1つ前の記事「特定のマイター処理がAcrobatと一致しない問題」では、とがってマイタージョインになってはいけない部分がとがってしまう問題でしたが、この件はその逆です。
右図のように、とがるべき部分がとがらないベベルジョインになってしまう、という問題です。
この問題はデータの特異性が原因ですが、どの部分が問題なのかIllustratorを用いても見つけるのが困難なので、事例として知っておく事が重要です。
■発生原理
データの右側の線分に問題がありました。
このデザインの場合、本来はアンカーとハンドルは同じ位置になりますが、右図のように片方だけクリックしても選択できないくらいごくわずかに下方向にハンドルが出ていました。
(通常アンカーにスナップされますが、大きく作って縮小した?)
このハンドルの影響で、短い直線で近似化処理(Short Vector化)した場合、問題の部分の角度が必要以上に鋭角になり、解像度やRIPの特性に応じてマイターリミットを超過してしまい、ベベルジョインとなっています。
全体で見ると、ベベルジョインになるような鋭角には見えませんが、右下図のように微細領域で見ると、原理が分かります。
■回避策
・尖らせたい場合はマイターリミット(比率)を大きめに設定する
(比率設定のデフォルトは「10」ですが、それよりも遙かに小さい場合にこの問題は発生します。)
・危なそうな箇所はIllustratorでパスのアウトライン化を行っておく
(この問題は、ほんの僅かな差でマイターリミットを超過してベベル結合になったと思われます。)
・ストロークを用いたデータを扱う場合、マイターリミットを意識したデータ制作をすることで、このような問題の発生を防ぐことができます。
マイターリミットのUI、オブジェクト選んでスライダーで結果見ながら設定できたらいいのに。
出力に大きな影響を与えるのに「比率」に数字決め打ちって…