つまり、書籍の文字組みは儀礼的な、車内吊り広告の文字組みは挑発的なデザインといえるでしょう。そして、もし学生の方が将来グローバルなグラフィックデザインというものに関わろうとしているのであれば、文句なく挑発的なデザインを学ぶべきだと感じています。
ただし、儀礼的なデザインは教科書的な文献や書籍などが比較的潤沢に書店や図書館などに溢れていますが、挑発的なデザインの文献や書籍類は日本では入手が難しいと言わざるを得ません。もっとも、だからこそ生きているデザインと言えるかもしれません。
また、挑発的な文字組みデザインはピクトグラムにも通じ、その先にはロゴタイプやシンボルマークもあるのではないでしょうか。乱暴な言い方をすれば【図04】のように絞り込んでしまうと、それぞれの垣根は曖昧になってしまうような気がします。
例えば、通常の文字組みであっても個々の文字のサイズ調整や、それに伴うウエイト調整、ベースラインシフト調整などだけでも【図05】のようなキャッチコピー的なロゴタイプを作成することも可能です。
     
     
【図04】
→ロゴタイプやシンボルマーク、イラストに文字組みデザインにピクトグラムは突き詰めていくと明確なボーダーラインが見つけにくくなります。たとえば、イラスト的なピクトグラム、ピクトグラム風のイラストというものが存在しています。
 
     
     
【図05】
→56ポイントのヒラギノ明朝Std W5+游築36ポ仮名Std W5
 
     
→2番目の「こ」と「よ」のサイズを72ポイントに、「い」を40ポイントにそれぞれ変更。「庵」をヒラギノ行書Std W4に変更。  
     
→左端から1文字ずつベースラインシフトの設定を次のように変更(「こ」=0)(「こ」=16)(「ち」=0)(「よ」=-9)(「い」=-16)(「庵」=-54)  
→左端から1文字ずつ文字のフェイトを変更(「こ」=W3)(「こ」=W2)(「ち」=W3)(「よ」=W2)(「い」=W5)(サイズを40ポイントとしてから「庵」=W4)グラフィックパーツを組み合わせて位置調整  
→カラーリングを行なって完成  
 
*デジタルフォントを水平、垂直方向に変形させ、アウトライン化しただけのものを、企業や商品のロゴタイプなどにすることは一次使用許諾範囲外となる場合が多いので注意が必要です。もし、アウトライン化しただけのような状態の文字をロゴタイプとして利用する場合は、別途フォントメーカーから使用許諾を得る必要が発生する場合があります。
     
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