処理色を変えずにインキを減らせ!特色とノセの複合的なトラブル

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Page2016_039.png■間違えるとトリッキーな特色処理
本当に必要な箇所にのみ特色指示を行うことは重要です。必要のないところに特色指示を行って、実際にはCMYKで印刷するようなことを行うと、様々な問題の原因になります。
特色はCMYKとは別の「版」なので、オーバープリントと透明の効果の効き方がCMYKのみの場合と異なります。
その結果、オーバープリントがRIP内部では透明的に処理されたり。逆に透明がオーバープリントで置き換えられる症状が発生します。どちらも、正しい出力を行うための処理ですが、あくまでも特色指示が間違っていない前提の処理です。

Page2016_040.png間違った特色指示をプロセスカラーに変換するような処理については、演算の順序によって症状が異なります。
入力処理で特色をCMYKカラーに変換すると、その代替カラー値に応じてノセの結果が変わります。
出力処理では、RIP演算を行いながらCMYK変換され、オーバープリントは透明的に合成され、シミュレーションされます。この場合、RIPとしては透明的な演算を行うので、データが複雑だとパフォーマンスへの影響が懸念されます。
特色指示が正しくても、4色のプリンタでカンプ出力を行う場合は、代替カラーへの変換が必要です。ノセヌキの表現をカンプにも正しく反映するためには、出力処理で代替カラーへの変換を行います。
Page2016_042.pngPage2016_041.png

Page2016_043.png透明がオーバープリントに変わる場合は、特色に透明が影響する場合に発生します。CMYK同士の合成は双方の色値を合成して別のCMYK値を導くだけですが、特色に透明が影響する場合、合成部分はCMYKカラーと特色が別の版として合成される必要があります。
DTPアプリケーションで、透明を活かさず分割統合した場合、特色に影響する透明がある場合は、別の版として合成されるオーバープリントに置き換えられます。
印刷側でオーバープリントを無視すると、この部分が合成されず、正しい結果が得られません。

Page2016_044.png分割統合とはどの様に分割されるのでしょうか?
特色の下地にドロップシャドウがかかっている場合、その部分が透明になりますが、このデータでは、あえて一切オーバープリントは設定していません。
この問題は、間違って特色を使う印刷物ではないのに特色指定をしていても、同じ問題が発生するところです。アプリケーションは、本当に特色を使うのか、間違って使っているのかは分からないので、あくまでもこの色は特色である前提で分割統合を行います。
では順を追ってどの様に処理されるのか確認してみます。

Page2016_045-048.png1. 透明の影響するエリアの部分が分割統合の対象となります。
2. このデータにはオーバープリントオブジェクトはありませんでしたが、分割統合時に特色と透明で関係したで囲んだ部分は、オーバープリント属性が付加されます。特色以外のCMYKの画像と透明部分は画像として合成されます。
3. 分割統合時に付加されたオーバープリントを無視するとその部分が白く抜けて問題が発生します。
4. オーバープリントをキチンと処理すると、下部の特色と合成され、期待通りの結果となります。

Page2016_049.pngデータへの特色指定を正しく行い、APPE+PDF/X-4運用を行う事で、特色に対する透明やオーバープリントも正しく出力する事が可能になります。

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間違えるとトリッキーな特色処理色を変えずにインキを減らせ!特色とノセの複合的なトラブル

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Page2016_050.png■色を変えずにインキを減らせ!
インキを減らす事は、コストを削減することに直結する重要な問題です。インクを減らす方法にはいくつかあります。
FM系の網を使う事でインキ膜厚が薄くなり、混じりによる濁りも低減され、彩度が向上することで、インキの使用量は減りますが、印刷管理などのコスト高の要因もあります。
多色印刷は、色の混合を減らす事で総インキ量は減りますが、実際に刷る版の数が増えるので、コスト高の要因もあります。
ここではC,M,Yの3色の一部をKに置き換えることで、総インキ量の削減を行うことを話題にします。

Page2016_051.png一般的にインキセービングは、総インキ量を減らす様に調整されたデバイスリンクプロファイルを用いた色変換を行う技術のことです。
インキセービングではC,M,Yの3色が存在する領域に働き、C,M,Yの一部をKの1色に置き換えることで、総インキ量を削減します。

Page2016_055.pngPage2016_052.png

Page2016_056.png一般的なインキセービングによる振る舞いは、C,M,Yの3色が混じった三次色にのみ色が変化するプロファイルを用います。C,M,Yの三色とも100%の色は、合計で300%のインキ量ですが、この例ではC,M,Yの3色の成分の一部をK版に置き換えることで274%に低減しています。

Page2016_057.pngインキが減っても品質の劣化があってはいけません。特にべた塗りのチントや図形、文字などにはこの方法によるインキセービングは向いていません。
チントや図形、文字においては、CMYの3色を混合するケースが少ないこと、ベタ100%や、K版成分が0%のところにわずかな数値が入り、品質低下することなどが向いていない理由です。
逆に自然画像は、多くの部分でCMYの3色が混在して使われているので、一定の品質を保ちつつインキセービングの効果も期待できます。

以下、EQUIOS / Trueflow出力の手引き 第16版(PDF/26MB)P56〜P61を参照して下さい。
Page2016_058.pngその様な理由から、本来は自然画像にのみインキセービングを効かせることが理想的といえますが、実際にはこの後で説明するいくつかの理由で図形も画像も一律にデバイスリンクプロファイルを効かせてしまう運用を行われるケースが多いのが実情です。
図形も画像も一律にデバイスリンクプロファイルを効かせる場合、文字や図形への悪影響を低減するためには、削減量も控える必要があります。
このデバイスリンクプロファイルの処理による効果を考えるときに重要なのは、色変換とRIP処理の演算順序です。

Page2016_059.pngまず、RIP演算後に、カラー変換を行うケースです。
RIP演算後に、カラー変換を行う事で、その時点で元のオブジェクトが画像なのか、文字や図形なのか分からない「全て合成された1枚の画像」となり、プロファイルも一律にしかかけられません。
この場合、特に問題となるのは墨ノセされたオブジェクトがある部分です。墨ノセされた文字などのオブジェクトの部分は、ただのK成分が多い画像であり、墨版以外のカラーにも影響を与えることで、墨版を除いた場合でもCMY版に影のように残ります。これではノセの意味は半減であり、K版だけ出し直して文字修正するような運用を行っても、修正前の文字が読めてしまいます。この症状を低減するオブションがありますが、その処理には限界があり、他の部分のどこかに連続調の破綻が現れます。

Page2016_060.pngしかし、このRIP演算を先に行う処理の最大のメリットは、全てRIP演算後に処理を行うので、入力されるデータは一切変更する必要のないことです。
いままでに出力実績のあるデータはたとえEPSやPDF/X-1aで分割統合されていても出力の互換性はあまり気にしなくても一定の効果が得られることです。
ただし、上記の品質問題には十分にチェックを行い、インキセービングも弱めにかける等の留意が必要です。

Page2016_062.pngPage2016_061.png

Page2016_063.pngそれでは、RIP演算前にカラー変換を行うケースです。
RIP演算前にオブジェクトごとに、「画像」と「図形・文字」のそれぞれ別々にカラー変換を指定する事ができるので、文字・図形はカラー変換しない、画像はカラー変換する、という理想的な運用が可能です。
ただし、この処理は完全に分割統合を排除したPDF/X-4運用が必要です。分割統合処理では文字や図形が画像化されるケースがあり、画像化された部分はカラー変換の対象になってしまいます。
また、図形や文字には絶対にカラー変換がかからないよう設定には細心の注意が必要です。RIP演算前に文字や図形の色が変わると、透明の描画モードによっては、期待通りの結果が得られない場合があります。画像に大きく色が変化する透明が設定されている場合も要注意です。

Page2016_064.pngRIP演算後にカラー変換を行った場合には、文字や図形への悪影響を低減するためにインキセービングも弱めにかけないといけなかったことに対して、RIP演算前にカラー変換を行い、文字や図形への影響のない運用を行う事で、プロファイルは画像に対する画質とインキ削減効果を最適化することに専念できます。
透明活きで分割統合を排除した運用を、APPE+PDF/X-4で行う事で、品質良くインキ削減効果の高い運用が可能になります。

昨年、2015年セッションのおさらい続・文字にツノが出た!HINT処理に関わる問題を検査
間違えるとトリッキーな特色処理色を変えずにインキを減らせ!特色とノセの複合的なトラブル

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Page2016_065.png■特色とノセの複合的なトラブル
ここまでに、透明がオーバープリントに変換される事や、オーバープリントがRIP内部では透明として処理される(その1)(その2)症状などを説明しました。最後に、透明とオーバープリントが複合的に関係すると、どんな問題が発生するか、実例を用いて説明します。
RIP内部におけるオーバープリントの操作とは、オーバープリントを付加する自動墨ノセと、オーバープリントを無効化する白ノセ解除などがあり、透明のない時代のRIP処理においては、事故の低減に一定の効果がありました。


Page2016_066.pngPage2016_067.png

Page2016_068.pngしかし、透明の登場によって、その状況が変わります。透明が使われたデータを、旧来の運用に無理に合わせるつまりEPSやPS、PDF/X-1aなとを使うと、DTPアプリケーション内部で分割統合処理が行われ、それが期待通りの結果にならない原因となります。多くの場合は、分割統合処理は間違っておらず素直にデータ通り合成したことにより、間違ったデータはRIP内部でも補正が効かない記述に変更され、結果不正となります。


Demo_input.pngここでは、過去の出力の手引きWebの記事の内容について、実際にRIP演算を行うデモを行いました。

2015年04月07日|透明を含むデータに自動墨ノセは要注意このエントリーを含むはてなブックマーク

出力の手引きWebのデータよりもリアルに発生しやすいと思われるドロップシャドウを用いたサンプルを用いました。
「桜」の文字にはオーバープリントは設定されていませんが、RIP側の設定で自動オーバープリントを効かせるというシナリオです。

ドロップシャドウは透明効果です。透明が関係する範囲は見た目よりも広く、「桜」の文字の一部にも透明が関係しています。
DTPアプリケーションで分割統合処理を行う際、ドロップシャドウの影の部分と背景の画像を合成して透明のない状態にしますが、このデータでは文字も関係します。DTPアプリケーション側では、データ通りオーバープリントが設定されていないことを考慮して、文字の関係している範囲を含めて画像を合成します。
このデータをRIPに処理させるので、RIP側での自動オーバープリント処理はこの後に行われる事になります。

Demo_Output.pngこの様なデータをRIPで自動オーバープリントを効かせて処理した場合、K=100%の文字や図形にはオーバープリントが設定されますが、分割統合済みの画像に含まれる文字の部分は、既に画像の一部となっているので、自動オーバープリント処理の対象にはなりません。というか、単なる「文字に見える画像の一部」に過ぎないのでできません。分割統合時にオーバープリントが設定されていないことを考慮して合成されているので、その部分の文字は結果としてヌキになります。
また、「桜」の文字の透明に関係していなかった部分はK=100%なので、その部分には自動オーバープリント処理が効きます。

右図は出力イメージからK版を除いたものです。
「桜」の文字の左上部分が白く抜けており、この部分が透明の影響を受けて、分割統合の対象となった部分です。DTPアプリケーションでの分割統合では、元からオーバープリント設定がされていないために、そのデータ通りの合成を行った結果抜けになっています。
それ以外の文字の部分は下部の画像が出力されており、これに墨版を重ねると、自動オーバープリントで、ノセになっています。


Page2016_069.png間違ったオーバープリント指定をRIP内部で補正する処理には限界があります。EPS運用やPDF/X-1a運用で行われる分割統合処理は、データ上のオーバープリントや透明の指定が全て間違っていない前提で合成処理します。この処理はRIPに入力される前に行われ、データを固めてしまうので、RIP内部での補正はできません。
この様な、透明とオーバープリントが複合的に関係するトラブルは、オーバ-プリントをデータで正しく指定する「ノセ活き」と透明の処理をRIPに任せる「透明活き」が両立して、APPEとPDF/X-4の運用を行うことで、はじめて解決できる問題です。

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2016年01月05日 | page2016展クリエイティブゾーンセミナーに出演します

page2016展のクリエイティブゾーンセミナーに参加します。
最新情報やセッションの内容の案内はリンク先のWebサイトをご参照下さい。

page2016_logo.gif

seminar_map_2016.pngpage2016クリエイティブゾーンセミナー
主催:JAGAT
日時:2016年2月3日(水)~5日(金) スケジュール
場所:サンシャインシティコンベンションセンターTOKYO
   展示ホールD(文化会館2F) フロア案内
   クリエイティブゾーン
タイトル:オーバープリントと透明を活かした
     「出力できるPDF」運用のその先へ

     (2月3日(水)13:50~14:40)

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screen_booth_2016.png当社ブースのご案内
出展社:(株)メディアテクノロジージャパン

上記セミナーはやっていませんが、製品に詳しいスタッフがお待ちしております。ぜひお立ち寄りください。

Page 2016展は入場料1,000円ですが、Webで展示会無料招待券登録することで無料になります。
このセミナーの受講は無料で、事前申込も必要ありません。ので、お目当てのセッションには、早めの来場をお勧めします。
twitterのハッシュタグは #page2016_czs です。

本年もどうかよろしくお願いします。

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2015年07月24日 | Office系でのPDFMakerとMac OS XのQuartzに注意

■概要
quartz.pngWordなどOffice系アプリケーションでPDFMakerを用いて出力したPDFや、Mac OS XのOSの機能(Quartz)でプリントアウトダイアログから出力されるPDFを用いて、印刷用のデータとして使用すると出力不正になることがあります。(不要なオブジェクトが出る、特定のオブジェクトが消える、など)

pdfmaker.png

■結論
・特定の記述パターンの不具合の修正
この透明が特定の記述パターンの場合に発生するAdobe PDF Print Engineの不具合(後述)については、現在修正方法を検討中です。進捗がありましたら、このサイトでお知らせ致します。
<2016年6月10日追記>
このAdobe PDF Print Engineの不具合については、修正が完了していますが、以下の留意事項は依然注意が必要です。

・留意事項
ただし、Office系やOS依存系のPDFデータにつきましては、この不具合の有無に関わらず、以下の様な様々な理由により、積極的な推奨はできない状況であり、その運用には十分な注意が必要です。

■原因
これらの機能を用いて出力されるPDFでは、透明を活きた状態で出力する事が可能ですが、その透明が特定の記述パターンの場合に、Adobe PDF Print Engineの不具合発生の条件に合致するケースがあることが分かりました。
IllustratorやInDesignなどだけで作成されたデータには該当する記述パターンは出力されず、問題は発生しません。
PDFMakerやQuartzのデータにその特定の記述パターンが含まれていると、透明オブジェクトに関係するオブジェクトの描画に不正が発生し、不要なオブジェクトが現れたり、必要なオブジェクトが消えたように見える問題が発生します。
この様なデータは、IllustratorやInDesignに貼っても再解釈されず、そのまま出力されるので、同様の問題が発生します。
(今回のトラブルのデータは、Adobeアプリケーションだけでは生成されないデータですが、PDFの規格上は間違った記述にはなっていないので、結果不正が出るのはRIPの不具合です)

■発生条件
以下の条件の場合に問題が発生する可能性があります。
1) PDFMakerあるいはMacのQuartzで作成されたデータが使用されていること。
2) 不透明度0%のつまり完全に透明なオブジェクトがFormに包含(これは目に見えないデータ記述上の条件)されない記述で存在すること。これは1)の条件の場合に記述される事がある。

win-print.png■回避策
以下の回避策は上記発生条件に合致する不具合にならないための回避策であり、後述の留意事項や制限なども合わせてご理解の上お試し下さい。
回避策とは発生条件を外すことが基本となりますが、この条件に合致するオブジェクトは明示的に指定しなくても、アプリケーションによって自動的に付加される事が多く、オペレーションの工夫でこの条件を回避することは困難です。
しかし、透明の処理に問題があることは分かっているので、これらの環境から透明を含まないPDFを作成すれば、少なくともこの問題は発生しない事になります。
(Adobe系ソフトの透明はそのままで問題ありません)
下記のどちらの回避策もAcrobat ProかStandard版が必要です。

 ・Office系のPDFMakerの場合
PDFMakerを使用せず、Wordの印刷メニューからプリンターで「Adobe PDF」を選択してPDFを書き出してください。
(ちょっと左上にある「Adobe PDFとして保存する」はPDFMakerの事なので、それではなく)

 ・MacのQuartzの場合
Adobe Acrobat 9.1 Pro 以降でサポートされた「Save as Adobe PDF」の機能を使い、設定を「PDF/X-1a:2001(日本)」を使用するか、RGBを保持したい場合は「PDF/X-3:2002(日本)」を使用します。
(EQUIOS/Trueflow向けの「EQUIOS X1a 2001_1_J」はカラー変換を禁止しているので、出力時に使ってはいけないカラースペースが含まれているとエラーになります。)
この設定を使う事で、透明の分割統合を行う事となり、この問題は回避されます。実績の少ない運用です。出力時には問題がない事を十分に確認してください。
参考情報:Acrobat Help / Mac OS X 10.6 以降における [Adobe PDF として保存] のサポートについて(Acrobat 9 Pro / Acrobat X)

save_as_adobepdf.png
word_pdf.png
■留意事項
・Office系アプリケーションのPDF出力
Office系アプリケーションそのものの機能として「名前を付けて保存」から出力されるPDFも印刷用のデータとして問題があり、例えば、OpenTypeフォントがビットマップで出力されるなどの問題が発生しますので、使用しないでください。

・OS自身がサポートするPDF出力
OS自身がサポートするPDF書き出し機能は、手軽に閲覧したりプリントするには便利であり、その範囲ではそれほど問題もありませんが、プロ品質の印刷を想定した作りにはなっておらず、またOSのアップデートで変更される可能性もあります。
MacのQuartzは、データに起因する具体的な問題の報告が他にもあり、推奨致しません。
Windows10におけるOSの機能としてのPDF書き出し機能についても、当面は推奨致しません。
(Mac上においては、Adobe系など独自の画面描画システムをもっていないアプリケーションから、図形などのオブジェクトをコピーして、IllustratorやInDesignにペーストした場合にも、データとしてはQuartzのPDFと同じ様な記載になる場合があります。)

■まとめ
いわゆるDTPアプリケーション以外のソフトウェアは、印刷・製版に必要な機能を持っておらず、それを印刷するには、少なからず何らかの制限を受けることになります。

・基本的に全てRGBのデータになる
・RGB基準なので、版の概念がなく、オーバープリントの指定ができない
・オーバープリントは指定できないが、透明は付くので、自動墨ノセを行うと種々の問題の可能性がある。
・透明は付くが、透明の変換用カラースペースは考慮されていない。全てRGBで出力できれば問題ない
かもしれないが、CMYK変換すると問題が発生する可能性がある。

これらは一例であり、製品の目的としてプロの印刷を前提としていないので、他にも足らない機能はたくさんあります。
この様な理由より、上記の様なOffice系、OS依存系のPDFについては、プロが使用するDTPアプリケーションと同等の品質とサポートを保証することはできません。

プロの印刷データ作成にOffice系アプリを使わない…とは言えませんので考え得る回避策と必要となる情報や注意事項などを記載しました。

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2015年06月24日 | Adobe Creative Cloud 2015 (1) - サポート開始

indd_2015_splash.pngAdobe Creative Cloud 2015がメジャーバージョンとしてリリースされました。

■結論
検証の結果、本日よりEQUIOS / Trueflowにおいて以下の運用のもと、Adobe Creative Cloud 2015のサポートを開始します。
検証作業の都合でリリース日にアナウンスできませんでした。申し訳ありません。

■データ作成方法
EQUIOS / Trueflow出力の手引き 第16版」と
EQUIOS印刷ユーティリティ Rev1
に基づいて作成されたデータはEQUIOS / Trueflow共通であり、CC 2015でも同じ手順で使用する事ができます。
従って、Trueflow向けに作成されたデータであれば、EQUIOSにも問題なく出力する事ができます。(逆ももちろんOKです)
Illustrator 19.x、InDesign 11.x、Photoshop 16.xの範疇でのサポートとします。

■EQUIOS / Trueflow SE推奨バージョン
Adobe Creative Cloud 2015での出力を行う場合は、以下のバージョン以降のEQUIOS / Trueflowをお使い頂く事を強く推奨致します。これらのパッチの適応につきましては「テクニカルWebサポート」をご確認ください。

・EQUIOS Ver4.01 EQ104, Ver3.00 EQ024
・TrueflowSE Ver7.30 TF354

■推奨運用基本的にCS6/CC/CC2014と同じです
a) aiネイティブとPDF/X-4形式の使用
 IllustratorのデータはEPSではなく.aiネイティブ形式で配置。出力データはEPS, PS, PDF/X-1aではなくPDF/X-4。
b) Trueflowの最新PDF処理ルート、あるいはEQUIOSで処理
 Trueflowでは、「従来PS / PDF処理」ではなく「最新PDF処理」。EQUIOSでは「最新PDF処理」相当で処理されます。
c) OutlinePDF-Advanceの使用
 デジタルフィルムはOutlinePDFではなくOutlinePDF-Advance。OutlinePDF-Advance出力またはPageRIPでは以下の設定。
 ・PDF1.3互換で出力する:Off
 ・線分のOutline化:しない

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2015年05月13日 | 2015年版出力セミナー(大阪DTPの勉強部屋主催)に参加します

第18回勉強会(2015年6月6日(土)、クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック扇町で開催)6月6日(土)に大阪で開催されるDTPの勉強会に講師として参加します。(事前の申し込みが必要です)
最新情報はリンク先のWebサイトをご参照下さい。

第18回勉強会
主催大阪DTPの勉強部屋
日時:2015年6月6日(土)14:00~18:30 (13:00 open)
場所クリエイティブネットワークセンター大阪
   メビック扇町 交流スペース(会議室)
タイトル
  「印刷できるDTP」~変わらない基礎、変わる常識~

出力セミナーの知識を実践的に活用するための情報と、PDF/X-4+Adobe PDF Print Engine移行に対する不安の解消を目的とします。当社のお客様だけでなく、多くのデザイナー・制作者・印刷会社の方々の参加もお待ちしております。

[お知らせ] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2015年04月07日 | 透明を含むデータに自動墨ノセは要注意

<2018年2月26日追記>この記事は2015年04月07日 の記事の更新です。
この解説では、背景の色がC=100%の場合を例にしていますが、実際には背景の色が複数であったり、100%ではない中間調の場合では、通常透明も乗算透明も含む全ての透明効果を対象に、自動墨ノセによって出力結果が'異なります。従って下記の「右図で赤で囲んだ部分」と記載している範囲だけでなく、全ての透明効果を使う場合は自動墨ノセを行うと、結果が正しくない場合があります。


op_setup.png■概要
EQUIOSやTrueflowなど、多くのRIPで自動オーバープリント機能(以降「自動墨ノセ」)がサポートされています。
これは、データ上のK=100%の文字や図形に、オーバープリントが設定されていない場合に、RIP内部でオーバープリント属性を自動的に付加する機能です。
この機能は、まだDTPに透明のない時代には便利な機能でしたが、デザインとして透明が使われ、印刷側のRIPで自動墨ノセを行うと、期待通りにならない問題がしばしば発生します。
以下の過去記事でも例を示していますが、この症状についてもう一度整理します。
2013年02月18日|Page2013展 - 出力環境に依存しないデータ制作と出力の心得 このエントリーを含むはてなブックマーク

tp_op1.pngtp_op0.png■透明が活きたデータ(PDF1.4以上,PDF/X-4など)
透明を用いたデータに自動墨ノセ使用すると右図の様に、自動墨ノセを使用しない場合=PCのディスプレイで見た状態と出力が異なるケースがあります。
言い換えると、右図で赤で囲んだ部分の透明の描画モードを、ディスプレイで見た通りに出力したい場合、RIPでは自動墨ノセを行ってはいけない事を示しています。

2013-02Page2013_015.png

過去記事 の上図で示した例も、「比較(明)」を使用して白く見えている文字が元々は墨文字→自動墨ノセが効く→オーバープリントが付加→透明効果により白文字→白ノセとなるので消えています。


tp_op2.pngまた、右図では不透明度が50%の場合で自動墨ノセを使用すると、最も良く使用される「通常」の描画モードでも(「輝度」でも)画面で見た通りには出力できない事を示しています。



tp_op3.png■透明が分割統合される場合(PS, EPS, PDF/X-1aなど)
透明が使えないPostScript系データやPDF/X-1aなどでは、透明が分割統合され、不透明のオブジェクトに変換されますが、このケースでも自動墨ノセは期待通りの処理にならない場合があります。

分割統合により、元はK=100%だったオブジェクトも、色の合成や画像化の処理などの影響で、純粋なK=100%ではない色に変化する場合、RIP内部の自動墨ノセ処理では、K=100%のオブジェクトとは認識されないため、ノセ処理の対象にはならず、ヌケになって出力されます。この場合、分割の切れ目ごとに、透明が関係する部分と関係しない部分で結果がまちまちになります。

右図は非常にシンプルなデータで例を示していますが、実際のデザインではドロップシャドウなど、明示的に透明を指定しなくても、データ上で透明が使われる場合などあり、その影響範囲をデザインから判定するのは難しい場合もあります。

■まとめ
上記の2つの例は、どちらも自動墨ノセの処理に依存した運用の場合にのみ発生する問題で、データ上でオーバープリント指定が正しい(自動墨ノセの必要がない)場合には発生しない問題です。

 ・必要なオーバープリントはデータ上で指定
  →印刷側ではデータ通りノセ処理を行う
 ・分割透明を避けて透明が活きたデータ
  →ネイティブ運用
 ・その他、特色指定やページ原点なども正しく指定

x4-ready.pngこれらの条件を満たしたデータはたとえPDF入稿でなくネイティブ入稿でもPDF/X-4運用に最適なデータであるということから「X4-Ready」と入稿時に指定し、受け取った側もデータ通りの処理を行う、というチェックボックスを設けることを提案いたします。
この「X4-Ready」なデータは、印刷会社内でのPDF/X-4書き出しに最適であるだけではなく、設備上などの理由によりPDF/X-1a出力を行う上でも安全性の高いデータ運用であるといえます。
たとえ、入稿形態としてPDF入稿そのものが困難であっても「X4-Ready」なネイティブ形式での入稿は、出力の安定な運用にプラスになるものです。
もちろん、PDF/X-4運用が推奨ですが、ソフトランディング可能な移行負荷の少ないな運用提案も行っていきます。

[第16版] [オーバープリント] [透明効果] [Illustrator] [InDesign] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2014年10月09日 | 社名変更のお知らせ

2014年10月1日、大日本スクリーン製造株式会社は持株会社化により、株式会社SCREENホールディングスとなりました。
それに伴い、印刷関連機器(Graphic)およびプリント基板関連機器事業(Precision)を行ってきた、大日本スクリーン製造株式会社のメディアアンドプレシジョンテクノロジーカンパニーは、新たに

株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ

としてスタートしました。
本サイト「出力の手引きWeb」及び、PDF版の「EQUIOS / Trueflow出力の手引き」も、今まで通り続けていきます。
固定リンクも継承しており、過去の記載も同じURLでご参照頂けます。
引き続き、当社製品ともども、「出力の手引きWeb」及び「EQUIOS / Trueflow出力の手引き」をご愛用いただきますよう、よろしくお願いいたします。

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2014年09月03日 | ストロークにスジが入る問題

short_vector.png■概要
右図の様に、ストロークの一部にAcrobatでは見えなかったスジがRIP演算結果に入る場合があります。
この現象は,以下の2つの過去の記事と同じ様にRIP処理におけるShort Vector化による影響が原因です。
マイター処理がAcrobatと一致しない問題
特定のマイター処理がAcrobatと一致しない問題 (2)

■データ制作上の問題
しかし、この問題はデータにも若干の問題があります。
このパスはスジの入る該当箇所でパスが連結されていないことが原因になっている可能性があります。
たとえ、座標値が完全に一致していても、パスが連結されていないと、途中の例えばEPSに変換するとか、QuarkXPressに貼るなどの処理などで僅かにズレが発生することがあります。
この様な僅かなズレはAcrobatではなかなか見えませんが、RIP処理時のShort Vector処理により、スジが入るケースがあります。
(右図は、理解のために大げさに書いていますが、こんなに大きくスジが入る訳ではありません)

■データでの回避策
Illustratorで2つのアンカーポイントをダイレクト選択ツールで選択して、「オブジェクト」→「パス」→「連結」を実行することで、この問題の発生しないデータを作ることができます。

■運用上の問題
また、仮にIllustrator上ではデータが正しく作られていても、その後の運用が例えばEPSに保存してからDistillerでPDFに変換して、さらにQuarkXPressに貼るような適性でない場合は、パスの始点と終点の連結が解除されるなどのRIPの動作不良の原因となる場合があります。

■運用を含めた回避策
パスを連結したデータを作成し、Illustratorネイティブ貼り込みの運用からPDF/X-4書き出しであれば、この様な問題は発生しません。

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2014年08月26日 | Adobe Creative Cloud 2014 (2) - PDF書き出しダイアログの間違い

ai_2014_splash.pngスプラッシュで何かと評判のIllustrator CC2014のPDF書き出しダイアログは警告メッセージの間違いがあります。動作は問題ありません。
Illustrator CC2014で、PDF書き出しプリセットとして当社の提供する「Trueflow PDFX4 1.4J」を選択すると、このダイアログの「設定内容」に以下の様な警告が表示されます。
プリセットは「互換性のある形式」で「Acrobat 5 (PDF1.4)」を選択しています。
透明部分に関して「PDF/X(2003)」標準への準拠を確保するために、この設定は「Acrobat 4 (PDF1.3)」に変更されます。
「PDF/X(2003)」とか意味が分からない…
このメッセージは、表示されないのが正しい動作で、本来の警告は古いPDF1.4準拠の「Trueflow PDFX4 1.3J」を選択したときに、以下の様に記述されるべきです。
プリセットは「互換性のある形式」で「Acrobat 5 (PDF1.4)」を選択しています。
透明部分に関して「PDF/X-4 : 2010」標準への準拠を確保するために、この設定は「Acrobat 7 (PDF1.6)」に変更されます。
この問題は警告のみで、出力されるPDF/X-4はPDF1.6準拠でレイヤーも活用できるもので、問題なく使用できます。
Illustrator CCもInDesign CC2014も警告が必要な場合の内容はイマイチだけど、不要な警告は出ません。不要な警告はIllustrator CC2014だけの問題です。
pdf_dialogue.png

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