社内文書管理のコツ|文書保存期限も解説

社内文書の管理で困っていませんか?「あの書類が見つからない」と探すことに手間取るケースもあるでしょう。今回は、社内文書管理を効率化するためのコツをお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。

 

clumn_251111_1.png

社内文書を適切に管理できていないと、必要な資料が見つからず業務が止まったり、保存期限を守れず法令違反につながったりする恐れがあります。こうしたリスクを避けるには、探しやすいように文書を整理し、決められた期間保存しておける仕組みが不可欠です。本記事では文書管理の基本から保存期間のルール、AIを活用した最新の取り組みまでわかりやすく解説します。

 

clumn_251111_2.png

社内文書を管理するとは?

「文書管理」は文書をただ置いておくのではなく、必要な人が必要なときにすぐに取り出して見れるようにしておくことをいいます。

まず言葉の定義を確認しておきましょう。

  • 保管:日常的に使う文書を取り出しやすい場所に置いておくこと。たとえば当月の請求書を経理フォルダやキャビネットに入れた状態
  • 保存:使用頻度が下がった文書を内容を変えずに長期間残すこと。たとえば過年度の決算書をアーカイブ用のクラウドや保管庫に移すイメージ
  • 管理:文書の所在・最新版の識別・アクセス権・利用履歴・保存期間・廃棄までを把握しておくこと。具体的には台帳で場所を記録し、アクセス権と監査ログを設定し、期限が来たら廃棄するといった一連の仕組みづくり

文書を保管・保存するのではなく管理する目的は、次の項目で説明します。

社内文書を管理する目的

社内文書を管理するのは、主に次の3つのメリットのために行われることが多いです。

  • 業務効率化
  • コンプライアンス遵守
  • 顧客満足度の向上

業務効率化

文書管理の目的の一つは、書類を探す時間を削減して同じ資料を何度も作らないことです。

最新版がどれか、誰も分からない状態だと、探す・確認するだけで時間がなくなってしまいます。同じ資料を二重作成したり退職者の個人のパソコンにしか原本がなかったりといったケースが相次ぐと、締切遅延や残業が常態化してしまう恐れも。

文書管理が適切にできていると、余計な手間が減って効率よく仕事が進みます。

コンプライアンス遵守

文書管理ができていれば、コンプライアンスも守りやすくなります。保存期間、アクセス権、改訂・閲覧履歴を仕組みで担保すれば、監査や調査が入ってもすぐに提示できます。

請求書や契約の保存期限を自動で管理し、閲覧や変更をログ化しておけば、改ざん疑義や過剰保持、外部流出のリスクを抑えることも可能です。結果的に、信用と事業継続性を守ることにつながります。

顧客満足度の向上

文書を管理できていれば、会社として一貫性を持った対応ができるようになり、顧客満足度が上がるきっかけにもなります。顧客情報や対応マニュアルを共有しつつ、お客様に対応できるからです。

お客様から問い合わせがあったときに関係資料と履歴をすぐに見れる仕組みになっていれば、待たせたり説明がブレたりしてお客様を不用意に怒らせてしまうこともなくなるでしょう。チーム間で同じ情報を見ながら顧客と話せるため、会社として一貫性のある対応ができ、結果として信頼を勝ち得て継続利用してもらいやすくなります。

clumn_251111_4.png

社内文書を管理するコツ

ここからは、社内文書を管理するコツを5つお伝えします。

  • 文書を分類・ファイリングする
  • 社内の保管場所を決める
  • 文書管理台帳を作成する
  • 直近で必要ない書類は外部倉庫へ
  • 文書管理システムを活用する

文書を分類・ファイリングする

文書は社内統一ルールで管理すべきです。管理方法が決まっていないと「どこに置けばよいか」「どこを探せばよいか」の判断が人によって異なってしまい、無駄に時間がかかってしまいます。分類・ファイリングのルールを最初に決めることで、書類を出し入れしやすくなり、無闇に探し回る時間を削減できます。

社内の保管場所を決める

文書の保管場所が決まっていないと、必要なときにどこにあるかわからず、時間をかけて探し回ることになります。紙ならキャビネットや倉庫、電子なら共通サーバーやクラウドの特定フォルダなど、誰でも迷わず使える場所を用意しましょう。権限や利用ルールを定めておけば、管理者も利用者も安心して使えます。

文書管理台帳を作成する

管理台帳は「何を・どこに・どのように管理しているか」を管理するためのツールです。文書管理台帳がないと文書をどこでいつまで保管すべきか分からず、不要な書類が山積みになっていってしまいます。

文書の種類・作成年月日・保存期間・所在・担当者を記録し、更新のたびに追記しましょう。文書管理台帳で情報が可視化されることで、監査対応や内部統制の証拠にもなり、管理の抜け漏れを防げます。

直近で必要ない書類は外部倉庫へ

使用頻度が低いけれど保存義務がある文書を社内に溜め込むと、保管スペースを圧迫するうえに、日常業務の邪魔になってしまいます。直近で必要のないものは、外部倉庫や専門業者に委託するのが賢明です。

外部に移すことで、社内は常に現場で使う文書だけを残せる状態になり、書類を探しやすくなる効果があります。また、外部業者の管理体制を活用すれば、セキュリティリスクや災害にも備えやすくなります。

文書管理システムを活用する

紙やファイルサーバーだけでは、探しやすさやセキュリティ面で十分とはいえません。もっと効率よく安全に保管するには、文書管理システムがおすすめです。

システムを使えば検索・版管理・承認フロー・アクセス権限・保存期限の管理がグッと楽になります。導入コストはかかりますが、長期的に考えると書類を探す時間や情報漏えいリスクが減るので、検討する価値はあるといえるでしょう。

 

clumn_251111_3.png

社内文書を管理するために決めるべきルール

社内文書を管理するためには、以下のルールを決めておいたほうが、後々混乱を招かずに済みます。

  • 文書分類方法
  • アクセス権限
  • 保管方法
  • 承認フローと責任の所在
  • 廃棄方法・基準

文書分類方法

効率的に文書を管理するには、明確な分類ルールが必要です。文書を「契約書類」「人事関連」「会計帳簿」「営業資料」などのカテゴリに分け、さらに年度や部署別にサブカテゴリを設定すると、必要な書類を見つけやすくなるでしょう。

分類作業をしているなかで、業務に直接関連しない古い資料や重複した文書を発見することもあります。明らかに不要な文書は、無駄なスペースを取るだけなので、その場で廃棄しましょう。定期的に分類を見直しつつ書類整理をすることで、保管コストを削減しながら業務効率を良くしていけます。

なお、社内文書の分類・管理を自動化したいなら、以下のAIツールがおすすめです。AIが自動でタグ付けして階層構造でカテゴリわけして管理してくれるので、分類作業を効率化できます。気になる方は次のページをご覧ください。

AStrigo Text Classificationについてはこちら

アクセス権限

文書の中には、機密レベルが高く、最小限の関係者にしか公開してはいけないものもあります。そういった文書を適切に管理するために一般社員・管理職・役員といった階層別アクセス権を設定します。

特に人事評価や財務情報などの機密文書については、アクセスログの記録と定期的な権限見直しを実施する必要があります。こうすることで、不正アクセスのリスクを最小限に抑えつつ、コンプライアンス体制を強化できます。

近年では生成AIを業務に取り入れる企業が増えていますが、そこから機密情報が漏れてしまわないか心配で取り入れられない方もいるでしょう。そんな方におすすめしたいのが、権限によって情報の表現を変え、機密情報の漏洩を防げるAIツールです。社内の情報を必要なときに取り出せるようにしつつ、閲覧権限に応じて内容の一部を自動的に隠し、機密情報を安全に扱えます。 詳しくは以下のリンクを見てみましょう。

りある守護とーく についてはこちら

保管方法

文書の保管方法は、アクセス頻度と保存期間に応じて階層化すると便利になります。たとえば次のように分類すると無駄なく探しやすいように保管できるでしょう。

  • 日常業務で頻繁に参照される文書は社内サーバーやクラウドストレージに
  • 月次・年次での確認が必要な文書は部門内キャビネットに
  • 長期保存が必要な法定文書は外部倉庫に

文書管理台帳を作成して文書の保管場所・作成日・保存期間・責任者を記録することで、適切に管理できます。

承認フローと責任の所在

文書は誰が確認し、誰が最終的にOKを出すのかを決めておかないと、品質や責任が曖昧になってしまいます。文書の重要度に応じて「部門長が承認」「役員が承認」「取締役会で承認」といった段階をあらかじめ設定しておくことが大切です。各段階で誰が責任者なのか、どの基準で承認するのかを明文化すれば、迷いなく進められます。

特に契約書や役所に提出する書類は、法務部門や専門家が事前にチェックできる仕組みを組み込むことでリスクを避けられます。また、承認者が不在のときの「代理承認ルール」を決めておけば業務が止まらず、組織のルールもしっかり守れるでしょう。

廃棄方法・基準

文書は無期限に残しておけば安心、というものではありません。不要なものを溜め続けると保管コストが増え、情報漏えいのリスクも高まります。法律で決められた保存期間と業務上の必要性をあわせて判断し、廃棄の基準をあらかじめ定めておくことが大切です。保存期間については、次の項目で詳しく解説します。

古い契約書や会計書類などは年に一度見直し、保存期限が過ぎたものから順に処分します。文書を廃棄するときは、シュレッダーや専門業者による溶解処理を行い、廃棄証明書を残しておくと、最後まで安心安全な仕組みになります。

管理する上で知っておきたい社内文書の保存期間

企業で扱う文書は、会社法や労働基準法等の法律により、保存期間が定められています。代表的なものを5つ押さえておきましょう。

  • 税務関係は原則7年
  • 株主総会・取締役会関連は10年
  • 会計帳簿・決算関係は原則10年以上
  • 賃金台帳は最終記載日から3年
  • 労働者名簿は退職後から3年

税務関係は原則7年

税務署の調査に備え、帳簿や請求書・領収書など税務関連の書類は原則7年間保存が必要です。欠損金の繰越控除など特例がある場合は10年間に延びるケースもあるため、年度ごとに確認しながら管理することが重要です。

株主総会・取締役会関連は10年

会社法の規定により、株主総会議事録や取締役会議事録は10年間の保存が義務づけられています。これらは企業活動の根幹に関わる重要な記録であり、長期的に参照される可能性があるため、厳格な保管が求められます。

会計帳簿・決算関係は原則10年以上

会社法や法人税法の定めにより、仕訳帳や総勘定元帳といった会計帳簿、決算関係書類は原則10年間の保存が必要です。企業の財務状況を正しく証明する根拠となるため、長期保管は必須です。

賃金台帳は最終記載日から3年

労働基準法に基づき、賃金台帳は最終記載日から3年間保存することが義務づけられています。従業員との労使トラブルや監督署の調査に備え、期間満了まで確実に保管しておく必要があります。

労働者名簿は退職後から3年

労働者名簿は在籍中はもちろん、退職後も3年間は保存が義務づけられています。労働条件の確認や監督署の調査で提出を求められる場合があるため、廃棄のタイミングを誤らないよう注意が必要です。

社内文書を電子データ化して管理するときの4つの要件

保管場所の容量等を鑑みて、紙の書類をそのまま保存するのではなく電子化して管理したいと考える方もいるでしょう。ところで、社内文書を電子データ化して管理するときは以下の4つの要件をクリアしている必要があります。

  • 見読性
  • 完全性
  • 機密性
  • 検索性

見読性

電子化した文書は「誰が見てもすぐ内容が理解できる状態」であることが大前提です。ディスプレイやタブレットで開いたときに、文字や図表が不鮮明だったり欠落していては、文書としての役割を果たせません。解像度を確保してスキャンする、適切な形式で保存するなど、読みやすさを担保することが求められます。

完全性

文書の内容が改ざんされていないことを保証する仕組みも欠かせません。電子化したデータはコピーや編集が容易なため、オリジナルと改変後を区別できるように対策が必要です。具体的には、タイムスタンプやアクセスログの保存、改訂履歴の管理といった措置を講じ、データが正しく維持されていると確認できる状態を保ちます。

機密性

電子化された文書は社内ネットワークやクラウドを通じて保存されることが多いため、許可された人以外が見れないよう管理しなければなりません。IDとパスワードの設定、アクセス権限の制御、暗号化通信などを組み合わせることで機密情報の漏えいを防ぎます。機密性が確保されていない文書は、情報資産として大きなリスクを抱えることになります。

検索性

せっかく電子化しても、探したいときにすぐ見つからなければ意味がありません。検索性を高めるためには、文書に作成年月日や作成者、関連キーワードを付与し、システム上で条件検索できるようにしておくことが重要です。効率的な検索機能が整備されていれば、膨大なデータの中から必要な情報を瞬時に取り出せるようになります。

 

まとめ

今回は、社内文書の管理方法について解説しました。文書を適切に分類・保存し、ルールを定めて扱うことで、業務効率の向上や法令遵守、顧客満足度の維持につながります。しかし、紙やファイルサーバーだけで管理するのは限界があり、「探せない・見つからない・古い情報が使われる」といった課題は常につきまといます。

そこで注目したいのが、AIを活用した文書管理です。AIが人間の判断を学習し、文書コンテンツを自動で分類・タグ付けすることで、必要な情報にすぐにアクセスできる環境を整えられます。

「文書管理に時間を奪われている」「情報が散在して活かせていない」と感じるなら、AIによる自動分類・タグ付けを取り入れて、文書管理そのものを効率化してみませんか。

AStrigo Text Classificationについてはこちら

 

 

PICK UP

as_clumn250925-01.png
技術伝承を、デジタルを活用しつつ効率的に進める方法、知りたくないですか。IT技術を用いて引き継ぎを行うことで、人手不足でも簡単に確実に、ベテランの技術を社内の資産として残せます。今回は、技術伝承のデジタル化の方法を5ステップで解説します。
as_clumn250927-01.png
AIで画像処理できると聞いても、実際に何ができるのか分かりにくいでしょう。この記事では、基本的な仕組みや活用事例を通じて、AI画像処理の可能性と注意点をわかりやすく紹介します。AI初心者の方はぜひ参考にしてください。
as_column01-01.png
生成AIをビジネスに活用したい方必見!本記事では、生成AIの基礎知識から、種類、メリット・デメリット、活用事例、注意点までを網羅的に解説します。業務効率化や顧客満足度アップに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

コラム一覧