◆本文組みは別として、数文字単位のイメージであればある程度の調整は可能ですが、キャッチコピーやサブタイトルといった文字ブロックになってくると、文字同士の形状、あるいは仮想ボディーと実ボディーとの差が調整のレベルでは対処できなくなってしまいます。つまり、1文字ずつ調整してもうまくいかないようなケースです。ただし、それを味としたデザインなら良いのですが、無意味な味ではデザインに意味がありません。
そのため、視覚的にブロックとして固めたイメージを優先させたいときは、できるだけタイポス系*の書体を使用するのもひとつの手法です。もちろん、何が何でもきつめに文字間を詰めて空き具合を均等にするために、フォントを限定しなくてはならないという話ではありません。大切なのはあくまでも視覚的なイメージです。イメージを優先させるために何が必要かということです。
そして、その実験をしたものが【図04】です。文字調整はデフォルト環境にカーニング設定を「自動」**としただけです。このように、同じサイズの同じウエイトであっても書体の違いにより文字間の空き具合がずいぶん異なってきます。一般的に、明朝系の方が文字間や懐スペースに抑揚があるのに対して、ゴシック系は懐スペースがわりと均一で文字間もタイトな設計になっています。
もちろん優劣の問題ではありません。どう見えるかというイメージを、デザイナーが把握しているかということです。なお、ヒラギノシリーズは縦書き、横書き、あるいは本文、キャッチコピーといった具合にオールマイティーに使い込んでもきれいに読めるように設計されているので、アンバランスな部分を見つけ出すことは困難でしょう。 |
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【図04】
Illustratorでアウトライン化した文字の線を太らせてから、オブジェクトへ変更後に穴あき部分をすべて潰しています。これで、文字の懐スペースと空きが視覚的にわかりやすい状態になります。なお、実験はヒラギノシリーズW4で統一していますが、ヒラギノ角ゴシック体とヒラギノ角ゴパッケージ用仮名には1ウエイト落としたW3も追加してみました。これら2書体は濁点(濁音符「゛」)と半濁点(半濁音符「゜」)を含む文字以外に違いはないので同一とみられます。 |
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ヒラギノ行書Std W4/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ明朝Std W4/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ明朝Std W4+築地活文舎五号仮名/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ明朝Std W4+游築36ポ仮名Std
W4/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ明朝Std W4+游築五号仮名Std
W4/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ角ゴPro W3/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ角ゴPro W3+ヒラギノ角ゴパッケージ用仮名Std
W3/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ角ゴStd W4/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ角ゴStd W4+ヒラギノ角ゴパッケージ用仮名Std
W4/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ角ゴStd W4+ヒラギノ角ゴAD仮名Std W4/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |
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ヒラギノ丸ゴPro W4/20ポイント/カーニング=自動/トラッキング=0 |