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2010年02月24日 | Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事

以前の3つの記事
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動
では、詳細な説明をしましたので、最後に覚えておくべき要点だけまとめます。

Adobe PDF Print Engineでは、PDFの規格通りにオーバープリント処理が行われる為に、レアケースですが従来のRIPとは異なる出力結果になる場合があります。
PDFの規格通りとはAcrobatでの表示と同じになるのですが、PostScriptを直接RIP処理させる場合はAcrobatでの確認の過程が入らないので、よりいっそうの注意が必要です。
この情報はTrueflow SE Ver7.10以降において、Adobe PDF Print Engine(最新PDF処理)を使用して安心してPostScriptを処理する為に必要です。「最新PDF処理」なのにPostScriptが処理できる、ということは気にしないで…

■ポイント
<症状の概要>
 ・グレースケール、画像、グラデーション、パターンに指定されるオーバープリント
 ・画像、グラデーション、パターンについてはDeviceCMYKの場合にのみ該当
 ・従来のRIPでの処理結果とPDFの規格通りの処理では出力が異なるケースがある
 ・Trueflowにおいても従来PS/PDF処理と最新PDF処理では結果が異なる
<要点>
 ・Illustrator10以前、およびInDesign 2.0.2以前でのみ違いが発生する
 ・それ以降のアプリケーションでは、RIPによる違いが出ないように工夫されている
 ・QuarkXPress 6以降で、Trueflowの推奨設定を使用していれば、違いは発生しない
 ・画像、グラデーション、パターンにオーバープリント指定されるケースは少ない
 ・グレースケールに対しても、Trueflowの自動墨ノセ処理は有効
<以下の表のみかた>
 ・赤の背景の部分は問題があり、RIPによって違いが出る可能性があります
 ・濃いグレーの部分は、オーバープリント指定ができないので違いも出ません
 ・白い部分はRIPによる違いがなく、オーバープリント処理されます

table_illust2.png■Illustratorの場合
・Illustrator 10以前において、グレースケールやグラデーションのオブジェクトにオーバープリントが指定されていれば違いが出ます
・Illustrator CS2以前では、画像にオーバープリント指定できないので違いが出ることはありません
・それ以外のオーバープリントについては問題ありません


table_ind2.png■InDesignの場合
・InDesign 2.0.2以前において、グラデーションにオーバープリントが指定されている場合にのみ違いが出ます
・InDesignにはグレースケールでの色指定がなく、画像にはオーバープリント指定できませんので違いが出ることはありません


table_qxp2.png■QuarkXPressの場合
・QuarkXPressにはグレースケールでの色指定がなく、画像にはオーバープリント指定できませんので違いが出ることはありません
・Trueflowの推奨設定を使用していればグラデーションへのオーバープリントの違いが出ることはありません
 QuarkXPress 4.1以前ではDeviceNをサポートしておらずPDF運用に適していません

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2010年02月03日 | Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動

■概要
以前の2つの記事
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細
では、「DeviceNでは…」「DeviceGrayでは…」と説明されていますが、実際のDTPアプリケーションでは、オブジェクトのカラースペースを意識することは通常ありません。Acrobat 9のオブジェクトインスペクタを使えば分かります。
この記事では、実際のDTPアプリケーションで、どの様なオペレーションによって、DeviceNやDeviceGrayが指定され、今まで説明してきた4つのオブジェクトの例外の振る舞いになるのか、について解説します。

この4つの例外を含めた全てのオーバープリントの振る舞いは、Acrobatのオーバープリントプレビューで確認できます。
また(今月からリリースされた)Trueflow SE Ver7.10では、最新演算処理(Adobe PDF Print Engineを使用する処理系)にPostScriptも入力できる様になり、PostScriptの場合は処理前にAcrobatなどで確認する事ができないので、やはり以下の発生条件を知っておくことが必要です。
DistillerでPDFに変換してからAcrobat確認する方が遙かに簡単です…これもPDFワークフローのメリットですね。

■結論
sample.png・AdobeCS以降、QuarkXPress 6以降
 これら4つの例外を意識する必要は、ほとんどありません
 Acrobatのオーバープリントプレビュー通りの出力が得られます
 意図通りの制作するための役立つ情報となります
・それよりも古いアプリケーション
 4つの例外の事例から出力を予測することが必要になります

■テスト方法
右図の様なデータを用意し、オーバープリントの再現がどうなるか、確認します。
パターンにオーバープリントを適用することは、今回対象のアプリケーションではできないので除外しています。
オーバープリントの再現については、Acrobat 9のオーバープリントプレビューで確認した上で、オブジェクトインスペクタで、各々のオブジェクトのカラースペースを調べます。
Trueflowの最新演算処理での結果も、Acrobat 9のオーバープリントプレビューに準じます。

color_p.png■Illustrator(10~CS4で確認)
<データの準備>
Illustratorでは、「カラー」パレットのメニューから「グレースケール」を選択してサンプルのグレーの部分を作成します。
画像へのオーバープリントはIllustratorCS3以降で埋め込み画像にのみ指定できる(リンク画像では不可)ので、埋め込み画像にオーバープリント指定します。
Illustrator 10~CS2では、画像に対するオーバープリントは設定できません。
<テスト結果>
テスト結果は以下の表の通りになります。
ai_result.pngtable_illust.png
・グレースケール
 →ノセにならないDeviceGrayではなくDeviceCMYKで記述

・画像やグラデーション
 →DeviceCMYKではノセにならないのでDeviceNに変換

この結果からIllustratorでは本来オーバープリントにできないオブジェクトを書き換えてノセになる様に工夫されていることが分かります。
特にIllustrator CS3とCS4では、画像もDeviceNで変換することで、可能な限りオーバープリントを再現しようとしています。
<補足事項>
・Illustrator CS3とCS4でのグラデーションと画像のカラースペースの変換は、オーバープリントが指定された場合にのみ行われます。
・IllustratorCS以降で行われるグレースケールをDeviceCMYKで記述する処理はオーバープリントの有無に関わらず行われます。
・Illustrator CS4でも、ドキュメントのカラーモードがRGBの場合は、グレースケールで指定されたオブジェクトは、DeviceGrayで出力されます。
・Illustrator 10でのオーバープリントプレビューは、グレースケールとグラデーションがノセになって見えますが、実際の出力ではノセになりません。書き出したPDFのAcrobatによるオーバープリントプレビューの表示は出力と一致します。
・表の「指定不可」はオーバープリント指定ができず、ノセにもならないので結果は正しいと解釈できます。
TrueflowではIllustrator CS以前のバージョンからダイレクトに出力されたPDFはサポートしていませんが、上記の結果はテストとしてPDF書き出しを行っています。

ind_color_p.png■InDesign(2.0.2~CS4で確認)
<データの準備>
InDesignにはグレースケールの色指定がありません。
InDesignでは、画像にオーバープリント指定することができません。
<テスト結果>
テスト結果は以下の表の通りになります。
table_ind.png
ind_result.png・グラデーション
 →DeviceCMYKではノセにならないのでDeviceNで記述

画像にオーバープリント指定することができない事や、グレースケールでの色指定ができない事は、機能が劣っているのではなく、安全な仕様であると言えます。乗算の透明など代替機能があります。
<補足事項>
・InDesign CS以降のグラデーションのカラースペースは、オーバープリントの指定の有無に関わらずDeviceNで記述されます。
・InDesign 2.0.2でのオーバープリントプレビューは、グラデーションがノセになって見えますが、実際の出力ではノセになりません。書き出したPDFのAcrobatによるオーバープリントプレビューの表示は出力と一致します。
・表の「指定不可」はオーバープリント指定ができず、ノセにもならないので結果は正しいと解釈できます。
TrueflowではInDesign 2.0.2からダイレクトに出力されたPDFはサポートしていませんが、上記の結果はテストとしてPDF書き出しを行っています。
■QuarkXPress(6.5と8.1で確認)
qxp_color.png<データの準備>
QuarkXPressは、IllustratorやInDesignとはカラースペースの扱いが異なり、PDF出力時とPostScript出力時に画像以外の全てのカラースペースを統一して出力します。
QuarkXPressでは、「カラーのセットアップ」→「出力」の部分で右図の設定をしておき、PDF書き出し時にこの設定を指定する事で、出力カラーを明示的に指定できます。
この設定でDeviceNが指定されれば、画像を除き、全てDeviceNで出力されます。
Trueflow向けの設定(Trueflow印刷ユーティリティにも含まれています)でも、ここがDeviceNで指定されています。
<テスト結果>
テスト結果は以下の表の通りになります。
table_qxp.png
qxp_trap.png・グラデーション
 →出力設定によりDeviceNで出力されノセになっています

画像にオーバープリント指定することができない事や、グレースケールでの色指定ができない事は、機能が劣っているのではなく、安全な仕様であると言えます。
<補足事項>
・QuarkXPress6.5のグラデーションはDeviceNの図形が大量に重なって表現されているので、負荷が大きく、品質も良くありません。
・QuarkXPressにはオーバープリントプレビューがサポートされていませんので、出力前にオーバープリント設定を確認しておくことが重要です。QuarkXPress 3.3/4.1はDeviceNをサポートしていません。
TrueflowではQuarkXPress 6.5からダイレクトに出力されたPDFはサポートしていませんが、上記の結果はテストとしてPDF書き出しを行っています。

■まとめ
PDFの規格により、DeviceCMYKのグラデーション、パターン、画像へのオーバープリント指定は無効になっていますが、DTPアプリケーション側で版の有無を明示的に指定できるDeviceNに書き換えることによって、可能な限りオーバープリントを再現できるように工夫されています。
DeviceNで記述することにより、RIP側のオーバープリント処理の仕様に依存せずOPMの設定にも関わらず、同じオーバープリントが再現できます。
以前の記事「なぜDeviceN形式を使用するのか?」でも説明した通り、現在の主流であるIn-RIPセパレーション運用では、RIP側での分版をDTPアプリケーション側から明確に指定する必要があり、その為にこの様な書き換えなどの工夫がされています。
これがIn-RIPセパレーション前提のPDFワークフローで、DeviceNの理解が重要である理由のひとつです。
Illustrator 10やInDesign 2.0.2の頃は、上記の(表示上の矛盾があるなどの)例にもあるようにオーバープリントの解釈が明確になっていく過渡期にあり、この頃に利用されていたTrueflowの従来演算処理も含むRIPには、その状況を考慮したオーバープリント処理が実装されおり、現在のRIPとは異なる結果になる場合もあります。
実際の制作業務ではこれらのオブジェクトへのオーバープリントは透明に置き換える、DeviceGrayは使用しないなどの工夫を行う事で、より出力環境への依存の少ないPDFが作成できます。

このあと、
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事
に続きます。

TrueflowのOutlinePS/EPSをお使いのお客様には、DeviceGrayの扱いについて上記以上の留意事項があります。詳しくはTrueflow SE Ver7.1に付属の「使用上の留意点」を参照して下さい。
OutlinePDFはこれに該当せず、従来演算処理、最新演算処理の両方で同じオーバープリントが再現できます。

DeviceGrayが単純にDeviceCMYKのKと等価とできないのは、これだけが理由ではありません…

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2010年01月15日 | Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細

<ご注意>OPMの概念は、PDFの技術情報の中でもかなり難解な部類であり、オーバープリントの挙動を完全に理解したい方向けの情報となります。

■従来演算系でもPDFの規格通りに処理を行う
TF_opm.png以前の記事「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要」では、従来演算系とAdobe PDF Print Engineを使用した最新演算系では結果が異なると説明していましたが、設定を変更することで、その処理をPDFの規格通りに合わせることが可能です。
Trueflowには「オーバープリントモード」という設定(詳細はTrueflow出力の手引き 第13版P30~P31参照)があります。この設定で「PDFのオーバープリントに準拠する」を選択すると、従来演算系であっても以前の記事で説明したPDFの規格通りの出力結果を得ることができます。
この設定は、従来の演算結果との互換性の観点から、デフォルトでは従来通りの(4つの例外のない)オーバープリント処理を行う設定「システム設定を使用する」になっています。

■DeviceGrayについて
Trueflowの最新演算処理では、DeviceGrayのオブジェクトにオーバープリントが設定されていても、ノセにはなりません。これもAcrobatでの表示と同じです。
また、Trueflowの従来演算系では、DeviceGrayの対するオーバープリントを処理します。これも、他の3種類のオブジェクトと同じです。この挙動も、Trueflowの「オーバープリントモード」の設定を「PDFのオーバープリントに準拠する」に設定しておくと、Acrobatでの表示と同じ出力結果を得ることができます。
ただし、DeviceGray 0%、つまり印刷的には墨100%のデータを、最新演算処理でオーバープリントにしたい場合は、上記仕様の通り、単純にオーバープリント指定をしてもノセにはなりませんので注意が必要です。とりあえず、Trueflowの「自動オーバープリント設定」を利用すれば最新演算処理でもDeviceGrayによる墨ベタをノセにすることができますが、これはPDFの書き換えて実現しているので、汎用性のつまり、元のPDFを他のRIPで処理した場合には同じ結果にならないという観点からあまりオススメできません。
DeviceGrayは最近のDTPアプリケーションでは、ほとんど使用されません。
確実な墨ノセ指定のためにはDeviceGrayへの「自動オーバープリント設定」を期待するのではなく、DeviceCMYKやDeviceN、Separationなどのインキを前提とした色空間でオーバープリント設定する事を推奨します。この指定により、演算系に関わらず確実な墨ノセ処理が行われます。
QuarkXPress 8のPDF書き出しでは、出力のカラースペースを明示的に指定できるので、DeviceGrayのみで記述されたPDFを作成することもできますが、推奨設定ではありません。

OPM-2.png■OPMとの関連
上記のDeviceGrayを除く、この3種類のオブジェクトに設定されたオーバープリントの処理は、これらのオブジェクトがDeviceCMYKで定義されている場合が前提になっています。
OPMについて説明した「オーバープリントを正しく理解する(3) - OPM」の記事にも「DeviceCMYKのオーバープリントの挙動を変えるOPM」とあるように、DeviceCMYKのオーバープリントだけは「版が0%であるかどうか」に基づいて処理が行われます。この動作が一般的な/OPM 1の場合の処理になります。
つまり、/OPM 0の場合は、この4種類のオブジェクトに限らず、全てのDeviceCMYKのオブジェクトに設定されたオーバープリントは対象がプロセスカラーの場合、有効ではありません。

APPE_op_DevN.png■特色オブジェクトが対象の場合
この3種類のオブジェクトがDeviceCMYKでオーバープリントが設定されていても、その下部にあるオーバープリントの対象となるオブジェクトが、特色のオブジェクトの場合はノセになります。
特色オブジェクトとは、特色がSeparation色空間やDeviceNで定義されている場合つまり予約語は使用されていない場合を差します。
この特色は、明らかにDeviceCMYKとは「版」が異なるので、オーバープリントが設定された場合に、単純にノセになります。これは、上記の条件から、この3種類のオブジェクトの例外や、OPMにも関係なく、ノセになります。
つまり、この3種のオブジェクトの例外は、あくまでもプロセスカラーどうしのオーバープリントにのみ影響を与えます。

■オブジェクトがDeviceCMYKでない場合
プロセスカラーどうしであっても、オーバープリント指定されたこの3種類のオブジェクトがDeviceNで必要な版のみが指定されている場合は、以前の記事「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要」で図示したような例であっても、グラデーションや画像オブジェクトをDeviceNで定義する事で、OPMの設定やTrueflowの演算系の新旧に関わらず、ノセになります。
右図はグラデーションの例ですが、画像であるダッキーの例では、あえてCyan成分が全くない画像にオーバープリント指定すると、従来演算系で背景のCyanが透けて見えますが、画像がDeviceCMYKではなくDeviceNで記述されれば、最新演算系でも透けて見えます。

PreSepa.png

■歴史的背景
グラデーション(シェーディング)、パターン、画像、DeviceGrayなどに設定されたオーバープリントの処理については、PostScriptでは厳密に決められていませんでした。
「正しい出力とは何か」を考える上では、画面上の表示が、実際の印刷結果と一致するのが好ましいのですが、当時のDTPアプリケーションでは、オーバープリントプレビューができなかったり(今もQuarkXPressはサポートしていません)、印刷結果の方もアプリケーション側で分版するプリセパレーション運用が主流であったために、それらの出力を予測する事は困難で、「正しい出力」の定義も曖昧でした。
「オーバープリント」とは、分版の方法を定義する記述なので、DTPアプリケーション側で分版するプリセパレーション運用では、オーバープリントの挙動もDTPアプリケーションの実装で決まってしまいます。
その状況において、当時からIn-RIPセパレーション運用を推奨していたTrueflowでは、オーバープリント設定されたものは、設定通り極力ノセる仕様になっていました。
一方では間違ったオーバープリント設定されたデータも多かったので、オーバープリント設定を無視したり、自動的に墨ノセにする運用が良く行われていました。
今では、DTPアプリケーション側ではオーバープリントプレビューが実装され、PDFの規格で厳密な挙動も定義されたので、画面で見た通り、Acrobatでの表示通りに出力する事が可能になってきました。
例えば、従来のPostScript運用ではDeviceCMYKの0%の解釈が曖昧で、アプリケーションやRIPで結果が異なる問題を解決するために、PDFではOPMというフラグで厳密に定義されました。
今は、オーバープリントを正しく取り込んで、「自動オーバープリント設定」を使わない運用をおすすめしています。

※AD-810MXはIn-RIPセパレーションもサポートしています。

このあと、
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Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事
に続きます。

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2010年01月13日 | Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要

グラデーション、パターン、画像などに、デザインとしてオーバープリントを設定される事は稀かも知れませんが、これらのオブジェクトにオーバープリントが設定された場合、従来のPostScript運用とPDF運用では、処理の違いがあります。
ほとんどの運用ではその違いが問題になる事は少ないと思われますが、PDFにおけるオーバープリントの仕様について、正確に理解しておく事は重要です。

このあと、詳細な解説が続きますが、「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事」で結論をまとめています。

■関連記事(あらかじめ読んでおいてください)
Trueflow出力の手引き 第13版 P27~P31 「オーバープリントモード」
DeviceNを理解する
オーバープリントを正しく理解する
オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響
オーバープリントを正しく理解する(3) - OPM

APPE_op.png■オーバープリント処理の例外について
以下のオブジェクトにオーバープリント指定された場合で、かつ下部のオブジェクトもプロセスカラーの場合、オーバープリント属性が設定されていても、PDFの規格上ノセにならない事になっています。
・グラデーション(DeviceCMYKで指定された)
・パターン(DeviceCMYKで指定された)
・画像(DeviceCMYKで指定された)
・DeviceGrayのオブジェクト
Acrobatでの表示も規格通り、これらのオブジェクトはノセになりません。
PostScriptの規格では、これらのオブジェクトについては厳密に規定されておらず、RIPによって処理結果が異なっていました。例えば、TrueflowのAdobe PDF Print Engineではない従来演算系では、仕様上これら全てのオブジェクトのオーバープリントは処理されます。
これは従来演算系にPostScriptを入力した場合も、PDFを入力した場合も同じロジックで演算されるので、入力データがPDFでも同じ結果つまりオーバープリント処理になります。
言い換えると、これらのオブジェクトにオーバープリントが設定されていると、その(PostScriptの場合はそれをDistiller で変換した)PDFのAcrobatでの表示とは、結果が異なる事になります。

■Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(Trueflowの場合)
Trueflowの従来演算系では、これらのオブジェクトのオーバープリント処理結果は、Acrobatとは異なっていましたが、Adobe PDF Print Engine(Trueflowでの最新演算処理系)での処理はあくまでもAcrobatと同じ結果になるように、つまり規格通り演算されます。
間もなくリリースされるTrueflow SE Ver7.10では、いよいよ最新演算処理ルートでもPostScriptを入力することができるようになりますが、これら4種類のオーバープリント処理に関しても、従来とは異なり、PDFの規格通り演算されます。
この処理により、それらのPostScriptをDistillerで変換したPDFのAcrobatでの表示と一致するようになります。
つまり、同じデータでも、これらのオブジェクトのオーバープリント処理結果は、Trueflowの従来演算系と、最新演算系では異なる事になりますので、注意が必要です。

■まとめ
重要なことは、実際のデザインにおいて、グラデーション、パターン、画像、DeviceGray等のオブジェクトにオーバープリント指定される可能性は低いと思われることです。
また、データ制作時においても、この様な本来の目的からは外れたようなオーバープリント指定したくなる場合は、その代わりに透明効果を用いて同様のデザインが得られるようにデザインすることで、間違いのない出力が得られます。

このあと、
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動
Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(4) - 覚えておくべき事
と続きます。

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2009年03月05日 | 「白ノセ」トラブルを解決する(3)

これだけトラブルが発生している白ノセですが、この様な問題がある事は結構知られています。また、白のオブジェクトに意図的にオーバープリント指定をする人もいないと思います。
それでも、この手のトラブルは無くならないのは、オペレーション手順の落とし穴に気付いていない事も関係していると思います。
では、どの様なオペレーションをすると、白ノセが設定されてしまうのでしょうか?

■原因1(IllustratorCS~CS4で確認)
墨ノセなど、白以外のオブジェクトにオーバープリント指定された色を、後で白に変更すると、大きな警告*1もなく(小さな警告表示*2はありますが)設定できてしまいます。

ai_warning2.pngai_warning1.png

warning.png

大きな警告は、Illustratorで普通に白のオブジェクトにオーバープリント指定しようとすると表示され、「続行」をクリックすると白ノセになってしまいます。「便利です。」と書かれていますが、どの様に便利なのか不明です。

■原因2(IllustratorCS~CS4, InDesignCS, CS2で確認)
図形オブジェクトの線を黒に、塗りを白に設定し、線の黒にオーバープリントを指定します。その後、「カラー」や「スウォッチ」「ツール」のパレットで「塗りと線を入れ替える」を行うと、線の黒が白になりオーバープリント属性はそのまま残ります。

1)黒の線にオーバープリントを設定する
 →白の「塗りオーバープリント」はグレーアウトしており、白ノセの設定はできない
InD_CS2_op1.png

2)「塗りと線を入れ替える」をクリックすると白の線が白ノセに(下図はオーバープリントプレビューOnの状態)
 →InDesignでは「線オーバープリント」がグレーアウトされ、色を戻さないとをOffにもできない。
InD_CS2_op2.png

■白ノセにならない場合の動作
白ノセにならない場合の動作と、原因と各々のバージョンでの挙動について、以下の表にまとめました。
OP_table.png
AdobeCS以前のバージョンについては(基本的には)ここでは解説しません

■まとめ
この表からも分かる様に、Illustratorで墨ノセオブジェクトを白に変更した場合、というケースで最も多く、気付かぬうちに白ノセ指示してしまう様です。
また、InDesignでの問題はCS3以降では修正されている様です。
ここで挙げた白ノセが指定されるオペレーションは、これだけで全てかどうか分かりません。他にも気付かぬうちに白ノセ指定をしてしまうオペレーションがあるかも知れません。
前の記事にあった無意識のうちに白ノセが出力されるケースも含めて、PDFで出力してAcrobatのオーバープリントプレビューなどを活用する事で、実際に印刷する前に十分チェックしておく事が大切です。
チェックには手間がかかりますが、事故になってから復旧するよりはいいはずです。

最も重要な事は、白ノセのトラブルを防ぐには、データ制作の時点で十分に注意する以外に有効な対策はない、という事です。

<番外編>Illustrator5.5では通常は白のオブジェクトにオーバープリントの指定はできませんが、「すべてを選択」してからオーバープリント指定をすると、白のオブジェクトにもオーバープリントが指定できてしまいます。

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2009年03月02日 | 「白ノセ」トラブルを解決する(2)

■結論
正しい白ノセが設定されていないデータを、データ通り処理すれば問題ありません。
TFWhiteOP.png
■Trueflowで白ノセを無視できます。が…
Trueflowでは白色のオーバープリントの取り込みをOn/Offする設定があります。Offにする事で間違って設定された白ノセを無視して、白のオブジェクトを見える様に出力しようという設定です。
しかし、この設定は「入稿データを変更する」ことを意味しており、必ずしも期待通りの出力が得られるわけではありません。
確かに、この設定によって「出力データ」の内部で白色に設定されているオーバープリントは無視されますが、DTPアプリケーション上での白ノセが、そのまま「出力データ」に反映されない場合があり、そうなると出力もTrueflowの設定どおりにはなりません。

■期待通りにならない2つのケース
以下の二通りの出力データ作成時の「内部的な処理」が行われた場合に問題が発生します。

1)白ノセが、白ノセではない出力されない別の記述に書き換えられる
 →これはデータ上では白ノセではなくなるので、RIP側で回避できません。
2)DTPアプリケーション上で設定していない白ノセが出力される
 →RIP側で白ノセを無視すると、見えないはずの白ノセが、白く出力され他のオブジェクトを隠します。

具体的には、データ出力時に以下の様な動作が行われます。

ObjectInspector.png1)DTPアプリケーションでは最適化と称して「白ノセは出力されない」前提で、オブジェクトごと消去したり、白色を特色Separation(分離)カラースペースの「None」という色の0%に書き換えたりする場合があります。色の名前「None」は「描画しない」という予約語です
2)白ノセを設定しなくても、特定のグラデーションやトラップデータにおいて、出力されない前提で白ノセオブジェクトが無意識のうちに出力データに含まれる場合があります。

■具体例
1)の特色「None」になるケースとしては、例えばIllustratorCS4でEPS出力するだけで、白ノセが特色「None」0%になって出力されます。
2)のケースとしては、例えばIllustrator10で特色-プロセスのグラデーションを記述すると、白ノセの記述が入り、白ノセを無視すると白オブジェクトが見える事で、グラデーションの一部が消えてしまいます。

これらの問題になる内部処理はこれだけではありません。また、それぞれ、DTPアプリケーションのバージョンが異なると、挙動も異なります。
Acrobat 9のオブジェクトインスペクタを用いて、どの様になっているか調べてみましょう。

■まとめ
結局白ノセのトラブルはTrueflowの設定では防ぐ事ができないだけでなく、白ノセを取り込まない事が別の問題を引き起こす原因となるのです。Illustrator5.5/8+QuarkXPress3.3/4.1の時代は、もう少し役立つ機能だったのです…

[第13版] [オーバープリント] [Illustrator] [InDesign] [QuarkXPress] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2009年02月26日 | 「白ノセ」トラブルを解決する(1)

WhiteOP1.png
まず、「白ノセ」オブジェクトが消えてしまうというトラブル事例は、現在でもよく聞きますが、なぜ「白ノセ」は消えてしまうのでしょうか?
以前の記事「オーバープリントを正しく理解する」と「オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響」では、上部のオブジェクトに0%の「版」がある場合は、その「版」に関しては下部のオブジェクトが透けて見える、のがオーバープリントであると説明しました。
「白ノセ」オブジェクトが消えてしまう事も同じ原理で説明できます。
「白」は全ての版が0%になります。ここではDeviceCMYKの場合を例にしています
この「白」にオーバープリント指定された場合、全ての版が透ける事になり、結果上部の白のオーバープリントオブジェクトは消えてしまいます。
白ノセのトラブルは、文字が消えるなど深刻な印刷事故の原因となりますが、オーバープリントの挙動としては正しく、これも「データ通りの出力」と言えます。
オーバープリントプレビューを活用して事前に確認しておく事が重要です。
WhiteOP2.png

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2008年04月22日 | オーバープリントを正しく理解する(3) - OPM

<ご注意>以下の解説は、通常のDTP出力において意識する必要はありません。OPMの概念は、PDFの技術情報の中でもかなり難解な部類であり、オーバープリントの挙動を完全に理解したい方向けの情報となります。
OPMに関しては、Trueflow出力の手引き 第11版のP26~P30に具体例を示して詳しく説明しています。ここでは理解を助けるための補足をしておきます。また、P27の図の誤記訂正も下記にあります。

■関連記事(あらかじめ読んでおいてください)
「Trueflow出力の手引き 第11版」P26~P30
DeviceNを理解する
オーバープリントを正しく理解する
オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響

■概要
・OPMとはOverPrint Modeの略で、その名の通り「オーバープリントの処理モード」を設定するための記述です。
・処理モードとしては、OnとOffの状態があり、それぞれ/OPM 1、/OPM 0と表記されます。
・通常のDTP環境下では常に/OPM 1を使用すべきです。
・この設定を変更する事で、一部のオーバープリントの挙動が変化します。
 つまり以下の説明は全て「オーバープリントがOn」の場合の説明であり、ケヌキの場合と混同すると全く訳が分からなくなります。

■/OPM 1で期待通りの出力OPM.png
ここまでのオーバープリントの説明は、全て/OPM 1と定義された場合を前提としています。
IllustratorやInDesignのオーバープリントプレビューも/OPM 1での結果を表示します。
ドキュメント全体に対してのOPMの指定として、唯一Acrobat Distillerで設定する事が可能ですが、その設定「オーバープリントのデフォルトをノンゼロオーバープリントにする」もはや日本語とは思えませんが…は常にOnである事が推奨されます。この設定が/OPM 1を示しています。
※PDFの規格としてはオブジェクトごとにOPMの指定が可能ですが、一般的なDTPアプリケーションで、その様な指定が出来るものは確認されていません。

■DeviceCMYKのオーバープリントの挙動を変えるOPMOPM-2.png
以前の記事「オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響」では、以下の様な説明をしました。
・DeviceCMYKは0%を「版の成分がない」
・DeviceNの0%指定は「0%の色がある」

とそれぞれ解釈され、合成されます。
この様に、DeviceNとDeviceCMYKでは0%の色値の扱いが異なります。
この挙動を変更するのがOPMであり、/OPM 0と定義されたオブジェクトは、DeviceCMYKであっても0%と指定された色を「0%の色がある」と理解し、DeviceNと同じようにその版の色を透過しません。
従って、OPMの設定が影響するのはDeviceCMYKのオブジェクトのみであり、DeviceNなど、他のカラースペースのオブジェクトはOPMの設定の影響を受けません。

上図がTrueflow出力の手引き 第11版のP27の誤記訂正です。
「例1)」の「前面(Separation)」は「前面(DeviceCMYK)」の誤りです。

■本来の設定は/OPM 0だった
本来はPostScriptもPDFも、この/OPM 0の挙動を前提としていました。
なぜ、現在は/OPM 1の挙動が一般的になったのか、その経緯については、Trueflow出力の手引き 第11版 P28「本来のオーバープリントの動作」に説明してあります。

[第11版] [DeviceN] [オーバープリント] [FAQ] [誤記修正] [解説追加] | 固定リンクこの記事をメールで共有 このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年04月21日 | なぜDeviceN形式を使用するのか?

DeviceNに関する技術情報をまとめます。
以前の記事
QuarkXPress6以降は「DeviceN」で出力
InDesignにおける「DeviceN」は「色分解(In-RIP)」
DeviceNを理解する
オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響
などの内容とも関係して、よく質問されるDeviceNの必要性について説明します。

■DTPアプリケーションで分版処理PreSepa.png
今となっては少数の環境でしか使われていませんが、DTPの初期の頃は右図の様にRIPの内部で分版するのではなく、DTPアプリケーションによって分版出力するのが一般的でした。これを「プリセパレーション」という人もいます。Trueflowでの「プリセパレーション運用」はメリットもなく推奨しません。
現在のDTPアプリケーションでも対応しており、InDesignでは(In-RIP)ではなく「色分解(InDesign)」でありQuarkXPressでは「色分解」という指定になります。
この場合、DTPアプリケーションから出力されるPostScriptは、C,M,Y,K(+特色版)の各々が、すでに分版処理された状態で記述されており、RIPとしては(CMYKデータなら)モノクロ4ページとして出力されます。
この様な処理の場合、出力されるPostScriptにはDeviceNの記述もオーバープリントの記述も必要ありませんでした。
例えば「墨ノセ」を表現する場合は、K版では文字を描画して、他の版ではその文字を「なかった事にして」描画をすれば、出力結果としては「墨ノセ」となります。ケヌキの場合は、他の版でもその文字を描画する事で、そこが白く抜けます。本来DeviceNが必要な、特色とプロセス版を混ぜた色も、特色版とプロセス版のそれぞれに、同じオブジェクトを記述するだけで表現できました。
これらの分版処理をDTPアプリケーションの内部で行う場合は、RIP側では「重なったオブジェクトをどう処理するか」という事を考える必要はありませんでした。
言い換えると、オーバープリントやDeviceNの記述とは「重なったオブジェクトをどう分版するか」という分版処理の方法を定義したものの一種であり、この様に既に分版されたデータでは、RIP側でもともと推奨ではありませんがオーバープリントの無視や特色の疑似色化などの処理を行う事もできません。

※AD-810MXはIn-RIPセパレーションもサポートしています。

■In-RIPセパレーションに必要なDeviceNIn-RIPsepa.png
一般的には全ての版を一度に演算する方が、高速に処理できるというメリットもあり、PDFワークフローや、分版処理をサポートしたRIPに出力するPostScript運用では、全ての色を一つのデータで表現する必要が出てきました。
この事により、特色やオーバープリントの情報も正確にデータ上に表現する事が重要になってきましたが、DeviceCMYKでは特色を表現できません。Separation色空間を用いても、単色の特色しか表現できません。
DeviceNを使用する事で、全ての版の出力を考慮した「RIP分版が前提のデータ」を作成する事が可能になります。
DeviceN形式を必要とする「混合インキスウオッチ」を始めとするいくつかの機能の使用頻度は低いかも知れませんが、本当にそれらの機能を使っていないか、事前にデータ上でチェックする事は簡単ではありません。アプリケーションの持っている全ての機能をIn-RIPセパレーション運用で完全に出力するためには、DeviceN形式による記述が必須です。
以前の記事「オーバープリントプレビューを活用」では、DeviceN運用色分解(In-RIP)で出力する事を、Adobeの推奨である事を理由としていましたが、この様に技術的な裏付けもあるのです。

■コンポジットCMYKでIn-RIPセパレーション
しかし、In-RIPセパレーションをコンポジットCMYK出力で行われるケースが多い事も事実です。
確かに、出力側としてPostScript Level2は、DeviceNをサポートしていません。またDTPアプリケーションとしてもQuarkXPress3.3/4.1ではDeviceNをサポートしていません。
この様な条件下では、プリセパレーション運用を行うのがQuarkXPress3.3/4.1の本来の仕様ですが、そうも言ってられないのでIn-RIPセパレーションを行う場合、コンポジットCMYKで出力するしか方法がありませんでした。しかし以前の記事にある様に、コンポジットCMYK出力ではQuarkXPressの場合InDesignの場合も制限があり、RIP内部で種々の工夫をしていくつかの制限Quarkの特色グラデーションなどは克服していましたが、全てが完全に出力できるわけではありません。
DeviceN出力はRIPとDTPアプリケーションの両方でサポートして始めて使えるものなので、進歩の過程では、この様な運用もあると思いますが、あくまでも過渡期の運用であると考えるべきです。
現在は、RIPもDTPアプリケーションもDeviceNをサポートしています。また必要に応じて適切にDeviceNが使われるPDFワークフローもあります。

道具の進化に伴って、運用も最適なものに変えていく事が重要です。
PostScript運用においては「色分解(In-RIP)」や「DeviceN」の出力を選択を推奨します。
PDF運用なら最初からIn-RIPセパレーション運用が前提で、DeviceNも自動的に使用されます。

・TrueflowではQuarkXPress 6のPDFダイレクト出力をサポートしていません。QuarkXPress 7(英語版)以降でサポートしています。
・InDesignやQuarkXPressのヘルプには「コンポジットCMYK」は特色の出力ができないカラープリンタ出力用である事が明記されています。
・問題になるのは、本当は「特色インキ」を使うつもりではないのに、間違って特色指定されているデータです。
・DeviceN形式はPostScript 3、およびPDF1.3形式以降でサポートされています。
・Separation色空間はPostScript Level2以降、およびPDF1.2形式以降でサポートされています。

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2008年04月15日 | オーバープリントを正しく理解する(2) - DeviceNの影響

オーバープリントの続編であり、「DeviceNを理解する」の続編でもあります。

■複数の版の場合ColorOverPrint.png
一つ前の記事「オーバープリントを正しく理解する」では、それぞれ単色の場合の例でした。
では、複数の色が、つまり「版」が混じっている場合のオーバープリントはどうなるのでしょうか?
例として、Trueflow出力の手引き 第11版のP15に「色のせ」として記述されています。
この図を見ても分かる様に「版」ごとに、前面、背面のどちらの値が見えるか判断し、合成されています。
また、この例では前面も背面もDeviceCMYKのオブジェクトです。一般的に、DeviceCMYKの場合は0%を「版の成分がない」と理解し合成されます。この例も、その様に合成されています。

■DeviceNならどうなる?DeviceN-2.gif
以前の記事「DeviceNを理解する」で、DeviceNでは必要な色にのみ色値を設定し、使わない色は「0%」ではなく「なし」で定義される、と説明しました。
つまり、DeviceNで色をオーバープリントする場合は、「なし」の状態を「版の成分がない」と解釈します。(下図の左側:Magentaは透過している)
そしてDeviceNで明示的に0%と指定された色は、DeviceCMYKとは異なり「0%の色がある」と解釈されオーバープリント処理の結果、その版の色は透過しません。(下図の右側:Magentaは透過していない)

InD_DevNop.png
DeviceNで定義されたオブジェクトのオーバープリント処理は、0%と「なし」の状態を使い分ける事が可能になっていると言えます。用途があるかどうかは別にして…
DeviceNがどこで使われているか、編集時に意識する事はないと思いますが、InDesignCS以降なら「混合インキスウオッチ」、QuarkXPress6以降なら「Multi-Ink」で定義された色はDeviceNが使用されているはずです。
また、意外と忘れがちなのですが、全て「オーバープリントがOn」の場合の説明であり、ケヌキの場合と混同しないことが大切です。

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