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共同印刷メディアプロダクト株式会社 様 CTP Transporter事例

「CTP Transporter」の導入で
1人当たりの刷版取り扱い量が50%アップ

共同印刷メディアプロダクト株式会社は2022年3月、同社五霞工場にプレート搬送自動化システム「CTP Transporter」を導入した。共同印刷株式会社の子会社として、グループにおける生産の中核を担う同社が、「CTP Transporter」を導入した狙いとは何か。また、その効果について、五霞工場長の雨宮弘明取締役、五霞工場製造第一部の永井孝男部長、同・刷版グループの香川聡グループ長に聞いた。


report9-01.png共同印刷メディアプロダクトは、グループ内にまたがる出版・商印の製造部門を統合して生産の効率化を図るため、その前身となる共同印刷製本株式会社が2020年10月、共同印刷株式会社の紙印刷事業と、その子会社である株式会社コスモグラフィックの刷版出力事業を会社分割によって承継し、現在の商号となった。グループの製造の中核として、グループの出版・商印の刷版出力、印刷・製本の全てを担う。

そのため、五霞工場で出力する刷版は1日当たり500版にも上る。さらに、現在の小ロット化の流れもあり、出力する刷版は増加傾向にあるという。

また、五霞工場では、誰もが知る週刊少年漫画誌の生産を手掛けている。従来はコスモグラフィック社がネガフィルムから起こす樹脂版で印刷していたが、統合によってその工程も五霞工場でのフィルムレス(CTP)化に移行した。そのため、刷版グループの仕事がさらに増加することになった。

加えて、同時期に枚葉印刷機を両面機に更新し、生産性もアップ。刷版工程の改善は不可欠となった。

report9-02.png「従来の有処理版の工程では、出力、現像、検版、版を識別するための情報の書き込み・仕分け、といった手間が掛かっていました。さらに、樹脂版のCTP化だけでなく、従来はコスモグラフィック社で行っていた本機校正の仕事も五霞工場に取り込んだため、出力する版数が増えました。当然、増産に対応しなければなりません。そうなると、オペレーター1人当たりの刷版の取り扱い量も増やす必要があります。また、前提として、効率化のために生産を集約したので、刷版工程だけでなく、印刷工程も同時に品質改善や効率化を行わなければ意味がありません。限られた人材を有効活用するためにも、刷版工程を省力化する必要がありました」と、雨宮取締役は振り返る。

さらに、「本機校正と樹脂版のCTP化が重なり、真っ先に増員の必要性を考えましたが、有処理版を無処理版に切り替え、刷版の仕分けまで自動化できれば、増員しなくても済むという見込みもありました」という。(香川グループ長)

刷版工程の改善に当たって目指したのは、オペレーター1人当たりの刷版の取り扱い量を50%アップさせること。

そこで、無処理版とともに白羽の矢が立ったのが、SCREEN GP ジャパンのプレート搬送自動化システム「CTPTransporter」だ。

決め手は「信頼」

report9-05.png今回、五霞工場に導入された「CTPTransporter」は、ジョブ名、色版名、使用印刷機を自動印字する「ジョブ情報印字システム(Trans-marker)」と、印刷機、ジョブ、折りごとに刷版を自動で仕分けできる「刷版自動仕分けシステム(Trans-stacker)」の組み合わせ。これを1時間当たり70版の生産性を誇る「PlateRite HD 8900N-Z」に接続し、無処理版と組み合わせて、刷版出力工程の無人化を実現した。

「仕事の進行状況は、印刷機のオペレーターと刷版グループで共有しているので、予定どおりに仕事が進んでいる限り、予定表に沿って印刷機のオペレーターが仕分けされた刷版を回収しに来ます」と、永井部長は語る。

雨宮取締役は今回の導入について、「常にオペレーターがいるわけではないので、出力後の刷版の管理、仕分けを確実に行えるかどうかが重要なポイントになりました。同じようなシステムは他にもありましたが、中でもSCREENの装置やサポートへの信頼感が大きかったと思います。導入の際も一緒に取り組んでいただけました」と評価する。

香川グループ長も、次のように導入時のサポート体制について振り返る。

「当初のSCREEN の提案では、刷版出力用データのファイル名を、仕分けるためのルールに則した形に手入力で変更する運用になっていましたが、さらなる効率化を図るためには、その時間も削減したいと思っていました。そこでSCREENに相談したところ、ファイル名を自動で変換する『リネームソフト』を作成してくれました。また、「CTP Transporter」には、『何枚出力されているか』『どのジョブの刷版が仕分けされ、貯版されたか』などの刷版工程の状況を確認できるシステムもあるため、印刷機の現場に設置したモニターや刷版室のパソコンでも確認できるようにして、印刷側と刷版グループで情報を共有できるようにしてもらいました」

導入とともに当初の目標も達成

「導入したばかりなので暫定の数字ですが、工数当たりの生産高で見た場合、生産性は20%近くアップしています」と、雨宮取締役はその成果を語る。

香川グループ長は「以前と比べると、刷版の取り扱い量はオフセット印刷だけで従来の140%になっていますが、1人のオペレーターで回すことができ、樹脂版専属のオペレーターと合わせても、増員することなく、2人で回せています。体感的にも労力は半分ぐらいになっていると思います。導入前と導入後ではガラッと変わりました」と語る。

雨宮取締役も「版数から見ても、目標だった1人当たり50%近くに達しています」と同意する。

永井部長は「枚葉印刷機が両面機になり、使用する刷版の量が単純に倍になったので、無処理版に切り替え、自動化されたラインで出力されるようになったことは、効率化の面で大きなメリットになりました」と語る。

さらに、刷版工程が自動化されたことで、工程におけるオペレーターのタッチポイントが減り、一般的に傷つきやすいといわれる無処理版のキズを削減することにもつながっている。

 

さらなる効率化を目指して

report9-03.png導入によって、一気にさまざまな課題を解決したが、雨宮取締役は今後について次のように語る。

「現在、無処理版の比率は6割ですが、工程の面だけでなく、環境の面からも有処理版を無処理版に切り替えていきます。今後、8割、9割へと高めるには、今回のシステムの導入は必須でした。また、樹脂版のCTP化への移行と併せ、多能工化を促進していきます」

また、永井部長は、「今は印刷機と刷版室が離れているため、印刷機のオペレーターが刷版室に刷版を取りに行かなければなりませんが、できれば、印刷機のそばに今回のようなシステムを設置するのが理想的です」と語る。

さらに、本機校正を減らし、インクジェットによる校正への切り替えも進めている。

雨宮取締役は「仮に本機校正からインクジェット校正への切り替えが進むと、印刷機の本生産での使用が増えるので、大きなメリットになります。今後も、SCREEN には課題解決に向けて協力していただきたい」と期待する。

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共同印刷メディアプロダクト株式会社
住所:茨城県猿島郡五霞町元栗橋7514
代表者:岩岡 龍一
創業:1980年4月1日
従業員数: 241人(臨時員含む。2020年10月1日現在)
出典:「印刷新報 2022年8月25日号」
https://www.kyodoprinting.co.jp/company-profile/
a_company/group/kpbb/