川畑▲ さて、矢島は同時期にもうひとつの実験を試みています。「構成活字」や「複合構成活版」という方法論です[★図25]。 『図案文字の解剖』が既存の書体を幾何学的に分解する作業だったのに対して、「構成活字」は正反対の“数理的に造り上げた図案文字”といえます。1928年9月の大阪商業美術家協会第一回展にも出展され、29年に「片仮名組立構成活字と型摺文字」として実用新案登録されたようです。型摺文字とはステンシルの意味です。 1930年、矢島はこう著わしています。
★図26…矢島式構成活字。 右上《母型》 右下《複合的標型文字》 中《矢島式複合構成活版の意匠》 左《矢島式複合構成活版図案》