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2011年01月31日 | 太らせた文字がかすれた様に出力される問題

■出力結果の例(拡大図)
riped_image.png

ai_stroke.png■概要
文字の線幅を指定することで、文字を太らせるデザインを行った場合、RIPの演算結果、文字がかすれた様に出力される場合があります。この問題は低い解像度で、解像度に適さない線幅を指定した場合に発生する問題です。

■発生条件
・出力解像度が低い(この例では360dpi)
・文字の線幅を指定して、文字を太らせる
・この線幅が細い場合(この例では0.2pt)
 →解像度が低く、線幅が細い結果、デバイス解像度で1ピクセルの線になる場合。

■回避策
・文字の線幅を指定する事で文字を太らせるのではなく、太い書体を用いる。
・文字に設定された線を太くする。(文字が潰れる弊害があります)
デザイン品質上の問題としても、文字の線幅を太らせる手法は、書体のバランスが失われ、文字が潰れるので、お勧めできません。


moji.png■発生原理
・文字はHINT情報により、図形の塗りつぶし (fill) の幅を一致させるために、調整されます。
・文字のアウトラインは、線幅補正機能(SA : stroke adjustment)により、線幅 (stroke) を一致させるために、調整されます。
・fillとstrokeが別々に調整(微細な移動)されることで、解像度が低い場合にstrokeとfillの間に隙間が現れます。



sa.png
■HINT処理、線幅補正について(右図は概念で、実際の演算はもっと複雑です)
HINT処理や線幅補正処理は、文字や罫線の配置位置による統一性を保つために、理論的な配置位置を最大で0.5デバイスピクセル分移動します。
この移動により、実際の物理的な配置位置は1デバイスピクセル分の差違が出る場合があります。(実際には0.5ピクセルだけ塗ることはできないので、RIP演算時に丸められるから)

今回の線幅として指定された0.2ptは、360dpiではちょうど1ドットつまり1デバイスピクセル分しかありません。2400dpiだと0.2ptも7ドットで描画されます。
HINT処理や線幅保障処理によって、1デバイスピクセル移動した場合、2400dpiなら大きな影響はありませんが、1ドットしか描画されない360dpiでは大きな影響が出ることになります。

本来、HINT処理や線幅保障処理は、特に低い解像度で出力する場合に効果がありますが、360dpiでの出力において0.2ptの線幅を文字の周りにつける処理は、補正の限界を超えていると言えます。

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