Doc. No.: HD170105

株式会社SCREENホールディングスはこのほど、変速機をはじめとする自動車の基幹部に使われる冷間鍛造部品向けの外観検査技術を、世界で初めて※1開発しました。この技術は、これまで困難とされていた数十マイクロメートル単位の微細な欠陥の自動検出が可能なため、安全性が重視される車載用冷間鍛造部品の生産性と品質の向上に貢献するものです。当社は今後、同技術を搭載した検査装置の開発を進めていきます。

近年、世界の自動車生産台数の伸びは堅調に推移しており、2016年の世界販売数は9,300万台に達すると予測されています※2。自動車の製造において、エンジンやブレーキなど安全に関わる重要な部位には、強度や耐久性に優れた鍛造部品が多数使用されており、鍛造の種類には、熱した金属をたたいて成形する「熱間鍛造」と、常温のまま成形する「冷間鍛造」などがあります。冷間鍛造は、鍛造後の金属加工が不要なためコストダウンにつながる他、精密な部品の形成用途に向くため付加価値が高く、増加傾向にあります。しかし、冷間鍛造の成形工程では、金属表面に潤滑剤の塗布や防錆処理を行う必要があることからムラが生じやすく、また、複合鍛造の場合は、熱間鍛造部分の表面にショットブラストによる複雑な凹凸が残るため、傷を目立たなくしてしまい、自動外観検査を困難なものにしています。そのため、部品の品質を維持するには熟練技術者による目視の全数検査が不可欠となっており、今後、部品生産の拡大が見込まれる中で、より安定した検査を実現できる、検査工程の自動化へのニーズが高まっています。

このような業界の動向を受けて当社は、半導体やプリント基板関連の検査装置で評価の高い外観検査技術に加え、独創の撮像・画像処理技術を応用し、冷間鍛造部品の外観検査技術を世界で初めて開発しました。独自開発の光学系システムと高精度の検査アルゴリズムを採用し、目視では検出が困難な数十マイクロメートル単位の微細な欠陥を、わずか8秒※3で検出可能。また、潤滑剤や防錆処理に起因する冷間鍛造特有の表面ムラを、当社独自の画像処理技術で消去し、過検出を抑制します。さらに、光学系センサーを複数配置することによって、視認が困難だった等速ジョイントの接続部品であるアウターレースの内側も検査可能となりました。

当社は、今回開発した検査技術について、2017年秋ごろの市場投入に向けて装置化を進めており、既に販売を開始している熱間鍛造部品向けの外観検査装置「IM-3100」と併せ、目視に代わる自動外観検査装置のデファクトスタンダードを目指します。そして、「IMシリーズ」としてブランド力を高め、今後も未参入分野におけるさまざまなニーズに応え、検査分野の発展に貢献していきます。

※1 当社調べ
※2「FOURIN 世界自動車調査月報」2016年12月号(発行:株式会社 FOURIN)による。
※3 当社測定値。撮像および検査時間。

*この技術は、2017年1月18日(水)から20日(金)まで東京・有明の東京ビッグサイトで開催される「第9回 オートモーティブ ワールド」の「第3回 自動車部品&加工 EXPO」(当社ブース:東7ホール E57-26)でご紹介します。

本件についてのお問い合わせ先

株式会社SCREENホールディングス 検査・計測事業開発室
Tel: 075-931-7824 Fax: 075-931-7826
URL: www.screen.co.jp

掲載されている情報は発表時のものです。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。