ところで、文字組みを遊ぶのではなく、配置するスペースのデザインを遊んでみても面白い結果が生まれます。例えば私の専用便箋【図21】には大きな波線を描き入れています。罫線が直線でないとしたらどうなるかという発想です。もっとも、罫線が直線でないと手書きの手紙などの場合には、文章をまっすぐに書くことが難しいという問題が発生しますが、ワープロソフトや、Illustrator等で作成し、プリンターから出力するような書類や手紙であれば、ガイドとなる線が波線であっても問題ありません。私自身は一般的な文書データであっても波線を変更しないで、いつでも同一間隔の波線だけを使っていますが、文章の行間を意識してデザインしてみると効果は高まります。
 もっとも、高校生の頃にラフな波線形状にカットしたダンボールを定規として、無地のレポート用紙に罫線を引いては手紙などを書いていましたので、私のやっていることはそれほど進化していません。実は10年ほど前に【図21】の前身となるデザインの便箋をまとめて印刷しましたが、ガイドが波線なので手書きには意味がない事がわかり、改めて(意外に?)そそっかしい自分に気がつきました。使い切るのにあと10年はかかりそうです。

     
     
    【図21】曲線のガイドラインをデザインした、プリンター出力用の私製便箋。実際には住所が日本語と英語で記載されています。また、イラストが入っている用紙をプリンターで印刷する場合は、全体の不透明度を80〜90%ぐらいに設定しておくと自然な感じになります。特にレーザー系カラープリンターの場合は、定着液の関係で光沢が入ってしまい、必要以上に目立つため、便箋のような用途の場合は不透明度を若干調整したほうがよいでしょう。
     
   
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◆編集=柴田忠男
◆デザイン=向井裕一(glyph)
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