■概要
IllustratorCC 2017で作成されたPDF上の特色名の表記が、Shift_JISからUTF-8に変更されていることが分かりました。
PDFの規格としてはUTF-8でも問題ないことになっています。
今までの経緯として、主要なDTPアプリケーションから出力されるPDFの特色名表記がShift_JISであり、UTF-8で表記されるケースが特殊なデータを除きなかったので、Shift_JISであることを前提に実装されている、EQUIOS / Trueflowの一部の機能や、AdobeのDTPアプリケーション(なんと!)でさえも、正常に動作しない原因となります。
■再現条件(この挙動の詳細説明)
IllustratorCC 2017上で「金赤」など日本語の特色を設定+使用して、PDFの書き出し設定の「Illustratorの編集機能を保持」のチェックが入っていない状態でPDFを出力することで、特色名がUTF-8で記述されたPDFになります。
仕様かバグか知らないけど、UTF-8使うんだったらBOMくらい書いておくのが、後で対応する人に向けたマナーってもんじゃないか?
PDF/Xは印刷に必要ないIllustratorの編集情報は含めないので、必ずOff、つまり特色名はUTF-8形式で記述されます。また、Illustratorの編集情報を必ず含む.aiネイティブ形式は、この設定がOnの場合と同じように、つまり特色名はShift_JISで記述されます。
Acrobatの分版プレビューはUTF-8をサポートしているらしく、このPDFの特色名がUTF-8で記述されていてもキチンと表示されます。(Acrobat X!とDCで確認済み)
しかし、このPDFをInDesignに配置すると、スウォッチパレットや分版プレビューにおいて特色名が文字化けになります。この症状は最新のInDesignCC 2017でも発生します。
さらに、このPDFは、IllustratorCC 2017に配置しても、自分で作ったデータなのに特色名は化けて表示されます。
この問題は、IllustratorCC 2017の不具合による現象である可能性が否定できないので、これらの情報だけで「Illustratorの編集機能を保持」をOnにすることが回避策として信頼できる、とは断定できません。バグがある場合は、見えていないところでも思わぬ不整合がある可能性があります。
■UTF-8を受け取ったInDesignの挙動にも注意
InDesignでUTF-8の特色名は化けて表示されますが、その状態でInDesignからPDFを書きだした場合、元の特色名はそのまま変換なしにPDFに記載されます。
例えば、Illustrator CC 2017で「金赤」という特色名を使用したPDFをInDesignドキュメントに貼り、InDesign上でも「金赤」という特色を使い、InDesignからPDFに書きだした場合、そのPDFにはUTF-8とShift_JISの2つの異なる「金赤」が混在した状態になります。この様なデータをUTF-8の特色名を正しく表示できるAcrobatで開くと右図の様な出力プレビューになります。
この様なPDFになってしまうと、どの様に出力されるか機種依存で不定になります。(出力側としても何が正解なのか分かりません)
■影響範囲
この様なデータが使用された事による影響について、他にもあるかも知れませんが、以下のようなことが分かっています。
EQUIOS、Trueflow
・DotTIFFのファイル名の拡張子に特色が入る設定の場合、その特色部分が化ける
・刷版上のアクセサリの特色名が化ける
・その他、特色処理に関係する機能
AdobeCC
・IllustratorCC 2017で作成したPDFをInDesignで貼る場合
・IllustratorCC 2017で作成したPDFをIllustrator(CC 2017も含む)で貼る場合
■回避策
・IllustratorCC 2015から書き出す(差違がでないか確認の上で)
・特色名には日本語を使わず、英数字のみを用いる
■改善に向けた対応について
・修正に向けてAdobeと協議中です。
・検証結果は年明け2017年1月上旬の公開を予定して(CC 2017については、まだサポート表明は行っていません)いましたが、Adobeとの協議状況に応じてさらに遅れる可能性があります。
続報ありましたら、このサイトでお知らせ致します。
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