アンケート結果のまとめ方!3つの基本手法を紹介

アンケートをとってみたものの、どうやってまとめればいいかと困っている方も多いでしょう。そこで今回は、アンケート結果のまとめ方を紹介します。分析・報告の方法までお見せするので、参考にしてみてください。

 

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アンケート結果は、まとめ方ひとつで「単なる数字の集まり」にも「次の行動につながる有益な情報」にもなります。大切なのは、集計や分析の手順を理解し、読み手にとってわかりやすく整理すること。

この記事では、初心者でもすぐに実践できるアンケート結果のまとめ方と資料作成のポイントを分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

アンケート結果のまとめ方!3つの手法

アンケート結果のまとめ方を3つ紹介します。

  • 単純集計
  • クロス集計
  • 自由記述集計

単純集計

単純集計は、アンケートの各質問で「どの回答が何人選ばれたか」を数える基本的な方法です。例えば「サービスの満足度はいかがでしたか?」という質問に対し、満足・普通・不満のそれぞれに何人が回答したかを集計します。

すべての回答を集めて選択肢ごとに数を数え、全体に対する割合を計算するだけなので簡単です。結果は「満足:120人(60%)、普通:60人(30%)、不満:20人(10%)」のように表現します。円グラフや棒グラフで視覚化すると一目で全体の傾向が分かります。

クロス集計

クロス集計は、回答者を年代や性別などの属性でグループにわけて、グループ間の違いを比較する分析方法です。「20代男性の満足度」と「50代女性の満足度」のように、複数の条件を掛け合わせることで、単純集計では見えない傾向が分かります。

具体的には、比較したい属性を縦軸と横軸に配置した表を作成し、それぞれのセルに該当する回答者数と割合を記入します。たとえば20代では満足度80%、50代では50%という結果が出れば、年代による満足度の違いが明確になります。

自由記述集計

自由記述集計は、文章で回答された内容を分類・整理する方法です。数値では表現できない具体的な改善点や要望を把握でき、サービス向上に直結する貴重な情報源となります。

まず全ての回答に目を通して共通するテーマを見つけ、「価格について」「スタッフ対応について」「商品の質について」などのカテゴリを作成しましょう。次に各カテゴリーに該当する回答数を数え、代表的なコメントを抜粋して紹介します。

Excelやスプレッドシートでコメント一覧に「カテゴリ」列を追加する方法がおすすめです。また、肯定的な意見と否定的な意見をわけて整理すると改善すべき点と継続すべき点が明確になり、実務に役立てやすくなります。
 

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まとめたアンケート結果の分析方法

アンケート結果をまとめたら、今後に役立つように分析しましょう。分析手法として、次の4つが挙げられます。

  • クラスター分析
  • アソシエーション分析
  • 時系列分析
  • 主成分分析

クラスター分析

クラスター分析は、似た特徴を持つ回答者同士をグループ分けし、共通点や傾向を見つける方法です。たとえば「購入頻度」「満足度」「利用目的」など複数の項目をもとに、似たパターンを自動的にまとめられます。結果として「高頻度・高満足層」「低頻度・低満足層」などの顧客タイプが可視化され、ターゲットごとに対策を立てやすくなります。

Excelのアドインや無料のツールでも簡単にできるので、まずは「年齢」「購入頻度」「満足度」の3つの項目から始めてみてください。結果をグラフにして「このタイプの人は◯人いて、こんな特徴があります」と説明すれば、誰が見ても分かりやすい資料になります。

アソシエーション分析

アソシエーション分析は「この商品を買う人は、あの商品も一緒に買う傾向がある」のような、セットで起こりやすい組み合わせを見つける方法です。例えば「ビールとおつまみ」のような関係を、アンケートデータから発見できます。

アンケートでは「料金に満足している人は、スタッフの対応も高く評価する」「平日に利用する人は、利便性を重視する」といった傾向が見えてきます。こうした関係が分かると、ターゲットごとに戦略を立てやすくなるでしょう。

発見したルールは、必ず母数と背景を確認し、偶然ではないことを検証すると、根拠のあるデータとして使えます。

時系列分析

時系列分析は、時間が経つにつれてデータがどう変わっているかを調べる方法です。同じアンケートを何回か実施していれば、満足度が上がっているのか下がっているのか、季節によって違いがあるのかなどがわかります。

たとえば「3月は満足度が高いけど、8月は下がる」という傾向があれば、夏に何か問題が起きていることが推測できます。キャンペーンを実施した前後でアンケートを取れば、その効果も数値で確認できます。Excelの折れ線グラフを作るだけでも十分に変化が見えるので、難しい計算は必要ありません。グラフには「この時期に新サービスを開始」などの出来事も書き込むと、変化の理由がわかりやすくなります。

主成分分析

主成分分析は、たくさんの評価項目を「本当に大切な要素」だけに絞り込む方法です。10個の評価項目があっても、実は「価格・品質」「接客・サービス」の2つの要素に集約できることがよくあります。

たとえば「商品の質」「価格の妥当性」「デザインの良さ」への評価が似た傾向を示していれば、これらをまとめて「商品力」として考えることができます。こうすることで「うちの強みは商品力だけど、接客には課題がある」といったシンプルな結論が得られます。
 

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まとめたアンケート結果の報告資料の作り方

最後に、読み手に「分かりやすい」「役に立つ」と思ってもらえる資料作りのポイントを見ていきましょう。

  • 冒頭に要約を入れる
  • タイトル→要約→詳細 →所感の順に書く
  • グラフや表を効果的に使う

冒頭に要約を入れる

報告資料は最初の数秒で「読む価値があるかどうか」を判断されてしまいます。そのため、冒頭に要約(サマリー)を入れ、忙しい上司や関係者でもここを読むだけで全体像が把握できるようにしておきましょう。

要約では、調査の目的・方法・主要な結果・得られる示唆や結論を簡潔にまとめます。たとえば「20〜30代女性の満足度は80%で、価格よりもデザインを重視している傾向が判明しました」のように、一文で全体像が分かる書き方がおすすめです。

長過ぎる説明や前置きは避けて、2〜4文程度に収めるのが理想的です。限られた時間でも読み手が全体のポイントをつかめるよう、簡潔で具体的な言葉を選びましょう。グラフや表は後から補足する形にして、要約部分は文章だけで理解できる構成にすることが大切です。

タイトル→要約→詳細→所感の順に書く

報告資料は、読む人が自然に情報を理解できるよう「タイトル→要約→詳細→所感(提案)」の順で構成するのがベストです。

タイトルでは内容や対象を明確にして、後でファイルを探すときにも分かるよう簡潔に記載します。次に要約で主要な結果を示し、その後に詳細データや分析結果を記載していきます。最後の所感では、分析から得られた考察や改善提案、次に取るべき行動をまとめましょう。

この流れに沿って作ることで、どんな読み手にも親切な資料になります。

グラフや表を効果的に使う

数字や割合を説明するときは、文章だけでなくグラフや表を使うと理解しやすさが格段に上がります。棒グラフは比較、円グラフは割合、折れ線グラフは推移を表すときに最適です。

重要なデータは色や太字で強調し、凡例や軸ラベルを明確にして、誰が見ても迷わないデザインを心がけましょう。グラフを詰め込みすぎると情報がぼやけてしまうため、「1ページ1テーマ」を基本にすることをおすすめします。

また、桁数や小数点をそろえるなど、見た目の整列にも配慮が必要です。グラフや表の直後には、その意味や背景を簡単に説明するキャプションを添えることで、データの解釈に迷うことがなくなります。

まとめ

今回は、アンケート結果のまとめ方から分析手法、報告資料の作り方まで解説しました。アンケートの自由記述・SNSのコメント・お客さまの声など、テキストデータがますます重要になっている現代では、より高度で効率的な分析手法が求められています。そこで注目されているのが「計量テキスト分析(テキストマイニング)」です。

従来の手作業による分類では時間がかかりすぎる大量のテキストデータも、計量テキスト分析を使えば短時間で客観的かつ網羅的な分析が可能になります。アンケート結果の分析を簡単にまとめたい方は、次のページをご覧ください。

計量テキスト分析 テキストマイニングについてはこちら

 

 

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