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FP Series User Report

新旭電子工業株式会社

FPシリーズ導入で
省人化と検査品質向上を実現

新旭電子工業は
クライアントの信頼を
どのように
勝ち取っていったのか?

同社はプリント配線板専門メーカーとして、1980年に創業。琵琶湖の西部、滋賀県高島市新旭町に本社工場を構え、山梨と海外にも関連会社を展開している。品質にこだわり続け、特に重要な「技術」については独自の「マイスター制度」を導入するなど熟練者を養成し、技術力の向上と、それによる高い品質の維持に努めている。
今回同社がSCREENの最終外観検査装置FPシリーズの導入に至った背景や、導入後の運用状況、継続して導入台数を増やしている理由などを伺った。

石倉 健伺氏

石倉 健伺氏
(製造部 部長代理)

山本 祐也氏

山本 祐也氏
(製造部 製造二課 係長)

石田 彩羅氏

石田 彩羅氏
(製造部 製造一課 PP係)

古山 美帆氏

古山 美帆氏
(製造部 製造一課 PP係)

最終外観検査装置を導入した背景

同社では過去、不良に伴うクライアントからのクレームが多かったという。実際に2013年 には年間130件ものクレームが寄せられていた。その内、致命的なものが27件、改善要望が94件あった。クレームが来ると品質保証や営業部門のみならず、生産部門、検査部門のメンバーも対応に迫られるため、他の製品の納期やリードタイムにも影響する。従ってクレーム件数の削減は必須だった。
しかし目視による検査中心ではカイゼン活動を行ってもなかなか流出件数が減らなかったため、自動検査機を導入することでクレーム件数の低減を模索し、SCREENの最終外観検査装置FP-9000を導入することとした。
FP-9000導入後、徐々にクレーム件数は減少。その後も後継機のFP-9200と合わせて6台のFP-9000シリーズを導入し、2023年には致命的なクレームは0件、改善要望18件、その他2件と、年間20件にまで減った。

Design matching
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機種選定において重要視したポイント

実際に自動検査機の導入を決めたのは良いが「なかなか要望に合う検査機は見つけられなかった」と石倉氏。そこで幾つかのポイントに絞って機種を選定、その中でも操作性とサービスの対応能力を最重要視したという。
操作性については、特定のオペレーターしか扱えないようでは、その人が何らかの理由で抜けてしまうと動かせなくなる。従って「多様な検出パラメータを備えて検出力が高く、誰でも扱える」使い勝手の良い装置が重要視された。
また、サービスの対応能力では自動検査機の不具合や設定についての問い合わせに即時対応してくれるメーカーを重視した。そのためには近くにサポート拠点のあるメーカーが望ましい。FPシリーズに決定した理由には、メーカーに連絡を入れるとサポート拠点から数時間後には技術者がやって来てくれるというフットワー クの軽さ、丁寧にオペレーション指導を行ってくれる点もあったと話す。

FP-9000シリーズの検出率は想定通り?

同社では自動検査機用の検査データ作成を行える人員を7人も揃えているという。これは1 ~2人が一般的な他社の事例と比較すると非常に多い。
「この人員数が高い検出率につながり、ひいては流出によるクレームを抑える能力に繋がっている」と石倉氏。 同じ製品でも車載製品や一般製品など、クライアントによって品質に対する要求が異なる事から、納入先に合わせた検査データを作成しているという。人員が7人いることで、 数多くの検査データを作成でき、虚報を減らし、検出率を上げることができると話す。
では選定時に注目していた他の能力はどうだったのだろうか。先ずは検査スピード。最初に導入したFP-8000シリーズでは、1日・1台あたり6,000~7,000シートの検査が可能だった。最新のFP-9000シリーズではこれが11,000シートの検査が可能となっており、充分な検査能力だという。

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また新品番に対して検査データを作成・導入する際も装置停止時間が15~20分と短く、リードタイムの短縮に繋がっているという。

FP-9000シリーズ導入の効果

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では実際に最終外観検査装置FP-9000シリーズ導入後に、どのような効果があったのだろうか。石倉氏によると、もともとは他社製検査機による検査と目視検査のダブル検査を行っていた。そのため日勤・夜勤合わせて15人体制で検査を行っていたが、現在ではFP-9000シリーズによる検査でほぼ事足りるため、目視検査要員は日勤のみで2人にまで減ったという。この2人も部分的に目視検査が必要な特殊な製品や、厳しいチェックを求められるクライアントのために残している。

そのため日勤・夜勤合わせて15人体制で検査を行っていたが、現在ではFP-9000シリーズによる検査でほぼ事足りるため、目視検査要員は日勤のみで2人にまで減ったという。この2人も部分的に目視検査が必要な特殊な製品や、厳しいチェックを求められるクライアントのために残している。

そして目視検査要員を減らした分、検査デー タの作成に人を割くことで高い検出率と虚報の削減を両立できるようになり、同時に自動検査機1台につけるベリファイ要員も1人で済むようになっている。そのため検査機と目視検査のダブル検査を行っていた時と比較すると、リードタイムも1日程度短くなった。

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ここまで人員を効率化していても、高い品質を維持することができるようになっている。実際にクライアントから品質に対して表彰されるまでになった。表彰の際には品質の良い順番に並ぶので、一番前に並べるというのが誇らしい。これがクライアントからの信頼につながり、新しい製品を開発する際の同社への試作依頼に繋がっている。

導入後、FP-9000シリーズから得たデータで独自の品質改善を繰り返す

とはいえ、自動検査機を入れればすべての課題が魔法のように解消したわけではない。同社では自動検査機を導入した後、様々な事象が発生したため、品質に対する問題意識が高くなったという。
実はFP-9000を導入した時、歩留率が96%から95%に悪化した。解像度が高くなったため、これまでは検出できなかった不良まで検出できるようになった事が理由だという。
新しい自動検査機では検出力が上がるため、製造工程上の工夫など、これまでよりも高い品質を目指すQCサークルなどを通した活動が重要になる。そのため、FP-9000シリーズで検出された不良原因を分析し、発生工程にフィードバックする事で、各工程での品質向上のためのカイゼン活動に繋げている。なおこのカイゼン活動では、中間検査工程においてSCREENのAOI MIYABIも品質向上に活用されている。

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そしてカイゼン活動だけでは対応しきれない部分は設備の更新などを行う事で、品質を維持・向上させることができている。現在では歩留率は97~97.5%ほどで推移しているという。
その他、工程共通で検査データの「カルテ」を整備した。検査を厳しくすると品質は上がるが過剰品質になりかねない。すると歩留率が悪化してしまう。一方で歩留率を優先すると、品質の低下を招きかねない。そのバランスをどうするかが大変重要だという。
そのため、同じ製品であっても検査データを複数用意して切り替えながら使用しているが、検査精度の変更は簡単ではない。クライア ントの調達部門と綿密に打ち合わせ、求められている品質を積極的にヒアリングするという努力を続けていることが、この成果に繋がっている。そこには高い品質に裏打ちされたクライアントとの強い信頼関係があることは言うまでもない。そしてこのヒアリング内容を検査工程にフィードバックし、検査データの複数作成と運用ができているのも、検査データ作成人員が多いためである。

将来的にどのように展開していきたいか

現在は回路が細かくなり、車載製品のようなシビアな品質保証が求められるものも増えて来た。
車載基板の取扱量を増やすとなると高い品質が求められ、AOI工程でも抜き取り検査ではなく全数検査対応が必要となる。それには人員増が必要となる。
とはいえ人口減少などの社会情勢から人員採用も容易ではないため、省人化が図れ、且つ高い検査品質が得られる装置を求めている。
例えばシンボルマーク下の回路欠陥などが見つけられる装置などには興味がある。AP-Stationのような検査機の稼働率を上げられる設備もより進化して欲しい。

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もちろん装置メーカーの協力を得て、不良検出率の更なる向上や、検査工程へのAI導入もベリファイ作業の削減に繋がると考えており、これらによる作業効率の改善を検討していきたい。また検査機を操作するオペレーターについても様々な人材を登用していきたい。そのため検査機にも作業性の良いユニバーサルデザインが採用されるとうれしいと、山本氏。
AIの導入など新技術の導入による省人化が進んでも、最後の最後は人間がしっかりと管理できるような体制を整えることが、高い品質を保証するのだと語ってくれた。

また検査機を操作するオペレーターについても様々な人材を登用していきたい。そのため検査機にも作業性の良いユニバーサルデザインが採用されるとうれしいと、山本氏。
AIの導入など新技術の導入による省人化が進んでも、最後の最後は人間がしっかりと管理できるような体制を整えることが、高い品質を保証するのだと語ってくれた。

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今後も互いの協力関係を誓い、固い握手を交わす、大島社長とSCREEN PEソリューションズ社長末森

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