ステークホルダーの皆さまへ
「NextStage70」の達成に全力で取り組んでまいります
2012年3月期の当社グループは、国内外で厳しい経営環境が続く中、中期3カ年経営計画「NextStage70」のテーマに掲げた「安定した収益構造の確立」と「新たな成長」に向けた積極的な取り組みを各事業で推進しました。2013年3月期以降も「NextStage70」の達成を目指し、各事業における収益構造の改革と新規事業の早期創出に全力で取り組んでまいります。
Q: 2012年3月期の事業環境と業績は?
A: 厳しい経営環境の中、前期並みの売上を維持することができました。
代表取締役会長
最高経営責任者(CEO)
石田 明
2012年3月期は、欧州債務危機に伴う金融不安の広がりから世界的に景気減速懸念が高まり、国内においても東日本大震災、歴史的な円高など数々の逆風要因が重なりました。こうした中、当社グループの売上高は2,500億円となり、前期に比べ1.9%の減少となりました。
利益面については、製品販売価格の下落に加え、研究費・人件費などが増加したことから、営業利益は134億円(前期比49.7%減)、経常利益は122億円(同53.7%減)となりました。また、特別損失として、固定資産に係る減損損失、売上債権に対する貸倒引当金繰入額、保有株式の時価下落に伴う投資有価証券評価損などを計上したことにより、当期純利益は46億円(同81.9%減)となりました。
半導体機器事業は、需給バランスの悪化と世界的な景気減速感の高まりからお客さまである半導体メーカーの設備投資が全般的には抑制されましたが、スマートフォンやタブレット型端末などの需要増加を背景に、微細化への投資は活発であったことから、売上高は前期に比べ微減にとどまりました。
FPD機器事業については、テレビの価格低下で大型液晶パネル向けの設備投資が大きく減少した一方、スマートフォンなどの需要増加で中小型パネル用コーターデベロッパーの売上が増加し、ほぼ前期並みの売上高となりました。
メディアアンドプレシジョンテクノロジー事業は、北米を中心にPOD装置の売上が伸びたほか、徹底したコストダウンと固定費圧縮を推し進めた結果、2009年3月期以来3期ぶりに黒字転換を果たすことができました。
Q: 「安定した収益構造の確立」への取り組みは?
A: 各事業でコスト構造の改善を進め、競争力強化を図っています。
半導体機器事業では、コスト競争力の強化と収益性向上を目指し、事業の構造改革を進めています。例えば枚葉式洗浄装置の「SU-3200」は、設計段階から装置の標準化を進め、変動費率抑制の効果をあげました。
FPD機器事業においては設計の見直し、海外(中国)調達の拡大などにより変動費率の改善に努める一方、ポスト液晶として有機EL関連装置の技術開発を加速しています。
メディアアンドプレシジョンテクノロジー事業では、CTP装置の中国生産シフトを加速し、新興国市場での価格競争力を高める一方、売上が拡大しているPOD装置では、デジタル印刷のソリューション提案を強化しています。2011年9月には東京の門前仲町に、POD装置を中心としたショールームを設置し、総合的な提案活動を開始しました。
当社が事業展開するすべての分野において、グローバル化がますます進んでいます。今後の市場を牽引するのは、中国、インド、ブラジル、東欧、ロシアといった新興国であり、これらの市場で勝ち残るには価格競争力も重要な要素です。先進国市場に向けた高付加価値のものづくりと同時に、全事業において部品・設計を標準化していくとともに、徹底的な業務効率化を進め、さらなる「ローコスト体質」への転換を図っていく考えです。
Q: 「新たな成長」に向けた取り組みは?
A: 「成長する市場」での新規事業創出に向け取り組みを加速していきます。
代表取締役社長
最高執行責任者(COO)
橋本 正博
近年、当社グループの事業ポートフォリオに占める半導体機器事業の比率が高まっていますが、同事業は市況により大きく変動する「シリコンサイクル」の影響が大きく、収益を安定させ持続的な成長を図るには、柱となる新事業を一刻も早く創出する必要があります。こうした考えから2011年10月には新開発組織「エネルギー技術開発推進センター」を設置し、リチウムイオン電池や太陽電池関連の技術・装置の開発を本格的に開始しました。
新規事業を生み出すには、既存事業の延長的な発想ではなく、市場を根本から変えてしまうような大胆な創造性が必要です。コアコンピタンスである「塗る・描く・洗う」の技術を進化させるとともに、創造性ある研究開発によって技術領域を拡大し、必要ならば外部の技術・ノウハウも積極的に導入しながら、「成長する市場」での事業創出を目指していきます。
一方、既存の半導体機器事業もさらなる強化が必要です。来るべき「半導体ウエハー450mm時代」に向けた開発投資も積極化しています。450mmウエハーへの移行は、当社が新たな飛躍を果たす大きなチャンスと捉えていますが、これには最適なタイミングが求められます。業界動向を見極めながら、着実に準備を進めていく考えです。
Q: コーポレート・ガバナンス、内部統制への取り組みは?
A: さまざまなチェック体制を整えるとともに「企業倫理」の確立を目指します。
最近のいくつかの日本企業の不祥事を契機に、企業統治のあり方が改めて問われていますが、当社ではここ数年、内部統制委員会、コンプライアンス委員会、防災BCM委員会などの設置によりガバナンスとリスクマネジメントの強化に努めてきました。また、事業のグローバル化が進む中、海外事業所の内部統制・内部監査に関しても体制整備に注力しています。一口に監査といっても対象領域は幅広く、さまざまな角度から、繰り返し実施していくことが重要だと考えています。
当社では経営の効率性向上と業務執行機能の強化を目指し1999年に執行役員制、2002年には社内カンパニー制を導入しました。また、外部視点を確保するため社外取締役制も2000年から導入し、現在は取締役9名中3名が社外取締役です。監査役も4名中2名を社外監査役とし、業務執行の適法性確保に努めています。このほかにも社長直轄の内部監査組織として、内部統制の状況をグループ横断的にチェックする部門を2009年に設置し、業務内容にまで踏み込んだ監査を徹底しています。
内部統制の強化においては制度を整えるだけでなく、企業としてのビジョンを確立し、それを全グループに浸透させていくことが重要です。不祥事防止は、究極的には企業倫理の問題だと思います。当社グループは2002年に公正かつ透明性の高い経営の指針として「倫理憲章」「行動基準」を定めていますが、そうした組織としての基準を、すべての部門・職場にしっかり浸透させ、企業の倫理、文化として醸成していきたいと考えています。
Q: 2013年3月期の事業環境と業績見通しは?
A: 中期計画の達成に向け「攻め」と「守り」の戦略を並行して進めていきます。
半導体機器事業については、お客さまの設備投資への慎重姿勢が続くと予想されるものの、回路微細化への対応に関しては引き続き積極投資が期待できるため、当期並みの売上を見込んでいます。
一方、FPD機器事業については、パネルメーカーの設備投資が一層低調になると予想されるため、売上の大幅な減少を見込んでいます。
メディアアンドプレシジョンテクノロジー事業では、世界的に需要が拡大しているPOD装置の販売増と、プリント基板の直接描画装置の拡大により売上増を見込んでいます。
利益面に関しては、製品販売価格面で厳しい状況が予想される中、コストダウン活動を継続することで利益増大に努めてまいります。
今年2月の大手半導体メモリーメーカー倒産に象徴されるように、経済状況、市場環境とも依然として先行きは不透明ですが、2013年3月期は中期3カ年計画「NextStage70」の2年目となる重要な年であり、開発・生産・販売、一つ一つの活動を大切に進めていこうと思います。
ローコスト経営への転換を図るには「守り」ばかりでなく「攻め」も重要です。全グループ・全従業員の総力を挙げて、引き続きさらに高い収益性を追求し、中期計画の達成を目指していきます。
2012年7月
※「経営レポート(アニュアルレポート)2012」より。
