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製品情報

株式会社大成美術プリンティング 様 EQUIOS Online事例

煩雑な校正作業をオンラインで改善
CTP出力までのオートメーション化を見据える

株式会社大成美術プリンティングはWebポータルシステム「EQUIOS Online」で、校正業務の効率化を進めている。校正はクライアントを含めて複数の関係者が関わる煩雑な業務だが、取引慣行や作業のルーティン化に阻まれ、これまであまり改善が及ばなかった工程といえる。同社では「EQUIOS Online」により校正フローを見直し、将来的にプリプレス工程の自動化を見据えている。

User Report

海外を含め4人が校正する1,000ページのカタログ

report7-01.png1952年に設立された同社は、大成美術印刷所として活版印刷から事業を開始。早くからオフセット印刷を取り込み、1990年代には製造デジタル化を進める一方、販促を切り口にした自社商品「ななめもーる」を開発し、販売を開始するなど、時代とともに技術・事業を変革し続けてきた。2007年には海外にも進出。現在では東京、大阪、千葉、ベトナムに拠点を持ち、主に印刷事業、ノベルティ事業、法人向け名刺事業、法人向けカレンダー事業、自社製品開発事業を展開している。主要顧客の業種はメーカー、金融機関、広告代理店。グローバルで事業を展開する顧客も多い。

2017年、同社はプリプレス業務の中核であるワークフローシステムを更新。システムの選択に際し、「Trueflow」から「EQUIOS」への更新か、他社製システムへの移行かを検討するために、同社から提示した条件の一つが、顧客を巻き込んで使えるオンライン校正システムが用意されていることだった。主要5社のベンダーのシステムを検証した結果、操作性が良いと感じた「EQUIOS Online」がラインアップされている「EQUIOS」への更新を決めた。 事業開発グループの平山功氏は、まずは社内に“オンライン校正”を浸透させる啓蒙活動を開始。営業担当者にメリットを説明するとともに、顧客に紹介するためのマニュアルを制作した。操作マニュアルも顧客用、制作用、営業用の3種類を用意。営業担当者に同行して顧客にオンライン校正の利点を説明し、採用が決まれば操作マニュアルを渡して、操作を手引きする準備を整えた。親しみやすいよう、オンライン校正サービスに“TANGO”という名称も付けた。

校正責任者の負担を解消 オンライン校正の広がりに手応え

「お客様もオンライン校正に慣れていないので、最初は紹介しても敬遠されることが多かったです」(平山氏)という難しい局面を打開したのは、海外展開するメーカーのカタログの案件だった。1,000ページのカタログの校正に海外を含めて4名が関わっており、顧客の校正責任者は校正業務に負担を感じていた。従来は同社の営業担当者が東京都と神奈川県に所在する顧客の拠点に、紙に出力した校正を持参。校正責任者は関係者が入れた赤字を集約し、同社に戻す。海外拠点には校正紙をスキャニングしてPDF化し、電子メールなどで送信していた。

オンライン校正サービスを採用した後は、「EQUIOS Online」上にアップロードされた校正用PDFを各拠点の校正担当者が確認。校正責任者は、関係者が入れた赤字の集約や海外への校正の送信などの手間が省かれた。同案件を担当するCS1部2Gリーダーの守山毅氏は、「校正でお客様の所に伺うことがなくなり、片道で1時間半、往復で3時間の移動時間を削減できました」と、メリットを強調。また、CS1部2Gの鵜殿健一氏は「私が担当するお客様では、現在3社にご導入いただいています。定期物が2件、もう1件が制作会社様で差分機能を利用しています」と、オンライン校正の広がりに手応えを感じている。

営業・制作業務も効率化 在宅勤務支援をチャンスに

report7-02.png平山氏は「本来、オンライン校正はお客様、営業、制作で利用するのがオーソドックスですが、お客様の採用率はまだ1割程度にとどまっています。そこで、まずは社内の業務で効率的な作業ができる仕組みを構築し、全案件の約50%を「EQUIOS Online」で運用しています」と述べる。営業担当者は、顧客に修正校を提出する際、必ず修正点の差分を比較検査する。ページ数や赤字が多いほど作業に時間がかかる他、担当者によって検査の方法が異なっていた。「EQUIOS Online」のデジタル検版機能では、修正箇所を瞬時に判別する。これにより、営業担当者の手間が激減すると同時に、検査方法の標準化が図れた。

また、校正運搬にかかる時間と費用の削減も実現。従来は色校正(DDCP)を工場で出力した後、本社に送り、営業担当者が顧客に色校正を持参していたが、現在は「EQUIOS Online」にデータをアップロードすると、校正用PDFが本社のPC内に設定したホットフォルダを通じて、印刷機とカラーマッチングされたプリンターで自動出力され、すぐに色校正を確認できるようになった。

在宅勤務でもEQUIOSワークフローが業務を効率化

同社の「EQUIOS Online」活用の大きな目標は、ワークフローシステム「EQUIOS」との連携により、承認(下版)後、誰の手も介さずにCTPが出力されるオートメーション環境を構築していくことだ。以前、プリプレス工程では「Trueflow」で印刷用データの製版処理後、他の担当者が大貼りソフトで面付けする必要があった。「EQUIOS」の導入後は、制作・製版と面付け、RIPの工程を一元化し、現在は「EQUIOS」のレイアウトディレクター機能を活用して、印刷機ごとに用紙や刷版、アクセサリを関連付けることで、大貼り作業を効率化している。製造部プリプレスグループリーダーの服部雪絵氏は、「今は面付けからRIPまで1人の担当者で担えるようになりました。印刷機が菊全判から菊半裁判に突然変わる場合も、すぐに対応できます」と、EQUIOSワークフローを高く評価している。

現在、平山氏はオンライン校正の需要が伸びると予測している。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、在宅勤務を採用する企業が増えているためだ。「在宅勤務になったが、社内報を作る手立てはないだろうかというご相談を受けました。オンライン校正をご提案すると採用いただきました」(平山氏)

また、守山氏は「当社も在宅勤務で不自由があり、お客様も同じことで悩まれていると思い、TANGOを提案したところ、導入を承諾していただきました。在宅勤務が続けば、さらなる需要が出てくると思います」と予測。鵜殿氏も「毎月発行されている定期物のお客様に提案したいと考えています。オンライン校正のメリットをもっと伝えていきたいですね」と力を入れる。在宅勤務によって業務に悩みを抱える企業は着実に増えた。同社では、顧客の課題に向き合うツールとしても「EQUIOS Online」に期待を寄せている。

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企業情報

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株式会社大成美術プリンティング
住所:東京都中央区湊1-9-9
代表者:代表取締役 新保 大八
設立:1952年7月30日
従業員数: 64人(2020年6月30日現在)
出典:「デジタルワークフローソリューションズ2020」
https://www.taiseibijutsu.jp/