前記したように、長体や平体を使うことは、スペース確保と割り切っていた私は、その考えを長らく引きずっていました。しかし、かなりとんでもない処理であっても実際にすべてを自分自身で作り込み、ライブで確認できるデジタル環境となってからは、長体や平体に対する考え方が変わってしまいました。それは写植時代と異なり、1%きざみという細かい数値を指定できるからです。
 たとえば【図12】のように「す。」が最終行に発生してしまった場合、【図13】の赤文字で括った部分の水平比率を95%とすることで「す。」を直前の行に収めることができました。もちろん【図14】のように、全体のトラッキング値を調整するという対処法がスマートで現実的かもしれませんが、全体の文字送りが変更になってしまうため、長い文章に対して行なうと文字ブロックとしての全体のイメージが変わってしまい、デザイン的には不向きな処理となってしまうからです。文章量が多いと、若干の調整値であっても、文末への影響力が大きくなってしまうのです。そのため、気になる行の前後にある欧文または仮名文字を、このようにイレギュラー的に調整するようにしています。似たような処理として、音引きを短くしたり、句読点を半角に差し替えたりするといったこともしています。
     
 
【図12】IllustratorCS2上で、【カーニング:オプチカル/トラッキング:0】で
テキストブロックを流し込んだ状態。最後の行が見苦しくなっています。
【図13】赤文字の部分の水平比率を95%に変更した状態。最後の行を直前の行に組み込むことが出来ました。
   
   
   
【図14】全体のトラッキング値を-3に調整した状態。  
   
 
 
    123456789