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SCREEN AI User Report

株式会社大昌電子様

AIで虚報をフィルタリングして、
ベリファイ工程削減

AI導入による品質向上への飽くなき挑戦
~未来の生産モデルをつくりあげる~

同社はプリント配線基板の専業メーカーとして1968年に設立。東京都大田区に本社を構え、岩手工場と栃木工場の2ヶ所を製造拠点として、設計・製造・販売をグローバルに展開している。半導体パッケージ基板、モジュール基板、フレックスリジッド基板など、様々な種類の基板の試作~量産まで行う日本のトップメーカー。
今回同社の新たな取り組みとして、SCREENの開発した「AI虚報フィルタリングシステム(以下SCREEN AI)」の導入に挑戦。そこに至った背景や、評価過程、導入後の運用状況を伺った

金野 雄一氏

金野 雄一氏
(執行役員 岩手工場 副工場長)

小山 和久氏

小山 和久氏
(生産技術課 課長)

佐々木 央理氏

佐々木 央理氏
(生産技術課 技師)

SCREEN AIを導入した背景

同社では製品の生産量増加を受け、AOI工程、つまりはベリファイ工程の負荷が増加していた。そこでの長時間化は基板製造のリードタイムに直結するため、これを何らかの方法で削減したいというのが背景としてあった。ベリファイ工程を削減しつつ、最終的にはSCREEN AIがベリファイを全て代行し、人が介在しない「ベリファイレス」を実現できないかということが念頭にあったと金野氏は言う。
そこまでSCREEN AIに期待を寄せていたのには、同社の切実な問題と課題があった。大きく次の3つである。

①労働力の確保
日本全体の課題として人口減少問題があり、今回取材した岩手工場においても労働力確保が年々困難になっているという。さらに今後少子化がますます進行するとみられており、安定した労働力を確保できなければ生産が立ち行かなくなるリスクがある。

②オペレーターの検査レベル平準化
現場では新人~ベテランまで様々なオペレーターが働いているため、その経験値の差や複数人で作業することにより、オペレーターごとのベリファイ品質にばらつきが生じるリスクがある。また、安定した生産体制を維持するために属人化は好ましくないため、常に一定のベリファイ品質を出せるようにすることが理想であった。

③ヒューマンエラーの最小化
工場は24時間稼働であり、時間帯によりオペレーターの集中力が変動し、ベリファイ品質に影響する状態はメーカーとして避けなければならない。

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SCREEN AI導入に向けた評価と苦労

昨今はAIという言葉をあらゆる場で耳にするようになり、AIは「何でも自動でやってくれる万能ツール」のように思われるかも知れないが、そういうものではない。質・量ともに適切なデータを用意し、AIに学習をさせることではじめて精度の良いAIが完成する。SCREEN AIの評価においては、その理想とのギャップに苦労した場面も多かったという。

AI評価担当者の佐々木氏曰く、特に苦労したのがAIに学習させるために必要な画像データの分類作業だったという。AIに学習させるためにまずは人の手で学習用データの分類作業をしなければならない。しかし明確に虚報・欠陥を判断できるものは問題ないが、そうではない微妙なデータをどの様に扱いAIに学習させるのか。曖昧な分類をすると、それがAIの精度低下に直結してしまうため、思い通りの結果を出せるようになるまで時間を要したという。

また、評価当初は馴染みのないAIの専門用語にも苦労したといい、用語が理解できないことによって評価が停滞することもあった。その際にSCREENのリモートサポートや、SCREEN AIのソフトウェアをVer. Upすることで(例:画面上の専門用語を排除、わかりやすい言葉へ変更)、評価スピード・使い勝手が向上したという。

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SCREEN AI導入の効果

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稼働中のSCREENのAOI

では実際にSCREEN AIを導入したことでどの程度の効果が現れたのだろうか。現状SCREEN AIが効果的に働いている品種だと70~80%のベリファイ削減効果が出ており、基板製造のリードタイム短縮につながっているという。ただ品種全体としてみると、ベリファイ削減効果にはばらつきがあるため、今後もさらに精度を向上させていく方針だそうだ。精度向上に向けた取り組みの一例として、現在同社ではAIモデルへの新規データの追加を行っている。

SCREEN AIの特徴として、お客様自身で新規データの追加やAI学習を行い、AIモデルに反映させることが可能という点がある。すなわち、自由なタイミングで、オリジナルのAIモデルを作成可能である。もし何らかの不明点があった場合には、SCREENが適時リモートサポートする体制が整っている。佐々木氏も「不明点や質問があるときに、丁寧に対応してくれるのがありがたかった」と話す。

大昌電子におけるAIの将来展開

当初ゴールと描いていたところまでは道半ばとのことだが、SCREEN AI無しの状態に戻ることは考えられないと小山氏は言う。同社として、「ベリファイレス」という目標に向けて今後も精度向上に継続して取り組む方針だ。

またAOI以外の工程でもAIを利用できるところがないか模索していきたいという。例えば、従来人が行っていた装置の調整など、段取りに時間がかかる部分はAIを活用し、できるだけ人が介在せずに済むようにならないかなど、工夫の余地は多いと金野氏は話す。

生産現場へのAI導入はまだ始まったばかりである。同社は今後もこれまでの知見を活かして、さらなる現場改善にAIを活用する方法を探っていく。

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今後も互いの協力関係を誓い、固い握手を交わす、金野氏とSCREEN PEソリューションズ社長 末森

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