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製品情報

株式会社 甲南堂 様 EQUIOS Online事例

「EQUIOS Online」でクライアントニーズ対応へ
携帯がスマホに進化したような感動
クライアントも、「もはや前には戻れない」

株式会社 甲南堂は、校正にかかる営業の移動時間のロス削減、
社内の制作・検版作業などの効率化を目的に、Webポータルシステム「EQUIOS Online」を導入。
兵庫県内の大手生協や企業を中心とした200社を超えるクライアントの案件を「EQUIOS Online」で管理している。
コロナ禍を背景に、リモートワークと非対面の意識が急速に拡がる中、
「EQUIOS Online」の活用でクライアントの新たなニーズに対応していく。

User Report

report9-01.png甲南堂は1929年、神戸市東灘区の地で創業した。90年以上の歴史を誇る老舗の印刷会社である。約120人の従業員のうち、総勢70人を超えるクリエイティブスタッフによる一貫した制作体制を強みとしており、クライアントニーズに応じたベストなチーム編成で臨んでいる。企画はもちろん、構成・編集・デザイン・Webシステム開発・撮影・映像制作など、幅広いサービスでクライアントの課題解決を実現している。

2008年には、料理写真に特化した撮影施設として「御影スタジオ」を新設。「美味しそうに撮る」ことをコンセプトにしている。また2018年には、本社機能を神戸市中央区の「モードピア」に移転。2019年には、社名を株式会社 甲南堂印刷から現在の株式会社 甲南堂に変更。2022年には水落翔氏が新社長に就任するなど、社会変化に対応すべく企業形態の変革を続けている。

「EQUIOS」との親和性で導入を決定

同社がWebポータルシステム「EQUIOS Online」を導入したのは2021年7月。生産本部の浅野大輔部長は、「入社から10年ほど営業を担当していましたが、校正紙の受け渡しのためだけに会社とクライアントを何往復もすることに疑問を抱いていました」と当時を振り返る。ただ、そのときは一人の若手営業担当であり、何かを変えることもできず、「オンライン校正システム」のような製品も知らなかったため、「時間の無駄ではないか?」「もっと効率的に動けないのか?」と悶々としながらも、校正紙の受け渡しに車を走らせていたようだ。

その後、生産本部の部長という現在の立場になり、さまざまな展示会を視察する中で知ったのが「オンライン校正システム」の存在だ。会社に導入の検討を打診したところ、その効果の理解を得ることができ、システムを比較検討することになった。同社はもともと「EQUIOS」を使用していたため、「EQUIOS との親和性を考えると、EQUIOSOnline以外の選択肢は考えられませんでした」(浅野部長)と、迷うことなく導入を決定した。

そして、同システムを運用するに当たって、社内ワークフローの構築に動くことになった。まずはSCREEN の3日間の学習会に、リモートも含めて可能な限りの管理職が参加。その後、営業・制作・校正・製版の各部署の代表で本部組織化し、運用案を策定した。次に、企画制作本部 校閲部 シニアアドバイザリーの青木勝宣氏が社内教育の担当者になり、自社に必要な情報だけを抜粋してマニュアルを作成。業務のカテゴリー別にブロック分けして教育した。「役割軸で分け、各部署のリーダー以外のメンバーには全体感を浅く周知した上で、自身が所属する部分だけの操作を習得してもらいました」と青木氏。これにより、拒絶反応を極力少なくしながら運用を進めていくことができた。

その後、テスト案件を制作の各チームで設定。ある程度の案件を実施した上で、主要案件において「社内の内校で使用するもの」「クライアント校正で使用するもの」の目標をまとめ、月ごとに進捗を確認しながら社内ワークフローの構築を進めていった。

「現在は大物以外、内校でEQUIOS Online を使用する段階まできています」(浅野部長)

今後の課題は、複数スタッフが関わるような大量ページの案件の実施、そしてクライアント校正の拡大であるという。

移動時間は「体感として半分」、
校正待ちの時間ロスも激減

report9-03.pngオンラインの打ち合わせが常態化してきたといっても、営業職にとってクライアントと対面しての折衝は不可欠なもの。しかし、「校正紙を持っていくだけ」の移動は、もったいない時間の使い方だと言われても仕方のないことだろう。

同社は本社が東灘区にあるという関係上、クライアントも東灘区近辺が多い。現在、本社機能を置いている神戸市中央区の「モードピア」からクライアントまでは車で片道30分、往復で1時間。これを1日に何往復もするとなると、かなりの時間ロスといわざるを得ない。営業本部 係長の平湯史氏は、「校正紙の受け渡しだけの移動は、体感として約半分はあったと思います。かなりの足かせになっていました」と振り返る。「EQUIOS Online」の導入によって創出できた時間を有効に活用し、売り上げを伸ばしていく工夫をしながら動いているという。

現在、「EQUIOS Online」は、社内ワークフローとしては7割程度の案件に使用しているが、クライアントとのオンライン校正で活用しているのは2割程度。新規クライアントには基本的にオンライン校正でのやりとりを推奨しており、既存のクライアントにも「いつでも画面上で即座に確認でき、その場で指示できるので、とても便利ですよ」と、そのメリットを訴求。将来的には全てのクライアントとの間で、「EQUIOS Online」でのやりとりを目指していくということだ。

制作部門のリーダーの一人である澤田八都氏は、「EQUIOS Onlineによるクライアントとのやりとりは、作業効率や校正品質の向上など、現場にさまざまな効果をもたらしています。その効果は携帯電話がスマホに進化したような感動にも似ています」と表現する。

クライアントと校正紙でやりとりしていたときは、校正紙の回覧が滞り、期限までに戻ってこないことも多々あったようだが、「関与者が数名にわたり、休日の担当者もいます。その点、現在はデータをアップすれば関与者はどこにいても同時に確認できるため、『校正待ち』の時間が激減しました」(澤田氏)とのこと。営業本部の平湯氏も「校正紙を持って行っても、担当者が休みで渡せなかったこともありましたが、そのような無駄な時間がなくなった効果は大きいと思います」と話す。時間に関係なくいつでも見てもらえることは、同社だけでなくクライアントも効果を感じているようで、「もはやオンライン校正なしのころには戻れない、というクライアントもいます」(平湯氏)という。

制作の作業負荷軽減、
校正における人的ミスのリスクも激減

report9-04.png初校・再校・三校と進む中で、校正紙は徐々に増えてくる。何かあったときのため、1カ月程度は保管しておかなければならず、クライアントにとっても大量の校正紙は邪魔であったはずである。

「EQUIOS Onlineは、履歴を全てデータで管理できるため、校正紙の保管スペースが不要になっただけでなく、何かあった場合もどの段階で修正が入ったのかを即座に確認できます」(澤田氏)

そして、校正のやりとりでの「不安」を解消できたこともメリットだと評価する。

「EQUIOS Online の導入前は、修正はPDF をメールに添付してやりとりしていました。クライアントからは手書きで修正が入り、それを手入力するため、人的ミスが発生するリスクがありました」(澤田氏)

「真ん中の右下辺りのコメント」などと文章で指示されることもあり、「捉え方で差が出る指示は確認しなければならず、手間がかかっていました。その点、EQUIOSOnline では指示を正確に把握でき、修正のコメントをコピペできるため、人的ミスが発生するリスクは激減しました」(澤田氏)と、お互いの認識をマッチさせることができるようになったことも評価している。

また、PDF 校正の場合、データ容量の都合で画像が粗く表示されるため、「この写真で大丈夫なのか?」と不安になるクライアントもいるという。そのときは、実際に使用するjpeg データを別途送るという二度手間が発生していたようだが、「カタログの仕事のときなど、何百点もの写真をまた送るのかと思うと、ため息が出そうになりました」(澤田氏)。そのような不安と作業負荷から解放されたメリットは計り知れない。

一方、製版では、制作から送られてきたデータは印刷用としての完全データではないため、「EQUIOS Online」の導入前は、製版工程で校了データをもう一度確認する必要があった。例えば、制作から来たOK データにアウトラインをかける際、1文字ごとにグラデーションが入って判読不能になるといった不具合もあったようで、差分をあおり検版する必要があったという。製版のリーダーである徳廣良太氏は、「ページ数にもよりますが、1ページ当たりの確認に1分弱の時間がかかっていたため、160ページだと単純計算で160分もかかっていたことになります。この作業が全てなくなった効果は大きいと思います」と評価する。

「EQUIOS Online」には「差分表示機能」が搭載されているため、作業効率は4割以上は上がったということだ。校閲部の青木氏も「差分表示機能で校閲もやりやすくなりました」と高く評価する。

「これまではクライアントがOKしたデータをそのまま印刷できるという保証はありませんでしたが、EQUIOSOnline はRIP 済みのデータで校正するため、エビデンスを確保できるようになりました。級数が小さい、線が細い、インクが多いといった製版のプリフライトチェックの機能も便利です」(徳廣氏)

進捗状況の可視化で作業効率アップ、
仕事量もひと目で確認可能

最初は意図していなかったことだが、「EQUIOS Online」を活用する中で見えてきたメリットは、進捗状況を可視化できるようになったことだ。

「製版という部署柄、校了までの流れが不透明で見えていませんでしたが、EQUIOS Online によって校了までの動きが誰でも、どのタイミングでも確認できるようになったため、進捗状況を加味して仕事を運べるようになり、作業効率の向上につながりました」(徳廣氏)

また、同じクライアントでもさまざまな媒体の受注があるため、「メールでは、自分が今動かさなければならない仕事を可視化できませんが、EQUIOS Online は視認性に優れ、今、自分がやるべき仕事をひと目で確認できます」(澤田氏)。媒体別にアイコンで表示されるようになっており、アイコンに鍵マークが付いているものは「待ち」の状態、鍵マークのないものは自分がやるべき仕事だと瞬時に判別できる。

校正画面で質問事項も記入できるため、その都度メールしなくてもチャットのように会話でき、リアルタイムに進行できるのも便利な機能のようで、「漢字が間違っていると思うのですが…などと質問できます。クライアントからもすぐに返事をもらえるため、校正をスピーディーに進めることができます」(澤田氏)。

そして、これらの機能による作業の効率化により、「1日当たり1時間以上の作業時間の短縮につながっていることは間違いありません」(澤田氏)とのことだ。

さらに、「EQUIOS Online」はiPadにも対応しているため、「例えば、休日に外出先でクライアントから問い合わせが入ってきても、すぐに情報を確認できます」(澤田氏)と、想定外の効果を語る。

今後も「守りのDX」として
社内意識の醸成にも活用

「EQUIOS Online」により、大きな成果を挙げている同社だが、成功した要因の一つに、SCREEN の「運用サポートプログラム」によって社内ワークフローをスムーズに構築できたことがある。

「定期的な会議やヒアリングでサポートしてくれるものですが、その中でも他社の成功事例の紹介は、運用を構築するに当たって非常に参考になるものでした」(浅野部長)。

今後は同社も新たなユーザーに「成功事例」の一社として紹介されることは間違いなさそうだ。

浅野部長は、「今後も世の中では『非対面型ビジネスモデルへの転換』が求められることが予想されますが、当社はEQUIOS Online を『守りのDX』として活用しながら、クライアントの新しいニーズに対応していきます。クライアントの課題解決と同時に、社内意識の醸成にもつなげていきたいと思います」としている。

甲南堂にとって「EQUIOS Online」は、単に校正作業の効率化を推進するツールにはとどまらない。会社を変革させる機能を備えたシステムとして、その力を最大限に活用していく考えだ。

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企業情報

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株式会社 甲南堂
住所:神戸市東灘区御影中町1丁目1番8号
代表者:代表取締役社長 水落 翔
創業:1929(昭和4)年
従業員数:120人
出典:『印刷ジャーナル』(2023年3月25日号)
https://www.konando.com/

 

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