【図03】はかなり特殊な例かもしれませんが、今はデザイン結果をライブで確認できるデジタル環境なので、多少極端な設定であっても、実際に自分で形にして確認してみることが大切です。現実的な路線としては【図04】【図05】のように、テキストブロックの配置と合成フォント等による組み合わせ処理から始めることで理解が深まると同時に、自分なりの着目点に気がつくようになります。
 【図04】は、ヒラギノ明朝W3で、カーニングをオプチカル、トラッキングを0としたテキストブロックの配置設定を変更した場合の比較です。上から【左右均等配置、最終行左揃え】、【左揃え、右成り行き】、【左揃え、句読点での強制改行】。日本語組版の場合は、一番上の配置がデフォルトといっても過言ではないでしょう。しかし、私は中段の設定を好んで多用しています。そして、場合によっては手動で下段のように句読点で強制改行を入れるといった処理を行なうこともあります。小説など一般的な組版と違って、取扱い説明書のような場合には、1行の幅が狭いために、【左右均等配置、最終行左揃え】となっていると、部分的に間延びしたり、詰まりすぎたりしてしまう文字間が気になるからです。
 また、以前も触れたように、長く欧文組みの仕事が多かった関係で、【左揃え、右成り行き】に慣れてしまったからかもしれません。しかし、極端に言うと本来日本語は縦書きの時代には【上揃え、下成り行き】であったことを考えると、それほど荒唐無稽な設定ではないと感じています。また、【図05】は、【図04】の下段の配置設定のまま、合成フォントを指定した場合の違いを比較した状態です。上から【ヒラギノ明朝W3】、【ヒラギノ明朝W3+築地体三号細仮名】、【ヒラギノ明朝W3+游築五号仮名W3】を指定しています。個人的には下段の【ヒラギノ明朝W3+游築五号仮名W3】が好みです。
     
     
【図04】ヒラギノ明朝W3で、カーニング:オプチカル/トラッキング:0を共通設定とし、上から【左右均等配置、最終行左揃え】、【左揃え、右成り行き】、【左揃え、句読点での強制改行】。  

【図05】カーニング:オプチカル/トラッキング:0、【左揃え、句読点での強制改行】を共通設定とし、上から【ヒラギノ明朝W3】、【ヒラギノ明朝W3+築地体三号細仮名】、【ヒラギノ明朝W3+游築五号仮名W3】

     
 
     
 
     
 
 
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