タイポグラフィの世界  
     
  ●図9 
彫刻中の清水金之助と彫刻の手元と道具類(撮影横溝健志氏)
ルーペが付いた台の手前に道具が置いてある。ネジの付いた中央が空いた正方形の器具は「升」。中央の空間に金属の種字を入れてネジで固定し、砥石の上を滑らせて研ぐ治具(じぐ)。その手前のL型の金属は直角定規、スコヤー(square)ともいう。細い面に溝が切ってある。その手前は毛書き用スプリングデバイダーで、スコヤーの角に活字材を置き、溝に一方の針を入れ、活字材の上に置いたもう一方の針で細く薄く横線縦線の太さを書く。この線が字の基本的格子構造になる。点やハライは毛書きしない。スプリングデバイダーの右は彫刻刀で、清水さん愛用のもの。「升」の左は金敷きとハンマー。一番手前は直彫りされた種字。