SCREEN ヒラギノフォントのサポート情報サイト
本サイトはヒラギノフォントのサポート情報や販売店情報などを掲載しています
ホーム  FAQ  対応情報  ショップ  お問い合わせ |  ヒラギノフォント総合情報サイトトップへ
ホーム > ヒラギノOpenTypeのFAQ

 ヒラギノOpenTypeのFAQ

(ヒラギノOpenTypeに関するよくあるご質問と回答集)

2014年7月25日更新


目次
1.本当によくあるご質問
1.1 ヒラギノってなに?
1.2 OpenTypeってなに?
1.3 Type1もしくは TrueType と OpenType の違いはなに?
1.4 Unicode(ユニコード) ってなに?
1.5 Std(スタンダード)とPro(プロ)ってなに?
1.6 Adobe-Japan1-5って何ですか?
1.7 Adobe-Japan1-4って何ですか?
1.8 APGSって何ですか?
1.9 ダイナミックダウンロードってなに?
1.10 ペアカーニング情報って何ですか?
1.11 Adobe-Japan1-6って何ですか?

1.12 IVSって何ですか?


2.ヒラギノOpenTypeのFAQ
2.1 ヒラギノOpenTypeはPDFにエンベッド(埋め込み)できますか?
2.2 ヒラギノのCIDフォントと比べて、OpenTypeのフォントファイルのサイズは?
2.3 ヒラギノOpenTypeのProフォントとStdフォント、一体何が違うの?
2.4 ヒラギノOpenTypeに収容されるグリフ数は?
2.5 ヒラギノOpenTypeのProフォントにはどんなグリフが入っているんですか?
2.6 約15,500グリフ対応を謳う他社のProフォントと、20,317グリフ対応のヒラギノProフォントとの違いを教えてください。
2.7 ヒラギノStdフォントは、Unicodeに対応する文字をどれだけ含みますか?
2.8 ヒラギノProフォントは、Unicodeに対応する文字をどれだけ含みますか?
2.9 StdフォントとCIDフォントの機能上の違いを教えてください。Stdフォントを使う利点は何でしょうか?
2.10 現在、ヒラギノのCIDフォント(またはOCFフォント)を使用してドキュメントを制作していますが、これを同じ書体のヒラギノOpenTypeに置き換えた場合、何か問題は起きるでしょうか?
2.11 Mac OS XにバンドルされているヒラギノOpenTypeと、株式会社SCREENグラフィックソリューションズが販売するヒラギノ OpenTypeとの違いは?
2.12 ヒラギノ専用仮名書体集の仮名書体OpenTypeフォントにはどのようなグリフが含まれますか?
2.13 Mac OS X以外にヒラギノフォントが搭載されている他社製品はありますか?
2.14 Microsoft Officeに搭載されているHG ゴシックやHG 明朝は、ヒラギノフォントですか?


3.ヒラギノOpenTypeの動作環境について
3.1 ヒラギノOpenTypeはMac OS X と Classicの両方で使用できますか?
3.2 CIDフォントやOCFフォントがすでにダウンロードされているPostScriptプリンタで、同じ書体のOpenTypeをプリントできるでしょうか?
3.3 すでにヒラギノのCIDフォント、OCFフォント、TrueTypeなどを使用していますが、ヒラギノOpenTypeを併用すると何か問題はありますか?
3.4 Mac用として購入したヒラギノOpenTypeを、Windowsにコピーして使って良いでしょうか? Up!

4.OpenTypeについての一般的なFAQ
4.1 OpenTypeに対応しているアプリケーションを教えてください。
4.2 Proフォントの20,317グリフすべてを使えるアプリケーションを教えてください。

4.3 Proフォントで拡張されたグリフを使用する方法は?
4.4 アプリケーションが「Unicode対応」なら、20,317グリフすべて使えるのでしょうか?
4.5 OpenTypeは、Mac OS 9でも利用できますか?
4.6 OpenTypeを使ってMac上で作成したドキュメントをWindowsで開いた場合(またはその逆)、文字化けしたり組体裁が崩れたりしませんか?
4.7 WindowsでOpenTypeに対応しているアプリケーションはありますか?
4.8 「OpenType対応」を謳っていないOSやアプリケーションでは、OpenTypeは使えないのでしょうか?
4.9 OpenTypeを使って、イメージセッターなどへの高解像度出力は可能ですか?
4.10 Mac OS 9でOpenTypeを利用する場合と、Mac OS Xで利用する場合とで、何か違いはありますか?
4.11 日本語OpenTypeフォントのペアカーニングに対応したアプリケーションを教えてください。
4.12 OpenTypeフォントのバージョンを確認するには?


5.上級FAQ
5.1 ヒラギノOpenTypeのProフォントは、AdobeやモリサワのOpenTypeのProフォントと異なっていますか?
5.2 ヒラギノOpenTypeのMac版とWindows版の間の互換性は?
5.3 ヒラギノOpenTypeでドキュメントを作り、AdobeやモリサワのOpenTypeに置き換えた場合、何か問題は起きますか?また、その逆はどうでしょう?
5.4 プロユーザーはやはりProフォントを使うべきでしょうか?Stdフォントでは力不足ですか?
5.5 OpenTypeレイアウトフィーチャって何ですか?
5.6 ヒラギノOpenTypeのProフォントとStdフォントの互換性は?

6.商品構成・商品展開について
6.1 ヒラギノOpenTypeには高解像度用フォントやプリンタ用フォントはないのですか?また、それらを将来発売する予定はありますか?
6.2 今後、ヒラギノOpenType、千都OpenTypeのラインナップを増やす予定はありますか?
6.3 ヒラギノOpenTypeのProフォントは Adobe-Japan1-5 対応とのことですが、今後さらにグリフを追加する予定はありますか?


7.優待販売とアップグレードについて
7.1 千都フォントのOCF、CID、TrueTypeなどを持っていますが、これらをヒラギノOpenTypeにアップグレードできますか?
7.2 ヒラギノOpenTypeのStdフォントからProフォントへのアップグレードサービスはありますか?

8.お問い合わせ&サポートについて
8.1 ヒラギノOpenType、千都フォントについての問合せ窓口は?

* * *

 1.本当によくある質問
 
1.1 ヒラギノってなに?
ヒラギノは、書体設計制作を生業とする有限会社字游工房(http://www.jiyu-kobo.co.jp/)が創作し、株式会社SCREENグラフィックソリューションズ(旧:大日本スクリーン製造株式会社)の製品として1993年に発売開始されたプロフェッショナル用フォントのファミリー名です。その高品質かつ洗練されたデザインは発売当初から極めて高い評価を受け、現在はアップルコンピュータの「Mac OS X」に、明朝2書体(ヒラギノ明朝 Pro W3、W6)、角ゴシック3書体(ヒラギノ角ゴ Pro W3、W6、ヒラギノ角ゴ Std W8)、丸ゴシック1書体(ヒラギノ丸ゴ Pro W4)の合計6書体が、OpenTypeとして標準搭載されています。

また、ウエイトバリエーション(太さのバリエーション)と仮名バリエーションの豊富さもヒラギノファミリーの大きな特徴で、当社では現在、全54書体のヒラギノOpenTypeファミリーをラインナップしています。

  
1.2 OpenTypeってなに?
OpenTypeは、アドビシステムズ社とマイクロソフト社が共同開発したクロスプラットフォーム対応のフォントフォーマットです。MacとWindowsといった異なるプラットフォーム間での互換性を著しく向上させることが可能で、国際的な文字コード標準であるUnicodeへの対応、拡張グリフセットの採用、ダイナミックダウンロードによりプリンタフォントが不要、和文フォントへのペアカーニング情報の実装、といった数多くの新機能が実現できる、拡張性に富んだこれからの標準フォントフォーマットです。Mac OS XやWindows XP/2000では、OpenTypeを標準でサポートしています。  
1.3 Type1もしくは TrueType と OpenType の違いはなに?
Unicode対応、クロスプラットフォーム互換、拡張グリフセット対応、ダイナミックダウンロード、和文フォントへのペアカーニング情報の実装、などのOpenTypeの特徴がほぼそのまま、Type1フォント、OCF、CIDフォント、TrueTypeなどの従来形式のフォントとOpenTypeとの違いと言えるでしょう(ただしUnicode対応とダイナミックダウンロードは、TrueTypeでも実現可能な機能)。また、TrueTypeはMac/Windowsでそれぞれ利用可能でしたが、ファイル形式の違いのため、「クロスプラットフォーム対応」とは言えませんでした。OpenTypeでは、プラットフォームが異なってもファイル形式は完全に共通ですので、真のクロスプラットフォーム互換を実現できるフォントフォーマットです。  
1.4 Unicode(ユニコード) ってなに?
Unicodeとは一言でいえば、「世界標準&世界共通の文字コード」です。OpenTypeはUnicodeをサポートしており、収容するどのグリフがUnicodeのどのコードポイントに相当するか、の一覧表を内蔵しています。つまり、OpenTypeのクロスプラットフォーム性と相まって、OSやアプリケーションがUnicode対応ならば、環境の違いに依存せず、各環境でUnicodeの文字が同じように利用できるわけです。  
1.5 Std(スタンダード)とPro(プロ)ってなに?
一般的に、StdフォントとはAdobe-Japan1-3の9,354グリフのグリフセットに対応したOpenTypeで、ProフォントはStdフォントの実装グリフ数をさらに拡張したOpenTypeである、と言えます。現在のところ、15,444グリフに対応したProフォントと、20,317グリフに対応したProフォントの二種類が存在します。ヒラギノOpenType Proフォントは後者です。Stdフォントは一般ユーザ用、Proフォントはプロ用、という説明をされる場合が稀にあるようですが、弊社としては、一般ユーザ用かプロ用かは収容グリフ数で決まるものではなく、Stdフォントでも十分プロ用途に耐えるものと考えます。  
1.6 Adobe-Japan1-5って何ですか?
Adobe-Japan1-5は、Adobe-Japan1-4の上位規格として2002年9月にアドビシステムズ社が策定した、20,317グリフ(ただし仮想グリフと呼ばれる空白グリフを5グリフ含んでいます)のグリフセットの規格です。Adobe-Japan1-4の15,444グリフにさらに約5,000グリフが追加されています。追加の約5,000グリフのうち、約3,500グリフは漢字、約1,500グリフが非漢字です。第三水準漢字、第四水準漢字を含むJIS X 0213のフルサポート、表外漢字字体表字形のサポートなどを特徴としています。Adobe-Japan1-5は、後述するAPGS (Apple Publishing Glyph Set) をベースに定義されたものです。ヒラギノOpenType Proのver7.11はAdobe-Japan1-5に完全に対応しています。ver7.11のヒラギノOpenType Proは、Mac OS X 10.2.4にバンドルされており、弊社より2002年11月にリリースされた「ヒラギノPro書体集」もver7.11です。Adobe-Japan1-5のグリフセット仕様書は、アドビシステムズ社のWebサイトのテクニカルノート#5078 (PDF: 7.38MB) をご参照ください。  
1.7 Adobe-Japan1-4って何ですか?
Adobe-Japan1-4は、アドビシステムズ社が策定した15,444グリフのグリフセットの規格です。2000年3月に最初の版が公開されました。JIS X 0201およびJIS X 0208の文字、IBM漢字など、従来のOCFやCIDフォントに含まれていたグリフはすべてAdobe-Japan1-4に含まれています。それに加えて、商用印刷向けに選定された漢字が2,124グリフ、非漢字が3,966グリフ含まれています。アドビシステムズ社やモリサワ社などがリリースしているOpenTypeのProフォントは、このグリフセットを採用しています。Adobe-Japan1-5およびAPGS (Apple Publishing Glyph Set) は、Adobe-Japan1-4の上位互換のグリフセットです。Adobe-Japan1-4のグリフセット仕様書は、アドビシステムズ社のWebサイトのテクニカルノート#5078 (PDF: 7.38MB) をご参照ください。  
1.8 APGSって何ですか?
APGS (Apple Publishing Glyph Set) はアップルコンピュータが策定したAdobe-Japan1-4上位互換のグリフセットの規格で、Mac OS X 10.1〜10.2.3搭載のヒラギノOpenType Proフォントに採用されていた約20,000グリフのグリフセットです。Adobe-Japan1-4上位互換、第三水準漢字、第四水準漢字を含むJIS X 0213の完全対応、電算写植文字の対応、表外漢字字体表字形のサポートなどを特徴としています。Adobe-Japan1-5のベースになったグリフセットで、アップル社ではMac OS X 10.2以降は「APGS」の呼称をやめ、「Adobe-Japan1-5」の呼称に統一すると表明されています。  
1.9 ダイナミックダウンロードってなに?
OpenType以前の日本語PostScriptフォント(OCFフォントやCIDフォントなど)は、プリントするためにはプリンタフォントを(プリンタの解像度に応じて低解像度用・高解像度用を区別して)購入し、それをあらかじめプリンタへダウンロードしなければなりませんでした。OpenTypeでは、アプリケーションやプリンタドライバのダイナミックダウンロード機能により、印字するドキュメントごとに必要なフォント情報を動的(ダイナミック)にダウンロードしますので、プリンタ側にフォントを持たせる必要がなくなりました。解像度の制限もなく、プリンタフォント管理の手間が省けるうえ、プリンタフォントを購入いただく必要もありませんので、コストも低く抑えられます。  
1.10 ペアカーニング情報って何ですか?
もしお手元にOCFやCIDフォントをお持ちなら、適当なDTPアプリケーションで「New York Yankees」と入力してみてださい。「Y」と「o」、「Y」と「a」の間が他の部分と比べて空いて見えると思います。特にこれが見出しなら、それぞれの字間を手で詰めて調整される方も多いでしょう。このように、プロポーショナル組版において、特定のグリフとグリフの間の空きを調整して、空きが均一に見えるようにグリフ位置を調整することをペアカーニングと呼び、これを手動ではなくアプリケーションに自動的に行わせるためにフォントに内蔵される詰め値のリストをペアカーニング情報と呼びます。

欧文フォントでは従来からペアカーニング情報の実装は一般的でしたが、日本語フォントに実装されるようになったのはOpenTypeが初めてです。OpenTypeではさらに、欧文グリフだけでなく和文グリフにもペアカーニング情報が実装できます。ヒラギノOpenTypeでは、Proフォント、Stdフォント、仮名Stdフォントのすべてのフォントに欧文グリフおよび和文グリフのペアカーニング情報が実装されていますので、最小限の手間で高品質なプロポーショナル組版を実現できます。

こちらにヒラギノOpenTypeの日本語ペアカーニングに関する情報をご用意いたしましたのでご覧ください。

 
1.11 Adobe-Japan1-6って何ですか?
Adobe-Japan1-6は、2004年6月にアドビシステムズ社が策定した、23,058グリフのグリフセットの規格です。Adobe-Japan1-5の20,325グリフから約3,000グリフが追加されています。JIS X 0213:2004およびJIS X 0212:1990への対応。また、 U-PRESS(共同通信社の固有文字)用文字を追加しています。 弊社から2012年11月より販売している「ヒラギノPr6Nフォント」と「ヒラギノUprフォント」のVer.9.00は、Adobe-Japan1-6に完全に対応しています。 Adobe-Japan1-6のグリフセット仕様書は、アドビシステムズ社のWebサイトのテクニカルノート#5078(PDF: 10.3MB) をご参照ください。
※U-PRESS:共同通信社が全国の新聞社などに、国内外の記事を配信するために定めた文字コード
 
1.12 IVSって何ですか?

IVS(Ideographic Variation Sequence)は、標準のUnicodeで規定されている様々な字体を使用可能にする技術です。 IVSは、漢字を表すUnicodeの直後に異体字セレクタ(Variation Selector)と呼ばれるコードを入力することで、プレーンなテキストデータとして異体字を表現することができます。例えば「葛」であれば、U+845Bの直後にU+E0100の異体字セレクタを付加することで、異体字を表現することができます。

     

実際にIVS機能を使用する場合、IVSに対応したアプリケーション、OS、フォントが必要になります。
弊社製品版フォント「ヒラギノPr6Nフォント」Ver.9.00、「ProNフォント」Ver.8.10や、OS X Lion、OS X Mountain Lionにバンドルされているヒラギノフォントは、IVSに対応しています。




 2.ヒラギノOpenTypeのFAQ
 
2.1 ヒラギノOpenTypeはPDFにエンベッド(埋め込み)できますか?
できます。ヒラギノOpenTypeはPDFへのエンベッド(埋め込み)が可能な仕様となっています。商用のご利用についてはこちらをご覧ください。  
2.2 ヒラギノのCIDフォントと比べて、OpenTypeのフォントファイルのサイズは?
書体によってサイズは大きく異なりますので、おおまかな比較になりますが、ヒラギノの場合、CIDフォントとStdフォントのサイズはだいたい同じくらいで、Proフォントはその約二倍程度とお考えください。  
2.3 ヒラギノOpenTypeのProフォントとStdフォント、一体何が違うの?
ヒラギノOpenTypeのStdフォントは、Adobe-Japan1-3対応の9,354グリフを収容しているのに対して、ProフォントはAdobe-Japan1-5に対応した20,317グリフを収容しています。他社のOpenType製品では、Proフォントはプロ用途、Stdフォントは一般用途として、Stdフォントにはペアカーニング情報を実装しないなどの区別を付けているものがありますが、弊社のOpenType製品ではそのような区別はしておりません。ProフォントにもStdフォントにも、ペアカーニング情報は実装されており、どちらもプロ用途にお使いいただける仕様となっています。  
2.4 ヒラギノOpenTypeに収容されるグリフ数は?
ヒラギノOpenTypeのProフォントはAdobe-Japan1-5に準拠した20,317グリフを収容します。StdフォントはAdobe-Japan1-3に準拠した9,354グリフを収容します。Adobe-Japan1-3およびAdobe-Japan1-5のグリフセット仕様書は、アドビシステムズ社のWebサイトのテクニカルノート#5078 (PDF: 7.38MB) をご参照ください。  
2.5 ヒラギノOpenTypeのProフォントにはどんなグリフが入っているんですか?
ヒラギノOpenTypeのProフォントはAdobe-Japan1-5に準拠していますので、Adobe-Japan1-4の15,444グリフを完全に包含するほか、JIS X 0213で規定される第三・第四水準漢字や拡張ラテン文字、音声記号(発音記号)、数学用記号、歯科用けい線素片などを含む全11,223文字をフルサポートします。また、表外漢字字体表字形を完全にカバーし、さらに電算写植用外字をも含むグリフセットとなっています。Adobe-Japan1-5のグリフセット仕様書は、アドビシステムズ社のWebサイトのテクニカルノート#5078 (PDF: 7.38MB) をご参照ください。  
2.6 約15,500グリフ対応を謳う他社のProフォントと、20,317グリフ対応のヒラギノProフォントとの違いを教えてください。
「約15,500グリフ対応」を謳う他社OpenType製品は、Adobe-Japan1-4の15,444グリフに対応します。ヒラギノOpenType ProフォントはAdobe-Japan1-4の上位規格であるAdobe-Japan1-5に準拠しており、Adobe-Japan1-4の15,444グリフを完全に包含する20,317グリフ対応です。それに加えて、JIS X 0213で規定される第三・第四水準漢字などを含む全11,223文字をフルサポートします。また、2000年12月の国語審議会答申「表外漢字字体表」の字形を完全にカバーし、さらに電算写植用外字をも含む、実用性の高いグリフを広汎にカバーしています。これらの追加グリフは、約15,500グリフ対応の他社のProフォントにはすべては含まれていません。  
2.7 ヒラギノStdフォントは、Unicodeに対応する文字をどれだけ含みますか?
ヒラギノStdフォントでは、Unicode 3.2に対応する約8,200文字を含んでいます。Unicodeに対応しないその他のグリフをお使いいただくには、グリフパレット(字形パレット)や字体切り替え機能など、グリフレベルの文字アクセスに対応したInDesign CS/2.0J、Illustrator CSなどのアプリケーションをお使いいただく必要があります。  
2.8 ヒラギノProフォントは、Unicodeに対応する文字をどれだけ含みますか?
ヒラギノProフォントでは、Unicode 3.2に対応する約13,600文字を含んでいます。Unicodeに対応しないその他のグリフをお使いいただくには、グリフパレット(字形パレット)や字形切り替え機能など、グリフレベルの文字アクセスに対応したInDesign 2.0Jなどのアプリケーションをお使いいただく必要があります。  
2.9 StdフォントとCIDフォントの機能上の違いを教えてください。Stdフォントを使う利点は何でしょうか?
まず収容グリフ数について。CIDフォントはAdobe-Japan1-2対応の8,720グリフ収容、StdフォントはAdobe-Japan1-3対応の9,354グリフ収容ですから、Stdフォントの方が約600グリフほど多いです。しかしその差はすべて、縦組用にAdobe-Japan1-2内の欧文グリフと半角グリフを時計回りに90度回転させただけのものですので、実質的なグリフ数は同等です。

CIDフォントに対するStdフォントの利点は、StdフォントはOpenTypeのため、ダイナミックダウンロードによりプリンタフォントが不要です。クロスプラットフォーム対応やUnicode対応など、OpenTypeならではの特徴も活かせます。また、OpenTypeレイアウトフィーチャと呼ばれる組版テーブルを搭載しますので、それに対応したInDesign 2.0Jなどの組版ソフトでは、キメ細かい組版上の調整が容易に行えます。さらに、ヒラギノOpenTypeのStdフォントは、Proフォントと同様に欧文グリフ・和文グリフの両方にペアカーニングテーブルを搭載していますので、より高品質な欧文組版や和文の詰め組を行っていただけます。

このように弊社Stdフォントは、収容グリフ数を除いては、Proフォントにひけを取らない十分なスペックを装備しています。

 

2.10 現在、ヒラギノのCIDフォント(またはOCFフォント)を使用してドキュメントを制作していますが、これを同じ書体のヒラギノOpenTypeに置き換えた場合、何か問題は起きるでしょうか?
CIDフォント(またはOCFフォント)とOpenTypeフォントとはフォントフォーマットが異なりますので、たとえ同じ書体でも組体裁などが崩れる場合はありえます。また、アプリケーションによってはOpenType対応が十分でないものもあり、CIDフォントと同様の機能をサポートしていない場合があります(例:Illustrator10JではOpenTypeの「詰め」や「字体切り替え」をサポートしていません)。置き換えの際は十分にご注意ください。  
2.11 Mac OS XにバンドルされているヒラギノOpenTypeと、株式会社SCREENグラフィックソリューションズが販売するヒラギノOpenTypeとの違いは?
Mac OS XにバンドルされているヒラギノOpenTypeと、株式会社SCREENグラフィックソリューションズが販売するヒラギノOpenTypeとは、フォント名とバージョンが同じであれば、両者は機能的にまったく同一のものとなります。例えば、弊社が2002年11月に発売開始したヒラギノPro書体集はver7.11で、Mac OS X 10.2.4にバンドルされたヒラギノOpenType Proもver7.11ですが、この場合、両者の仕様はまったく同一です。詳しくは、「ヒラギノOpenTypeとMac OS Xのバージョン相関表」をご参照ください。  
2.12 ヒラギノ専用仮名書体集の仮名書体OpenTypeフォントにはどのようなグリフが含まれますか?
ヒラギノ専用仮名書体集の仮名書体OpenTypeフォントには、Adobe-Japan1-3に含まれる、全角幅のひらがな、カタカナ、一部の全角約物、一部の欧文プロポーショナルグリフと欧文半角グリフなど、約780グリフが格納されています。Adobe-Japan1-3のサブセットStdフォントですので、Adobe-Japan1-4に含まれるカタカナ単位記号や、Adobe-Japan1-5に含まれる「か゜き゜く゜け゜こ゜」などの特殊な半濁点付き仮名グリフなどは含まれていません。仮名書体OpenTypeフォントのシフトJISコード表は、https://www.screen.co.jp/ga_product/sento/pdf/SJISKanaTable10.pdfからダウンロードできます。  
2.13 Mac OS X以外にヒラギノフォントが搭載されている他社製品はありますか?
Mac OS X以外の製品で、ヒラギノフォントが含まれている他社製品は、株式会社モリサワ「MORISAWA PASSPORT」と株式会社ジャストシステム「一太郎2012 承 プレミアム/スーパープレミアム」(以下「一太郎2012 承」)があります。

MORISAWA PASSPORTには、弊社から販売しているOpenTypeフォントのヒラギノフォント(日本語フォントのみ)がすべて収録されています。詳細はMORISAWA PASSPORTをご覧ください。

一太郎2012 承 には、OpenTypeフォントのヒラギノ基本6書体が標準で搭載されています。なお、一太郎2012 承 搭載のフォントと、現在販売中の弊社製品版フォントとは、フォントバージョンが異なります。
※株式会社ジャストシステムの一太郎2012 承 は、現在販売を終了されています。
 
2.14 Microsoft Officeに搭載されているHG ゴシックやHG 明朝は、ヒラギノフォントですか?
HG ゴシックやHG 明朝のフォント名の「HG」が「ヒラギノ」の略で、株式会社SCREENグラフィックソリューションズのヒラギノフォントではないか?とご質問をいただくことがありますが、「HG」は「ヒラギノ」の略ではなく、また弊社のフォント(製品)でもありません。

Microsoft Officeに搭載されているHG ゴシックやHG 明朝は、株式会社リコーのフォントになります 。
※文中に記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。


 3.ヒラギノOpenTypeの動作環境について
 
3.1 ヒラギノOpenTypeはMac OS X と Classicの両方で使用できますか?
はい。利用できます(※)。ただし Classic 環境でヒラギノ OpenType を利用するには、Classic のフォントフォルダにヒラギノ OpenType をインストールし、さらに ATM(Adobe Type Manager)をインストールする必要があります。
※ここでの説明は、弊社より販売するヒラギノ OpenType に関してのものです。Mac OS X バンドルのヒラギノ OpenType の取り扱いについては、アップルコンピュータ株式会社へご確認ください。
 
3.2 CIDフォントやOCFフォントがすでにダウンロードされているPostScriptプリンタで、同じ書体のOpenTypeをプリントできるでしょうか?
可能です。OpenTypeは、CIDフォントやOCFフォントとはフォント名が異なりますので、まったく独立した別のフォントとして扱われます。また、ダイナミックダウンロードによりプリンタフォントは必要ありませんので、プリンタにダウンロードされたCIDフォントやOCFフォントの影響をまったく受けることなくプリント可能です。  
3.3 すでにヒラギノのCIDフォント、OCFフォント、TrueTypeなどを使用していますが、ヒラギノOpenTypeを併用すると何か問題はありますか?
同じヒラギノでも、OpenTypeとCID/OCFフォント(WindowsではTrueTypeフォント)はそれぞれフォント名が異なりますので、別のフォントの扱いとなり、問題なく併用いただけます。  
3.4 Mac用として購入したヒラギノOpenTypeを、Windowsにコピーして使って良いでしょうか? Up!

MacからWindows(またはその逆)など、プラットホームを変更される場合はフォントをコピーするのではなく、製品に付属のMac用またはWindows用のインストーラーを使用し「機種変更」の手順にそって再インストールしてください。



 4.OpenTypeについての一般的なFAQ
 
4.1 OpenTypeに対応しているアプリケーションを教えてください。
Mac OS XやWindows 2000、Windows XPなど、OSがOpenTypeに標準で対応している場合は、基本的にはそのOSの上で動作するどのアプリケーションでもOpenTypeは使えます。また、Mac OS 9やWindows 98など、OSがOpenTypeに対応していない場合も、ATMをインストールすることで、OpenTypeが使えるようになります。ただしアプリケーションの個々の機能については、OpenTypeを考慮していないために不正な動作をする場合があります。アプリケーションベンダーにOpenType対応状況をご確認されることをお勧めします。  
4.2 Proフォントの20,317グリフすべてを使えるアプリケーションを教えてください。
2004年6月現在では、Adobe InDesign CS/2.0J(Mac/Win版とも)、Illustrator CS(Mac/Win版とも)、Mac OS X 10.2以降のテキストエディットと「ことえり」、エルゴソフトのEGWORD12/13、EGBRIDGE13/14(Mac OS X版のみ)、ジャストシステムのATOK16(Mac OS X版のみ)などで、OpenTypeに収容するすべてのグリフを利用できます。Mac OS X 10.2では「Glyph Input Protocol」がサポートされましたので、フリーウェアやシェアウェアのテキストエディタでもグリフの直接入力に対応したアプリケーションが増えつつあります。  
4.3 Proフォントで拡張されたグリフを使用する方法は?
InDesign CS/2.0JやEGWORD12/13のような、グリフの直接入力をサポートするアプリケーションの場合、「字形パレット」や「グリフ表」といった、グリフ一覧表の機能を利用して個々のグリフを直接入力できます。また、InDesign CS/2.0Jでは字形パレット以外に、字形切り替え機能やOpenType機能を利用することで、他の似たグリフから字形を切り替えて入力することもできます。

Unicode対応のアプリケーションの場合は、Unicode対応のインプットメソッドを利用して、Unicodeのコードポイントを持つグリフを入力できます。

 

4.4 アプリケーションが「Unicode対応」なら、20,317グリフすべて使えるのでしょうか?
いえ、アプリケーションが「Unicode対応」を謳っていたとしても、20,317グリフすべてを利用できるわけではありません。これは、20,317グリフすべてがUnicodeに含まれるのではないためです。また、Unicodeは「文字コード」ですから、複数のグリフを1つの文字に包摂している場合が多くあります。20,317グリフすべてを使うためには、InDesign CS/2.0JやEGWORD12/13のように、グリフの直接入力をサポートするアプリケーションが必要です。ちなみにこれは、Adobe-Japan1-4 の15,444グリフ対応のフォントの場合も同様です。  
4.5 OpenTypeは、Mac OS 9でも利用できますか?
はい。利用できます。ただしMac OS 9は標準ではOpenTypeをサポートしておりませんので、アドビシステムズ社のATM(Adobe Type Manager)4.6.2以上をインストールする必要があります。  
4.6 OpenTypeを使ってMac上で作成したドキュメントをWindowsで開いた場合(またはその逆)、文字化けしたり組体裁が崩れたりしませんか?
OpenTypeの仕様上はMac版もWindows版も共通ですので、本来ならば問題ないはずなのですが、実際には、使用されているOSおよびアプリケーションのOpenType対応度合いまたはUnicode対応度合いに依存しますので注意が必要です。詳細は各アプリケーションメーカーにお問い合わせください。  
4.7 WindowsでOpenTypeに対応しているアプリケーションはありますか?
Windows 2000とWindows XPは、OpenTypeを標準的にサポートしていますので、これらOS上で動作するアプリケーションではOpenTypeが利用可能です。またWindows 98、Me、NT (※ただしヒラギノOpenTypeではWindows Me、NTは動作保証環境に含まれません) などでは、ATM (Adobe Type Manager) を別途インストールすることでOpenTypeが利用可能になります。ただし、アプリケーションがOpenTypeを考慮していないことで、個々の機能がうまく動作しなかったり、グリフの一部分が欠けてしまうなどの現象が発生することはあります。詳細については、各OSベンダーやアプリケーションベンダーにお問い合わせください。  
4.8 「OpenType対応」を謳っていないOSやアプリケーションでは、OpenTypeは使えないのでしょうか?
いえ、必ずしもそうではありません。シフトJISコード範囲内の文字を表示・印刷するだけならば、ATM (Adobe Type Manager) をインストールすることで (OSが標準でOpenTypeをサポートしている場合はATMは不要)、Mac/Windows上のほとんどのアプリケーションでOpenTypeを使うことができます。ただし、アプリケーションがOpenTypeを考慮していないことで、個々の機能がうまく動作しなかったり、グリフの一部分が欠けてしまったりするなどの現象が発生することはあります。詳細については、各OSベンダーやアプリケーションベンダーにお問い合わせください。  
4.9 OpenTypeを使って、イメージセッターなどへの高解像度出力は可能ですか?
可能です。OpenTypeはダイナミックダウンロードにより、プリント時には、解像度に依存しないアウトラインデータが出力機側へ送られます。このため、出力機側にプリンタフォントがなくとも、出力解像度に無関係に高品質な出力が得られるわけです。  
4.10 Mac OS 9でOpenTypeを利用する場合と、Mac OS Xで利用する場合とで、何か違いはありますか?
アプリケーションによって違いの有無は異なります。Adobe InDesign 2.0Jでは、Mac OS 9とMac OS Xとで(Windowsでも)、OpenTypeは同じように利用できます。その他のアプリケーションでは、Mac OS 9ではシフトJISコードの範囲内の文字しか利用できないものがほとんどです。Mac OS Xでは、アプリケーションがどの文字コードの範囲のグリフをサポートするか(シフトJISコード範囲内か、Unicode範囲内か)、またはInDesign 2.0Jのようにグリフの直接入力をサポートするかによって異なってきます。詳しくは、各アプリケーションベンダーにお問い合わせください。  
4.11 日本語OpenTypeフォントのペアカーニングに対応したアプリケーションを教えてください。
日本語OpenTypeフォントに内蔵された欧文グリフおよび和文グリフの両方のペアカーニング情報をサポートするアプリケーションは、現時点ではInDesign 2.0Jだけです。欧文グリフのペアカーニングに限定すれば、弊社で確認できた範囲では、InDesign 2.0J(Mac版/Windows版)、Illustrator 9.0J/10.0J(Mac版のみ)、PageMaker 6.5J/7.0J(Mac版/Windows版)などにおいて、欧文グリフのペアカーニングが効いているようです。

InDesign 2.0Jで和文グリフのペアカーニングを有効にするには、文字パレットの「カーニング」設定を「メトリクス」に設定します。※他社の日本語OpenTypeフォントには、ペアカーニング情報を含まないものもあります。この場合、アプリケーションがペアカーニング対応でも、ペアカーニングは有効にはなりません。

 

4.12 OpenTypeフォントのバージョンを確認するには?
Mac OS X 10.3以降では、アプリケーションフォルダの「Font Book」を起動し、フォントリスト内のフォント名(正確にはウエイト名)にカーソルを近づけると、バージョン情報がポップアップします。

Mac OS X 10.2以前および旧Mac OSでは、Finderでフォントファイルを選択して「情報を見る」でバージョンを確認できます。この方法でバージョンが表示されない場合は(ヒラギノOpenTypeの古いバージョンや他社のOpenTypeでは、この方法ではバージョン確認できない場合があります)、ATM Deluxeなどのフォント管理ソフトを利用することでバージョン確認が可能となります。

Windowsでは、フォントファイルをダブルクリックすればバージョンを確認できます。



 5.上級FAQ
 
5.1 ヒラギノOpenTypeのProフォントは、AdobeやモリサワのOpenTypeのProフォントと異なっていますか?
ヒラギノOpenTypeのProフォントはAdobe-Japan1-5に対応した20,317グリフを収容しています。それに対して、アドビシステムズ社やモリサワ社のOpenTypeフォントは、いわゆるAdobe-Japan1-4対応と呼ばれる15,444グリフを収容します。ヒラギノOpenTypeの20,317グリフは、Adobe-Japan1-4の約15,500グリフを完全に包含し、さらにJIS X 0213の第三水準漢字、第四水準漢字、非漢字などを完全に収容、表外漢字字体表字形の完全サポート、電算写植用外字の収容、など、これまでなら外字として別途制作せざるを得なかったようなグリフを数多く収容しています。  
5.2 ヒラギノOpenTypeのMac版とWindows版の間の互換性は?
ヒラギノOpenTypeのMac版とWindows版は、フォントファイルとしては同じものですので、フォント側の互換性に問題はありません。ただし、アプリケーション上の互換性については、アプリケーション側の処理に大きく依存します。詳しくは、各アプリケーションベンダーにお問い合わせください。  
5.3 ヒラギノOpenTypeでドキュメントを作り、AdobeやモリサワのOpenTypeに置き換えた場合、何か問題は起きますか?また、その逆はどうでしょう?
ヒラギノOpenTypeのProフォントで作成したドキュメントを、アドビシステムズ社やモリサワ社のOpenType Proフォントに置き換えた場合は、Adobe-Japan1-4に含まれないグリフが書体変更されなかったりミッシンググリフに化けるなどの現象が発生する場合があります。また、OpenTypeフォントが内蔵するUnicodeマッピング表の違いにより、一部のグリフにおいて文字化けが発生する場合があります。これらの現象は、Proフォントで作成したドキュメントをStdフォントに置き換えた場合(その逆の場合)も同様に起こり得ます。OpenTypeでは、グリフセットの異なるフォント間での書体変更は避けた方が安全でしょう。  
5.4 プロユーザーはやはりProフォントを使うべきでしょうか?Stdフォントでは力不足ですか?
いいえ、Stdフォントで十分な場合も多くあると思います。確かに収容グリフ数だけを見ると、StdフォントはProフォントの半分以下です。しかし、Stdフォントのグリフ内訳を見てみると、通常の用途には十分以上のグリフが収容されていることがわかると思います。たとえば、よく外字の例に出される「はしご高」や「たつ(立)崎」、森鴎外の「區鳥」、内田百聞の「けん(門+月)」、草なぎ剛の「なぎ(弓(前/刀)」、とう小平の「とう」など。実はこれらのグリフはすべてStdフォントにも収容されているのです。

さらにヒラギノOpenTypeでは、高品質な欧文組版や和文詰め組には必須のペアカーニングテーブルを、ProフォントだけでなくStdフォントにも実装いたしましたので、StdフォントでもProフォントと同等の品質の組版を行っていただけます。

 

5.5 OpenTypeレイアウトフィーチャって何ですか?
OpenTypeレイアウトフィーチャとは、アプリケーションによる高機能・高精度な組版を補助するため、OpenTypeが内蔵する情報の総称です。InDesign 2.0では、「OpenType機能」という名称で呼ばれています。日本語OpenTypeに含まれるOpenTypeレイアウトフィーチャには大きく分けて、a) グリフ置換情報、b) グリフ位置調整情報、c) 仮想ボディ情報、の3種類があります。

a) グリフ置換情報は、漢字の異体字切り替えや、非漢字の字形切り替え、全角と半角など文字幅の異なる同種のグリフの切り替え、などを実現するための情報です。すべてのグリフがUnicodeで指定できるわけではないため、特に大きなグリフセットをサポートするフォントではこれらの情報はとても重要です。InDesign2.0日本語版では、字形パレットの字体切り替え機能や、文字パレットの「OpenType機能」で、この情報を利用しています。

b) グリフ位置調整情報は、全角幅の仮名グリフに個々に文字幅を与えてプロポーショナル幅とし、プロポーショナル組版を実現したり、特定のグリフとグリフの間を詰めるペアカーニングを実現するための情報です。InDesign2.0日本語版では、文字パレットの「カーニング」の指定を「メトリクス」とすることで、ペアカーニングを含む高精度な和文プロポーショナル組版が実行できます(欧文グリフのペアカーニングは「カーニング」を数値指定しない限り常に有効です)。

c) 仮想ボディ情報は、その名の通り、和文書体の仮想ボディ位置に関する情報です。何を今さら、と思われるかもしれませんが、実は従来形式のフォント(OCF、CID、TrueType)には、仮想ボディ位置を明示的に指定するための情報はなかったのです。そのため、従来形式のフォントではアプリケーションやフォントによって、文字の位置や並びが一定しないなどの問題がありました。OpenTypeではこの点が改善され、アプリケーションが各フォントの仮想ボディ位置を参照することで、精度の高い安定した組版が行えます。

 

5.6 ヒラギノOpenTypeのProフォントとStdフォントの互換性は?

ヒラギノOpenTypeのProフォントとStdフォントは、収容グリフ数が倍以上も異なりますので、両者の差分のグリフ部分については互換性はありません。では、両者に共通するグリフ(Adobe-Japan1-3のグリフ)については互換かと言うと、これも完全に互換とは言えません。

これは、ProとStdで特定のUnicode符号位置に割り当てるグリフの文字幅バリエーションが異なる場合があるためで、Unicodeに依存して文字処理を行うアプリケーションでは、ProフォントからStdフォント(またはその逆)に書体変更すると、同じコードの文字でも文字幅が変わってしまうことがあります(例:Stdでは数学記号のΣや√にAdobe-Japan1-3内の全角グリフが割り当てられているが、ProではAdobe-Japan1-5内のプロポーショナルグリフが割り当てられている場合)。したがって、書体変更はProフォント同士またはStdフォント同士で行う方が安全と言えます。

この件に関し、アプリケーション開発者の方から「StdフォントとProフォントの共通グリフ部分はUnicodeマッピングも共通にすべきではないか。でないと組版の互換性が維持できない」とのご意見をいただいたことがあります。しかし、StdとProのUnicodeマッピングを合わせると、今度はProフォント単体でのUnicodeマッピングの一貫性が損なわれます。たとえば、数学記号のある文字はプロポーショナルグリフで、別のある文字は全角グリフで表示されるとしたら、これも不都合です。ヒラギノOpenTypeでは、各フォント単体での利便性・一貫性を優先しました。

Unicodeは原則として文字幅を規定しません。シフトJISコードでは各コードポイントに暗黙の文字幅属性がありましたが、Unicodeはそうではありません。文字幅属性も含めた情報交換や組版処理が必要なアプリケーションでは、その内部処理として、Unicodeだけでなく文字幅属性の差異(グリフの差異)を識別できるような実装が必要です。その識別に必要な情報はOpenType内部に実装されていますから(「5.5 OpenTypeレイアウトフィーチャーって何ですか?」を参照)、あとはアプリケーションの実装次第と考えます。



 6.商品構成・商品展開について
 
6.1 ヒラギノOpenTypeには高解像度用フォントやプリンタ用フォントはないのですか?また、それらを将来発売する予定はありますか?
OpenTypeはダイナミックダウンロードが可能ですので、高解像度用フォントやプリンタ用フォントなどは必要ありません。現在のところ、それらを発売する予定はありません。  
6.2 今後、ヒラギノOpenType、千都OpenTypeのラインナップを増やす予定はありますか?
2004年2月に「ヒラギノ角ゴAD仮名 W1〜W9」の9書体を、2004年3月に「日本の活字書体名作精選」9書体を新書体としてリリースいたしました。今後も、みなさまからのご要望をお聞きしながら鋭意製品開発を進めてまいります。ご期待ください。  
6.3 ヒラギノOpenTypeのProフォントは Adobe-Japan1-5 対応とのことですが、今後さらにグリフを追加する予定はありますか?
Adobe-Japan1-6対応フォント「ヒラギノPr6N 5書体パック Ver.9.0」を2012年11月2日より販売を開始いたしました。補助漢字(JIS X 0212)、共同通信外字(U-PRESS外字)、JIS X 0213:2004をフルサポートする23,058グリフを収録しています。JISなどの規格に含まれる漢字が追加されていますので、学術書や専門書で必要な異体字などが表現できます。


7.優待販売とアップグレードについて
 
7.1 千都フォントのOCF、CID、TrueTypeなどを持っていますが、これらをヒラギノOpenTypeにアップグレードできますか?
千都フォントのOCF、CID、TrueType製品のご登録ユーザー様には、2002年10月25日から2003年10月24日まで期間限定の優待販売を実施いたしました。現在は終了しております。  
7.2 ヒラギノOpenTypeのStdフォントからProフォントへのアップグレードサービスはありますか?
StdフォントからProフォントへのアップグレードサービスは、現在のところ実施する予定はございません。


8.お問い合わせ&サポートについて
 
8.1 ヒラギノOpenType、千都フォントについての問合せ窓口は?
お問い合わせページをご参照ください。