タイポグラフィの世界  
     
  ●図7
『印刷雑誌』第1巻第6号に掲載の築地活版の種字彫り師竹口芳太郎の名前が入った広告。連綿仮名が珍しい。活字で連綿仮名を最初に作ったのはウイーン王立印刷所で、1847年柳亭種彦の『浮世形六枚屏風』を活字での翻刻に使ったものである。江戸版本を見事に再現したこの活字は1873年と74年にアドルフホルツハウゼン印刷所で3冊の聖書を組むことになる。このウイーンの連綿体活字の影響が築地活版の連綿体仮名に表れている。ウイーンで作られた連綿体活字は本国ではすでに隠滅しているが、戦前日本人学者が入手した約40本のうち9本が戦災と敗戦の混乱をくぐりぬけ健在。