オーバープリントの続編であり、「DeviceNを理解する」の続編でもあります。
■複数の版の場合
一つ前の記事「オーバープリントを正しく理解する」では、それぞれ単色の場合の例でした。
では、複数の色が、つまり「版」が混じっている場合のオーバープリントはどうなるのでしょうか?
例として、Trueflow出力の手引き 第11版のP15に「色のせ」として記述されています。
この図を見ても分かる様に「版」ごとに、前面、背面のどちらの値が見えるか判断し、合成されています。
また、この例では前面も背面もDeviceCMYKのオブジェクトです。一般的に、DeviceCMYKの場合は0%を「版の成分がない」と理解し合成されます。この例も、その様に合成されています。
■DeviceNならどうなる?
以前の記事「DeviceNを理解する」で、DeviceNでは必要な色にのみ色値を設定し、使わない色は「0%」ではなく「なし」で定義される、と説明しました。
つまり、DeviceNで色をオーバープリントする場合は、「なし」の状態を「版の成分がない」と解釈します。(下図の左側:Magentaは透過している)
そしてDeviceNで明示的に0%と指定された色は、DeviceCMYKとは異なり「0%の色がある」と解釈されオーバープリント処理の結果、その版の色は透過しません。(下図の右側:Magentaは透過していない)
DeviceNで定義されたオブジェクトのオーバープリント処理は、0%と「なし」の状態を使い分ける事が可能になっていると言えます。用途があるかどうかは別にして…
DeviceNがどこで使われているか、編集時に意識する事はないと思いますが、InDesignCS以降なら「混合インキスウオッチ」、QuarkXPress6以降なら「Multi-Ink」で定義された色はDeviceNが使用されているはずです。
また、意外と忘れがちなのですが、全て「オーバープリントがOn」の場合の説明であり、ケヌキの場合と混同しないことが大切です。