非常に極端な例かもしれませんが、文字の形状からどのような漢字なのかを推測できてしまうので、可読性が悪いとは一概に言えません。もちろん、そういった推測で文章を読ませることを強制してしまうことの是非は別問題です。ちなみに、私は読みにくいデザインの文章の塊といった部分にかなり興味を抱いています。読みやすい文章が当たり前ではなく、読みにくい文章を読むために苦労する謎解きのようなゲーム感覚です。保守的なデザイナーには受け入れられないかもしれませんが、【図03】のような感じです。
     
 
【図03】IllustratorCS2上で、ヒラギノ明朝W4+游築36ポ仮名W4を【カーニング:オプチカル/トラッキング:0】均等配置、最終行左揃えとしたものを背景色に同化するようなカラーリングでデザインしてみた例。マット系の黒インクで塗りつぶした背景に、グロス系の黒インクを使って文字をのせてみるといった考え方で、読みやすいことが最低条件であることに逆らってみました。これはイラストや写真が組み合わさって入るデザインでも、基本的に文字要素は可読性優先のために分離して考えてしまいます。そこで、すべて一緒にデザインとして考えてみたらどうなるかという視点です。可読性優先とイメージ優先のシーソーゲームといったところです。
 
 
 
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