以前の3つの記事
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(1) - 概要」
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(2) - 技術詳細」
「Adobe PDF Print Engineでのオーバープリント(3) - DTPアプリケーションの挙動」
では、詳細な説明をしましたので、最後に覚えておくべき要点だけまとめます。
Adobe PDF Print Engineでは、PDFの規格通りにオーバープリント処理が行われる為に、レアケースですが従来のRIPとは異なる出力結果になる場合があります。
PDFの規格通りとはAcrobatでの表示と同じになるのですが、PostScriptを直接RIP処理させる場合はAcrobatでの確認の過程が入らないので、よりいっそうの注意が必要です。
この情報はTrueflow SE Ver7.10以降において、Adobe PDF Print Engine(最新PDF処理)を使用して安心してPostScriptを処理する為に必要です。「最新PDF処理」なのにPostScriptが処理できる、ということは気にしないで…
■ポイント
<症状の概要>
・グレースケール、画像、グラデーション、パターンに指定されるオーバープリント
・画像、グラデーション、パターンについてはDeviceCMYKの場合にのみ該当
・従来のRIPでの処理結果とPDFの規格通りの処理では出力が異なるケースがある
・Trueflowにおいても従来PS/PDF処理と最新PDF処理では結果が異なる
<要点>
・Illustrator10以前、およびInDesign 2.0.2以前でのみ違いが発生する
・それ以降のアプリケーションでは、RIPによる違いが出ないように工夫されている
・QuarkXPress 6以降で、Trueflowの推奨設定を使用していれば、違いは発生しない
・画像、グラデーション、パターンにオーバープリント指定されるケースは少ない
・グレースケールに対しても、Trueflowの自動墨ノセ処理は有効
<以下の表のみかた>
・赤の背景の部分は問題があり、RIPによって違いが出る可能性があります
・濃いグレーの部分は、オーバープリント指定ができないので違いも出ません
・白い部分はRIPによる違いがなく、オーバープリント処理されます
■Illustratorの場合
・Illustrator 10以前において、グレースケールやグラデーションのオブジェクトにオーバープリントが指定されていれば違いが出ます
・Illustrator CS2以前では、画像にオーバープリント指定できないので違いが出ることはありません
・それ以外のオーバープリントについては問題ありません
■InDesignの場合
・InDesign 2.0.2以前において、グラデーションにオーバープリントが指定されている場合にのみ違いが出ます
・InDesignにはグレースケールでの色指定がなく、画像にはオーバープリント指定できませんので違いが出ることはありません
■QuarkXPressの場合
・QuarkXPressにはグレースケールでの色指定がなく、画像にはオーバープリント指定できませんので違いが出ることはありません
・Trueflowの推奨設定を使用していればグラデーションへのオーバープリントの違いが出ることはありません
QuarkXPress 4.1以前ではDeviceNをサポートしておらずPDF運用に適していません