テキストマイニングとは|テキスト分析との違いも解説

ビジネスにおいて、データ活用は重要な戦略となっています。中でも、テキストデータは顧客の声や市場トレンドなど、貴重な情報が豊富に含まれています。テキストマイニングは、そんなテキストデータから価値ある情報を引き出す技術です。

本記事では、テキストマイニングの基礎知識から、具体的な手法、実施ステップまでを網羅的に解説します。ぜひ最後までお読みいただき、データ活用の可能性を広げてください。

 

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テキストマイニングとは

テキストマイニングとは、大量のテキストデータから有用な情報や知見を抽出する技術です。マイニングは英語で「mining」と表記し、文字通り「採掘」という意味で使われます。テキストマイニングを活用すれば、データの宝の山から金脈を掘り当てるように、テキストデータから価値ある情報を発見できます。

テキストマイニングは、自然言語処理や統計分析といった手法を活用します。これらの手法を用いることで、人間が読むだけでは把握しきれない大量のテキストデータから、隠れたパターンやトレンドを明らかにできます。例えば、顧客の声を分析することで製品の改善点を発見したり、市場調査によって新たなビジネスチャンスを見出したり、リスク管理に役立てるといったことが可能です。

 

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テキストマイニングの手法

テキストマイニングには様々な手法があり、目的に応じて使い分けられます。

下記に代表的な手法をまとめました。

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共起分析

共起分析とは、テキストデータ中で特定の単語やフレーズが同時に出現する頻度を分析する手法です。例えば、「美味しい」という単語と同時に出現頻度が高い単語を分析することで、顧客が「美味しい」と感じる具体的な要素を把握できます。分析結果はネットワーク図などで視覚化して、マーケティング戦略やリスク管理、商品開発などに使います。

対応分析(コレスポンデンス分析)

対応分析(コレスポンデンス分析)は、カテゴリーデータの関係性をわかりやすくする手法です。クロス集計表からデータ間のパターンを解析し、グラフ化することで直感的に理解できるようになります。

例えば、商品の属性(価格・色・機能など)と顧客層(年齢・性別・職業など)の関係性を分析することで、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。市場調査やアンケート結果をもとに属性間の相関を見つけることで、ターゲット層を簡単に把握できます。

センチメント分析

センチメント分析は、テキストデータから感情や意見(肯定的・否定的・中立的など)を抽出して分類する手法です。感情を数値で表すことで、客観的な分析を可能にします。主にマーケティングやカスタマーサポートの効率化、製品開発へのフィードバックに活用できます。

主成分分析

主成分分析は、たくさんの情報が詰まった複雑なデータを、よりシンプルで分かりやすい形に変換する手法です。

たくさんの野菜が入ったスープを想像してみてください。このスープは、さまざまな野菜の風味が複雑に絡み合い、それぞれの野菜がどれくらい味に影響しているのかを感じ取りにくいかもしれません。

主成分分析は、この複雑なスープの味を分析し「野菜の甘み」「野菜の酸味」「野菜の苦み」といった主要な味成分(主成分)を見つけ出すようなものです。主要な味成分だけで、スープ全体の味の80%を説明できるとしたら、残りの20%の細かい味の違いは無視しても、スープの味をだいたい理解できることになります。

このように、主成分分析は複雑なデータの中から重要な情報だけを抽出し、データの全体像を分かりやすく把握するのに役立ちます。

 

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テキストマイニングを行う5ステップ

テキストマイニングは次の5ステップで行います。

  1. データを収集する
  2. データの前処理を行う
  3. 非構造化データを構造化データに変換
  4. データを分析する
  5. 結果を可視化し、意思決定に活用

1. データを収集する

まずは、分析の目的を明確にし、目的に合わせて必要なデータを集めます。「顧客満足度を向上させたい」「市場トレンドを把握したい」「リスクを早期発見したい」など、具体的な目標を設定することで、収集すべきデータの種類と範囲が定まります。

目的が決まったらデータ収集です。例えば、お客様の声を集めたい場合は、商品レビュー・アンケート結果・SNSへの投稿などがデータとなります。データの量と質は、分析結果の精度に大きく影響するので、適切なデータソースを選び、十分なデータを集めましょう。

2. データの前処理を行う

集めたデータは、そのままでは分析に適していない場合が多く、下準備が必要です。特に日本語テキストの場合、文章を単語に分割する形態素解析は必須です。さらに、分析のノイズとなる不要な文字(記号・絵文字・HTMLタグなど)や、分析に無関係な単語(助詞、助動詞など)を除去する必要があります。同義語や類義語を統一したり、略語を正式な表現に直したりするなど、データの正規化も重要です。

3. 非構造化データを構造化データに変換

コンピュータは、人間の言葉そのままでは理解できません。そのため、テキストデータ(非構造化データ)を、コンピュータが処理できる数値データ(構造化データ)に変換する必要があります。変換方法としては、例えば次のような方法があります。

  • 単語の出現頻度をカウントするBag-of-Words
  • 単語の出現順序も考慮するTF-IDF
  • 単語間の関係性をベクトルで表現するWord2Vec

4. データを分析する

変換されたデータを、様々な手法で分析します。

例えば、共起分析を用いてあるカフェの顧客レビューを分析するとしましょう。「コーヒー」という単語と一緒に「美味しい」と「香り」の共起が多い場合は、コーヒーの香りが顧客満足度に大きく影響していることがわかります。この結果を参考に、コーヒー豆の選定や焙煎方法を調整すれば、顧客満足度をさらに向上させられます。

このように、テキストマイニングで得られたデータは、適した分析手法を用いてより活用しやすい形に変換しましょう。

5. 結果を可視化し、意思決定に活用

分析結果をグラフや図表などで分かりやすく表示すると、データの傾向や特徴を直感的に理解しやすくなります。視覚的にわかりやすくすることで、関係者との情報共有や今後の戦略立案、意思決定に役立ちます。

例えば、顧客のニーズを分析した結果を商品開発チームに共有して、顧客ニーズに合致した新製品開発に繋げることが可能です。市場トレンドを可視化してダッシュボードを作成すれば、マーケティング戦略の立案に役立ちます。テキストマイニングの技術を最大限活かすには、図表を使ってわかりやすいデータにしましょう。

 

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まとめ

テキストマイニングは、非構造化データであるテキストデータから価値ある情報を抽出する技術です。自然言語処理や統計分析を用いてデータに隠されたパターンやトレンドを明らかにするこの技術は、顧客の声分析・市場調査・リスク管理など様々な分野で活用されています。

ビジネスの現場では、日々大量のテキストデータが生み出されています。顧客からのフィードバック、社内での議論、市場の動向に関する記事など、これらはすべて貴重な情報源です。しかし、これらのデータは非構造化データであるため、そのままでは分析が難しく、宝の持ち腐れになってしまう可能性があります。

テキストマイニングを活用することで、これらの非構造化データから隠れた洞察を抽出し、データに基づいた意思決定を行うことが可能になります。例えば、顧客の声を分析することで製品やサービスの改善点を発見したり、市場調査によって新たなビジネスチャンスを見出したり、リスク管理に役立てることができます。

テキストマイニングを効果的に活用するためには、適切なツールと専門知識が必要です。SCREEN社は、テキストマイニングに関するコンサルテーションから教育まで包括的なサポートを提供しています。経験豊富な専門家が、お客様のニーズに合わせて最適なソリューションを提供し、データに基づいた意思決定を支援します。新たな発想や発見へと繋がるSCREEN社のテキストマイニングサービスにご興味をお持ちの方は、ぜひこちらをご覧ください。

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