【図01】1980年6月1日発行の限定版モンセン欧文書体大字典(display
faces)/嶋田出版。ただし購入したのは1985年頃。定価は25,000円で清刷集(25,000〜28,000円)とほぼ同額。ただしこちらは清刷集ではなく、モンセン清刷集の中から2,000書体を抜粋し、B5サイズに6書体を整理した見本帳。これをトレスープで複写して仕事に利用しているデザイン会社が多かったのが実情でした。
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**【インレタ】今で言う転写シールあるいはタトゥーシールのように、文字をこすって台紙に転写してからトレスコープにて拡大縮小を行なって、紙焼きを作成していました。正式にはインスタントレタリングと言われていましたが、メーカーごとに微妙に表記が異なっていました。ちなみにインレタはレトラセットの製品名です。この手の転写シールは文字毎に転写位置のガイドがあり、初心者でもきれいな文字組みを行なうことができましたが、保存状態が悪いと転写しにくくなる欠点もありました。
使用頻度の多い書体は、購入直後にスノーマットなどの台紙にすべて転写してしまい、それをトレスコープにて紙焼きをして複製したものを、手貼りで組むという使い方をしていました。また、後年は安かろう悪かろうという製品が随分登場し、デザインの質に大きく影響していた時期もありました。今のように、どれだけ拡大縮小を行なってもシャープな文字が作成できる環境からは想像もできない世界でしたので、大きく使いたい場合は紙焼きを作成してからエッジをロットリングなどで調整することが当たり前でした。
***【モンセン書体清刷集】東京青山の嶋田洋書から販売されていた何冊にも分冊された書体清刷集で、黒本(計3冊すべて購入)、赤本(計14冊中の7冊購入)の2種類がありました。それぞれ若干のサイズ違いはありましたが、おおよそ1ページB4程度のサイズにアルファベットが200書体ほど印刷されていました。通常はトレスコープで紙焼きを作成してから文字組みを行なっていましたが、必要に応じて写植用のフィルムを取り寄せることも可能でしたので、デザイン会社には必ず常備されていました。当時の私も少しずつ買いだめしましたが、デジタル化の波にいち早くのってしまったために途中で買い足しをストップしてしまいました。なお、黒本、赤本の合計冊数は12年ほど前の状況で、現在は何冊リリースされているのかについて確認はできませんでした。 |