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技術開発ハイライト

The Japan Times(ジャパンタイムズ)の「SEMICON Japan 2025特集号」に、当社が掲載されました。

 

以下、記事の日本語訳です。

 

ウェーハ製造での優先課題は、サステナビリティ

地球温暖化が進む中、製品と製造工場の環境負荷低減がトップ・メーカーのミッション
 

SCREENホールディングスは京都をベースとした企業グループで、そのルーツは1868年に設立された印刷所です。現在では、「界面制御技術」と「画像技術」の2つのコア技術を軸に、印刷、ディスプレー、半導体、プリント基板などの幅広い市場にソリューションを提供しています。
SCREENホールディングスの事業会社であるSCREENセミコンダクターソリューションズは、ウェーハ洗浄装置をはじめとする半導体製造装置を専門に扱っており、微細な不純物をすべて確実に除去する超清浄流体制御および乾燥技術に重点的に取り組み、半導体製造の重要な工程である表面処理を支えています。
半導体製造では、膨大な量のエネルギーや水、化学物質を使用するため、環境負荷の低減が急務となっています。SCREENは、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指して、環境への取り組みを事業戦略に組み込むことで、この課題に正面から取り組んでいます。
ジャパンタイムズによる先日のインタビューで、4人の従業員が、サステナビリティへの強い決意を維持するための継続的な取り組みについて語りました。

 

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温室効果ガス排出量の削減

 

SCREENは、2050年までのカーボン・ニュートラル達成を目標に掲げています。その取り組みには、温室効果ガス排出量の測定と管理に関する国際基準である「温室効果ガス(GHG)プロトコル」のScope1(直接排出量)およびScope2(購入エネルギーに起因する間接排出量)に該当する、工場での二酸化炭素の排出削減が含まれます。
2020年4月に設定した当初の目標は、「パリ協定」で定められたグローバル目標に沿ったもので、産業革命前から気温上昇を「2°Cより十分に低く」抑えることでした。この目標に基づき、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認証を取得しました。
「しかし、世界的なコンセンサスが新たな1.5°C目標に移行したことから、取り組みを加速させることを決め、2024年1月に新たな目標に基づいて認証を再取得しました」と、SCREENホールディングス サステナビリティ推進室 環境マネジメント課長の福江久美子氏は話します。
そのため、国内の主要拠点で再生可能エネルギーを前倒しで利用し始めることを決定しました。
「当初、2027年までに全ての主要拠点で再生可能エネルギーの利用を開始するという目標を掲げていましたが、2025年初頭に達成しました」(福江氏)

 

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SCREENは、国内の主要拠点で再生可能エネルギーを前倒しで利用開始。

こうした積極的な取り組みの結果、2025年度3月期の事業活動に伴う排出量(Scope1、2)は、2019年3月時点と比べて56.6%削減されました。これは、2027年度末までの70%削減という目標に向けた大きな前進です。
主力製造工場である彦根事業所では、2022年度に再生可能エネルギーを導入しました。また、新設する工場ではエネルギー効率の高い設備を標準化しました。これには、人間の活動が行われている場所のみを冷却するタスク・アンビエント空調が含まれます。

 

グリーンプロダクツ戦略


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企業活動では、企業が販売した製品を使用する時に発生する炭素排出量(GHGプロトコルのScope3カテゴリー11)の削減が極めて重要です。これは、企業での全体的な環境負荷を把握するだけでなく、顧客の排出量削減を支援する上でも重要です。
SCREENは、製品の継続的な改善に加え、Scope3カテゴリー11排出量の算定基準を総量から売上総利益原単位に変更しました。
「これは、事業成長と温室効果ガス削減の両立を目指す試みです」と、サステナビリティ推進室 環境マネジメント課の北崎朋子氏は話します。
総排出量だけを見るのではなく、売上総利益100万円あたりの二酸化炭素排出量に着目することで、事業戦略とサステナビリティへの取り組みの結び付きを強化できるとSCREENは見込んでいます。
SCREENは製品開発に関する独自の環境基準を定め、基準を満たした製品を「グリーンプロダクツ」として認定しています。基準は、省エネルギー、省資源、分解性、再資源化、環境保全性、安全性、情報の提供の6カテゴリーで構成されています。
「2024年度は、装置の売上高に占めるグリーンプロダクツの比率が90%を超えました」(北崎氏)
さらに、従来の基準を満たし、2019年度に販売された製品を基準として、単位処理面積あたりのGHG排出量を30%以上削減した製品を「スーパーグリーンプロダクツ」として認定しています。これらの環境配慮型製品の売上高占有率を、2027年度末までに3%に引き上げることを目指しています。
これらの取り組みは、Scope3カテゴリー11排出量の削減に大きく貢献しています。目標は、2027年度までに売上総利益原単位あたりで48%削減することでしたが、2025年に55.7%削減を達成し、2年以上前倒しで目標を上回りました。

 

水使用量の削減

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SCREENは、2023年よりFTD solutions社と協業し、水使用量を可視化する水管理アプリケーションを導入しています。
第1段階として、彦根事業所で高度な検証プロセスを実施しました。SCREENセミコンダクターソリューションズ ESG推進部の渋川潤氏は、このプロセスが貴重な知見をもたらしたと話します。
「まず、水使用量を削減するための改善機会を特定しました。コンプレッサーの冷却など、水を再利用できる領域を明確にした上で、再利用プロセスを計画しました」(渋川氏)
この初期評価に基づき、コンプレッサー冷却水の再利用をはじめ、さまざまな水使用量削減策を盛り込んだ戦略モデルを策定しました。その後、このアプローチの有効性を検証し、工場の取水量を大幅に削減できることを確認しました。
「彦根事業所では、水使用量、排水量、再利用率などのKPI(重要業績評価指標)を継続的に監視できるように、流量計を増設していますので、われわれが策定した戦略モデルの精度向上に役立つでしょう」(渋川氏)
SCREENは、最終的にこれらの水管理に関する知見を活用し、顧客にも節水ソリューションを提供することを目指しています。

 

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世界が環境ストレスに悩まされる中、半導体製造装置メーカーの役割は特に重要。

ウェーハ洗浄の最適化


半導体の微細化や複雑化に伴い、ウェーハ洗浄工程では洗浄能力の向上と大量の超純水が必要になっています。さらに、この水の温度を厳密に管理する必要もあります。
従来の装置では、必要な温度と純度を維持するために、ウェーハを処理していないときも超純水が常に流れ続け、排出されていました。「水の使用量を最小限に抑えるために、水をろ過して清浄にする超純水循環装置を開発しました」と渋川氏は話します。
その後、必要なときだけ再加熱して装置に供給することで、エネルギー効率も最適化されます。この新しいシステムにより、水関連の電力使用量を82%削減できました。
水への関心が高い顧客の間では節水機能に対する需要が高く、特に世界有数の半導体生産国である台湾では顕著だと渋川氏は指摘します。
加えて、サステナビリティが注目される時代において、この需要に対して各企業はさらなる貢献が常に求められています。こうした傾向は、メーカーが機械や材料を選定する判断にも影響を与えており、水と電力の使用を最適化する技術は、SCREENの国際事業戦略の極めて重要な要素となっています。実際、SCREENの純水循環機能は、すでに現行製品に搭載されています。
SCREENはまた、経済的にも環境的にもコストのかかるウェーハ洗浄薬液を循環・再利用する機能の開発も進めています。
この技術は、すでに特定の洗浄液に適用されており、既存の装置に変更を加えることで使用できます。ただし、これは非常に難易度の高い技術であり、継続的な更新が必要です。
洗浄工程は半導体の種類によって異なるため、それぞれ特定の濃度の薬液を使用し、厳密に管理する必要があると渋川氏は話します。
「場合によっては、複数の化学物質を混合する必要があります。そうした場合、まず混合した化学物質を分離した上で、再利用できるよう処理しなければなりません。処理可能な化学物質の種類の拡大を目指して、この技術の開発を続けています」(渋川氏)
また、こうした開発はいずれも、半導体サプライチェーンのステークホルダーの参加と支援なしには成り立たないことを強調しました。
「例えば、当社の装置に取り付けられている浄水器は、当社ではなくフィルター・メーカーが製造しています。工場の清浄度や製品の精度について同じ基準を共有できるよう、こうしたサプライヤーと緊密に協力する必要があります。それが当社の価値を生み出すからです」(同氏)

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地域社会とのつながり
 

SCREENは、国際的に事業を展開する一方で、地域社会との共存共栄も大切にしています。
創業の地である京都では、地域全体に対する貢献活動の実施や参加を行っています。
そうした活動の一つが、公益社団法人京都モデルフォレスト協会が中心となって、地域の森林資産を守り育てる市民参加型運動「京都モデルフォレスト」です。
SCREENは、この取り組みを通じて、2018年から京都郊外の亀岡市で森林整備費用を助成しているほか、生物多様性への理解促進を目的としたイベントを開催しています。
この運動への参加をきっかけに、京都府との間で「地域活性化包括連携協定」を締結し、それが地域との関わりの深化と拡大を後押ししています。
2018年からは従業員が稲作活動にも参加しています。
「今年も5月の田植え、9月の稲刈りに大勢の従業員とその家族が参加しました」と福江氏は話します。
収穫した米は当初、亀岡市の児童養護施設に寄付していましたが、現在は府内の複数の児童養護施設に届けられています。福江氏は、「地域社会との交流を活性化し、人々の役に立つ貴重な活動」として、この取り組みを継続していきたいと話します。

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欠かせない存在へ
 

SCREENのサステナビリティ戦略は、工場や製品による環境負荷低減と地域社会への貢献を同時に推進することで、ウェルビーイングの向上を目指しています。
さまざまなステークホルダーを巻き込むことで、半導体業界のサステナビリティを追求するリーダーとしてSCREENの地位を確立できると、SCREENセミコンダクターソリューションズ ESG推進部長の八阪亨介氏は話します。
「半導体は世界に欠かせないものであり、今後も生産量、使用量ともに増加の一途をたどるでしょう。さらに、微細化技術や積層化技術の進歩に伴い、半導体製造プロセスの工程数は指数関数的に増加することが予想されます。その結果、製造に必要なエネルギーや水の消費も増えることになります」(八阪氏)
だからこそ、半導体業界全体は持続可能な社会の実現という共通の目標を持たなければなりません。世界が環境ストレスに悩まされる中、SCREENは半導体製造装置メーカーの役割が特に重要だと認識しています。
「当社は、製造装置メーカーとして、業界全体の環境負荷低減をリードし、それによって環境と半導体技術に依存する社会の持続可能性に貢献してまいります」(八阪氏)

 

 



50年にわたる製造イノベーション


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当社は今年、半導体製造装置事業に参入して50周年を迎え、洗浄装置の累計出荷台数は1万5,000台を超えました。これらの装置は、イノベーションの最先端からレガシー・ノードまで、さまざまな製造プロセスで使用されています。この節目を迎えられたのは、お客さま、パートナー、その他ステークホルダーの皆さまのご支援によるものであり、深く感謝申し上げます。
要素技術力と製品開発力を強化するために、ニューヨークに研究開発拠点を新設することを先日決定しました。
この拠点の名称は、SCREEN Advanced Technology Center of America(ATCA)となる予定です。ATCAは、当社のパートナーであるNY Creates社が運営する最先端の研究開発施設内のクリーンルーム施設に設置されます。
当社が世界シェアNo.1を誇るウェーハ洗浄から熱処理、先進パッケージングまで、幅広い先端技術をカバーする半導体製造装置を導入する計画です。
最先端デバイスの製造プロセス全体を評価できる環境で、要素技術や製品開発の期間の短縮、製品競争力のさらなる強化、価値の向上を目指して取り組んでまいります。
SCREENの取り組みをご覧いただき、ご意見をお聞かせください。

イノベーションを京都から世界へ。
引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。

 

本記事は、株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズが提供しています。