例えば、簡単な本文組みなら、【図09】のような組み方がごく一般的ですが、パッケージ裏面などの取り扱い説明文ではできる限り大きく凝縮した文字組みが推奨される場合が多いので、【図10】〜【図12】といった文字組みもあながち間違いとは言い切れなくなってしまいます。もちろん、パッケージデザインの成分表記や取り扱い説明文などでは【図09】があり得ないという意味ではありません。ある程度細かい部分は犠牲にしてでも、スペースを確保することを要求されるからです。つまり、文字サイズを拡大せずに【図10】〜【図12】といった処理でスペースを確保することがあるからです。
 読ませる文章の文字組みをメインで行なっているデザイナーの方にとっては、これらの文字組みは気になって仕方がないはずです。しかし、全体の中で文字ブロックに関しての主従関係が異なっている以上、お互い同士を否定することはできないのです。そして、本来の組版という観点からズレてしまっている、変則的なこれらの文字組みも、ベースとなるフォントがしっかりとデザインされていれば、見苦しい状態にはなりません。
     
     
【図10】ヒラギノ明朝 Std W8、ヒラギノ角ゴStd W8による文字組み。
太いウェイトを使用することにより、本文ブロックをスペース内に納めるためにトラッキング調整を行なっています。
     
 
     
     
【図11】ヒラギノ明朝Pro W3、ヒラギノ角ゴPro W3による文字組みで、
本文の垂直比率を75%とし、可読性ギリギリまで文字サイズを上げた例。
   
     
 
     
     
【図12】ヒラギノ明朝Std W8、ヒラギノ角ゴシックW8による文字組みで、
トラッキング調整と本文の垂直比率を75%とし、可読性ギリギリまで文字サイズを上げた例。
   
     
 
     
    123456789101112